国宝 日本書紀神代巻(吉田本)を京博で見る | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

先日、小雨降るなか、京都国立博物館名品ギャラリーへ行ってきました。

3/10まで、京博では2件の国宝を見ることができます。

 ・国宝 日本書紀神代巻(吉田本)
です。
国宝 金銅小野毛人墓誌については、前回の京博訪問時に紹介していますので、今回は未見の国宝 日本書紀神代巻(吉田本)を紹介したいと思います(^_^)

1階の書籍の展示室「豊臣秀吉と後陽成天皇」の特集の中で展示されています。
この特集の中に日本書紀があるのに違和感を感じますが、どんな関係があるのだろうσ(^_^;)?

第一印象は「意外とキレイ」。
それもそのはず、鎌倉時代に模写されたものでした。
展示されているのは、1巻の冒頭部分でしたので、神話の国作りの話しのはずですが、解読しようと試みるもダメでした(>_<)
一文字一文字の字は読めるんですよ。フリガナも振ってあるし。でも、読めない。意味もわからない。
古文の知識があれば読めるんでしょうか?

という事で、あまり興味を持てませんでした(^_^;)


逆におもしろかったのは、「斉白石」の特集展示
斉白石は中国の近代水墨画の巨匠。
水墨画の鑑賞に非常に勉強になりました\(^_^)/
少ないというか単純化された筆致で、アイコン的に動物・植物・風景を表す、水墨画の魅力がとても良くわかりました。
というのも、斉白石の絵は割りとシンプルで、一つの作品に水墨画の技法が一つずつ使われているイメージ。(あくまでもイメージ(^_^;)

対して国宝水墨画は一つの作品に、いくつもの技法がこれでもかと使われています。
そのため、シンプルに見える国宝水墨画でも、奥深い 技術の上に成り立っています。私のような素人が見ると、そこがわからずに流し見してしまうんですね。
国宝の鑑賞をしていると、たくさん水墨画を見る機会があります。
もったいないことに、今までそうやって見過ごして来ていたと思うんです。

今回、斉白石を見て、国宝の水墨画を見る素養が若干なりとも身に付いたのではないかなぁ?と思いました。

斉白石の作品はシンプルなので、使われている技法が分かりやすいんですよね~
自分なりにまとめてみました(^_^)

①墨の濃淡を使い分ける
墨の濃淡で立体的な表現ができるのは当たり前ですよね~
水墨画の技法では、濃い墨で近景を、薄い墨で遠景を表すことができます。

②筆の筆致で素材感を表す
墨のかすれた感じ、水を含んだ滲んだ感じ、を使い分けることによって、硬い感じ、柔らかい感じを表現できます。

③西洋画と異なり、塗り重ねない
西洋画は油絵に代表されるように、絵の具をペタペタ塗り重ねます。面のイメージですね。
水墨画は線で勝負します。
大胆な一本線で表したり、細かい線を何重にも重ねたり。

そんな水墨画の表現が勉強できる展覧会でした。