4/25(火)東博 本館で国宝を見る | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

古っるーい!(^_^;)先月のレポートです……

大半は、過去に見た国宝でしたが、一部初見のものもありましたので、レポートします。

ひと月くらいの前のものなので、現在は展示されていない(展示替えされている)ものも多いのでご容赦くださいm(_ _)m


当時、展示されていた国宝は、以下のとおり。



【本館13室 】
・国宝 太刀 古備前正恒(文化庁)(4/11〜7/2)
・国宝 金銀鍍宝相華唐草透華籠(2/21〜5/21)

【国宝室 】
・国宝 普賢菩薩像(4/11〜5/7)

【本館1室 】
・国宝 興福寺鎮壇具(通年展示中)

【本館3室】
・国宝 線刻蔵王権現像(通年展示中)
・国宝 円珍関係文書のうち
円珍自筆書状(4/4〜5/14)
の、6件です。

では、レポートします。



・国宝 太刀 古備前正恒(4/11〜7/2)

文化庁所有の国宝。平安時代(12世紀)の作。
"太刀"なので、刃を下にして展示しています。
国宝指定名称は、「太刀 銘 正恒(まさつね)」。実はややこしい事に、全く同名の「太刀 銘 正恒(まさつね)」があり、2振りとも文化庁が保有しています。
だから、どっちの「太刀 銘 正恒」を見たのか?ハッキリさせておく必要があります。
見極める方法はいくつかあるのでしょうが、素人目にもわかりやすいのは、目釘孔の数ですね。4つあって内2つは塞がれていますね。
↑そこに「正恒」の銘も刻まれているのが見えます。
刃文は、一見、"直刃(すぐは)"。そこに小さく"丁子(ちょうじ)"が入っています。キャプションにある「小乱れに小丁子を交えた直刃調」は、このことです。
↑波線の上に小さく"丁子"が入っているの、わかります?(^_^;)
こちらは、東博に寄託されているようです。
もう1つの「太刀 銘 正恒(まさつね)」は、京博に寄託されていて、そっちは目釘孔1つです。
7/2までの展示です。




・国宝 金銀鍍宝相華唐草透彫華籠(2/21〜5/21)

神照寺所有の国宝。平安時代(12世紀)の作。

"きんぎんとほうそうげからくさすかしぼりけこ"と読みます。

仏事の時に、散華とかで、花びらを撒いたりしますよね。その時に花びらを入れておく"籠(カゴ)"です。なので"華籠(けこ)"と呼ぶのです。
平たいザルのような形状で、宝相華唐草文様が、透かし彫りされています。そこに金と銀のメッキが施されています。

コンピュータの無い時代に、よくこんな複雑なデザインをフリーハンドで破綻なく仕上げたなぁと、感心します。


のですが、各地の博物館(東博・京博・奈良博・大阪市立美術館)にバラバラに寄託されているのと、形がどれも同じに見えるので、どれを見てどれを見ていないのか?よくわかりません。

今回展示のものは、平安時代のものですが、各博物館にはⅠ類Ⅱ類両方が寄託されているので、今回東博ではⅠ類だけを展示している訳です。たまに、Ⅰ類Ⅱ類両方展示するときもあるので、その時は双方を比較することができるので、とても良いですよ。

ちなみに私は、16枚全部見ています 


\(^o^)/




・国宝 普賢菩薩像(4/11〜5/7)

東京国立博物館所有の国宝。平安時代(12世紀)の作。
絵画の"国宝 普賢菩薩像"は、2件あります。この東博所有のものと、豊乗寺のものです。この東博のものは、すでに展示が終わっていますが、豊乗寺のものは6/6から展示が始まりますので、見比べてみても良いんじゃないでしょうか。
最近、紡ぐプロジェクトでの修理が終わり、色白に拍車がかかって、さらに美人になって帰ってきました(^o^)

普賢菩薩のお決まり、白象に騎乗するお姿です。(文殊菩薩の場合は獅子に乗る)
色彩がよく残っていて、髪の紺色、肌の白、蓮華座の緑、裙(くん/ズボンのこと)のコントラストがキレイですねぇ。
↑よく見ると、金で二重円相の光背が表されています。放射状に光線も出ています。これらは、"截金(キリカネ)"という技法で、金箔を細〜く切って、漆で貼り付けているのです。
↑天上からは宝相華(想像上の花)が、左右に舞い降りていますよ。
↑拡大すると、こんな感じ。
↑白象は、右足が欠失しているのが残念ですが、象の頭に注目。
↑音声菩薩たちが楽しげに演奏しています\(^o^)/




・国宝 興福寺鎮壇具

東京国立博物館所有の国宝。奈良時代(8世紀)の作。
興福寺中金堂の下から発掘されたもので、2回発掘されています。
1回目の発掘で出土したものがこちらで、2回目の発掘で出土したものが興福寺所有となっています。
なので、"興福寺鎮壇具"と同名の国宝は2件あります。


こちらがですね~、昨年までと展示品を一部変えていました。

まずは、昨年までの展示を見てみましょう(^_^)/
黄色で囲んだものが、展示から外れてました。
↑金銅椀が1つ。銀匙が1つ。銀鑷。瑞花双凰八花鏡。花枝双蝶八花鏡。が外れました。
↑金銅大盤が外れました。
↑この辺は、変わり無し。


次は、現在の展示です。
青色で囲んだものが、追加されました。
↑この辺は追加無し。
↑舎利石、水晶蓋付筒、水晶六角柱が追加されました。
↑黒水晶玉、青緑石玉、銀鋌が追加されました。
↑金小玉が追加されました。

ふむ。残るは、刀子関連と念珠関連、琥珀製品の残闕ですかね~
いつか見られる事を期待しよう(^_^)





(通年展示中)

西新井大師総持寺所有の国宝。平安時代 長保3年(1001年)の作。

国宝指定名称は"線刻蔵王権現鏡像"です。
独立展示ケースで展示されていて、表裏が見えるようになっています。
表は蔵王権現ほか、多数の諸仏が線刻されていて、一体一体見ていくと楽しいです。
"線刻(せんこく)"は"毛彫り"とも呼ばれ、平らに磨いた金属板に引っ掻いて線を刻む技法です。
小学校の時に、シャーペンで学校の机にガリガリと落書きを刻んだでしょう、あれです(^_^;)
裏には表の諸仏が梵字で線刻されています。
金属リサイクル業者から届けられて、総持寺に伝わったという、波乱万丈の経緯を辿ってきた国宝です。

こちら、一時期写真撮影"可"になってたんですが、再び"不可"に戻ってます(^_^;)おそらく展示担当者のミスだったんでしょう。




・国宝 円珍関係文書のうち
円珍自筆書状(4/4〜5/14)
東京国立博物館所有の国宝。平安時代(9世紀)の作。
天台寺門宗の祖 円珍が残した、文書類です。
もともとは三井寺が所有する国宝 智証大師関係文書典籍の一部であったものが、巡り巡って、東博にたどり着いたのでしょう。
東博では国宝 円珍関係文書として、全8巻が伝わっていて、そのうちの1巻になります。
内容は円珍さんが、六歌仙としても有名な遍昭僧正に宛てた手紙。
字がキタナイことで有名な、円珍さんの直筆を見ることができます(^_^;)
もともと漢文で書かれているうえに、さらに字がキタナイので、まぁ読めません。
↑巻末に他の人の字があるので、見比べてもやっぱりキタナイ……

見どころは、円珍さんの名前が切取られているところ✂
円珍さんの直筆サインは、お守りの効果があるってことで、切り取られたようです。
↑日付(五月廿七日)の下に、薄っすーく切り取り跡があるの見えますかね?



レポートは、以上です。

訪問からひと月近く経ってのレポートで、スミマセンm(_ _)m
このブログは、私の"国宝鑑賞ログ"としての側面もあるので、ご容赦ください。