持参金 | ご機嫌菊龍気楽な毎日

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 オイラが前座の頃、ウチの師匠から良く談志師の話を伺いました。師匠が二つ目時分には、談志師ととても仲が良かったそうで、二人のツーショット写真も見せていただきました。師匠はオシャレですが、談志師も同様にオシャレで、ベレー帽を被りチェック柄のジャケットなぞを着ていましたっけ。
 オイラは、可も不可もない目立たない前座でしたので、談志師に目をかけていただくワケでもなく、怒鳴られる事もなく、楽屋でのべつお会いしている筈なのに、あまり印象に残る場面がありません。お弟子さん達との思い出は、いっぱいあるンですがねぇ。
 その談志師に稽古をお願いしたい気持はありました。噺は講談調のもの、源平盛衰記に兵庫船、なんてぇ処をね。あの立て板に水の語りが素晴しかったですね。そういう処はウチの師匠では…
 二つ目になり、お弟子さん達から、どう稽古をお願いしたらいいだろうと相談しようとしていたら、協会を出て行ってしまいました。グズグズしてるからいけないンだね。
 それから更に5年程経って、この『持参金』を、いなせ家半七(当時二つ目、春風亭茶々丸)さんから習いました。半七さんは、この噺を談志師から習ったそうです。ですからオイラは、間接的に談志師から習った事になりますよね。それで今日はこの噺を書いてみたンです。
 場所は20数年前ですから、良く覚えていないのですが、浅草の楽屋だったか、或いはオイラのウチに来て貰ったのかも知れません。でも、稽古の事は良く覚えてますよ。
 マクラは、何か『縁』のマクラをふって、と言って、いきなり噺に入りました。噺そのものは、それ程難しいものではありませんが、女性の欠点、と言うより悪口ですよね、これを目一杯言うワケですから、あまり良い噺じゃァありません。ただ笑いを取る為にだけ悪口ばかり言ってると、聞く方に不快感を与えかねませんから。でも、此処ンとこを強調しておかなくちゃァいけない…この辺りは難しいですね。
 で、『不思議なご縁だ』というサゲで終わる。実は、談志師はもう一つのサゲがあり、こちらを使う時はマクラで格言、ことわざのマクラをふるのだそうです。そしてサゲが、『カネは天下の回りモノ』ってなります。どちらでも、と教わりましたが、オイラは両方使っています。だからちょっとしつこいかな?
 これは、悪口の処を少~し変え、仕草も大きくしてみました。まだまだ変えられそうです。良い気持で聞かせられる様に稽古したいと思っております。
(  2011年11月25日  )

※  半七さんは、2023年5月11日に他界されました。二つ目時代は交流が有ったのですが、真打になってからは協会の行事で会う程度になっていました。私より若い方が先に亡くなるのは、本当に残念です。
この噺が、不快感を無くすのは難しいですが、彼から受け継いだ噺ですので、研鑽を続けたいと思います。