奈良博 名品展「珠玉の仏教美術」2/19 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

雨降るなか、奈良博の常設展である、名品展「珠玉の仏教美術」を見てきました。


↑聖武天皇筆の看板です。

さて、今日見た国宝は、
 ・国宝「五大尊像」(来振寺)
 ・国宝「銅製経筒・銅鏡残欠」「法華経」(三重県朝熊山経ヶ峯経塚出土)
 ・国宝「自誓受戒記(興正菩薩坐像納入品)」(西大寺)
 ・国宝「牛皮華鬘(呂号保号知号利号)」
 ・国宝「密教法具(厳島神社)」
 ・国宝「粟原寺三重塔伏鉢(談山神社)」
です。
いずれも、3/14までの公開です。


展示順に紹介します。
国宝「自誓受戒記(興正菩薩坐像納入品)」から。

こちらは、国宝 興正菩薩坐像の中に入っていた様々なものの内の一つです。
像内納入品として、一括指定された国宝で、自誓受戒記単独での国宝指定ではありません。他には主にお経類が納入されていました。

今回、自誓受戒記が展示されているのは、恐らくこの文書の内容が一風変わっているからでしょう。

まず、自誓受戒記が納入されていた、国宝 興正菩薩坐像について見てみましょう。
興正菩薩とは叡尊上人のことで、西大寺の中興の祖です。

自誓受戒記は、この叡尊上人が書いた文書です。
"自誓受戒"とは、受戒を受けたいけれど、まわりに適当な戒師がいなくて、しかたがないので、自分で受戒するという、"セルフ受戒"のことのようです(^_^;)

叡尊「受戒したいんだけど、回りにいい先生いないんだよなぁ~どうしよう…」
叡尊「そうだ!興福寺の覚盛に聞いてみよう!」
叡尊「ねぇ、覚盛!受戒したいんだけど、いい先生いない?」
覚盛「それな。オレも探してるんだけど、いないんだよね。いっそのこと自誓受戒するのってどうよ。仲間集めるけど。」
という訳で、仲間四人と自誓受戒する事にした経緯が書かれています。

また、先生抜きで受戒する訳ですから、それなりの修行をしていないと認められないので、修行をいっぱいしましたよ、ということも書かれています。

ね、なんかおもしろいでしょ(^o^)


次は、国宝「越中国射水郡鳴戸村墾田図」です。

これは、東大寺の惣領を表した、麻布製の地図です。
地図といっても、地形や建物はほぼ描かれていません。川が一本流れているだけですσ(^_^;)?
あとは碁盤の目に区切られた升目に、開墾されているかいないかが書いてあるだけのものです。
資料的価値はあるのでしょうが、鑑賞して面白いものではなかったですね。
ただ、劣化しやすそうな麻布が、ここまでキレイに残っているのは素晴らしいです(^o^)


次は、国宝「五大尊像」。

五大尊像は、五大明王の類型です。
大雑把にいうと、「五大明王真言密教、「五大尊像天台密教って感じかな?
の5幅です。

この中で注目したいのは2幅。

まずは、大威徳明王像
こちらは大威徳明王の法衣に使われている、"キリがね"技法が見物です。
金箔を細~く切って、法衣の縁取りや皺に添って、スーッと流れる様に貼り付けてあり、とても美しいものです。
不思議なことに他の4人(4幅)には、使われてないんですよね~
(私が見つけられないだけ?)
以前紹介した、醍醐寺の国宝 文殊渡海図では、法衣の柄として、キリがねが使われていましたので、比較してみると面白いですよ。

2つめは、降三世明王像
こちらは座像なので、いつも降三世明王が踏みつけている、シバ神とその妻ウマーは、いません。



国宝「銅製経筒・銅鏡残欠」「法華経」は、経塚出土品です。

伊勢国朝熊山経ヶ峯経塚出土品なのですが、第一~第三経塚まで3つの経塚があります。

銅製経筒は、茶筒のでっかいヤツ。2缶あります。
この中に、お経などを納め、土の中に埋め、極楽に行ける事を願うんですね。
銅鏡残欠は2枚あり、大きい方はまだ原型をとどめていましたが、小さい方はボロボロの金属でできたメンコのようです。
銅製経筒・銅鏡残欠は、第二経塚からの出土です。

法華経は2種類が展示されていました。第三経塚からの出土です。


国宝「密教法具(厳島神社)」

金剛板、独鈷杵、三鈷杵、五鈷杵、
五鈷鈴のセットが欠落せずキレイに残っています。


最後は、国宝「牛皮華鬘(呂号保号知号利号)」です。

知号の天上人がキレイです。
華鬘は仏堂内に吊り下げる飾りです。
金属製のものが多いのですが、こちらはナント牛皮製(*_*)しかも彩色されています。


国宝「粟原寺三重塔伏鉢」については、以前に紹介しているので、割愛します。


今回特筆すべきは、当麻寺西塔の心柱の先端に納入されていた舎利容器が展示されていることです。
この舎利容器、三層の入れ子状になってます。容器の中に容器が入っていて、最後に舎利が入ってるんだって。
金銅製>銀製>金製の順になっています。
一番小さい金製の舎利容器は、直径2cm程度のとても小さなものでした。
この入れ子の舎利容器、取り出された古いものに代わり、新しく作成されたものを代わりに納入するのですが、新旧両方が展示され、比較が楽しめるようになっています。

いやぁ~今回は長くなりましたねぇ(^_^;)

3/14までの公開です、ぜひご訪問ください(^_^)/~~