みなさん,こんにちは.
今朝は
職場から見える
中庭に咲いている
黄色と
オレンジ色の
マリーゴールドを見て
ある患者さんとの
会話を思い出しました.
もう10年くらい前のことです.
その方は50代の女性で,
乳房の重い病気と
脳の疾患を併発していて,
脳の病気に対する
放射線治療をするために
私の病院へ入院してきました.
その患者さんの病室の窓際で
一緒に中庭の花壇を眺めていたら
こう言われました.
「先生って,お花好き?」
「好きです」
「どうして?」
「季節によっていろいろな花が
咲くでしょう.それぞれ色や形や
香りや風にゆれる様子が違って
素敵だよね.
それと季節を感じるからかな.」
「そうなのね.
私は
生命力を感じるから好き!」
「生命力ですか?」
「そう,
だってお水をあげれば,植物は
毎日少しずつ育つでしょう.
そしてきれいな花を咲かせる
じゃない.
これってすごい生命力だよね.
わたしはお花から生命力を
もらっているの.
この病院はお花がたくさん
咲いていてうれしいわ」
そう言って,優しく微笑んで
またうれしそうに花壇を眺めて
いました.
お花(植物)=生命力
私は
この2つが結びついたことはなく,
とても新鮮に思えました.
それ以降,中庭の花壇を
季節の花がきれいに咲くように
ボランティアの方と一緒に
手入れを続けています.
今日は
このエピソードを思い出したあと,
“生命力”
について考えてみました.
“自分はこの患者さんが花から感じて
いた様に何から生命力を感じている
のだろう.”
“自分の中に生命力があるとしたら,
どこにそれを感じるのだろう.”
まず
生命力は何から感じていると考えたら
観葉植物
ペット
息子たち
まずは育つもの,成長するものと
考えたのですね.
そうだとすれば
木(それこそ縄文杉!)
山,海,川,空,大地,
これらは育つものだったり,生命力を
育むものだったりしますね.
そうなると
地球,宇宙
も生命力を持つと考えてもいいかも
かもしれません.
そして
このおおきな
おおきな生命力に包まれて
わたしたちは生きている
と思えたのです.
そう思うと理由もなく力が
湧いてきました.
では
自分の中の生命力はどこ?
と考えたとき,
やはり
わたしは医師なのですね,
“心臓”
と思いました.
しかも動いている心臓ですね
“動く心臓”
わたしは医師4年目のときに
外科研修として
半年間,外科(腹部外科,心臓血管外科)へ
勤務していたことがあります.
そのときに
心臓の手術
(冠動脈バイパス術や弁置換術)
に第3助手として加えてもらう
ことが20回ほどありました.
手術は
胸部の皮膚を正中で縦に切開し,
胸骨を切り,
心臓を包む膜(心嚢)を
切り開くと
動く心臓が見えてきます.
初めて見た
心臓は
私が想像する以上に
激しく動いていて
“うわっ,
飛び跳ねてきそう”
本当に勢いがよくて
何かの拍子に
体の外に出て来て
しまいそうに見えました.
そして
触れさせてもらいました.
運動をした後は
服の上からも心臓の拍動を
感じることはできますが,
それの
何十倍とも思える力強い拍動が
直に自分の手に伝わって来て
まさに
“命の根源”
“これが生命力”
と圧倒された
ことを思い出しました.
さて
この躍動感溢れる
生命力の源,
心臓が
私の中にあって,
胸に手を当てると
鼓動が感じられる.
そうしていると
そこから溢れ出てくる
エネルギーを使って,
もっともっと
医師として
患者さんのために
何かできることがあるだろうって
思えてきたのです.
そして
患者さん自身の
生命力を高めることは
できないだろうかとも考えています.
最後まで読んで頂きありがとうございました.
追記:
“この心臓”を自らの手で治す.
それが心臓血管外科医の醍醐味
なのだろうと思っています.