国宝 玉篇巻第九残巻と礼記子本疏義巻第五十九 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

早稲田大学へ行ってきました(^_^)/
5年ぶりの公開だそうです。しかも、たった3日間だけ……
↑何でしょう(^_^;)バンカラ感のある手書き看板……
↑場所はこちら。早稲田図書館の2階です。
通常は学生や研究者など、入館資格の無い人は入れないのですが、この3日間は一般に開放されていました。

↑奥にある、小さな展示室での展示でした。撮影は禁止。

では、レポートします(^_^)/



1件ずつ紹介しますね~




(ぎょくへんまきだいきゅうざんかん)

唐時代に書写されたものです。紙背が「金剛界私記」となっていて、奥書に"治安元年(1021年)書写"となっているので、この頃に書写されたものでしょう。
巻子本(かんすぼん)、つまり巻物形式の書物で、巻頭から4件mほどを展示していました。
先に書いたように、紙背文書(しはいもんじょ)になっているのが、巻取り部分を見ると分かります。(昔は紙が貴重だったので、よく再利用されたのです)
冒頭突然はじまるので、前部分を欠失しています。そのため、"残巻"なのでしょう。

薄い界線(文字を真っ直ぐ書くための罫線)を引き、特徴のある楷書で書いています。※「言」の2画目が長いんです。

"玉篇"は、今で云う漢和辞典です。

この巻では、「口を使って表す文字」の解説をしているようで、「訁(ごんべん)」の文字から始まり、「飠(しょくへん)」の文字で終わっています。
全巻を写真パネルで展示されていたので、全貌が把握できます。

すでに使われなくなっている漢字が多いのですが、4文字目は「警」 ですね。

京都国立博物館に重要文化財として、この"玉篇巻第九残巻"の一部、過去に散逸したものが分かれて伝わっているので、それを使って解説しますね。
↑参照:colbase 
構成としては、「(部首名)部 第(通し№)凡(解説する文字の数)字」で、部首ゴトに並んでいます。
↑の画像の真ん中あたり、
部 109  凡9字」
と、あって9つの文字を解説しています。最後から3番目の「器」っポイ字の部分を拡大すると、
↑解説する「器」を、2行分にわたって大文字で書き、1行ずつ小文字でその文字の説明をしているのが分かります。





(らいきしほんそぎまきだいごじゅうきゅう)

唐時代初期に書写されたもの。
"礼記(らいき)"は、中国の"五経"(儒教で重要視される経典)のひとつ。
"疏義(そぎ)"とは、注釈書のこと。つまり、"礼記"の注釈書です。

巻子本で、巻末から2mほどを展示しています。
紙の上下に虫食いが多いのですが、良く補修されています。

そして、この国宝を国宝たらしめているのは、巻末にある「光明皇后の蔵書印」です。※光明皇后皇后は、聖武天皇の奥さん。
すでに、上記2件の国宝の展示は終了しているのが心苦しいですが、レアな国宝を見ることができて良かったです(^_^)