【西暦2021年2月14日】
【月面クラビウス基地機種転換センター】
ラウラが機種転換センターに入って9日目・・・・
可変戦闘機の訓練もしつつ、車やバイクの資格を取ろうと奮闘していた。
やる気に満ち溢れながら教室に入ると、女性兵達がいたる所で騒がしかった。
皆辛そうな表情ではなく、何か興奮したり慌てたりと統一されてない。
偶然近くにカゴメがいたので聞いてみる事にした。
「カゴメ、この騒ぎは何?特に女性兵達がそわそわしているけど?」
「今日はバレンタインデーだからだね。」
「バレンタインデー?何それ?」
聞いたことのない単語・・・
だがまだまだ地球文化に疎いラウラでも分かるのは女性兵が騒ぐ事の出来事と言う事。
女性兵だけではない、男性達も一部が何やらそわそわしている。
それほど大きなイベントなのだろう・・・・
そう考えているとカゴメがバレンタインデーがどんな日なのか言った。
「女性が好きな男性にチョコレートを贈る日よ。」
「チョコってあの甘いお菓子と言う・・・・」
「そうよ、まぁ日本式文化だけどね。」
バレンタインデーは女性が好きな男にチョコレートあげる日である。
だがそれは日本式文化であり、実際は家族や親友と祝う日であり全然違う。
熱心なキリスト教徒からは否定的であるが、カゴメのような穏健層からは好意的であり日本同様に好きな男性にチョコレートあげたりしている。
無論、キリスト教往来の伝統だったりと旧各国特有のものだっりと多種多様だ。
カゴメは勢いづいてバレンタインデーの起源について語りだした。
「元々はローマ帝国時代に戦争で愛する人の事を思って士気が下がると言う理由で婚姻禁止になり、キリスト教の司祭だったウァレンティヌスがこっそり婚姻・・・」
「話を聞いていると処刑された日なんだろ・・・」
「何故分かったの?」
「流れ的に殺されたパターンになりそうだから。」
恋愛的イベントであるバレンタインデーの起源の説明をカゴメから聞いたラウラだったが、最後まで聞かないで本来はどんな日なのかを言い当てた。
正解は婚姻禁止の中に兵士達の婚姻を執り行います、禁止命令を破り処刑された日だ。
何故ラウラが最後まで聞かないで正解出来たのかはパターンを読み取ったからだ。
普通に考えて無断関連はどれも処刑されるがオチだとラウラは思っていた。
「ラウラは想い人いるのかしら?」
「私はそんなのにはあんまり・・・」
「吉野大尉、あの時のラウラ・・・いつもと・・・・」
「そ・・・そんな関係じゃな・・・・いから・・」
バレンタインに関する会話が過熱するとラウラと大樹の関係性に触れた。
実はラウラが大樹と二人っきりで会話し、女の顔をしてたと教えられた。
教えてきたのはラウラの元戦友であるシュリであり、その敵の顔は小悪魔だった。
大樹の名を出した途端のラウラの反応を見るに、内容が事実だとカゴメは確信し微笑んだ。
まだ文化慣れしてないラウラとは言え、恋に関しては初心・・・・
意地悪な意図のある質問にラウラはまた不思議な感覚に襲われた。
「ちなみに昨日は女同士の友情を祝うギャレンタインデーだったらしいわよ。」
「何それ?地球人はそんな事までやっているのか?」
「一応・・・・・・ね。まっ前日だったけど。」
初心であるラウラを十分辛かったカゴメは別の話題で話を逸らした。
下手にいじりすぎると可哀想と言う理由だ。
狙い通りラウラはギャレンタインデーに乗っかり大樹の事を忘れた。
いろいろと不思議そな表情をしながら考えていると目の前にチョコレートがあった。
しかも丁寧な箱に入っており誰かにあげる予定なのだろう・・・・・
「カゴメ、それはなんだ?誰かに贈るのか?」
「これね一応・・・・ARMDー06宛に・・・」
「確かコンステレーションと言う名の・・・・」
カゴメはARMDー06コンステレーションにいる誰かにチョコをあげるのだという。
コンステレーションは初期ARMD級であり、大戦を生き残った武勲艦だ。
現在はクラビウス基地所在の予備艦隊の所属であり、航路の哨戒任務に就いている。
最前線で戦っている兵士の中にカゴメの想い人がいるのだろうか?
更に深く質問しようとしたがカゴメに申し訳ないと思い自重した。
【同時刻】
【クラビウス基地外縁部ブランキヌス基地上空.空母アルタミラ】
クラビウス基地外縁部ブランキヌス基地上空にて空母アルタミラは展開していた。
僚艦にオーベルト級宇宙駆逐艦3隻(オリンピア.グリッドレイ.タチバナ)が付けられ、VFー5000スターミラージュで編成された3個中隊が配備された。
アンサーズ中隊を含めると4個中隊計64機、早期警戒機8機の大編隊.連絡機のVTー1.10機、オーベルト級宇宙駆逐艦に搭載された直掩隊の空間デストロイド×9.VFー1D×6と大部隊だ。
とは言えVTー1.10機は誰も乗らない予備機であり、隊員の4割はゼントラーディ人だ。
更にAIを活用した艦内の省人化が進み整備する人員を含め、かつてのミニッツ級よりも圧倒的に少ない550人程度しかいない。(乗員300名.航空団250名)
とは言え他のARMD級空母はこんなに搭載もしてないし、人員もいない。
かつて大樹が乗艦してたARMD級空母シナノは1個中隊+空間デストロイド1個中隊のみだ。
人員不足の中、これだけの装備や人数を集めた白川提督に大樹は畏怖の念を抱いた。
大樹はと言うと中隊長代理と言う立場でアンサーズ中隊を纏めていた。
本来の指揮官は茂人だが教官職をやっている為、副隊長たる大樹が代行している。
「吉野大尉お疲れ様です。」
「ニクソン中尉もな。」
この頃になると小隊長は全員着任していた。
各小隊の隊長は本多義輝中尉.エミリー・ニクソン中尉.ガブラ・ノーボレス中尉であり、どれも技量が優れ部下に慕われているエースパイロット達だ。
白川提督が各方面に問い合わせて参集した精鋭であり、技量もかなり高い。
その一方で・・・・・
「中尉、胸の谷間どうにかしろ・・・」
「嫌です。」
「吉野大尉諦めましょう、下手したらセクハラですよ。」
「ぐぅ・・・」
曲者揃いであり率いていくには難があるとつくづく実感させられていた。
例を挙げるならばエミリーは制服の上着の胸元を空けており、胸の谷間を露わにしていた。
会う度に目のやり場に困るし、注意しても拒否してくる始末。
下手にやれば他の女性兵からセクハラだと言われる可能性が高い。
「全くうちの部隊は変人揃いか・・・・」
「隊長である桐原予備役少佐もかなり変人だとか?」
「否定しない・・・・」
アンサーズ中隊は揃いも揃って変人揃いであった。
国政与党所属.市議の次女イ・エラ少尉、文化慣れ過ぎるゼントラーディ人.ロザ・べサーズ准尉、やる気のない態度が目立つアリサ・バレンタイン准尉癖が強すぎる。
男性陣も三国志の英傑である曹操の末裔である曹涼.少尉や食いしん坊なカレント・バーガー准尉など女性陣に負けずも劣らずクセが強すぎるので頭が痛い。
「あいつは今頃どうしてるかな・・・・」
「あいつとは?」
「いやなんでもない。」
ふとラウラの顔を思い出す・・・・・
無断出撃し奮戦した蒼い髪が印象的なゼントラーディ人、以外にも素直で良い娘だった。
癖のあるアンサーズ中隊の中ではまともに思えるような若い女性兵だ!
いやラウラはラウラで癖はある・・・・
機体を持ち出して無断出撃してるだけでもまともではない。
頭のネジは何本かぶっ飛んでいるとんでもない生物兵器として生まれた異星人の女だ!
「ラウラ・ベルタリア・・・・か・・・近いうちに会いそうな気がするな・・・」
ゼントラーディ人の・・・ラウラ・・・
アンサーズ中隊の隊員候補として最有力の元海兵隊員・・・・
近い将来、入隊前に一度どこかいや何回か会うかもしれない。
そんな気がしてしょうがない。
大樹は更衣室に向かいパイロットスーツに着替え出撃に備えた。
【西暦2021年2月14日】
【月面クラビウス基地とアポロ基地間、輸送路】
カゴメの想い人ライナス・フィルダー少尉はアームド級宇宙空母コンステレーションに配属になり、クラビウス基地とアポロ基地との間の輸送路警戒任務に従事していた。
配属先のフライング・フィッシュ中隊はVFー4ライトニングで編成されている精鋭で知られており、はぐれゼントラーディとの戦闘でかなりの実績を残していた。
「フィルダー少尉、部隊に慣れたか?」
「はい、問題なく勤務できそうです。」
「そいつは良かった。」
ライナスは上手く馴染んでおり問題なく勤務している。
元々、SFー3AランサーⅡに乗っていた戦闘機乗りであり新人ではない。
新人ではなく現役戦闘機乗りであった為、慣れない現場でも難なく出来ている。
だが先任士官は苦い顔をしていた。
「似たような名前の奴いたな。」
「ライナス・フィランダー大尉、星間大戦でブルズアイ作戦に参加して戦死した。」
「似たような名前だからこそ、心配しているんだな。」
ライナスに似たライナス・フィランダーと言うVFパイロットが先の大戦にいた。
しかし
ゼントラーディ軍艦隊に対する特殊任務作戦.ブルズアイ作戦で戦死していた。
激しい戦闘の最中奮戦するも、集中砲火を受け戦場の塵と化した。
なおブルズアイ作戦で指揮官を務めていたのはラウラの前で講演していた英史だ。
英史はスカル大隊の副隊長とも言うべき地位に就いており、特殊任務作戦の指揮官として自身を含む4機でゼントラーディ軍艦隊に打撃を与えていた。
ライナスは同名で似たような姓の人物に似ている為、戦死してしまわないか心配だ。
「大丈夫ですってそんな事はありませんから!」
『ミレニアムゴブリンズ中隊とフライング・フィッシュ中隊は持ち場を交代せよ!』
「油断するなよ!油断した時、人は簡単に死ぬからな。」
「了解です。」
迷信だと思ってかライナスはそんな事はないと笑った。
必ず生きて帰り機種転換センターで短い間だが世話になったカゴメと世間話がしたい。
いつか告白しあわよくば恋人同士になれたらなと想像した。
ライナスはVFー4ライトニングⅢに乗り込み、出撃の時を待った。
そしてコックピットにカゴメがソロアイドルやってた頃の写真を挟んだ。
「All system is green. Good luck !」
「Thank You」
アームド級コンステレーションからVFー4ライトニングⅢが発艦していった。
入れ替わるかのようにミレニアムゴブリンズ中隊が帰還し、前方で待機していた。
ミレニアムゴブリンズ中隊は航路防衛の任を終えており、直掩として残ってた機体もどんどんコンステレーションから伸びるクレーンに積まれるかのように収容された。
「カゴメさん、また帰ってきます!任務をやり遂げ一人前になれた姿見せます!」
ライナスはそう意気込むと操縦桿を強く握り月の宇宙を駆けていった。
出撃したフライング・フィッシュ中隊各隊は予定パトロールコースを回ったり、コンステレーション周辺の警戒任務に就くなど様々な活動を開始した。
パトロール任務に就く事になったライナスが所属する小隊は4機編隊で所定コースを回ったが哨戒任務に就いていたVEー1から敵部隊発見との報告を受けた。
【西暦2021年2月14日】
【クラビウス基地.演習エリア】
ラウラは他の候補生達と共に初めてVTー1に乗り込み実機訓練に臨んだ。
先導する教官の乗るVFー1Dを追いかけ所定のコースを回ると言うもの・・・・
VFに乗るのは先の遭遇戦で無断使用して以来であるが、不思議と操縦感覚は忘れていなかった。
いや忘れてはならない、忘れてはならないこれから自分の武器になる力だから・・・
「ひょっこ以下の卵野郎どもついてこい!VF乗りの実力教えてやる!」
教官は日本文化好きのゼントラーディ人であるルルドルドだ!
垂直尾翼に大日本帝国陸軍の飛燕の部隊の一つのマークと必勝が描かれており、カラーリングはその部隊と同じく迷彩色となっている程こだわっている。
「ん?だらしねぇな!海兵隊や他機種で実戦は積んでたか知らねぇがチェリー(童貞野郎)しかいねぇのか!」
VFに乗り慣れているルルドルドの実力は高い!候補生達に差をつけ先行した。
中々追いつけない候補生達にチェリーと呼んで叱責した。
カチンと来たラウラは操縦桿を握りしめ何とか追いつこうと奮起し、差を縮めた。
「おい!貴様はまだマシな方らしいな、貴様は名は?」
「第29海兵隊出身ラウラ・ベルタリア!」
「キヨラ機動戦隊のラウラ・ベルタリアか・・・・・とは言えまだ未熟の半端者だな。」
「なにぃ今の言葉撤回してください!」
「撤回して欲しければ実力で示すんだな!まだマシな方だが・・・チェリー(童貞野郎)に過ぎん。」
必死に追いついたラウラだが、待っていたのは更なる叱責であった。
ルルドルドはアドクラス艦隊出身でありSDFー1マクロスと何度も交戦しており対VF戦を学び大戦後にVFに乗り数多くの実戦を経験していた。
一方のラウラはキヨラ機動戦隊の隊員であり、マクロスと交戦せず対VF戦術を学んでないどころか戦後10年間ははぐれゼントランとしか戦ったことが無い。
いくらエースとは言え対VF戦術を持ってなければチェリーでしかない。
「言われなくなってやってやる!」
言われてるカチンッときたのかラウラは奮起した。
海兵隊時代エースと言われる程の実力を持っており、数々の激戦を生き抜いてきた。
必死に座学だって学んでいるし、可変戦闘機技術も熱心に研鑽に励んでいる。
言われっぱなしで黙っているほど賢くはない。
必死に食らいついているとカゴメから通信が入った。
『ベルタリア曹長、挑発に乗らないように・・・』
「分かっている・・・・でも言われっぱなしでやるほど・・・」
『それで敵の罠に嵌って死んでしまってはどうするのよ?』
挑発に乗るラウラを見兼ねたカゴメは諭した。
戦場で挑発に乗ると言うのは敵の罠に嵌まりやすく危険だ。
明らかに見え透いた挑発に簡単に乗るラウラは罠に嵌って危機に陥らないか心配になる。
諭したが明らかにラウラは感情的になりルルドルドの挑発にどんどん乗った。
「だからチェリーなんだ!」
ルルドルドがそう言うと突然反転し攻撃を開始した。
銃弾は実弾ではなく演習で用いられるペイント弾を使っている。
突然の演習に伴う攻撃にラウラは間一髪回避するも、他の候補生達の声が響く・・・
攻撃を開始したのはルルドルドだけではない、茂人などの教官らも候補生に牙を剥いた。
「ヒョッコども、演習が突然出てきて驚いたか?戦場はそう簡単なもんじゃねぇ、いつ戦闘になるか分からねぇもんだ!特にベルタリア曹長、お前は簡単に嵌まりやすくいいカモだ!」
「こいつ一般のゼントラー・・・・」
「馬鹿野郎!いつまでゼントラーディ軍をやっているつもりだ!チェリーガール!」
ラウラは今までクァドラン・ローに乗っていたから分からなかったが、同じ土俵となった結果、空戦ポッド乗りのゼントランのエースの本当の実力を思い知る事になった。
想像以上に強く回避するのが精一杯であった。
ゼントラーディ軍時代はラウラのようなクァドラン乗りの戦闘能力が高く、ルルドルドのような空戦兵が戦闘能力が低いのが常識であった。
現実はそう見えたのはクァドラン系と空戦ポッドの性能差が原因であり、実際は能力値的に個人差はあれどそこまで大きな差はなく人によって立場が逆転していた。
一度、レミアと戦闘を経験し奮戦したが遊ばれていた。
つくづく情けない。
「チェリーガールと言われたくなければ奇襲に備える心構えを身につけるんだな!」
呆気なくラウラはペイント弾の餌食になった。
地球人の常識を身に着けたルルドルドは強く、まだまだゼントラーディ人な自身は弱い。
だから強くなりたい、どんな相手だろうと強くなって嫌な過去から脱却したい。
同胞を殺したラウラは二度とゼントラーディ軍人には戻れない。
だったらひたすら強くなって軍人として極めていきたい。
今のラウラは我武者羅に強さだけを求めていった。
「ラウラ・・・極めるのはいいけど、それじゃ・・・」
我武者羅に強さを求め続けるラウラにカゴメは不安を覚えた。
ゼントラーディ人は戦争の為に作られた生物兵器であり人間ではない。
だが地球人との接触で戦争以外の生き方を見いだして人間になろうとしていた。
そうした中でラウラは今だに力を求め続けている。
まるで更に戦争の為に生きていくしかできない生物兵器としての生き方に・・・
それではいつかは戦場で命を落としてしまう・・・・
カゴメは心の中で変わってくれる事を祈るしか出来なかった。
【同時刻】
【月面クラビウス基地とアポロ基地間、輸送路・戦闘宙域】
ライナスが所属するメヒカリ小隊はVEー1からの通報を受けとある宙域に到達した。
はぐれゼントラーディの一部隊を発見、大至急確認に向かわれたしと・・・
メヒカリ小隊は指定された宙域に到達、岩陰に隠れて様子を伺った。
「敵はクァドラン・ローか・・・・母艦はピケット艦クラス複数隻・・・」
指定された場所にはゼントラーディ軍ピケット艦が複数隻展開していた。
周辺にはクァドラン・ローが展開しており、直衛艦隊の残余がはぐれ化した部隊だ。
メヒカリ小隊の隊長は奇襲を仕掛け、本隊到着するまで戦力を釘付けにしようと考えた。
幸いにも大型対艦ミサイルがあるのでピケット艦撃沈もしくは航行不能に出来る。
「連中もよくこれほどの戦力を・・・・フィルダー少尉、無茶はするなよ。」
「了解です。」
「他の小隊も直に来る。無茶はするなよ。」
可変戦闘機パイロットとしての初陣であるライナスは興奮していた。
旧型の宇宙戦闘機から時代の主役になりつつある可変戦闘機パイロットとして初めて自分の実力を発揮する好機であり、名をあげれば一躍有名になる。
クァドラン・ローだろうとなんだろうとやってやる。
士気が高いライナスらメヒカリ小隊ははぐれゼントラーディ軍部隊に向け突貫した。
「隊長、友軍艦隊に応援を頼んではどうでしょうか?」
「空母アルタミラか・・・ブランキヌス基地から進出してきた艦か・・」
「母艦コンステレーションと交代予定の友軍艦です。」
「いやそこまでではない。今は我々だけでやるぞ。」
隊員の1人がアルタミラを旗艦とする艦隊に応援を出すべきだと進言した。
アルタミラは現宙域からほど近くすぐ駆けつける友軍部隊の中で一番だ。
クァドラン・ローはリガードやヌージャデル・ガーよりも遥かに強力であり、メヒカリ小隊単体で対応するには犠牲が出る可能性が高くアルタミラの応援が必要であると隊員は考えていた。
隊長は実力に自信を持っており部下からの進言を一蹴した。
メヒカリ小隊ははぐれゼントラーディ軍を強襲した。
強襲によりはぐれゼントラーディ軍艦隊に打撃を与えるのに成功。
クァドラン・ローとクァドラン・ノナ何機か撃墜した。
見る限りメヒカリ小隊が優勢に見えるのだが、現実はかなり厳しいものであった。
突如、リガード部隊が現れ地上からメヒカリ小隊を狙撃した。
この狙撃によりメヒカリ小隊の隊員の1機が撃墜され、戦況は一気に不利に傾く。
【20分後】
【月面ブランキヌス基地南西・宙域】
月面ブランキヌス基地から離れた空母アルタミラはクラビウス基地とアポロ基地の輸送路に近づき、空母コンステレーションと任務を交代しようとしていた。
大樹は賢二郎と共にVFー1Pの前に立ちガブラ・ノーボレス中尉率いるラーチャー小隊の隊員達にパトロール任務の詳細について説明をしていた。
『吉野大尉、大至急ラーチャー小隊を率いて出撃してください。』
「劉少尉、どうしてだ?」
『友軍可変戦闘機部隊がエリア108にてクァドラン・ロー部隊と交戦中!現場に近い我々は援護に入ります!』
説明している最中にブリッジオペレーターの劉夢華(リュウ・モンファ)から出撃要請が出た。
エリア108にて友軍可変戦闘機部隊がはぐれゼントラーディのクァドラン・ロー部隊と交戦中であり、苦戦を強いられた為救援要請を出したとか。
無論その友軍部隊とはライナスが所属するメヒカリ小隊だ。
突貫したはいいものの、クァドラン・ローの性能とパイロットの実力が高く月面地表に隠れていたリガード部隊
近くにアルタミラがいた為、出撃待機中だった大樹達に出撃を命じた。
「友軍可変戦闘機部隊?何処の部隊だ?」
『コンステレーション所属フライング・フィッシュ中隊です。』
大樹は何処の部隊かと確認すると、所属はコンステレーション所属のフライング・フィッシュ中隊(ライナスの部隊)だとモンファは真面目な声で答えた。
コンステレーションにはミレニアムゴブリンズ中隊がいるが、現場近くにいるのはアルタミラであり艦長のジェイルは前述の通り大樹らに救援に向かわせようとした。
「吉野大尉殿、どうかしました?」
「ノーボレス中尉、出撃命令だ!速やかに各機搭乗しろ!」
「出撃でありますか?」
「突然で悪いが俺達にご指名だ!まぁ黙って俺について来い・・・」
モンファとの通信を終えると大樹は神楽やラーチャー小隊に出撃を命じた。
ガブラら隊員は驚いた顔をするが、大樹は黙ってついて来いといい搭乗機に向かった。
出撃準備を終えると大樹らハンター小隊とガブラのラーチャー小隊は次々とアルタミラから発艦し月面上空の宇宙(そら)をアンサー(灰色ガン)の群れが飛び立った。
同時刻・・・・・・
アポロ基地から出航し月面クラビウス基地に向かう艦があった。
アルゲニクス級特務巡洋艦アルゲニクス、特殊部隊ダンシング・スカルの母艦だ。
クラビウス基地に向かう理由は同地でイベントに参加していたゼネラル・ギャラクシーの天才技術者アルガス・セルザーを収容し惑星エデンに向かう為である。
惑星エデンのニューエドワーズ基地に到着後は、現地にて行われる新型機のテストを行いYFー9とYFー10を完成に近づける作業を行う予定だ。
「ジーナス大尉・F・ジーナス中尉、前方α5宙域にて戦闘を確認しました。友軍部隊が交戦中・・・なお苦戦との事です。」
「こんな所で戦闘?この辺りは新統合軍の統治下では?」
「ミリア・・・敵がいる事実には代わりはない。」
マックスとミリアはオペレーターからの言葉で前方にて戦闘が行われていると知った。
ミリアは新統合軍の統治下で戦闘が行われている事に疑問に思うが、マックスはそこに敵がいて戦闘が行われている事実にかわりはないと判断し格納庫へ向かいアルゲニクスから発艦していった。
【同時刻】
【月面クラビウス基地機種転換センター・バイク教習所】
VFの訓練を終えたラウラは教習所でバイクの教習を受けていた。
日常的に車やバイクに乗れれば生活が楽になるのと趣味でいろんな乗り物を乗りたいので、VFの訓練同様に熱心に教習所で車やバイクの教習を受け技能を高めていた。
「次こそ必ず勝ってやる・・・・」
このまま負けっぱなしではいられない。
受け入れたら自分自身のプライドが許さない。
軍用バイクに跨がりバイクの教習を受けるラウラは胸の中でそう呟いた。
特にルルドルドのあの罵声が嫌い、聞くたびに自身のプライドが故に余計に許せない。
機種転換センターに居るうちは何とかして勝たないといけない。
馬鹿野郎!いつまでゼントラーディ軍をやっているつもりだ!チェリーガール!
「いつまでゼントラーディ軍をやっているつもり・・・か・・・・私だって好きで地球人をやっているつもりなんて・・・ないのに・・・」
ルルドルドの言葉が突然脳に響く…いつまでゼントラーディ軍をやっているつもりだと…
ラウラは好きで地球人をやっているつもりはないと思っていた。
出来れば今でもゼントラーディ軍の軍人をやっていたかった。
全てはあの日、ボドル基幹艦隊決戦の日から変わってしまった。
本来居たかった自分や居たかった世界は皆、綺麗さっぱり無くなった。
「様子を見てみれば・・・・ラウラ、あんたは変わらないね。」
「シュリ・・・・・何故ここにいるの?」
「別にいいでしょ、今の私にとって家はここだからさ・・・」
休憩に入り、好きな飲み物であるコーラを飲んでると制服姿のシュリが訪れた。
ゼントラーディ軍や海兵隊にいた頃と違ってシュリもいろいろ変わった。
サングラスをかけたり、耳には星の形をしたピアスなんかしている。
そう思っているとシュリは自販機でコーラを買いラウラの隣に座った。
「シュリはいいよな、悩みなんてなくて・・・」
「そう?地球人になってからは色々あるよ。」
「地球人になって悩みなんてあるんだ・・・・」
価値観が違う何もかもが違う・・・
シュリは海兵隊から転属した頃と違って完全にカゴメ達のような地球人の女になった。
話していくうちに部隊の話や日常的な話などどれもついていけない。
思っているシュリの姿とは程遠かった。
「ラウラさぁ・・・・・地球人として生きるなら何をしたい?」
「何をしたいって・・・・・今は強くなりたいだけ・・・・」
「やっぱ変わってないか・・・ 」
シュリから地球人として何をしたいかと聞かれたラウラは強くなりたいと答えた。
ラウラの強くなりたいと言う言葉を聞いたシュリは少し驚くと冷たい表情を浮かべた。
冷たい表情を浮かべたながら変わってないかと言うシュリにラウラはムッとした。
「シュリ・・・・・私の何処が変わってないわけ?」
「そうね、単にゼントラーディ人としての帰属意識が強すぎて生物兵器から抜け出してない。」
「生物兵器!?私が?なんで!?」
「そう、戦う事しか目標を見出していない・・・それって人間って言えるかな?」
ムッとしたラウラは口調を荒くし問い詰めるが、シュリはルルドルドと同じく非情な答えを返した。
戦う事しか生き方を見いだせてない自分は生物兵器のままだと。
返ってきたシュリの言葉が今の自分を惨めにする。
胸が苦しくなり、ラウラは返す言葉もなくただ黙ることしか出来ない。
「じゃあねラウラ、私明日から出港しパトロールだから・・・私の戦友達によろしく。」
「うん・・・・分かった。」
この場から去っていくシュリの姿が眩しかった。
生物兵器・・・・人間って言えるのか?
ルルドルドの言葉と同じくシュリの言葉も痛く重かった。
再びバイクに乗るとラウラは再び教習を行う。
今日の教習を終えればまたバルキリーの訓練が始まる。
シュリがなんと言おうが、強くなる。
強くならなければ、自分自身に存在価値を見出だせない。
今のラウラはただ強くなる事を強く求めた。
【西暦2021年2月14日】
【月面クラビウス基地とアポロ基地間、輸送路・戦闘宙域】
クァドラン・ローの動きは想像以上に速かった。
伊達に10年間戦っているだけあってリガードやヌージャデル・ガーとは違う。
教本通りにいかない展開にライナスは焦りが出始める。
「バカッ無茶をするな!敵は・・・・・・」
「俺だってパイロットです、やれます!」
敵は明らかにただのはぐれゼントラーディ軍とは違う・・・・
クァドラン・ローの動きに合わせてリガードが支援攻撃、地球流の戦術を取り入れている。
想像以上に強い。
ライナスはバトロイドに変形しクァドラン・ローに支援攻撃を行うリガードを攻撃し何機か撃墜した。
初陣にしてある程度の成果をあげる事が出来た、教官として世話になったカゴメにいい報告が出来る……ライナスは高揚感を覚え近くにいるリガードに銃口を向けた。
1機のクァドラン・ローがライナスの目の前に立ちはだかった。
咄嗟の判断でガンポッドを構え、精神が限界に達しライナスは叫んだ。
「くそぉ!俺はまだやる事があるんだぁぁぁ!」
ライナスのVFー4とクァドラン・ローの銃口はお互い向き合いトリガーを引いた。
ガンポッドとパルスレーザーの銃弾の雨は双方に降らせ、双方を通り過ぎる。
フライング・フィッシュ中隊やコンステレーションの乗員達、そしてはぐれゼントラーディ軍のクァドラン・ローのメルトラン達は息を呑みつつその様子を目撃した。
双方はまるで力尽きたかのように月面の重力に引かれた。
「マックス!見えたわ・・・エネミータリホー!」
「よし行くぞミリア!」
現場にマックスとミリアが到着し戦場へ突貫した。
それに気がついたクァドラン・ローや指揮官機のログレン・ローはメヒカリ小隊を無視して突貫し迫るマックスとミリアを迎撃していった。
ログレン・ローの姿を見たミリアはフッと笑うとクァドラン・ローを2機を血祭りにした。
1時間後・・・・
「こちらハンターリーダー、ラーチャー小隊と共に現場に到着した。」
『こちらアルタミラからハンターリーダーへ、現場はどうですか?』
「友軍部隊がはぐれゼントラーディ軍を鎮圧完了、出番は無かったみたいだ。」
『了解。』
「ジーナス夫妻・・・月にいたのか・・・」
戦闘の光を確認した大樹は賢二郎とラーチャー小隊と共にコンステレーションへの増援として戦闘宙域に到着したものの、戦闘は新統合軍の勝利で終わっていた。
青と赤い機体、マックスとミリアらダンシング・スカル隊がクァドラン・ローやリガードの一部隊に打撃を与え残存した機体や艦隊は降伏してしまった。
ダンシング・スカル隊は苦戦しているメヒカリ小隊を発見し突貫し、クァドラン・ローやリガードを次々と撃破し艦載機部隊のログレン・ ローを戦闘不能にし制圧した。
2人の圧倒的な実力を前にクァドラン・ロー達は戦意を消失、一瞬で降伏したと言う。
マックスとミリアの駆るVFー5000は残存したクァドラン・ローとクァドラン・ノナを集め機体から兵士を降ろさせ頭を後ろにし一箇所に集めていた。
艦艇らは今到着したコンステレーション航空隊が到着し拿捕されている。
「大尉、あれは・・・・」
「ハンター2・・・そしてラーチャー小隊各員・・・しっかり見ておけ・・・俺達軍人は軍人である以上戦場で墓標を作る事になる。」
「あ・・・はい。」
月面の大地に鎮座するVFー4とクァドラン・ローの姿を見て、大樹は敬礼した。
軍人をやっている以上、五分五分の可能性で自分も同じ姿となるかもしれない。
大樹は今目の前に見える光景をしっかり記憶に焼き付けていた。
1人の軍人として人間として決して生涯忘れぬ為に・・・・・
「大尉、クァドラン・ローのパイロット生きてますよ。」
「何?」
クァドラン・ローが生きていた
相討ちになったと思いきやパイロットは負傷に留まり、額から血がたれていた。
大樹はクァドラン・ローのハッチを開け中の操縦士の顔を見て少し驚いた。
「ラウラ・ベルタリアと同じ顔の兵士か・・・・」
「誰なんですそれ?」
「じゃじゃ馬だよ、命令違反するほどの・・・な」
動けなくなったクァドラン・ローのパイロットの顔はラウラと同じ顔をしていた。
クローン兵士であるゼントラーディ人が同じ顔同じ身体をしているのは珍しくない。
だが大樹の目の前のメルトランは同じ顔をしてても表情は違った。
ラウラと違って何処か憎悪のあるかのような表情をしていた。
しばらく見ているとクァドラン・ローのパイロットは少し意識を取り戻し少し動いた後、大樹らと目が合い怯えはじめた。
「デ・・・デ・デブラン・マイクラーン(ち・・・地球人・・・)」
「こいつ!大尉、撃ちますか?」
「やめろ!神楽・・・こいつは敵とは言え捕虜だ!殺すな・・・」
神楽は発砲許可を求めるが大樹は拒絶した。
既に戦闘能力はなく、殺せば戦争犯罪人になるだけだ。
更に言えば大樹はラウラと同じ顔をした敵を無意識に殺す事を拒絶していた。
必死になり神楽を抑える大樹だがクァドラン・ローのハッチが更に上に開いた。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「大尉…!?」
「くそっ・・・・」
クァドラン・ローのパイロットは突然機体から降りて大樹のVFー1に向けて突撃した。
身体はボロボロであったがそれを感じさせない程の気迫で圧倒し大樹を怯ませる。
神楽は反撃しようとガンポッドを向けるが、とても間に合わない位置にいた。
大樹のVFー1にクァドラン・ローのパイロットが掴みかかり、頭部を潰そうとする。
ラウラと同じ顔のクァドラン・ローのパイロットは何かに取り憑かれたかのように気狂った笑いをしながらじっと見つめ、大樹はたじろぐ・・・・
頭を掴みこのまま潰すかと思ってたが、クァドラン・ローのパイロットは何者かに弾き飛ばされた。
「!?」
「吉野大尉、危ない所でしたね。」
「ジーナス大尉・・・・」
「火星の英雄(マーズ・ヒーロー)がらしくないですよ、ここは僕とミリアに任せて!」
飛び出して襲いかかろうとしたクァドラン・ローのパイロットを制圧したのはマックスだった。
バトロイド形態の青いVFー3000はガンポッドの銃床で肩を叩いて動きを封じ、よろけた所をミリアの駆る赤いVFー1Jバルキリーが銃口を向け制圧した。
一瞬の隙を突いて一矢報いろうとしていたクァドラン・ローのパイロットは完全に戦意を失った。
「ラウラ・・・・お前はいざって時に自分を殺す事が出来るのか・・・・」
大樹は取り押さえられるラウラと同じ姿をしたクァドラン・ローのパイロットを見て呟いた。
襲いかかってきたクァドラン・ローのパイロットは自身に向け憎しみの表情で迫った。
しかもただの表情ではない、これから迎え入れるメルトランと同じ顔をした兵士だ!
ガンポッドを構え反撃しようとしたが、大樹はトリガーを引く事が出来なかった。
いくら別人とは言えラウラと重なってしまい引き金を引く事が出来なかった。
自身ですら無理であったラウラがVF部隊として編入されれば、今後自分と同位体を殺す機会が何度も訪れる・・・・ゼントラーディ軍への帰属意識の強いラウラにそれが出来るのか?
舌打ちをしながら大樹はこれからの懸念に苛立たせる。
【西暦2021年2月15日】
【クラビウス基地機種転換センター.教官室】
午前中の授業は無事に終わり、食事が終わるとラウラとカゴメは仲良く会話していた。
食事に関して言えばTボーンステーキとロブスターがあり、候補生達が青ざめる中ラウラだけはウキウキとしながら楽しく美味しく食事することが出来た。
午前中の教科もなんかも・・・
「凄いわね、半月もしないでVFの操縦をマスターするなんて・・ 」
「一応クァドラン・ローではエースでしたから、感覚さえ掴めれば楽々だね。」
「ファイター形態ではイマイチだけど・・・ 」
「出来れば触れて欲しくなかったなぁ・・・」
VFのシュミュレーションでかなりの高得点をラウラは叩き出した。
クァドラン・ロー乗りであるラウラは当然と言ってもいいのかバトロイド形態で成果を出しており、一方でファイター形態がイマイチと言わしめる程特徴が出た。
その一方で見るからにラウラの性格は明るくなっている。
「ベルタリアの成績、中々いいな。」
「色々あって前向きにやってますわ。」
「そうでなくては困るからな。」
ラウラの成績は茂人にとって喜ばしい話であった。
強いラウラの向上心が想像以上に力を発揮し可変戦闘機パイロットとしての実力を高めた。
更にだが車やバイクなどの技能も高く更に知識も覚え一瞬で運転免許を取り、教習所の教官が腰を抜かす程、軍人として人としてのスキルを高めていた。
これならば安心して卒業後、隊員として引き取る事ができる。
茂人はコーヒーを飲みながら確信した。
一人の職員である若い女性兵高谷玲子准尉が入ってきた。
「桐原少佐、来客です。」
「来客?」
「今お連れします。」
珍しく来客が訪れる・・・内容は高谷准尉の表情見て良い物では無さそうだ。
訪れた来客はコートを着たままの鋭い目突きの将校だ。
見た目はサングラスをかけ顔痩せ型であるが、身体ある程度ガタイがいい感じの男だ。
教官室に入るといきなり背筋を伸ばし敬礼をした。
「失礼します。人事局太田祐三.大尉であります。」
「人事局だと?」
「ハッ・・本センターにて卒業された候補生が戦死されたので戦死通知をお届けに・・・」
「そうか・・・ご苦労さん・・・・」
人事局死亡通知担当官から卒業生が戦死したと言う通知があった。
卒業して一定数戦死する事があるが、通知なんて珍しい話だ。
そう考えながら茂人は死亡通知書を受け取って内容を読むと目の色を変えた。
戦死したのは卒業したばかりの卒業生だ!
「バッカニア少尉・・・・・バッカニア少尉!」
「はい・・・なんでしょう?何かあったのですか・・・・・」
「落ち着いて聞いて欲しい・・・ 」
茂人は慌てて近くにいるカゴメに声を掛けた。
内容が内容なだけに明るい雰囲気で話せるような感じではない。
話しかけられたカゴメは不思議そうな表情を浮かべながら、茂人の顔を見た。
ただカゴメが知っているのは悪い報告と言う事・・・
出来れば外れて欲しい話ではあるが、無慈悲にも当たってしまう・・・
「フィルダー少尉が戦死した。」
「えっ・・・・・・」
「コックピットをレーザーガンで・・・・相打ちだったそうだ・・・」
茂人から聞かされたライナスの戦死の知らせを聞いたカゴメは手に入していたチョコを落とした。
戦死した理由はともかく、カゴメにとってライナスの戦死は意識が遠のくほど辛かった。
一時は茂人の言葉が聞こえないくらい隔離状態になり、感情が麻痺した。
戦争の一人の兵士の戦死は気にしない人がいるが、誰かにとってそれは耐え難い事実でしかない。
次回予告
失った命は戻らない、戦場の非常に現実が戦争を忘れかけてたラウラに突きつける。外の世界では大樹が愛機を駆り戦闘を繰り広げる中、ラウラはカゴメからある物を譲られる。
次回、マクロス外伝蒼い髪のメルトラン
【リブート・ラウラ】
戦場の黒い突風、耐え抜けろクルセイダー!
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