『現代語 古事記』(by 竹田恒泰)、読んだ。 | 気が向いたときだけの大阪日記

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タイトルのまんま、気が向いたときだけの不定期大阪日記です(笑)

 

 

 

明治天皇の玄孫・竹田恒泰氏が『古事記』を現代語に翻訳したものである。

 

翻訳と書いたが単純翻訳ではなく、原文にはない文章や注による解説を追加したり、箇条書きの活用など、なかなか分かりやすくできている。

 

がっ、やはり神々の名前は分かりにくい。ヴォータンやフリッカの比ではない(笑) 

 

天照大御神(あまてらすおおみかみ)や須佐之男命(すさのおのみこと)はまだしも、伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと、三種の神器の八咫鏡を作った女神)や正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)になると、もぉ~わけわからん(^^ゞ

 

その点については竹田氏は「神様と人の名が出てきたらすぐに忘れること」という。再登場するのは1割未満だからということらしい。

 

まあ、基本そんなノリで読み始めると、これが面白い。昔から知っている話はそれなりに、聞いたことない話はふむふむ。

 

知っている話も、昔話的に流すのではなく竹田恒泰氏の「じつはこういう意味がある」的な解説がある。

 

「古事記」は「上つ巻」「中つ巻」「下つ巻」の三つに分かれていて、「上つ巻」は神の御代の物語、「中つ巻」は神と人(神武天皇~応神天皇)の代の物語、「下つ巻」は人(仁徳天皇~推古天皇)の代の物語になっている。

 

そんな構成なので、読み進めていくといわゆる「神話」が、いつの間にか大和朝廷の話に移っているのもおもしろい。

 

日本の皇室の歴史では例外的に暴君といわれる雄略天皇の部分は、現代語訳されても政権闘争や容赦のない処刑に関する記述は生々しい。

 

その先代の安康天皇(雄略天皇の兄)も暗殺され崩御という、えらい人の暗殺は鎌倉・足利将軍がてっぺんかと思っていたら、まさか暗殺された天皇がいたのには驚いた。

 

そして当時は(ほぼ)近親相姦ともいえる婚姻関係もごろごろ出てくる。竹田さんの解説によれば、当時は両親が同じでなければ、下々の者はいざ知らず天皇クラスになると兄弟姉妹の婚姻はフツーにあったらしい。「庶妹(ままいも)を娶って生んだ御子は」という記述があるが「腹違いの妹と結婚して生まれた子は」ということである。

 

まぁ、別にいいけどね。

 

ところが、允恭天皇(いんぎょうてんのう、古市古墳群に陵墓あり)の御代に、両親とも同じ息子(木梨之軽太子、きなしのかるのひつぎのみこ)と娘(軽大郎女、かるのおおいらつめ)の禁断の愛事件が発生する。軽太子はひつぎのみこ、つまり皇位継承者だったにもかかわらずである。

 

その後、二人とも自害して果てる。竹田さんは「不倫」という言葉を使っているが、不倫どころじゃないだろとツッコミ。

 

その木梨之軽太子の代わりに即位するのが、前記の安康天皇である。

 

今上天皇は125代目だが、古事記に記述されている大和朝廷時代の天皇については、どこからが実在かというのがいつも問題になる。その辺りに関して竹田さんは「(古事記)に書かれた記述は”真実"なのであって、"事実"かどうかはさして重要ではない」と、聖書を例に挙げてバッサリやっている。

 

とまあ「古事記」の記述に関しては諸説入り乱れるところではあるが、日本人として読んでおいて損はない書物であり、それが翻訳・解説の形で出版されたのはいいことだと思う。

 

あと個人的には、陵墓や宮の場所の大半が「〇〇市□□町△△」まで記載されているのだが、ほとんどが奈良・大阪なのでわかりやすくてケッコーうれしかったりする。「あっ、実家の近所」とか「そういえばあそこにあったなぁ」「そのうち行ってみよっ」などなど(爆)