吉備津神社 特別拝観と鳴釜神事 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

岡山県にあります、吉備津神社 


に行ってきました(^_^)/

JR岡山駅から、吉備線(桃太郎線)に
乗り換え、吉備津駅で下車します。
徒歩10分ほどで、吉備津神社 に到着。
吉備津神社 は、桃太郎伝説発祥の地ともいわれています。
昔、この地で、吉備津彦命(キビツヒコノミコト)が温羅(うら)という鬼神を退治したことから、これが後の"桃太郎"のおとぎ話に変化したといわれています。
↑この人が、吉備津彦命。
↑温羅退治の際、吉備津彦命が矢を置いたという""矢置き岩"。




」が行われています。
いつまでやっているのかわかりませんが、7/4(月)17(日)、8/7(日)22(月)、9/5(月)18(日)と、9月までは決まっているようです。
こちらのサイト 


に記載があります。

国宝建築物の中に入れる、特別な機会ですので、参加してきた次第です。
特に、神社の本殿は立入禁止のところが多く、内部を"見る"ことすら叶わないところも多いですので、貴重です。

ツアー形式で、後に紹介する「鳴釜神事」と併せて1時間程度の案内でした。


・国宝 吉備津神社 本殿・拝殿

室町時代 応永32年(1425年)の作。

本殿と拝殿併せて1件の国宝です。
赤の部分が"本殿"で、黄色の部分が"拝殿"です。
一休さん 」の将軍様でおなじみ、足利義満が、時の天皇 後光厳天皇の命を受け、造営しました。
↑檜皮葺(ひわだぶき)の屋根は、"比翼入母屋造"と呼ばれる形状が特徴的で、入母屋造の屋根を2つ並べた形式です。
全国でもここ吉備津神社にしか見られないことから"吉備津造"とも呼ばれているそうです。
↑屋根の上にあるX字型の飾り"千木(ちぎ)"は縦削ぎで、主祭神が男性神であることを表しています。
ですが、屋根のてっぺんに並ぶ丸太状の"鰹木(かつおぎ)"は、2本です……
偶数の場合、女性神が多いのですが……まぁまぁ。
18×15mもある巨大建造物で、神社本殿では八坂神社に次ぐ大きさ、出雲大社の2倍だそうです。

では、細部を見ていきましょう(^_^)/
↑土台の白い部分は"亀腹(かめはら)"と呼ばれ、土を築いた上に漆喰で塗り固めています。
↑この"亀腹"の上に"井桁(いげた)"が組んであり、欄干を伴う縁を組物で支えています。
↑巨大な屋根を支えるため、神社建築には珍しい"挿肘木(さしひじき)"という組物で支えています。

次に拝殿を見てみましょう。

↑左側が本殿で、右側が拝殿。
上が檜皮葺、下が瓦葺きの屋根があるので、一見、二階建ての建物に見えますが、瓦の方は"裳階(もこし)"です。
それは、中に入るとよく分かります。
天井が無いんです(^_^;)
2階の屋根裏まで、吹き抜けで見えてます。

さて、特別参拝は、神職の方から国宝 本殿・拝殿の解説を受けたあと、拝殿の中に入り、お祓いを受けます。
拝殿からは、朱塗りで綺羅びやかな本殿の中の様子が見えます。

そして、いよいよ本殿昇段です(^o^)


本殿の中は、内内陣を中心に、内陣→中陣→朱の壇→下陣となっていて、我々は下陣で祈祷を受けます。
神職の方は、朱の壇から中陣に入り、鈴のいっぱいついた、シャンシャンするヤツを持ってきて、祈祷します。

我々は外陣をグルっと一周 しながら、内陣の説明を受けます。朱塗りの内陣は、素木の外観とは違い豪華です。
神社の本殿の中に入るのは、初めての経験でした。

さて、本堂の拝観が終われば、鳴釜神事のために、移動します。
↑長〜い回廊を渡り、
正面に、これまた煤で真っ黒になった大きな"しゃもじ"が3つ壁掛けてあります。その前に竈(かまど)があり、火が焚べられています。

鳴釜神事 は、こんな感じです(^_^)

白装束の"阿曽女"(あぞめ)と呼ばれる女性があらわれ、竈の向こうに立ちます。竈の上には蒸し器(セイロ)がかけてあります。
一方、竈の手前には神職が座し、祝詞をあげ始めます。
すると"阿曽女"は、ザルに玄米をザッと入れ、蒸し器(セイロ)の中でザッザッと、お米をとぐように混ぜ始めます。
神職の祝と、"阿曽女"の玄米をとぐリズミカルな音、これがシンクロし始めると、

ヴァイィィィィィィィン……

という、共鳴音のような音が、室内に響き始めました(^o^)

これが、釜の鳴る音、鬼(温羅)の声、なのでしょう。

この音、ハッキリと聞こえるときもあれば、そうでない時もあるそうです。
この音によって吉凶を占うのですが、神職も"阿曽女"も音に関しては何も語りません。
聞いた本人の感覚にすべて委ねられているとのことでした。

私は、良い風に感じたので、良い結果だったのだろうと、勝手に解釈しています(^_^)
↑そして、これらを戴いて帰りました。

初穂料1,000円で、充分過ぎる体験をさせていただきました〜


↑気になるお土産の中身は、夫婦箸とシャモジのセットでした\(^o^)/