お店探しサイト「食べログ」と焼肉チェーン「韓流村」との間で争われていた集客ソフトを巡る裁判。一審では韓流村が勝訴し、二審は食べログ側が勝訴して、今は最高裁の判断へと最終局面に持ち込まれています。この裁判、飲食店経営にとって大変興味深い問題を含んでいます。
ことの発端は2019年5月、韓流村の集客が急激に落ちたことが発端でした。09年に1号店を開業してから韓流村は、10年後には全国に28店を開業し年商約20億円の売上げて順調に事業を拡大していました。店探しサイトからも高い評価を得ていました。
ところが食べログはこの時期、飲食店の評価をはじき出すアルゴリズム(プログラムの計算方法)の変更を進めます。一説によるとチェーン店の評価を下げたとも噂されました。ただこのアルゴリズムに関して、外部の人間はまったく内容を知ることができません。
韓流村の場合、全店平均で0.2ポイント下げられたと云われます。特に東京都心部の店舗では3.51が3.06まで下がったとも。アルゴリズムの変更後、韓流村では毎月500件あった予約が80件まで減ってしまいお手上げ状態です。
そこで韓流村経営者は、食べログを法的に訴える手段にでました。これまでもスマホでの検索順位やランキング、条件変更には飲食店側の不満が根強くて、22年には750件以上の苦情が経済産業省には寄せられていたようです。
アルゴリズムを公開するとサクラなどの不正行為が横行するのも確かです。食べログのようなプラットフォームの営業に協力的な店と協力しない店の間には、不公平な評価があるといった不満はくすぶっていました。ただプラットフォームに抵抗する店はほとんどありません。
目を世界に向けますと、グーグル、アップル、フェースブックなど世界的なプラットフォーム各社は、米欧各国政府から厳しく不公正を追求されています。資金や商取引でパワーが集中しすぎているため、各国はペナルティーを科して特権のはく奪に動いています。
日本も楽天やヤフー、食べログやぐるなびなど、プラットフォームの力を削ぐ仕組みを作らないと、現場で働くことが馬鹿らしくなる不公平な社会になり下がります。これは社会の衰退を意味します。仕舞にはAIが人間をこき使う社会にもつながります。
【ひとり言】
自民党で大問題になっている裏金問題、プラットフォームの中には関わっているとも言われます。過っては楽天が政治献金のプラットフォームに手を染めたこともあります。能登半島地震向けの献金とおなじように、政治家向け献金を募集してそれを献金する方法で、けっこう批判が強く中止しました。飲食店ではそんな発想は生まれませんが、プラットフォーム各社は法的に有利にするため個々の政治家からパー券を買う事などありそうです。