和歌山県立博物館「西行」展で、国宝 観心寺勘録縁起資財帳 他を見る | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

先日、和歌山県立博物館へ特別展「西行 ー紀州に生まれ、紀州をめぐるー」を見に行きました。

前期展示でした。10/30(火)からは後期展示に切り替わります。


10/28(日)までの前期展示では、レアな国宝が展示されているというので、いそいそと出掛けていきました。

小雨の降る中、南海和歌山市駅から市バスで15分程度、美術館と博物館が併設された立派な建物が見えてきました。


徳川吉宗もいます。

こちらが和歌山県立博物館です。

今回の前期展示で見られる国宝は、目録上の名称では次のとおりです。

・国宝 僧円位(西行)書状(前期)
・国宝 一品経懐紙のうち 西行(前期)
・国宝 荒川荘百姓言上状案(通期)
・国宝 高野山住僧等訴状(通期)
・国宝 観心寺勘録縁起資財帳(前期)
・国宝 高野山古図写(通期)
・国宝 南部荘荘官年貢米起請文案(通期)

の7点。これを、国宝指定名称になおすとこのとおり。

・国宝 僧円位(西行)書状→宝簡集巻23
・国宝 一品経懐紙のうち 西行
・国宝 荒川荘百姓言上状案→又続宝簡集巻85
・国宝 高野山住僧等訴状→宝簡集巻27
・国宝 観心寺勘録縁起資財帳
・国宝 高野山古図写→又続宝簡集巻61上
・国宝 南部荘荘官年貢米起請文案→又続宝簡集巻96

と、いうように
「①一品経懐紙のうち 西行」と「②観心寺勘録縁起資財帳」以外は、「③宝簡集」と「④又続宝簡集」からの出展でした。
(ソースは高野山霊宝館のTwitter)

宝簡集と又続宝簡集は、金剛峯寺所有の文書集です。書状、御触れ、記録、議事録といった様々な文書を集めたもので、一括して国宝指定されています。その中の1枚を抜き出して、「国宝」として展示しているんですね。だから国宝指定名称で検索しても出てこなかったりします。文書類はこう言う事が多く、醍醐寺文書聖教なんかも良くありますね。

この中で、レアなのは国宝「観心寺勘録縁起資財帳」だそうです。7年に1回位しか公開されないんだって(>_<)
お寺の資材帳ですから人気が無くても頷けます。

さて、展示に話を戻します。

「西行 ー紀州に生まれ、紀州をめぐるー」は、和歌山に縁の深い西行を、人物とゆかりの土地に焦点を当て紹介していくものでした。
西行は、武士出身の僧で、僧でありながら歌人でもあります。新古金和歌集に最も多くの歌が載せられるほどの才能を持ち、さらに荘園も与えられ、その管理もするという役職も与えられていたようです。

展示会場のあちこちに、西行がその時々に詠んだ歌が天井から垂れ幕のように掛けられていて、歌人の展覧会らしさが良く出ていました。

展示の前半は、西行の人物像をゆかりの品で表現する展示でした。

西行直筆の書も展示されており、
・国宝 一品経懐紙
・国宝 僧円位(西行)書状→宝簡集巻23
が、それです。直筆の書は少く貴重だそうです。
国宝 一品経懐紙は、法華経の28あるテーマ一つ一つに、歌を付けたものです。本のように帖装されているのですが、西行のものは、ひっぺがされて掛軸になっています。

レア品の、
・国宝 観心寺勘録縁起資財帳
は、西行が管理していた土地の近くに観心寺があったという、薄い繋がりで展示されていました。(レア品が見られて嬉しいけど、西行の展示会としては、あっても無くてもどっちでもいいかんじ)

・国宝 荒川荘百姓言上状案→又続宝簡集巻85
・国宝 高野山住僧等訴状→宝簡集巻27
・国宝 高野山古図写→又続宝簡集巻61上
・国宝 南部荘荘官年貢米起請文案→又続宝簡集巻96
についても同様です。資料としての意味はあるのでしようが、国宝としての面白味は少なかったですね~

なんか気になったのは、「西行が出家する際、それを引き留めようとする娘を縁側から蹴落とす」という逸話。
今なら、児童虐待になりそうな話なんですが、当時は美談として扱われていたんでしょうねσ(^_^;)?。

前半展示はおもしろかったんですが、後半展示は、土地の話が多かったので、地元の人だと新たな発見があったりしておもしろかったかもしれません。が、私的にはピンときませんでした。

前期展示は10/28(日)までなので、急いで下さい。


さて、明日は東寺の宝物館秋期特別展(後期)へ行く予定です。