京都文化博物館「近衞家 王朝のみやび 陽明文庫の名宝8(後期)」 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

京都学・歴彩館に続いて、京都文化博物館へ「京都文化博物館「近衞家 王朝のみやび 陽明文庫の名宝8」を見に行きました。

今回は後期展示です。

京都市営地下鉄の烏丸御池駅を下車、徒歩2~3分で駅チカ。

こちらの別館の中を通り抜けて行く方が便利です。
フロントで入館料500円をお支払します。
常設展なのでお安めです。
現在、特別展は「華ひらく皇室文化」が開催中ですが、そちらは国宝の展示は無いのでパス。総合展示を見に行きます。

展示場は2階です。
2階展示室では常設展示として、京都の古代から現代に至る移り変わりを、パネルと 音声解説、展示品で説明されていて、面白いです。
右京と左京が、我々から見たら逆転していることとか(我々から見て右側に左京がある)、左右同様に発展していくのではなく、左京から発展していった様子など、地図で俯瞰して見るとよ~く理解できます。
また、平安→鎌倉→室町→江戸時代と、京都における文化の変化を見せる工夫がうまくされています。
「絵巻回廊」と称し、巨大な映像パネルを4つも並べ、平安→鎌倉→室町→江戸の各時代の絵巻や屏風絵を解説と共に紹介していく映像は、なかなか見ごたえがありました。
さっきまで京都学・歴彩館で室町時代の文書類を見ていたのでとても興味深く見ることができました。

さて、メインの陽明文庫の秘宝に話を移しましょう。

今回見られる国宝は、
 ・国宝 御堂関白記 自筆本
 ・国宝 御堂関白記 古写本
 ・国宝 神楽和琴秘譜
 ・国宝 類聚歌合 巻第十五
の3件4点です。

私の好きな国宝 御堂関白記ですよ~

御堂関白記の詳しい事は、前回の前期展示の時のエントリーを参照してください。

基本情報だけおさらいしておくと、御堂関白記は藤原道長の自筆の日記です。
中断を挟みながらも、23年間にわたりしたためています。

古代の権力者であったこと、本人自筆であったことなどから、アンネの日記らと共に、ユネスコの世界記憶遺産「世界の記憶」に選ばれています。
国宝でかつユネスコの世界記憶遺産「世界の記憶」は、この国宝「御堂関白記」と、前回エントリーの国宝「東寺百合文書」の2件だけです。

今回の御堂関白記は、自筆本 寛仁三年下巻と古写本の寛仁三年巻ですが、一風変わった展示がされていました。

皆さん、自筆本と複写本のどちらが見たいですか?
そりゃあ、自筆本ですよね。
複写本の方が魅力が劣るわけです。

御堂関白記には、自筆本と古写本があって両方共に国宝指定を受けています。
古写本というのは、自筆本の道長の自筆部分のみを抜き出したもので、道長の子孫がまとめました。

この2つを、同一年月日で並列展示していました。

1019年8月28日の日記部分です。
行書で書かれていてわかりづらいですが、同じ文章が並んでいました。
こうして見ると、道長の子孫は御堂関白記を実用的に使う事を考え、不要なカレンダー部分を省略して記録しておこうと考えたのだと思います。

この日は、道長の孫(敦良親王)の元服の日でした。わずか11才での元服で異例です。当の道長でさえ元服は15才でしたから、道長がいかに隆盛を誇っていたががわかりますね。
ちなみに道長はこの儀式に参加していません。なぜならこの時すでに道長は出家していたからです。
同時期、朝廷では伊勢神宮の式年遷宮の準備の真っ最中。天照大神が嫌う僧は、内裏への立ち入りができなかったそうです。(孫の晴れ姿を見たかったかな?道長)

この、自筆本と古写本の対比は良かったですね。日陰者の古写本に光があたる、そんな感じでした。


国宝 神楽和琴秘譜
これも、藤原道長の自筆とされています。
和琴で演奏する、歌付の神楽(神様に奉納する雅楽)の楽譜。
ってところでしょうか。
これって、演奏できるんでしょうかねぇー?できるんだったら聞いてみたいなかぁ~(*^o^*)


国宝 類聚歌合 巻第十五

前期は巻第五でしたので、展示替えです。すべて行書で書かれており私には判読できません。
和歌を競いあう歌合わせの記録集で、歌合わせが、いつどこで誰の主催で開かれたか、どんな内容だったのかの記録だそうです。
左右に別れてテーマごとに歌を競い合います。これぞほんとの歌合戦。
その記録です。

この「近衞家 王朝のみやび 陽明文庫の名宝8」8回目なんですね。
私はこの⑧からの鑑賞なんですが、今後も楽しみです。


さぁ、次は和歌山県立博物館へ行きますよー!