豆や | ご機嫌菊龍気楽な毎日

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豆や
 この噺は、ちょっと変わった習い方をしました。寄席で前座で上がるのに、短い噺が無かったもんですから、師匠に何か短い噺を、と稽古をお願いすると
『どんなのがいいンだ』
と言われたので
『そうですねぇ、みそ豆とか豆やとか…』
『みそ豆なんかは小噺じゃァねぇか、そんなのは勝手に覚えて演りゃァいいよ。豆やはなァ、まァ南瓜やや道具やと一緒だから、一応一席の噺になってるナ。じゃァ、それ覚えてくりゃァいいよ。なんかあるだろう?誰かのテープで覚えて来な』
『えっ?…』
『いや、オレは演らねぇから教えられないンだ。誰のでもいいよ、覚えて来たら聞いてやるから』
ってンで、自分で音源を探して覚えなくちゃならなくなっちゃった。やっと楽屋入りした頃だから、他の師匠の所へ稽古に行くなんて出来なかったンだ。
 その頃オイラは、ニッポン放送でアルバイトをしていました。『演芸大行進』という番組のAD擬き、まァ使いっ走りなんですけど、番組で使用済みの音源を貰ったり(コピーして編集してあるから、使用後は廃棄されちゃう)、他の演芸番組(早起きも一度劇場等)の音源も聴けたりしました。
 そこでオイラは、七代目春風亭柳枝のテープで覚えて、師匠の前で演りました。すると、台詞の強弱、場面場面の仕草を細かく注意をしてくれて、
『それでいいンじゃないか。でもナ、演りようでもっと面白くなる噺だから、稽古しろよ』
と言われました。
 この噺は、寄席が始まったばかりの時間のない時によく演りました。自分で勝手に覚えたネタですから、気に入ってますね。
 此処だけの話ですが、この後、師匠が時々『豆や』を演ってました