スペインの「きゅうり」事件
6月3日(23;00) 日本時間4日(06;00)
すでに日本でも相当話題になっていて、ヨーロッパにでかける折は野菜を食べないように、と勧める専門家もいます。
スペイン産の「きゅうり」から検出、とドイツ当局が公表し、今日までに、死者(18人)や多数の重患者を出した「病原性大腸菌0104」は、レタスやトマトといった他の野菜にまで飛び火し、ヨーロッパ中、否、世界中から注目される大事件に発展しています。
この一報を受け、生産地とされたスペイン南部アンダルシア地方では、一時、パニック状態になり、農業者が大量の「きゅうり」を投棄する映像が、繰り返し、繰り返しTVで流され、嫌が上にも国民の不安を煽りました。
幸い、不用意な発表をした当事国、ドイツ政府の素早い対応で、病原はスペインの「きゅうり」ではない、誤報だったと訂正されました。
ちょっと事情は違いますが、数年前に世間を騒がせた、中国の「毒入り餃子」のことを思い出しました。
日本と中国の間で、自分のところではない、お前の国の責任だと、実りのない論争をだらだらと繰り返し、実態の究明が遅々として進まず、スッキリしなかったことに比べると、雲泥の差を感じます。
もっとも、この種の調査は急げば良いというものではない、という逃げ口上はもっているでしょうが・・・。
この発言を受けて、スペインの生産者は難を逃れた形になりましたが、被った損害は甚大です。
スペインは、毎日2万トンもの野菜や果物をドイツに輸出しており、問題の「きゅうり」だけでも、14万5千キロにも上ります。
今回は風評被害ではなく、その責任は、明らかに誤った判断を下したドイツ当局にあるわけですから、補償を求める相手は明白です。
ただ、今後の取引を考えると、そんなに簡単ではなさそうです。本社と下請け業者の関係に似ています。
結局、無責任なお役所仕事に泣かされるのは、弱い立場の生産者です。このことは、洋の東西を問いません。
同じ病原性大腸菌といえ、ほんの少し前まで日本で問題になっていた焼肉チェーンの「0111型」とは異なり、
これまでに見られないような毒性の強い新種といわれる「0104型」の病原が特定されない現状では、警戒を要するのは当たり前ですが、何の関係もない野菜や果物があるのも確かです。
先の日本の専門家のように、十把一絡げのように、数日間野菜を食べなくても問題ないですから、他のものを食べてください、的なコメントは控えたほうがいいと思います。無責任な発言や流言飛語の怖さは、今の日本人が一番骨身にしみて分かっているはずですから・・・。
マドリードで観光ガイドをしている女性から聞いた話ですが、ツアーのお客様には、安全性を確認した上で、「ここの野菜は大丈夫ですから、安心して召し上がってください・・・」と説明しているとか。
こちらのほうがずっと適切で親切な対応だと思います。
今日の「ちょっと言わせて」
「菅総理の迷走」
菅総理が相変わらずの迷走をしています。
内閣不信任案が可決される状況になるや、民主党員の賛成者は除名、鳩山前総理との直前の会談では、すぐにも辞意を表明する態度を見せながら、いざ不信任案が否決されると、そんな約束はした覚えがないと強弁して延命を計っています。
そもそも、投票の直前になって、鳩山前総理のような政界の風見鶏ならぬ「風見鳩」とあったのでしょうか。
彼なら騙しやすいし、会談の模様はすぐに外に漏れ、総理は辞任を考えているので、民主党を割ってまで不信任案を可決する必要がなくなった、と自身の手柄のように吹聴してくれる、と思ったからでしょう。
案の定、言った、言わないの子供の喧嘩です。
そこに出てきたのが北澤防衛大臣です。菅・鳩山両名の署名の無い覚書を作成したとされる人物ですが、彼は、覚書は退陣が前提にあったと証言しています。
今年の流行語大賞にもノミネートされそうな「一定のメド」とは、第二次補正予算が通過したときであり、大凡1ヶ月後です。福島原発が安定期に入る来年の1月頃、というのは条件に入っていなかったようです。
他ならぬ菅内閣の閣僚が証言しているのですから、今回に限っていえば鳩山前総理に部があるように思います。
考えてみれば、原発事故の対応や大震災の被災者、被災地への対策ができないとして、野党が不信任案を提
出したのですから、おかしな話です。
こんな時期に、国会でバタバタする野党も野党ですが、今後の民主党には何の期待もできません。NHKニュースで、コメンテーターも言っていたことですが、総理になりたいだけで総理になって、辞めたくないだけで辞めない菅総理ではどうにもなりません。
今、スペインは未曾有の経済危機に直面し、失業率も20%を超え、500万にもの人が路頭に迷う、まさに瀕死の状態です。すでにサパテロ首相の退陣も決まっておりますが、「憤慨」をスローガンにした若者中心の座り込みデモが各地で頻発しています。そんな中、失業中の一人は、独自のプラカードを掲げ反政府デモに参加しています。そのプラカードには、「仕事がない」「家がない」「年金がない」「恐れもない」「しかし希望だけは与えてください」と書かれていました。
菅総理、何もできないあなたですが、原発の被害者や大震災の被災者に、いや、全国民に希望だけは与えてください。と言っても無理ですね。
全国民に希望が与えられるような総理なら、辞めろコールは起きないでしょうから・・・。
コスタ・デル・ソル(3)
6月2日(23;00) 日本時間3日(06;00)
今日(5月30日)は、マドリードに戻る日です。
朝は、ホテルでなく、サン・ミゲル通りのカフェで、コーヒーとクロワッサンだけの軽い朝食をしました。
朝の早いのがどうも苦手なので、早朝(といっても9時頃ですが)の通りの雰囲気がどんなものか、ちょっと見たかった、ということもあります。
さすがに、商店街はまだひっそりとしており、半分ほどの店が閉まっていました。
夜遅くまで騒ぐせいか、道行く観光客の姿も疎らで、改めて、宵っ張りな町なんだな、という印象を深くしました。
つまらないことですが、歩行者天国になっているこの通りは、行き交う人が多く、これまで全く気がつかなかったのですが、ここまで閑散としていると、通りにせり出すように立っている黄色い郵便ポストが、すごく気になりました。もっと他に、適当な場所はなかったのでしょうか・・・。
トレモリノスとマラガの距離は20km足らず、ホテルからタクシーを使っても20分ほどで駅に着き、料金は20ユーロ(2200円)なので早くて便利です。
やたらと2と0の数字が続き、何か取って付けた感じですが、マラガ駅からホテル行った時の数字です。
急ぐ必要が全くないので、帰りは、トレン・デ・セルカニーア(近郊列車)に乗ってAVEの発着するマラガ駅に向かうことにしました。サン・ミゲル通りに接した広場の地下から列車は出ています。
この近郊列車は、ちょっと遠回りをしてマラガ国際空港にも寄りますので、25分かかりますが、時間が計れますので利用客はかなりいます。料金は1.5ユーロと格安です。
今日のブログは、ここまでで終わる予定でした。
しかし、27日に、AVEについて少し触れたところ、かなりのスペイン通の方から、「払い戻し制度があるなんて知らなかった・・・」、という感想が寄せられました。
意外と知られていないのですね。最も、AVEの方でも声高には宣伝していませんが・・・。
これからスペイン旅行をお考えの方には、国内を縦横無尽に走るAVEの利用は欠かせないと思いますので、もう少し付け加えておきます。
日本の新幹線の座席は、「自由席」「指定席」「グリーン席」の3種類だと思いますが、AVEは、「ツーリスタ」
「プレフェレンテ」「クルブ」の3クラスに分けられています。全席指定ですので、自由席というのは設定していません。
新幹線にないサービスとしては、「ツーリスタ」以外のクラスには、運行時間帯によって、朝食、ランチ、ディナーが自動的に付いています。もちろん、食事にはビール、ワインといったアルコール類も含まれています。
従って、運賃も一律ではなく、出発日や時間帯によって違ってきます。
中間クラスの「プレフェレンテ」(優先)で、マドリードーセビリア、マドリードーバルセロナ、マドリードーマラガ間などでは、往復で2万4-5千円位になりますが、この値段は往復割引を含んだものですから、片道だとその半
分ということにはなりません。多少、割高になります。
さらに、このクラスから上は、空港のVIPラウンジと同じように、「SALA VIP」が主要駅に設けられていますので、乗車チケットを提示すれば、いつでも、好きなように利用でき非常に快適です。
4日間という、まさに駆け足の旅でしたが、これからコスタ・デル・ソルに、とお考えの方には、決してお薦めできませんね。最低でも10日間は滞在するプランを作ってください。
コスタ・デル・ソル(太陽海岸) 2
6月1日(23;00) 日本時間2日(06;00)
太陽海岸の中心地トレモリノスの天候は、相変わらずの快晴です。
朝方、もう一度ベナルマデナのヨット・ハーバーに出かけました。
これという目的はなかったのですが、久しぶりに観光船に乗って沖合からビーチを眺めようと思って船着場に行ったのですが、あいにくと出港までにかなり時間があったので断念しました。
上手い具合に、遊園地などでよく見かける遊覧車が、桟橋付近に停っていたので、童心に帰ったつもりで乗ることにしました。
ゆっくりと時間をかけて町の中を一周するのですが、子供の数より大人の方がうんと多かったのにはびっくりしました。
ランチは、「コスタ・アミーゴス」という、この辺に永住している人や、長期に滞在している人たちで作る日本人の親睦会があり、その会員のみなさんとご一緒しました。
アミーゴス(複数の友達)と銘うつだけに、みなさん本当にフレンドリーな方ばかりで話が弾み、4時間以上にも渡った昼食が、アッという、間に終わってしまいました。
現在、30人あまりの会員がいらっしゃるそうですが、単に、日本人だけの輪(和)を広げているのではなく、様々な活動を目に見える形で行ない、日西の文化交流に務めています。
ごく最近も、フエンフィローラ市から、地元のお祭りを活性化させる一助として、日本屋台の(caseta)の出店を要請され、会員のみなさんが一丸となって、焼きそば、お寿司、焼き鳥、カレーなどをその場で調理して供し、大成功を収められたようです。
このお祭りへの協力は、今回が初めてということではなく、これまでにも何度となく参加され、高い評価を受けています。
日本人casetaの評判を聞きつけた近隣の町々から、自分のところでも是非に、という依頼がひっきりなしに舞い込み、嬉しい悲鳴を上げておられるとか・・・。
東日本大震災の被災者のための義援金募金活動も、積極的に推進されております。
太陽海岸のような恵まれた環境の中で、優雅でスローなライフを満喫している皆さんですが、何か人のお役に立ちたい、という日本人固有の気質は忘れておられず、同じ日本人として誇りに思います。
夜は、ホテルの真下に広がるビーチに行きました。
ホテルとビーチにはかなりの高低差があり、海に向かっては当然下り坂ですので、両側に並ぶ種々雑多なお店を冷やかしながら、何の苦もなく下りて行けますが、帰りは「いろは坂」のように、曲がりくねった上り坂ですので、相当に疲れます。
しかし、そこは良くしたもので、あまり一般的には知られていないのですが、海岸からホテルのある上の町まで運んでくれるエレベーターが、かなり遅い時間まで運転しており、大いに助かります。
片道50セントですから日本円にして60円弱でしょうか。立派な領収書も発行してくれます。
ただ、7つの丘からなるポルトガルの首都リスボンにも、上の通り行のエレベーターがありますが、こちらは非常に人の目に付きやすい場所に設置されているので良いのですが、トレモリノスのものは、ちょっと奥まったところに、ひっそり・・・という感じで佇んでいますので、探し当てるのに難儀します。
世界的なリゾート地に来て、エレベーター談義をするなど、やはり寄る年波でしょうか。