京博「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」(国宝編) | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

京都国立博物館で開催中の「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展のみどころを4回に渡って紹介してきました。

今回は満を持して…というか、本来の当ブログの目的、国宝の紹介をします(^-^)/

佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」では、以下の国宝が展示されました。

・国宝 後鳥羽天皇像 伝藤原信実筆(展示終了)
・国宝 一品経懐紙 西行筆(展示終了)
・国宝 手鑑 藻塩草
・国宝 古今和歌集巻第十二残巻(本阿弥切本)
・国宝 三十六人家集より
「躬恒集」(展示終了)「興風集」(展示終了)「素性集」(展示終了)
重之集
です。

では、ひとつづつレポートしますね。


・国宝 後鳥羽天皇像 伝藤原信実筆(展示終了)

「三十六歌仙絵巻は、後鳥羽院の指示で作られたのではないか?」「描いたのは、三十六歌仙絵と同じ藤原信実と伝わる」この2点からの展示でしょう。

軸装で全体的に茶色に退色しています。作品保護のために展示期間は短く、開始2週間のみの展示でした。

承久の乱の主人公ですね。
後鳥羽"天皇"像なのは、譲位前だから。この絵を描かせた直後に落飾(剃髪)、壱岐へ流されます(>_<)
そのためでしょうか?暗い表情です。ですが、その目は虚ろではなく、何か強い意思を感じます。


・国宝 一品経懐紙 西行筆(展示終了)

西行の懐紙です。"懐紙"とは、歌合わせの時に詠んだ歌を清書した紙のことです。つまり、西行の自筆の書ということですね。
一品経懐紙は、本来、冊子の形状で14枚あります。その中から、西行と寂蓮の2名分は剥がされて軸装に改められています。その西行分の掛け軸が展示されていました。本体である冊子の方の展示はありません。冊子は見返し絵を土佐光起が描いていてキレイなんですけど…
昨年の、和歌山県立博物館での「西行」展で見ています

ちなみに、西行は三十六歌仙には選ばれていません(>_<)


・国宝 手鑑 藻塩草

"手鑑"とは昔の人が、集めた"書"を貼り付けておいたスクラップブック のことです。
これを手元に置いて"書"の手本にしたり、コレクションを眺めたりしてたんでしょうね(^_^)
この国宝 手鑑 藻塩草は、その中でもボリューム(242ページもある)と系統だった配列がしっかりしている優品だそうです。確かにでっかいし、蛇腹状になっていてページがいっぱいあります。
厚紙に、切り取った"書"が貼り付けてありるのは、アラフィフ世代には写真アルバムをイメージすると分かりやすいです(^o^)
昔は、家族写真なんかは厚紙のアルバムに貼り付けてましたよね。あれです。


・国宝 古今和歌集巻第十二残巻(本阿弥切本)

本阿弥光悦が、かつて所有していたことから"本阿弥切"と呼ばれています。
巻子形状の、古今和歌集の書写本です。3mほど全巻展示されているのですが、平安時代のものなのに、保存状態が非常に良いです(^o^)
料紙に夾竹桃がキラ刷りで表されていて、これが昨日今日作られたばかりのようにキレイに残ってます(^o^)
キラ刷りは、雲母(石英)を細かく砕き粉末状にしたものを膠で溶いて、それをインクにして刷ったものです。だから、夾竹桃の形にキラキラして見えます。ぜひ、現地で"料紙装飾の美"を確認してみてきださい。
小野小町の歌から始まっています。


・国宝 三十六人家集より
「躬恒集」(展示終了)「興風集」(展示終了)「素性集」(展示終了)
重之集

西本願寺が所有する国宝です。絵が無い歌だけの歌集ですが、料紙装飾が非常に豪華です。
○○集とあるのは、歌仙の名前で、歌仙ごとに冊子の形でまとめられています。会期中に頻繁に展示替えがされていて、現在は「重之集」です。(正確にいうと、画像は現在展示中のものと頁が異なります)

重之集」は"破り継ぎ"という手法で、色鮮やかに染められた複数の料紙を、一枚に仕立て上げ、さらにその上に銀箔・銀箔で飾りたてているという、非常に手が込んで豪華なものです(^o^)
こちらは、ゴージャスな"料紙装飾の美"を楽しめます。

橋本麻里さんのコラムでは、"外科手術"に例えて、うまく紹介されているので、こちらも参考にしてください(^_^)
(おそらく台風で来られなかった、西本願寺の日曜講座では、このお話をされる予定だったんでは?)

11/24(日)までの会期です(>_<)

紹介しておいて、明日までですってのも、申し訳ないなぁと思いますが……
手が遅くて、なかなかブログにあげられないもんで……スミマセン。