ウクライナ大規模侵攻の理由:西側に大規模な経済制裁をさせるため | 大阪の弁護士 重次直樹のブログ

ウクライナ大規模侵攻の理由:西側に大規模な経済制裁をさせるため

当初,ロシアがウクライナに侵攻したとしても,南東部のみで,短期間で終わると予測されていた。ところが,キエフ(キーウ)包囲を含む全面侵攻となった。この点について,合理的な説明を行っている専門家は見たことがなく,不可解という説明が一般的だった。

 

しかし,仮に,大規模侵攻の狙いが,敢えて西側に大規模な経済制裁をさせるためだったとすれば,諸事象を合理的に説明できる。これには,バイデン大統領の二つの失言が絡んでいる。

 

1 バイデン大統領が失言? ウクライナ侵攻めぐり「小規模なら論争」  2021/1/19

 

2 バイデン氏、ウクライナへの米軍派遣「検討していない」 ロシア軍への対抗で 2021年12月8日

    バイデン氏、ウクライナ退避で「軍派遣しない」明言  2022/2/10

 

バイデンの失言により,以下が予測される。

1 小規模侵攻なら,制裁が小規模に終わる可能性がある

2 大規模侵攻でも,軍事介入はない

 

もし,プーチンが,西側に大規模な経済制裁を誘発させて,逆制裁とドル覇権の切り崩しを考えていたなら,合理的な選択肢は大規模侵攻になる。

 

実際,アゾフ大隊の拠点であるマリウポリ(チェチェン部隊を投入)を含む南東部と異なり,キエフ(キーウ)包囲を含む北部戦線では,極東の部隊が回されており,侵攻に真剣味がなく,市内に入る気配もない。プーチンは深入りを避けて,ウクライナのアフガン化を回避している。

 

そして,西側の経済制裁に対応して,昨日,「非友好国」にルーブル決済を命じる大統領令に署名した(2022/3/31)。

→ プーチン氏、ガス代金支払いの大統領令署名 2022/3/31 (共同)

    「非友好国」に指定した国や地域に対し,ロシア産天然ガスの取引代金をロシアの通貨ルーブルで支払うよう命じる大統領令に署名

→ ロシア「ルーブル決済嫌ならガス供給停止」、欧州は反発 (ヤフー,ロイター)

 

現在,ラブロフ外相がインドを訪問して,ドル決済中止(ルピー・ルーブル決済)やSWIFTに代わる決済の検討に入っている。

→ こちら

インドはBRICS新開発銀行の主要メンバーだ。本部は上海だが,初代総裁にはインドのICICI銀行とインフォシスで会長だったK・V・カマート氏が就任している。簡単に米英側になびくとは考えにくい。西側は必死になってインドへの説得工作を行っている。

 

ウクライナ紛争の金融的背景が,BRICS新開発銀行にある,という理解とも整合する。

   → ウクライナ戦争の金融的背景(BRICS新開発銀行)

 

現在,ルーブルは急回復している。

(SBI証券サイト)

 

ガスを止められると困るのは,日本を含む西側で,特に東欧諸国やドイツのダメージが大きい

 

また,プーチンは停戦を全く急いでいない。

→ プーチン大統領 停戦や首脳会談「まだ機は熟していない」 (3/31伊首相との電話会談)

 

初めから,バイデンに大規模制裁を行わせ,逆制裁やドル代替の決済システム構築を狙って大規模侵攻を行った,という仮説には,一定の合理性と根拠があると言えそうだ。

 

★追記★

プーチンが大規模制裁を望んでいた,という上記ストーリーに沿った動画があったので,紹介します。

「バイデンはプーチンと習近平が泣いて喜ぶ人民元ベースCIPS(SWIFTの中国版)のセールスマン!」(2022/3/22)

・・・増田俊男の無料インターネットセミナー

・プーチンはSWIFTからの排除を承知の上で侵攻した

・2021.3 上海協力機構(SCO)総会 ドルに依存した貿易取引をなくそうと決議  (2018.10?→こちら

・2021.9 BRICS総会 ドル体制(IMF世銀体制)から新たな金融システムを作る必要性 

・BRICS銀行やAIIBの活発化

・SWIFTに代わるCIPS(2015-)の構築・成長 (×BIPS)

西側のSWIFT排除の経済制裁 → プーチン「待ってました!」

 

(続編)プーチンも習近平もバイデンの対露金融システム制裁を首を長くして待っていた!

(2022/3/22)増田俊男の無料インターネットセミナー

・SWIFTからCIPSへの移行が加速する

・既に年80%で伸びている。最大利用国は日本。