九州国立博物館「海幸山幸(前期)」 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。


九州国立博物館 


へ行ってきました(^_^)/

九博では現在、特別展「海幸山幸 」が開催中。

11/7までの、前期展示で見られる国宝は、

・国宝 伝福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品より三角縁神獣鏡【通期】
・国宝 紺糸威鎧【〜11/7】
・国宝 平家納経より法華経妙音菩薩品 第二十四【〜11/7】
・国宝 宮地嶽古墳出土品より 【通期】
・国宝 誓願寺盂蘭盆縁起【〜11/7】
・国宝 海磯鏡 法隆寺献納宝物【通期】
・国宝 桜ヶ丘町出土銅鐸・銅戈より銅鐸【通期】
・国宝 島津家文書 薩藩勝景百図 海辺一(東京大学史料編纂所)【〜11/7】

の、8件です。

九博の特別展は、2階の会場で行われるのですが、九博はワンフロアが広いので充分です(^_^)
ただ、出入口の前に物販コーナーがでーん!と陣取ってるのが、ちょっと……って気がしますが……

まぁー、入ってみましょう(^_^)
導入部では、神話の「海彦山彦」のビデオが流れ、


イメージ作りをしてから、展示室に入ります。

ただ、私のブログは"国宝ブログ"なので、展示されている国宝に「海幸山幸」は、あんまり関係無いですねぇ(^_^;)

では、ひとつずつレポートします。


・国宝 伝福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品より三角縁神獣鏡【通期】

宗像大社所有の国宝。古墳時代(4世紀)の作。

"伝福岡県沖ノ島祭祀遺跡出土"と書かれていますが、国宝指定名称は"伝福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品"。
宗像大社所有の国宝は、国宝 福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品と、この国宝 伝福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品の2件。
その、国宝 伝福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品から、三角縁神獣鏡の出展です。
キャプションでは「71面出土したもののうちの1面」と書かれていたのですが、国宝 伝福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品の中では、"銅鏡残欠共36点"のはずなので??です……(^_^;)

名前にある"三角縁"とは、銅鏡の縁が三角になっているところから来ています。ピザでいうと耳の部分、ここの断面がが三角になっているんですね。



・国宝 紺糸威鎧【〜11/7】

厳島神社所有の国宝。平安時代(12世紀)の作。

厳島神社は、平家の厚い信仰があったことは良く知られていますね。
平清盛によって社殿を整えられた厳島神社に、清盛の息子、平重盛が奉納したと伝わるのが、この"紺糸威鎧"です。

兜大袖付きの立派な鎧です。
"紺色"の名のとおり、小札(こざね)を紺色の糸(糸といっても、平べったい組紐のようなもの)で威(おど)しています。
"小札"は穴の空いた小さな金属片。
"威す"というのは、"通す"からきていて、小札に威し糸を通して大袖や草摺を組み上げています。
この紺糸の威し糸、濃い色と薄い色があるので、恐らく補修が行われていると思われます。薄い糸が当初のものでしょう。
独立展示ケースで展示されていて、近くで見ることができますので、その辺良く見ていただければと思います。

展示される機会が比較的少ないので、見ておいたほうが良いですよ。



・国宝 平家納経より法華経妙音菩薩品 第二十四【〜11/7】

厳島神社所有の国宝。平安時代 長寛2年(1164年)の作。

平清盛およびその一族が、厳島神社に奉納した、絢爛豪華な装飾経です。
全33巻の中から、法華経の妙音菩薩品を、巻頭より1mほど展示しています。

見返し絵が見える状態で展示されているので、"題せん"や金具は見えません。
見返し絵は全面シルバーで、そこに菩薩が56体、飛来する様子が描かれています。
見返し絵は、お経の内容を絵に表していて、妙音菩薩を取り囲む84,000の菩薩を表現しています。
単眼鏡でよーく見ないとわかりませんが、菩薩の乗る蓮台の下に、銀泥で雲が描き表されています。

料紙も、金銀箔に、野毛、砂子が散らされ、不必要なまでにゴージャスです。どれだけの財力があったのでしょう、「平家にあらずんば人にあらず」はダテではありません(^_^;)

経文は、金の界線に墨書で書かれています。字はあまり上手くは無いですねぇ。経文の後ろに日輪がド派手に描かれています。
お経の天地には、葦手絵で「る」や「こ」の文字が、鳥を模して描かれています。

平家納経は軸首も豪華なので有名ですが、今回の展示品は、白木の軸に巻いてあるだけの、質素なものでした。



・国宝 宮地嶽古墳出土品より 【通期】

宮地嶽神社所有の国宝。古墳時代(7世紀)の作。

鐙(あぶみ)とは、馬に乗る際の、足をかける馬具です。この時代は、つま先をすっぽりと鉛筆キャップのように覆うタイプ。



・国宝 誓願寺盂蘭盆縁起【〜11/7】

誓願寺所有の国宝。平安時代 治承2年(1178年)の作。

巻子本で2m弱、全巻展示されています。
日本に、臨済宗とお茶を伝えた僧、栄西(ようさい)が、中国  宋から一切経が届くのを待っている時、誓願寺で著した「法華一品経」の縁起だそうです。
本文3行目に「太宰府筑前州嶋縣今津 誓願寺 盂蘭盆一品経縁起」と読み取れます。

3枚の色紙に、大きめの字粒で力強く書かれています(^_^)/
キレイで伸びやかな字です!
さらに、料紙装飾も見事で、それぞれ異なるデザインの、紅・白・藍3枚の唐紙が使われています。

栄西は、京都に建仁寺、博多に聖福寺を開き、「喫茶養生記」も著しています。



・国宝 海磯鏡【通期】

写真は東博 法隆寺宝物館で撮影したもの
東京国立博物館所有の国宝。中国 唐時代or奈良時代(8世紀)の作。

法隆寺献納宝物のうちの一つです。
海磯鏡は2枚あって、もう1枚はひび割れたもの。今回の展示はひび割れてない方です。
大ぶりの鏡で、背に海に浮かぶ山が4つ鋳出されています。よーく見ると、海には船に乗り釣りをする人や水鳥が、山には鳥や獣、腰掛ける人物がいます(^_^)



・国宝 桜ヶ丘町出土銅鐸・銅戈より銅鐸【通期】
画像はいずれも、神戸市立博物館で撮影したものです
神戸市立博物館所有の国宝。弥生時代(紀元前2〜1世紀)の作。

兵庫県神戸市灘区桜ヶ丘町出土品から、5号銅鐸が出展されていました。
人や動物、魚や昆虫が、わかりやすく表現されているので、見比べてみてください(^o^)
ピクトグラムって、ヤツですね(^_^)



・国宝 島津家文書より薩藩勝景百図 海辺一【〜11/7】


東京大学史料編纂所所有の国宝。江戸時代 文化12年(1815年)の作。

薩摩藩内の名勝旧跡を描いた絵巻物です。
巻頭1mほどを展示しています。全17図のうちの最初の1図です。
細い線と淡い色で、煙の上がる桜島を描いています。

キービジュアルにもなっている、金剛寺の国宝 日月山水図屏風は、後期の出展でしたので、見られませんでした(^_^;)

後期はねぇ〜……
行くかどうかはわかりません……

この後は、常設展示を見て回りましたよ\(^o^)/