9/29(火)東博 東洋館「中国書画精華―古典の魅力―」 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

さて、東京国立博物館本館
4階8室で、特集展示「中国書画精華―古典の魅力―」が開催中。
・国宝 夏景山水図軸 伝胡直夫筆(久遠寺)
・国宝 出山釈迦図軸 梁楷筆
雪景山水図軸 梁楷筆
雪景山水図軸 梁楷款
・国宝 紅白芙蓉図軸 李迪筆
・国宝 無相居士あて尺牘 大慧宗杲筆
・国宝 禅院額字 「東西蔵」張即之筆(東福寺)
が、いずれも10/18まで展示されています。
では、さっそくレポートします(^_^)/

・国宝 夏景山水図軸 伝胡直夫筆(久遠寺)

国宝指定名称は、絹本著色夏景山水図(けんぽんちゃくしょくかけいさんすいず)。
足利義満所有の東山御物です。
我々世代には、一休さんの将軍さまですね。
中央に雄大な松を配し、画面下に風に吹かれる高士が描かれています。
モノクロームの水墨画に見えますが、松に淡く緑を使っています。

金地院に秋・冬の2幅が残っていて、そちらも国宝に指定されています。

将軍義満の「天山」の朱方印が捺されているそうですが、
たぶん、右下の印だと思います。左はどう見ても"天山"と読めない(^_^;)
これ、実物を単眼鏡で見てもわからなかったです。



・国宝 雪景山水図軸 梁楷筆
出山釈迦図軸 梁楷筆
雪景山水図軸 梁楷款

3幅揃って、ひとつの国宝です。
まずは、中央の出山釈迦図軸 梁楷筆。
若かりし釈迦が、悟りを求めて山中に入りますが、挫折し山を下りてきたところを描いています。
一見しただけで、下りてきた事が良くわかりますね。髭ぼうぼうで、失意の表情です。(この後にスジャータに乳粥を貰います)
でも、なんかやたら足が大きくないですか?
↑釈迦の左の岩に注目。「御前図面 梁楷」とあり、南宋の宮廷画家であった梁楷が描いた事を示しています。
続いて左幅の、雪景山水図軸 梁楷筆。
雪山をロバに乗って進む二人の人物が描かれています。
一見、一頭に見えますが、良く見ると二頭なのがわかります。
ロバ2頭の左下に、ちっちゃく「梁楷」の落款があります。(見える?)
こちらも同じ名前 右幅の、雪景山水図軸 梁楷款。
同じように雪山の自然の風景を描いています。画面下は、湖畔でしょうか?岸に小舟が停まっています。
小舟、見つけられましたか(^_^)?
3幅で一対の国宝ですが、梁楷筆→梁楷筆→と来て、この雪景山水図軸だけは、梁楷"款"となっています。どうやら専門家の見立てでは、梁楷自身の筆ではないようです。
落款は、あるんですけどねぇ……
↑の写真の木の根もとから、右に続く地面のところ。端っこギリギリです。見つかりました?
いずれも、3幅揃って足利義満が所持した、東山御物です。

ちなみに、国宝指定名称はとんでもなく長いです。
「絹本墨画淡彩出山釈迦図「道有」の鑑蔵印がある〈梁楷筆/〉/絹本墨画淡彩雪景山水図「道有」の鑑蔵印及び「雑華室印」の印がある〈梁楷筆/〉/絹本墨画淡彩雪景山水図「道有」の鑑蔵印及び「雑華室印」の印がある」です!


・国宝 紅白芙蓉図軸 李迪筆

こちらは、以前レポートしたので写真だけ。

以上で、絵画は終了。次は書です。

・国宝 無相居士あて尺牘 大慧宗杲筆

国宝指定名称は、大慧宗杲墨蹟〈尺牘/十月初二日〉。
大慧宗杲(だいえそうこう)さんが、無相居士(むそうこじ)さんに宛てに送ったお手紙です。
大慧宗杲という禅宗の偉いお坊さんが、これまた偉い無相居士というお坊さんに送ったお手紙です。このダブルネームが価値を高め、茶道におけるレアアイテムとなったようです。

最後は、
・国宝 禅院額字から 「東西蔵」

写真撮影不可です(>_<)
国宝指定名称は、禅院額字并牌字(ぜんいんがくじならびにはいじ)。
禅宗のお寺に掲げる"額字(がくじ)"と"牌字(はいじ)"の原本です。
これらの書を元に、篇額や表札が作られたりするわけです。
過去にも何度か紹介していますね。
3種19幅あります。
額字 2幅←まだ見てない
額字 12幅←5幅見た
牌字 5幅←まだ見てない
これらを、禅宗の高僧 無準師範(ぶじゅんしばん)と、同じく張即之(ちょうそくし)が書いています。
東洋館は、スルーする事が多かったんですが、これだけ国宝が揃うと行かないわけにはいきませんね(^_^)

ただ、中国絵画と書なので、地味……
本当に、地味……
地味……