(作画ロボノヒトさん

(二次創作な面を含みます)

【所属】

ゼントラーディ軍

【製造】

キメリコラ第74710020692ゼントラーディ全自動兵器廠

【推進】

キメリコラ熱核コンバータ×2

【生産形態】

量産機

【全高】

16.75m

【全備重量】 

32.5t

【武装】

中口径速射インパクト・カノン×2

空対空高回転3砲身レーザーパルスガン×2

近接用超高機動ミサイルランチャー×4(携行弾数126発)

【乗員】

1名

【解説】

プロトカルチャー銀河帝国分裂戦争末期、拠点や艦隊の直衛任務にあたる独立婦人部隊用の機動兵器として開発されたバトルスーツである。

機体構造は小柄な女性に合わせて開発されており、優れた高機動性を誇る。

 

一般量産型クァドラン・ノナを運用しエースの実力を得た者に与えられる機体であり、高品質かつ高度であるが故にゼントラーディ軍全体では少数である。

 

一艦に30名以上からなるクァドラン・ロー戦隊が配備されており、直衛艦隊の切り札とも言うべき兵器であり所属隊員は各分隊(3名)で連携を行う戦術を取る。

隊員(特に隊長格)にはクァドラン・ノナに搭乗する兵士を指揮する権利を有している。

 

【バリエーション】

◆クァドラン・ノナ

直衛艦隊における空戦ポッドと並ぶ主力兵器。

新兵は基本的に搭乗する機体であり、エースの実力を得た者はそれ以上の機体を与えられる。

 

◆シグノーミュール

強力な火力を持つ支援型の兵器。

キルトラ・ケルエール級に配備されており、クァドラン・ロー戦隊の後方支援を担う。

 

◆ログレン・ロー

クァドラン・ローと並ぶバトルスーツ、火力が強力であるか故にクァドラン・ローよりも少なく一部のクァドラン・ロー戦隊の隊長として運用されているのみ。

 

◆マグゼミグ・ラフ

クァドラン・ローシリーズの上位機種であり、直衛艦隊の切り札。

遊撃隊の兵士に配備されており、数は更に少ない。

 

◆クァドラン・キルカ

クァドラン・ローシリーズの上位機種であり、最強にして最後の機体と称される。

性能面がかなり高いがそれが故に極少であり直衛艦隊に配備されているのは極稀である。

 

◆クァドラン・アルマ

直衛艦隊用のクァドランタイプ、配備されている機体は各艦隊に1機のみでありクァドラン等を始め1番数が少なく第1次星間大戦後同型機の確認がされていない。

 

他にも様々なバリエーション機が存在する

 

◆クァドラン・ローΘ

地球の技術を盛り込んで改修したクァドラン・ロー、カメラアイは剣道の面に変更されている。

改修は接近的に行われず一部の指揮官機に配備されるに留まった。

主に新統合軍の海兵隊に配備されているが、反乱兵が持ち込んだ機体が反統合勢力に流れている。

 

2031年公開のドゥーユーリメンバーラブに登場したメルトランディ軍のクァドラン・ローはクァドラン・ローΘである。

 

【結成日】

2015年2月8日

【指導者】

バラド・ガズディス✝  

オレグ・ベロウソフ✝

ブレンダ・ガルロ

【本拠地】

オリンポス山周辺地域

【前身組織】

新統合軍火星方面軍第3駐留戦闘大隊

火星海兵隊(第13海兵部隊)

反統合同盟残党組織マルス

【戦闘】

マーズウォーズ事件

【構成団体】

ゼントラーディ人

反統合同盟残党

【解説】

第1次星間大戦後の2013年から火星はHGウエルズシティの建設やサラ基地の再建が行われ太陽系における地球防衛の要として再建が行われた。

開拓民の4割は地球のゼントラーディ人差別を嫌い火星に移住したマイクローン化したゼントラーディ人や旧反統合同盟圏の住民である。

 

マイクローン化したゼントラーディ人で構成された新統合軍火星方面軍第3駐留戦闘大隊指揮官でゼントラーディ人のバラド・ガズディス大佐は再建途上の火星を制圧し新統合政府から独立し国家を建設する事を目論み、火星海兵隊のブレンダ・ガルロ中佐と反統合同盟残党組織マルスのオレグ・ベロウソフと共謀し武装蜂起を企てた。

 

決起の時に備え密かに火星独立ゼントラーディ軍を結成し、マルスが潜伏しているオリンポス山を始め各地に秘密基地を建設し戦力を整えた。

 

惑星クラストラニアの反統合ゲリラ組織.クラストラニア軍ニューナイル秘密開発基地からヴァリアブル・グラージ3機が密輸されており、エース級の実力者に配備された。

 

マーズウォーズ事件で火星独立を掲げエルダニア基地やヘラス基地にて決起し新統合軍火星方面軍サラ基地やHGウエルズシティーなどを襲撃、アルカディア平原のアルカディア基地を占領している猛威を振るった。

 

第3駐留戦闘大隊や火星海兵隊内部の非決起の兵士は監禁拘束、抵抗した者は徹底的に殺害するなど非人道的な面が見られた。

(マーズウォーズ事件後実行者は軍事裁判に掛けられ処刑されておる。)

 

新統合軍はダンシングスカルとシーアンタレスなどの特殊部隊を複数投入し、バラドやオレグを討ち取るなどマーズウォーズ事件を鎮圧したが、残存勢力はオリンポス山周辺で潜伏し、事件発生から2年経った今でも新統合軍火星方面軍と戦闘を繰り広げている。

 

この時に士官候補生として火星に留学していた吉野大樹大尉は墜落した火星独立ゼントラーディ軍のVFー1を鹵獲し華々しい戦果を挙げ火星の英雄の異名を得た。

 

【保有戦力】

◆ゼントラーディ兵器

リガード

グラージ

空戦ポッド

重攻撃機

クァドラン・ロー

クァドラン・ノナ

◆艦艇

ケアドゥル・マグドミラ級戦艦

・ヴァラル

キルトラ・ケルエール級揚陸艦

・ベレンボルト

スヴァールサラン級戦艦

・オルカ

・サブレン

◆航空戦力

・可変戦闘機

Svー51

Svー52 

VFー1バルキリー  

 

・可変攻撃機

VAー3インベーダー

ヴァリアブル・グラージ 

 

・無人機

QFー2000ゴーストゼロ

QFー3000ゴースト 

 

・通常戦闘機

MIMー31カリョービン

Fー203ドラゴンⅡ

MⅠGー29フルクラム

◆デストロイド

オクトス

シャイアン

トマホーク

ディフェンダー

スパルタン

ファランクス

モンスター  

 

◆車両

EFー88センチピード

BTRー4

M1エイブラムス

Tー72

など

 

ロシア系装備は反統合同盟残党組織マルスの装備はオリンポス山の秘密工場で建設した新造である。

 

新統合政府統治下のリンガフランカ(共通言語)は英語である。

 

地球統合政府時代から共通言語は英語の使用が推奨されており、基本的に新統合連邦国民は英語を地球語として使用している。

 

日本語 韓国語 フランス語 中国語など世界各国由来の言語は使われる事はあるが、言語を消滅させない為であり新たに加わったゼントラーディ語も同様である。

 

第1次星間大戦後は多くの言語が少数民族等を始め消滅しており、消滅危惧のある言語は複数存在している。

(作画 今日は早く寝るさん @yuki_neyuru

 

◆解説

地球統合軍創設初期から引き続き使用されている制服、西暦2025年まで使用。

地球統合軍時代から役割は一緒だが、一部が役割が変更になっている。

 

◆構成

①ジャケット

フード付きのジャケット、ラインやカラーリングで部隊や立場を表す。

 

ラインカラー

・緑色    秘書士官

・青色       基地勤務

・紫色    パイロット

・オレンジ色 艦内要員

 

ジャケットカラー

・水色 メガロード級 SDFN級ブリッジ要員

・灰色 情報戦術要員

・桃色 メガロード級 SDFN級CIA要員

 

②上着

ジャケットのラインと同じ色のライン付き、色は黄色と黒など様々

 

③スカート

タイトスカート、スカートの丈に規定はない。

動きやすいように左右にスリットが入っている。

 

パンツスタイルもあるが、基本はスカート派が多い。

 

④ストッキング・タイツ

着用が義務付けられている。

パンチラ防止の為、厚めが推奨されている。 

 

⑤制帽

尉官以上は制帽着用が義務付けられているが、勤務中は着用しない場合が多い。

パイロットは一般隊員はベレー帽を着用する事がある。

佐官クラスになると形状が異なった制服を着る事がある。

 

◆特殊部隊兵制服

(作画 今日は早く寝るさん

 

◆解説

一般兵と大きくデザインが異なった制服である。

ベレー帽と専用の制服を着るが、正装は一般兵の制服であり式典等は一般兵の制服を用いる。

 

◆制服色

上着の色は基本濃い青色である。

マクシミリアン・ジーナスはスカイブルー、ミリア・ファリーナ・ジーナスは赤色など著名な人物は独自のカラーリングの制服を着る事がある。

 

◆上半身 

男女兼用である。

上着に専用のブレザーを着用するのは男女関係ない。

 

◆下半身 

男性はズボンだが、女性はズボンの他にスカートや短パンを着る事がある。

スカートと短パンは露出を減らす為ストッキングかタイツの使用が義務付けられている。

 

 

 

第1次星間大戦

それは人類が初めて経験し人類戦争史の中で一番の悲劇を経験した戦争である。

 

リン・ミンメイによるボドル基幹艦隊決戦時の奇跡により、1ヶ月の地上戦の後.ゼントラーディ軍残留部隊との終戦協定を結ぶ事が出来た。

 

人類は厳しい状況に置かれながらも、地球統合政府暫定政府とゼントラーディ軍残留部隊と統合を行い新統合政府として人類復興の道を歩み始め人類播種計画に基づき銀河各地に超長距離移民船団や短距離移民船団などが新たなフロンティアに向けて旅立った。

 

しかし

 

それは新たな戦いの火蓋が落とされた事を意味していた。

 

平和と戦争、お互いが混じり合うゼロサム・ゲームの世界に・・・・

 

【西暦2021年2月3日】

【惑星スーシア.ニューアマゾン森林地帯】

 

AXK-1ウラルⅡと呼ばれる新統合軍デストロイド・ジャベリンのコピーデストロイドがニューアマゾン森林地帯に小銃を構え、森林地帯に潜んでいた。

所属はアレンダル人民共和国防軍、新統合政府に反発した亜プロトカルチャー星間国家の軍事組織である。

 

その隣には反統合ゲリラ組織鉄の規律所属の迷彩色のSvー52オリョールがバトロイド形態で潜伏していた。

 

「シラージ連邦軍のデストロイド部隊を確認、どうします?」

 

「まだ撃つな、引きつけて撃て!」

 

シラージ連邦軍物資輸送部隊を見つけたアレンダル人民国防軍はトリガーを構え、いつでも発砲する態勢に入った。

 

惑星スーシア

5年前の短距離移民船団による発見された地球から20光年離れた惑星である。

スーシアはスーシア人と呼ばれる原住民がおり、スーシア共和国.シラージ連邦.アレンダル人民共和国など多数の国家が存在していた。

 

2016年の短距離移民船団と接触後、スーシア共和国.などの国家は新統合政府に編入、シラージ連邦は他の友好国家と統合した上で国交樹立と共に安全保障条約締結の後同盟関係を締結し旧スーシア共和国首都レシオに自治政府首都を置いた。

 

しかし、アレンダル人民共和国は新統合政府に敵対行動を取り同盟国などと統合し新統合政府と対決姿勢を鮮明にした。

 

アレンダル人民共和国は流れ着いた反統合ゲリラ鉄の規律やブラックマーケットなどと手を組み、元からあった兵器に加えデストロイド・ジャベリンのコピー兵器ウラルⅡを主力機としブラックマーケットで入手した新統合軍兵器を運用しており新統合軍とスラージ連邦軍と衝突していた。

 

時折、シラージ連邦の輸送部隊が通るルートに潜伏し攻撃を仕掛け物資を強奪している。

 

「よしいいタイミングだこのまま撃・・・・」

 

「なんだ!?」

 

ある程度シラージ連邦共和国物資輸送部隊が通過するのを見届けたアレンダル国防軍だったが、突如2連高速砲を装備した支援型ウラルⅡ1機が破壊された。

撃墜された姿を見たアレンダル国防軍各機は反撃しようと試みるも、次から次へと破壊されていった。

 

「シラージか?新統合軍の犬か?」

 

「いや違う・・・・・アンノンだ!」

 

アレンダル国防軍と鉄の規律の可変戦闘機部隊は潜伏を解除しデストロイド部隊を殲滅した敵機を探そうとしたが、新統合軍の国籍マークのない前進翼とカナード翼のついたVFー1が単機が飛来してきた。

見た事のない畏敬の可変戦闘機に驚くも、自分達を襲った謎のバルキリーを迎撃に向かうが出てきた所を狙い撃ちにされ全滅した。

 

「僕の敵ではないなぁ。」

 

謎のバルキリーのパイロットは女性であり、新統合軍と違ったパイロットスーツを身に着けていた。

女性パイロットは撃墜され炎上するアレンダル国防軍の非正規製造のVFー1バルキリーを見て、冷めた表情を浮かべながらバトロイド形態に変形した。

 

『何をしているオクトパス、新統合軍とシラージ軍が来ているぞ。』

 

「シラージ軍?我々の取引先の味方では?」

 

『我々の任務は非正規だ!シラージおろか新統合軍に知られるわけにはいかない。』

 

「・・・・・オクトパス、ラジャー帰投する。」

 

バトロイド形態に変形し森林地帯に降り立った謎のバルキリーのパイロットは上層組織からの通信で撤退を促されました。

このパイロットもとい所属組織は新統合軍等の友軍であるが、任務が非正規の為見られてはいけないらしい。

謎のバルキリーはバトロイド形態に変形し、ハイウェイに出ると少しジャンプしてファイターに変形した。

 

「こちらガビアルリーダーからHQ、戦闘の光を確認した。」

 

『こちらHQ、何か確認できたか?』

 

「爆炎です、あちこちで反統合同盟系の兵器や我が軍の旧型が見えます。」

 

その頃、旧型のVFー1バルキリーを主力とした新統合軍とシラージ連邦軍の混成飛行隊がシラージ連邦軍輸送部隊上空に飛来した。

戦闘の光が見えたと通報を受け現地に到着すると破壊されたウラルⅡやBTRー90の無残な姿だった。

 

更に無残な姿で恨めしそうに手を伸ばす鉄の規律所属のVFー1バルキリーの残骸を発見しガビアル小隊隊員の一人は胸が締め付けられそうな思いに駆られた。

 

「こちらガビアル3、未確認機が逃走してます。」

 

「未確認機?」

 

「シルエットはVFー1・・・・しかし、前進翼にカナード翼・・・データにない機体です。」

 

ハイウェイから逃走する謎のバルキリーの姿を目撃したガビアル小隊は驚いた。

未確認機と言えども、前進翼とカナード翼を除けば普通のVFー1バルキリーであるのだが所属不明であるどころか追撃しようにも追尾が出来ない速さで逃走した。

それにアレンダル国防軍と鉄の規律のゲリラ部隊を殲滅したのは、恐らく謎のバルキリーだろうとガビアルリーダーはそう考えた。

 

敵か味方かの判別はともかく、他にゲリラ部隊がいる可能性がある為ガビアル小隊はシラージ連邦軍のVF部隊と共に現場検証を始めた。

 

「こちらオクトパス、これより帰還する。」

 

『こちらマッカレル、シークレットハンガー02に侵入されたし。』

 

「了解。」

 

現場から逃走した謎のバルキリーはシークレットハンガー02と呼ばれる秘密地下飛行場へ向かう事となった。

新統合軍やシラージ連邦、アレンダル国防軍に察知されない厳重なセキュリティで守られた地下飛行場に向かい、補給を受ける事となる。

 

「オクトパスいやセレイン・D・スターン3等特尉、無事にゼネラル・ギャラクシーにカットラスゼロのデータを送れる。」

 

「ミリア・F・ジーナス中尉の惑星エデンにおける実機のテストで十分では?」

 

「いやそれだけでは不足する事もある。スターン3尉、お前は気にせずシークレットハンガー02に戻ればいい。」

 

「・・・・了解。」

 

謎のバルキリーの名はVFー1X9カットラスゼロ。

そしてパイロットの名はゼネラル・ギャラクシーのグループ企業の民間軍事会社.ディフダに所属するセレイン・D・スターン、ゼネラル・ギャラクシーが開発中のVFー9とVFー10の為に実戦データ収集の任に就いたPMC兵である。

 

惑星エデンのニューエドワーズ基地で実施されるVFーXー10改プロトカットラスの試験バックアップの為にアレンダル国防軍や鉄の規律相手に戦闘をふっかけた。

 

見事、任務に成功し情報収集が完了しセレインの駆るカットラスゼロは新統合軍・シラージ連邦軍の防空網を掻い潜り、ディフダが所有する秘密地下飛行場シークレットハンガー02に帰還した。

 

 

【西暦2021年2月4日】

【月面クラビウス基地.月面第2総軍司令部.幕僚会議室】

 

月面クラビウス基地内にある第2総軍司令部では幕僚が集められていた。

 

先の遭遇戦で反統合系ゲリラと思わしき者に輸送中であったVFーXー8ファントムⅢ試作2号機が強奪され、巻き込まれた新統合軍艦隊の駆逐艦2隻撃沈.飛行隊壊滅、それだけでなくS.M.S艦隊壊滅と言う事態に第2総軍司令チャールズ・ブラウン大将は幕僚達に意見を求めた。

 

しかし

 

幕僚達の意見が割れた他、一部の幕僚から白川提督に対する責任問題を追求する声が一部から出るなど議論は中々進まなかった。

地球の参謀本部とブリタイら月面アポロ基地新統合宇宙軍総司令部の将官らも参加、地球とアポロ基地の将官らは白川提督を擁護しVFーXー8に対する寛大な処置をクラビウス基地の幕僚に求めた。

 

結果、VFーXー8の開発は開発者のアム・ヒタチアにより試作1号機を含め他試験機の強化改修と原型機のVFー4000シュメブルーメを改造した試作機による試験が提案され、開発継続が決定した。

 

「提督、お疲れ様でした。」

 

「私の責任問題になるのは仕方がないにせよ、画期的な対策がこうも簡単に出んとはなぁ。」

 

輸送路対策は一応護衛部隊の強化、中間地点に警備基地を建設する事が決定したが白川提督的には画期的な対策とは言えなかった。

警備基地を設置するにせよ人員不足な新統合軍の戦力を割くわけには行かないので、同盟国軍の駐留拠点にするしかない。

 

更に護衛部隊強化と言われたものの、QFー2000の発展型QFー4000リーパーが複数に追加配備されたのみである。

 

これで満足のいくと言ったら舐めているとしかない。

 

「閣下が責任取らされるならアポロ基地側もS.M.S側の代表も取るべきだと思います。」

 

「責任の押しつけ合いは良くないよ中尉、軍人たる者・・・・危機的状況には動じず冷静に対処すべきってね。」

 

メロディーは白川提督に対する責任論に対しアポロ基地側やS.M.S側の代表にも責任を取らすように主張したが、責任の押し付け合いは良くないと諭された。

白川提督的には無用な問題を引き起こしたくないと考えており、変に反論して周りからの印象を悪くして失脚するのだけはごめんだと思っていた。

 

「白川提督。お時間よろしいでしょうか?」

 

「君はアム・ヒタチア主任?」

 

「はい、提督の尽力により私が開発に携わったVFーXー8計画何とか続けられそうです。」

 

アム・ヒタチアが話しかけてきた。

 

ゼントラーディ人でありながらゼネラル・ギャラクシーに参加せず、新星インダストリーにてVF開発に携わっている女性エンジニア兼デベロッパーだ。

前歴はゼントラーディ軍ラプラミズ艦隊旗艦の通信兵であるが、VF開発にあたってVFパイロットとしての資格を有する優秀なエンジニアである。

 

先の戦闘でSDPー1スタンピードに搭乗しファントムⅢを奪還しようとしていた。

 

結果は後一歩のところで逃げられ、アムも戦闘の際軽く負傷している。

 

「ヒタチア主任、研究資材は残っている。そこまで気を病むことではないし、中止するまでもない。」

 

「しかし、奪われた事により安全保障上のリスクが・・・・」

 

「起きてしまった事は仕方がないし悔やんでも何も始まらない。今は新たな兵器を開発し失って連中に与えた物以上の結果は出さねばならん。」

 

ファントムの強奪は安全保障上にリスクがあるが、一度強奪された以上は仕方がない話であるので失った物以上の結果を今後出さなくてはいけない。

残されたファントムと原型機シュメブルーメで開発を継続し、奪われた物以上の完成品を新統合軍に納品しなければならない。

 

新星インダストリーとしても競合企業であるゼネラル・ギャラクシーのコードネーム.カットラスに遅れは取りたくない。

 

「コスト高では移民惑星の部隊には積極的に配備されないだろうな。」

 

「それは・・・・・・」

 

「移民惑星のニーズには合わないし、ゼネラル・ギャラクシーのゼントラーディ人・・アルガス・セルザー主任の優れた設計かつ低コストのVFーXー10の方がよく合う。」

 

新統合軍の本命はVFーXー10だ。

 

既に前進翼のVFー9とテーパー翼のVFー10の双子の機種が新統合軍上層部により形式番号が振られており、惑星エデン・ニューエドワーズ基地における試験が完了したら各移民惑星の防衛軍に配備される予定だ。

 

更にモンキーモデルが同盟国軍にレンドリースされ、将来的にライセンス生産を視野に入れている。

 

「提督、流石にそれは酷です。」

 

「いえ、秘書官殿・・・・事実ですから・・・・」

 

「しかし・・・・」

 

アム自身、VFーXー8に関しては自信作だがゼネラル・ギャラクシーに勝てると思ってなかった。

 

原型機であるVFー4000シュメブルーメは高性能機だがVFとしてはコストが高く、質が良くコストを安く抑える準主力機としては相応しくなかった。

開発者アムはクラビウス支社のイ・イェスルと協力し新統合軍にプレゼンし特殊部隊用の少数量産型機として採用してもらった。

 

VFーXー8は質を上げつつコストダウンに成功した自信作だ!大量生産といかなくてもある程度は地球から辺境の惑星や移民船団まで配備できるかなと思っていた。

 

現実は甘くないアルガス・セルザーのVFーXー10はとてもコストも性能も優秀で勝てなかった。

 

「ヒタチア主任、君の手腕や設計思想は悪くない。君のスタッフもな。」

 

「閣下それでは何故あのような?」

 

「私は単に事実を言ったまでだ、事実をな。それ以外でもそれ以下でもない。」

 

白川提督自身VFーXー8を嫌っているわけではない。

 

機体性能はVFーXー10より優れているし新統合軍正規部隊で積極的に使ってみたい。

だが新統合軍地方部隊が求めているのは高質低コスト機であり、高級機ではない。

一応コンペと言う方にになっているが、既に勝者はVFーXー10で決まっていた。

 

優れた機体を廃案にするのは勿体ない、使えるならば別の手で使えばいい。

白川提督は他のクラビウス基地の将官は勿論、月面アポロ基地の総司令部と地球の参謀本部に根回しをしており、追及会議におけるVFーXー8開発継続に繋げている。

 

「辺境に配備するのはVFーXー10だが、ヒタチア主任のVFーXー8は他の所で役に立ってもらう。」

 

「閣下、私のVFーXー8は制式採用されたら何処に配備するつもりですか?」

 

「地球・マクロスシティー防衛隊とアポロ基地に配備されるのは間違いないな。後は・・・」

 

「後は?」

 

「いや軍規だな、これ以上は言えない。」

 

VFーXー8がVFー8ファントムⅢとして制式採用されたら配備予定はマクロスシティーとアポロ基地の防衛隊に最優先で配備されるが、残りの配備先は教えなかった。

理由は軍規であると言ってはいるが、釈然としない。

 

(何を考えているんだろうか、不気味だな。)

 

アムは白川提督に疑念を抱いた。

正直何を考えているか分からない人間は地球人だろうと同胞だろうと信用しない。

軍規であるのならば元ゼントラーディ軍人だから理解してはいるが、完全に信じられない。

 

「提督そろそろリモートでブリタイ・クリダニク提督との会談の時間です。」

 

「そうだったな中尉、ヒタチア主任・・・早く事が済んだらアポロの家族の下に帰りなさい。お子さんも心配している。」

 

「こちらこそ、ファントムⅢ開発計画の件だけでなく家族の心配までありがとうございます。」

 

VFーXー8が開発継続出来たのは感謝している・・・でも信用出来ない。

 

開発した機体は数多くの新統合軍将兵を乗せる翼になる。

それを何に使うか明確に示せない白川秀康提督言う一人の軍人を信用してはいけない。

 

アムはゼントラーディ軍人として培ってきた感で白川提督を警戒した。

 

【西暦2021年2月4日】

【ラ・カーティア星系惑星ミレラ】 

 

 

3年前の2018年6月4日に第3次超長距離移民船団メガロード02により発見された入植可能惑星ミレラは新統合軍による入植作業が行われていた。

メガロード02は入植住民をミレラに残すと衛星軌道上に登り、新統合軍ミレラ自治防衛艦隊の拠点アースガルドⅢとして機能するようになった。

 

地球人類の新たな活動の拠点として機能する事になった惑星ミレラだが、必ずしも喜ばしいばかりの話ばかりではなかった。

 

「こちらシタープ・アクーラよりゲストへ着陸を許可する。」

 

「エスケスタ、貴官らの歓迎を心から喜ぼう。」

 

惑星ミレラの新統合軍の支配が及んでいない惑星南西の無人島。

 

全体的がジャングルで覆われており、各種ミサイルランチャーや対空ガトリング砲が各所に配備されており旧反統合同盟のデストロイド・オクトスやデストロイド・シャイアンが潜伏していた。

 

地下格納庫にはSvー51と発展型のSvー52が配備されており、新統合軍のVFー1A初期型や現役主力機のVFー4ライトニングⅢが少数精鋭も駐機していた。

 

ここはかつての複合企業体ルミナスグループの私設軍隊イルミナシオンの秘密基地が置かれていた。

正確に言えばメガロード02船団に潜伏し潜んでいたその残党である。

 

「ミスター・ダルダントン、此度の来訪心より感謝します。」

 

「カメラード・ビアンキ、こちらこそ迎え入れて感謝する。」

 

イルミナシオン残党の秘密基地の滑走路に着陸したのはゲラム・ダルダントンとその愛機であるヴァリアブル・グラージとその護衛の2機のVAー3インベーダーであった。

ゲラムを出迎えたのはイルミナシオン残党を率いる元地球統合軍大佐であるベニート・ビアンキと反統合同盟のサイード・ジャッラーグだ。

 

「今回は商談だが、大丈夫か?今後新統合軍が惑星の開拓進めればいずれはこの島も開発された基地が露見するぞ。」

 

「それは問題なくミスター、我々は表向きは民間企業でありこの島は弊社ファントムペインの所有する島であるので手出しできません。」

 

「そうか。」  

 

惑星ミレラはまだ開発途上惑星であり、新統合軍基地と1都市しか開発されていない。

だが何十年も経てば惑星ミレラの開発が進み露見する事になる可能性があるが、イルミナシオン残党は株式会社ファントムペインとして表向きは活動しこの島は法人的に所有する財産として扱われるため自治政府は手出しが出来ない。

 

ゲラムはベニートらと共に会議室に入りアタッシュケースからUSBメモリーを取り出した。

 

「拝見させてもらいます。」

 

「中身が確認できたら金を用意しよう。」

 

USBメモリーは近くにいた若い女性兵に手渡され、パソコンで中身の確認が行われた。

中身が確認出来たら代金を用意するとベニートはゲラムに言った。

 

若い女性兵に渡されたUSBメモリーの情報開示は慎重に執り行われた。

 

パソコンにはレミアが強奪したVFーXー8ファントムⅢの詳細なデータが表示された。

表示されたデータを見てベニートとサイードは腰が抜ける程驚いた。

 

「VFーXー8ですか、中々魅力的なスペックですね。」

 

「正確に言えば旧仕様だ!強奪した事で正規のファントムⅢは再調整され、最終的には別物になりますがね。」

 

「それでもだ、これは中々のデータだ。」

 

強奪したVFーXー8はゲラムの予想では開発継続した場合、奪われた機体と同じスペックではなく一部機能を変更し性能向上するだろうと考えていた。

現に新統合軍はVFーXー8開発計画継続する際にVFー4000シュメブルーメを改造した物をベースにした試験機による試験再開を決定している。

 

「ミスターダルダントン、所定の額を指定の口座に振り込んだ。ネットで確認してもらいたい。」

 

「物分かりがいいな、それと渡したデータでスピンオフ機作れるか?」

 

「あまり生産は大量に出来んが・・・・開発班ならできる・・・」

 

取引は順調に進み、ゲラムの望む形の展開になりつつあった。

 

現金の事よりもファントムⅢのデータを基にリバースエンジニアリングして開発したスピンオフ機が開発が出来る事はどんなに大金を積まれるより大成果であった。

オリジナルよりも性能は落ちていいが、コスト面を下げれば新統合軍に対抗できる。

 

株式会社ファントムペインに開発させ、完成した実機を購入し各生産拠点にて生産しブラックマーケットで反統合勢力に販売する。

 

反統合勢力の指揮官機として各地の戦線に投入し、新統合軍と戦う。

自分の開発した兵器で殺される新統合軍兵士の顔を想像しゲラムはニヤッと笑った。

 

「ボス、我々の口座に予定の額が振り込まれました。」

 

「そうか・・・・カメラード・ビアンキ、今回もいい取引をさせてもらった。」

 

「うむ、後・・・スピンオフ機に関しては我々で開発し数機購入してくれ。」

 

「約束しよう。」

 

着金の確認とファントムⅢのスピンオフ機の開発後の量産機の購入の約束を取り付け部下2名引き連れ愛機のヴァリアブル・グラージとその護衛機インベーダーが駐機している秘密滑走路に向かった。

 

「地球人社会は面白いな、ゼントラーディの社会よりも面白い。」

 

「はぁ?」

 

「ゼントラーディの戦争は攻撃破壊と単調だが、地球は謀略交渉等々面白い要素がある。分からんか?」

 

「いえ将官は・・・・」

 

ゲラムは地球人社会を楽しんでいた・・・・ゼントラーディ社会よりも面白いと・・

 

ゼントラーディ軍は戦術戦略はあれど固定化された物を採用されているに過ぎず、基本は攻撃と殺戮破壊の連鎖と言う単調の戦い方しか出来ない。

地球はゼントラーディとは違って軍隊の上に政治がありその上に国家がある、それに加えた軍事関連の企業が存在しており単に動いているのではなく様々な思惑が蠢いている。

それだけじゃない必要な資源や土地や技術など使うだけじゃない、持てる者が持たない者に対して取引を持ちかけたり、力のある持たない者が力のない持てる者から奪うなど一筋縄ではいかない。

 

それだけじゃない、政治が原因で新統合政府に対し反旗を翻し抗争を繰り広げる者がいる。

 

事実上のアメリカによる地球統合政府構想に反発し、ロシア(+ワルシャワ条約機構)と中国などの反統合同盟の流れを組む各反統合勢力。

先の大戦で帰順したが新統合政府の方針に反発し決起したゼントラーディ系反統合勢力。

など様々な理由で新統合政府に反乱を起こし各地で戦闘を繰り広げている。

 

それだけじゃない地球領域内でも各政治団体や反社会勢力も抗争や暗躍だってしている。

 

「私は反統合勢力だけでなく新統合軍や各星間国家、各国に戦乱の火種を産みこむ。」

 

「僭越ながら戦乱の火種を産みこむ理由は何ですか?」

 

「簡単だ・・・・・ゼントラーディ人が望む・・・・戦乱の宇宙だ!」

 

だからこそ、戦乱に満ちたこの世界を面白おかしく描いてみようと考えた。

戦闘種族ゼントラーディ人が望む面白い戦いの世界と言う混迷の世を・・・・

 

地球人類はまだまだ先の大戦の傷は癒えてはいない。

当然、やりすぎる必要はない。

超長距離移民船団による人類播種計画が進めばチャンスの可能性も広まる。

 

「戦乱の宇宙ですか?」

 

「新統合政府打倒は至難の技だ・・・簡単には反統合勢力や弱小反統合星間国家では倒せん。だから我々が裏から働き連中に力を与えたり、新統合軍には造反部隊を促す。」

 

「上手く行くのでしょうか?」

 

「簡単とはいかないが・・・・・面白い結果は確実になるだろうな。」

 

反統合勢力や反統合国家が新統合政府打倒出来るとは思ってもいない。

新統合軍内部から反乱や独立運動が成功する事も思ってもいない。

 

求めているのは戦乱を紙に火を付けるが如く燃え広がる事・・・・・

 

簡単に新統合軍に潰されない用に兵器や物質を売り、お互い殺し合ってもらう。

ゲラムは笑みを浮かべたままヴァリアブル・グラージに乗り私用宇宙船のある港へ向かった。

 

【西暦2021年2月4日】

【月面クラビウス基地官舎・ラウラ・ベルタリア邸】

 

 

自室謹慎をしているラウラだが、世の中いろいろ動いている事を知らない。

政治やブラックマーケットなどいろんな動きがある中、ラウラは勉強一択だった。

もはやガリ勉、地球のいろんな事を学んでいる。

 

処分は蟄居処分であるが、機種転換センターへの入所が可能なのは不幸中の幸いだった。

 

『昨日未明、惑星スーシアニューアマゾン森林地帯にて戦闘が発生しました。シラーズ連邦防衛省によりますと、現地にはアレンダル国防軍・・・・』

 

『アレンダル国防省はシラーズ防衛省の発表に対し、破壊されたのは正規軍から脱走した・・・・・ 』

 

テレビから映し出されるニュース番組の戦争の報道を見て地球の戦争は違うなと感じた。

 

ゼントラーディ軍時代はただ上から命令されて出撃し戦ってきた。

命令され出撃して戦場に出て戦うそれが当然だと思っていた。

 

地球人は違う、軍隊が戦場に出て戦うのが当然であるが上位組織に国家が存在する。

国家には議会とそれを構成する政治家、その中枢たる行政府が存在し軍隊は国防総省麾下の組織であり軍隊しか存在しないゼントラーディとは大違いだ。

 

軍隊は政治家の指揮官・統制下にあり、最高司令官が統合政府大統領でその副官たる存在が国防総省長官であり新統合軍参謀本部長は更に下の地位にあると言う。

更に軍の法律や予算管理も軍人ではない職員が担当する。

上記の文民統制・文官統制を総じてシビリアンコントロールと言うらしいが、ゼントラーディ人であるラウラからすれば理解しがたい話だった。

 

「地球人はかなり面倒くさい体制でやってんだな。」

 

地球人はいろいろと面倒くさい体制だ。

文民統制の文民たる政治家は選挙で有権者から多くの票を得た制度で入れ替わる。

多くの議席を得て政権与党と成し、大統領選で与党側の候補を当確させる事が出来る。

 

選挙・・・司法・立法・行政・・・・まだまだ分からん。

 

「そう言えばあいつの言葉が今になって気になり始めたな。暇だし買い物に行くか..」

 

ラウラはふと大樹の言葉が気になったが、勉強のし過ぎて気分がおかしくなったので買い物をして気分転換でもしようと考えた。

蟄居処分と言っても形だけであり、部屋周辺の娯楽施設や飲食店など利用しても問題ない。

 

私服に着替えるとエレベーターから降りて管理人に出かけると伝え外に出かけた。

 

「買い物行くより酒でも飲んで気分転換の方が・・・」

 

「あら見かけないゼントラーディ人、珍しいわね。」

 

官舎から出るとゼントランらしくない髪型のゼントラーディ人が話しかけてきた。

緑色のショートヘアだが横髪の長い可愛らしい性格そうな感じの奴だ。

 

特に感じるのは絵理のように文化慣れした佇まいだった。

 

「つい最近、海兵隊に転属した者で・・・・・」

 

「名前はラウラ・ベルタリア曹長・・・・年齢・・22・・・5月に23かぁ。」

 

「勝手に何を!?ゼントラーディ軍の出身だったら・・・・」

 

「すいません、一応気になったから。」

 

性格は人懐っこくラウラが首にかけていたカードホルダーのIDカードを見て自身のプロフィールを復唱、おまけに年齢まで言うデリカシーの無さがあった。

何処かメフィリアと似ている、あの時の戦いの前ミンメイ人形を何処からか拾ってきては自慢し楽しんでいた姿と目の前のゼントラーディ人と重なる。

 

「ごめん自己紹介しなきゃね、名乗るなら自分からで・・・私はロザ・べサーズ准尉、VFパイロットをしているわ。」

 

「准尉?嘘・・・・・」

 

「活躍の場に恵まれてなかったので万年准尉ですけれども。」

 

「それでも准尉は凄いですよ、私なんて今だに曹長ですから。」

 

人懐っこいゼントラーディ人はロザ・べサーズと名乗った。

階級は准尉、年齢は18歳と言うラウラよりも2ターム後に製造されたゼントランだ。

話せばロザがマイクローン化したのは終戦間もない頃であり、地球の文化に憧れたのが理由との事。

 

ただマイクローン化したとは言えやれる事がない為、新統合軍に入隊しVFパイロットとしての訓練を受け長らく月面防衛の任に就くケロヨン中隊(航空自衛隊第301飛行隊)の一員として防宙任務に就いていたと言う。

万年准尉とは言え実力は悪くなく、撃墜数は32機とまぁまぁ悪くはない。

 

「ベルタリア曹長は無断使用して蟄居中と?」

 

「不幸中の幸い蟄居だけで済んで今は勉学に励んでいるわけでして。」

 

話し始めて結構馬が合った。

 

性格が穏やかな為かゼントラーディ軍女性部隊(メルトランディ)特有の派閥意識が無く、話しやすくまるでアンジェミラやメフィリアと喋っているようだ。

これから出かけると言うのに結構長々と話してしまった。

 

「ヤバっ結構話してしまった。これから出かけるのに。」

 

「ごめんラウラ、ご近所さんだからまた会いましょうね。さよなら」

 

「うん、休日重なったら文化の事教えてね。さよなら・・・・」

 

予想以上に話してしまった。

 

お互い予定があるのでこ解散したが、いつの間にか呼び名が下の名前になっていた。

この時点でロザの方が上官であるが、2人は気にせず話し合っていたので仲は深まっているようだ。

 

ラウラと別れたロザは自室に入るとスマホに電話がかかってきた。

 

「べサーズです・・・・・・・あっ大尉・・・・」

 

『ロザ・べサーズ准尉、休暇はどうだ?』

 

「はい問題なく、結構面白い隣人さんと出会ったり有意義に過ごせました。」

 

電話の相手である大尉に面白い人物に出会えたと話した。

まるで古い戦友に出会えたかのような懐かしさを覚えながら・・・・

 

電話越しの大尉は何かを察したのか、好意的な反応を示していた。

 

『べサーズ准尉、そろそろ俺は神楽とミーティングがあるから失礼する。』

 

「ハッではまた明日アルタミラに乗艦したらよろしくお願いします。吉野大尉。」

 

『分かった。』

 

ロザはそう言って携帯を置いた。

 

彼女もまた白川提督と茂人が集めているアンサーズ中隊の隊員の一人であった。

ケロヨン中隊から転属し艦内の自室や官舎の引っ越しを済ませる為、数日休んでいた。

携帯を置いたロザはさっきの楽しげな出来事を思い出すとふふと笑った。

 

【クラビウス基地】

【ラウラの官舎の近くの軍人バー.ヘッド・ショット】

 

 

バーで呑んでいた・・・・特に理由もない。

取り敢えず酒が飲みたかったからルナビールの瓶を注文し、チーズを肴に呑んでいた。

 

地球の酒はかなり美味い。

ゼントラーディ軍にも酒はあるが、単に酔うだけのアルコールである。

クローン兵士なので最初から大人として産まれたラウラは何年も酒を飲んではいるが、地球の酒は多種多様であり味わいも香りもいい。

 

食文化も優れているので付け合わせのつまみも美味い。

 

「あらラウラ、こんな所で一人飲み?明日から入所式なのに?」

 

「別にいいでしょカゴメ、飲み過ぎて明日出られないなんて失敗はしたくない。」

 

「安心して明日迎えに行く時、拳銃で殴る・・・・」

 

「痛そうだからやめて・・・」

 

一人で飲んでいると私服姿のカゴメが隣に座った。

 

私服姿のカゴメは何度も見ているが、本当に魅力的に見える。

ミニのタイトスカートに黒ストッキングにブーツ、上は革ジャンにチューブトップ。

普段は真面目な雰囲気であるカゴメだが、今はギャルファッションだ。

 

「カゴメ、その娘は?」

 

「ラウラよ・・・・・御本人」

 

「ラウラ・ベルタリア・・・・なるほど」

 

カゴメの隣に栗髪のポニーテールの美女がいた。

 

短パンにニーソ、Tシャツとカゴメに比べて地味だがシンプルで悪くない。

知的そうな雰囲気が漂っているのでかなり高い地位のいる軍人だと察した。

 

「カゴメ、この方はどなたでしょう?」

 

「この人は・・・友人の」

 

「私はメロディー・・・メロディーって呼んで。階級は中尉、タメで大丈夫です。」

 

ラウラは珍しく敬語みたいな感じでカゴメに質問した。

 

カゴメは友人の・・と言いかけた所で栗髪の美女が割り込み自らメロディーと名乗った。

栗髪の美女の正体は白川提督の秘書士官のメロディー・ギンヌメール中尉である。

そしてカゴメの士官学校時代の同期兼親友であり、首席次席の座を争ったライバルである。

 

「苗字も言わないなんて変わってるね。」

 

「立場があってここでは言わない約束なのよ、他・・・誰が見ているか分からないし。」

 

メロディーは白川提督の秘書士官であり、ミステリアスなイメージを持っている。

プライベートになると20歳の女性らしいファッションを好んでいる。

 

イメージがある為か他の同僚に知られないよう、プライベートでは普段の自分に見えないように違う化粧したりピアス付けたり違う髪型にしている。

 

これを知っているのはカゴメと本の数人の親友だけだ。

 

ラウラは変な女性だなと思いつつ、カゴメ達と会話しながら飲んだ。

 

「ご馳走様、私先に帰ります。」

 

「ラウラ、引き際早いわね。」

 

「これ以上飲んだら部屋に帰れなくなったり初日で失敗しそうだから。ではまた明日〜」

 

ラウラはカゴメとメロディーと30分話しながら飲んだ後、店を出る事にした。

 

飲み過ぎたら明日の入所式の出迎えの際に本気でカゴメに拳銃で殴られてしまう。

拳銃で殴られるのが嫌なので迎えに来る前に整理整頓などきっちりやろうと考えていた。

帰る道中上を見上げると、夜空の先に薄っすら天井が見えた。

 

 

「メフィリアもアンジェミラも無事かな・・・・・シュリは少し動けば出会いそうだけど。」

 

薄っすら見える天井の先にはメフィリアやアンジェミラが今も海兵隊員として戦っている。

 

シュリなどの生き残った戦友たちもまた何処かで戦っている。

平和な状態のクラビウス基地とその地下都市クラビウスシティーではあるが、外は何処も少し歩けば戦場と心休まる場もない戦乱の世である。

 

入所式を終え3カ月訓練終え実戦部隊に配属されれば戦乱の世に戻る。

 

「リン・ミンメイと言う存在がいながら文化がありながら何故、地球人は今だに戦い続けるんだろうね?」

 

先の大戦でアドクラス艦隊の兵士達がリン・ミンメイと言う地球人のアイドルに惚れ込みそれが切欠で、第1次星間大戦における地球統合軍の辛勝と言う奇跡の勝利に終わった。

 

それでも人は今もまた戦い続けている。

 

ゼントラーディ軍と監察軍の基幹艦隊そして他の基幹艦隊に合流出来なかったはぐれゼントラーディは仕方がないにせよ、地球人同士は平然と殺し合う。

 

文化を持てば戦わなくなり滅ぶとプロトカルチャーからの言い伝えがあった。

でも現実は・・・・・・・

 

『新統合軍南米軍管区の発表によりますと、自由アルゼンチン軍の拠点があると思われるサルタ地区に対し第7戦略攻撃飛行隊による空爆攻撃を実施しました。』

 

「こればっかりか・・・・地球人もゼントラーディ人と違って文化はあれど、基本は変わらないんだな。」

 

文化を持っているだけで地球人とゼントラーディ人は変わらない。

どんなに平和を願っても、どんなに戦争を嫌だと思っても人は戦争を捨てられない。

リン・ミンメイと言う歌の奇跡はあるかもしれないでも歌では戦争を消せない。

 

地球人類はなんて罪な生き物なのだろうか?

 

ラウラは改めて地球人の戦争の歴史を学ぶべく自室に戻り勉強しようと考えた。

 

歴史は重なりそうになくても、以外な所で重なっていく・・・・

歴史の損得は歴史の様々な重ね合いにより、変わってゆく・・

 

自分の目には入らず自分の耳にも入らず無関係そうに見えても、何処かで繋がっている。

複数の思惑や複数の出来事が混ざり合い、時に利を得て時に損を得て総じてゼロになる。

 

それがゼロサム・ゲーム・・・

 

勝利者無き果てし無き第2次星間大戦・・・・・

それは後に起るバロータ戦役やバジュラ戦役等を含む壮大な銀河戦争史のプロローグに過ぎなかった。

 

今日の勝者が明日の敗者になり、今日の敗者が明日の敗者になる。

誰も得しているようで得しない戦争・・・ゼロサム・ゲーム・ ウォーズ・・・

 

ラウラそしてその周囲はこれから過酷な歴史の波に飲み込まれようとしていた。

 

本編前話

 

本編次話

 

 

 

 

 

大樹率いるクーガー小隊はジェフリー率いるダンパー小隊と共に艦隊から先行してラウラ達輸送艦隊とはぐれゼントラーディと反統合ゲリラ.戦闘宙域に向かっていた。

遠目から見えるほど戦闘の光が見え始め、ゼントラーディ艦艇の大きすぎる姿が見える。

 

隊員に突撃命令を出そうとした瞬間、シナノから通信が入った。

 

『シナノコントロールよりクーガーリーダーへ、クラビウスベースより警務飛行隊が出撃しました。予測現場到着は我々が現場に到着して15分後です。』

 

「クーガーリーダーよりシナノコントロールへ、どう言う事だ?何故警務飛行隊が出てくる?」

 

『カゴメ・バッカニア少尉とラウラ・ベルタリア曹長がVFー1Dを無断使用に基づく・・・』

 

「ここまで言えばそれでいい。」

 

ラウラとカゴメの無断使用、いや無断使用したのはラウラの方。

 

ゼントラン海兵隊出身であるラウラは本能でVFを無断使用したんだろう。

真面目で軍務に誠実でオペレーターが本業のカゴメがやるはずがない。

 

艦隊が襲撃されて何も出来ない事に不満を感じ、本来のパイロットよりも先にVFー1Dに乗り込んだ・・・・カゴメはそれを見つけて巻き込まれたと。

 

「確実にラウラだな・・・・ラウラらしい。」

 

呆れた声のシュリの声が聞こえた。

 

生まれてずっと同じ部隊の仲のいい戦友として戦ってきたシュリならばラウラの性格はここにいる誰よりも詳しい。

ラウラがVFー1Dを無断使用し、戦場で戦っても当然だと思っているようだ。

 

白川提督の推薦の兵とは言えこのような軍規違反が当然だと言う感覚でこれから一緒に戦ったり、過ごすのはラウラ自身や周りの面々的に不味すぎる。

地球人とゼントラーディ人の風習や文化の違いで済ましてはいけない。

 

『艦長のボーグナインだ!白川提督からの伝達である。カゴメ・バッカニア少尉並びにラウラ・ベルタリア曹長を保護しろ!』

 

「保護?提督にも報告済みなのですか?」

 

『当然だ!今回の件は軍司令部各所に報告されている。提督としては両名を保護、処遇はこちらで決めるそうだ。』

 

「了解。難しい事は任せます。」

 

今回の遭遇戦の報と警務飛行隊の出撃の報は白川提督の下に届いており、カゴメはともかくラウラを軍法会議で処分されるわけにはいかないので保護するように命令を出した。

 

完全に権力の私物化であり軍人として規律を見做す行為だが、馬鹿正直にやっていては権力闘争を勝ち抜いたり目的達成する事は出来ない。

目的達成の達成の為、法を犯してでもラウラを保護しなければならない。

 

とは言え完全に無罪とするわけにはいかないので軽度の処罰を与えるが・・・・

 

「クーガーリーダーから各隊員へ、戦場に急行し友軍部隊の救援任務に従事した後・・・無断使用のVFー1Dを連れ帰る。」

 

大樹は白川提督や軍内部の事情がどうであれ、任務遂行を優先した。

 

自分が副隊長として率いる部隊の隊員候補をむざむざここで死なせるわけにはいかない。

優秀な兵士であるが故にこんな所で死なせるのは無念の極みしかない。

それに無断使用の件で警務隊に連行されるのも忍びない。

 

操縦桿を強く握り、大樹は部隊を率いて戦場へ急行した。

 

【戦闘宙域】

 

 

ラウラはVFー1Dのカメラが液晶漏れする程、ボロボロになっていた。

 

新型のVFーXー8を駆るレミアと旧型のD型を駆る自分の機体性能差は大きく、いくら自分がエースとは言え段々と追い詰められていった。

 

ラウラは航行不能になり残骸と化したオーベルト級宇宙駆逐艦シンプソンの甲板に着地しレミアに向けてガンポッドを向けた。

 

「このままでは私が負ける........」

 

自分が地球由来の兵器に痛い目を見たのは海兵隊に所属してた時の哨戒任務で遭遇したゲラムが駆るヴァリアブル・グラージ以来だ。

ゼントラーディ軍や監察軍とも違う技術を持っており、自分達が思いつかないような戦術を駆使する事が出来る。

 

特にVFなんかはファイター・ガウォーク・バトロイドに変形する事が出来、3形態を上手く活用する戦術はゼントラーディ軍からしたら衝撃的だ。

 

今こうしてVFー1Dに乗って3形態を駆使して戦っているから分かる。

 

だが、その形態を駆使した戦い方は目の前にいるレミアの方が経験値が上手だ。

強奪した最新鋭機に乗っており、旧型である自分と比べたら差が大きい。

 

「何としても生き延びてVFの技能をしっかり身につけたい。死んでたまるか!」

 

差が大きいけれども何としても生き延びて経験を活かしたい。

 

何のためにマイクローン化したのか?何のために今までの自分を捨ててVF(可変戦闘機)パイロットになろうとしたのか?死んでしまっては意味がない。

 

同胞と戦いゼントラーディ軍人として無くなり、生きる意味を無くし死に場所を求めていた自分にようやく見えてきた希望の光を失うわけにはいかない。

 

「!?……こいつ…諦めが悪い……」

 

「お前ら何かに私の行く末を壊させてたまるか!邪魔するならば消えろ!!」

 

生への執着

 

圧倒的不利なラウラを奮い立たせ、激しい猛攻を凌いでいた。

更にシンプソンの残骸を利用し遮蔽物として攻撃を防ぎ、隙を見て反撃……

生への執着と周りにある味方の骸がラウラの最後の頼みの綱だ。

 

だが・・・・

 

「しまった、銃弾の予備が・・・」

 

ラウラのVFー1Dのガンポッドの銃弾が予備共に無くなった。

 

既にミサイルもなく、対空レーザーしか残っていない。

いや対空レーザーもいつまで使えるか分からない。

 

それでもラウラは使用可能な武器でレミアを撃退しなければならない。

 

「レミア、そろそろ撤収しないと退路塞がれるぞ……」

 

「分かっているよ…セルゲイ…だがこいつだけは殺す…………」

 

「…………好きにしろ……」

 

優勢に戦いを進めているレミアだが、時間がない。

 

艦隊からはSOS信号を発しているので近隣の新統合軍や同盟国軍が救援に来る。

その前に撤退しなければ折角達成した目的も無に返す。

とっとと撤退してくれればいいものを、このゼントラーディの女は目先の強敵しか考えていない。

 

取引相手(ビジネスパートナー)に新型機VFーXー8のデータを渡す前に機体を新統合軍増援部隊による奪還もしくは破壊されてはたまらない。

この女(レミア)にとっとの目の敵(ラウラ)を撃墜してもらわねばな。

 

「ぐっ」

 

「痛・・・・ラウラ?」

 

「軽く頭打った・・・・・意識が鈍く・・・」

 

時間を意識してかラウラの乗るVFー1Dはレミアの駆るVFーXー8に頭掴まされシンプソンの残骸に叩き伏せられた。

叩き伏せられた衝撃でラウラは後頭部と前を軽くぶつけ意識が鈍った。

それだけじゃない・・・・機体も動かない。

 

VFーXー8は動かなくなったVFー1Dの手足を破壊し、頭部を掴んだ。

 

「勝負あったな、マイクローン・・・・その訓練機(トレーナー)でよくやった。」

 

「お前は同胞?私と同じメルトランなの?」

 

「ほう・・・・・同じメルトランか奇遇だな、いや良くやったは無しだ。やれて当然か。」

 

接触回線でお互いの声を聞いた・・・そしてお互いが同胞であると知った。

 

目の前にいる真新しいVF(VFーXー8)に乗る同胞・レミアは自分より遥かに優れた機体に乗っていてかなり優れた器量を持っている。

名前は知らずとも何処かの艦隊で何処かの戦隊のエースパイロットであるのは間違いない。

 

そう考えているとマナット中隊の防衛網を突破したリガード.2機接近してきた。

ラウラを掴んだままガンポッドで瞬時に撃破した。

 

「簡単に同胞を殺した・・・・何故殺せる?」

 

「何故って?敵だから?お前もそうだろ?」

 

「私は・・・・私は・・・」

 

「はぁ・・・・その質問している時点で私に負けてんだよ。誰であろうと敵であれば殺すそれが軍人・・・・今のお前は軍人として半人前に堕ちたか。」

 

平然と同胞を殺した姿を見たラウラは何故殺せると思わず問いかけたが反応が悪かった。

返ってきた言葉が軍人として半人前に落ちたかと・・・・・

 

敵だから殺すそれが出来ないのは軍人として半人前、突きつけられた言葉は冷たい。

 

更に激しくレミアの冷たい言葉は続く。

 

「地球人は同じ地球人を誕生から今に至る現在進行形で同胞同士で殺し合いをしているぞ。それを知らないでマイクローンになったのか?」

 

「一応知っている、でも・・・・・今でも信じられない。」

 

「はぁこれだから半人前は・・・・生きる価値ないな。」

 

地球人は平然と同胞同士で戦争し殺し合いをする。

 

先の大戦の1年前まで地球人同士の最後の大規模戦争である統合戦争をしており、100年以内には2度の世界大戦や冷戦下の多様な戦争で多くの人間が殺し合い殺された。

ラウラが想像する以上に地球人は同じ地球人を多く殺している。

 

ゼントラーディ軍は敵前逃亡、反攻鎮圧で同胞を殺す事はあるが地球人と比べたら月とスッポンと言ってもいいように圧倒的に少ない。

 

一応知ってはいるがラウラからすれば半信半疑な話である。

 

半信半疑な考えを持つラウラを見下すようにレミアは嫌な視線を送ってきた。

地球人の苛烈な戦争事情を理解できない半人前だと。

 

「半人前はここで死ね!」

 

レミアは人を絞殺するかの如くVFー1Dの首を強く握り絞めた。

そろそろ本気でラウラとカゴメを殺すつもりでいる。

 

頭部カメラにヒビが入りもはや使い物にならなくなった。

 

「カゴメ・・・・・」

 

「ラウラ・・・・貴女・・・」

 

「死ぬのは私だけでいいや・・・・・カゴメは・・・・生きて・・・・・」

 

死の時が迫る中、ラウラは自身が犠牲になりカゴメを逃がそうと考えた。

 

無断出撃でカゴメが付いていく形になったので巻き込んでしまった。

自分勝手で本来死ぬはずの無かったカゴメを死なすのは申し訳ない。

せめて脱出させ、死ぬのは自分自身だけで済ましたい。

 

「ラウラ・・・・それはダメ・・・ラウラ・・・」

 

無論、到底受け入れられる話ではなかった。

 

死地へ赴くラウラに付いていったのは自らの意志だし、共に死ぬ覚悟はあった。

 

だが・・・・・自身を助ける為にラウラが犠牲になるのは堪えられない。

何故あそこまで自己犠牲精神を貫けるのか?何故、生きる希望を簡単に捨てるのか・・

そう簡単に死ぬ事を望むのはダメ、死ぬのは全てが終わってしまう。

 

何とかしてラウラを止めようとするが、声は届かない。

 

「私を殺す前に頼みがある!」

 

「何だ?」

 

「私を殺す前に同乗者、新統合軍.カゴメ・バッカニア少尉を助けて欲しい。」

 

ラウラは銃口を向けるレミアに自身の命を引き換えにカゴメの助命を嘆願した。

 

ゼントラーディ人として兵士として死ぬ覚悟ある。

自身の夢はここで潰える事になるがカゴメを救えるならば悔いはない。

初めての地球人の友人を救えるならば自分の命は安い。

 

そう考えていたラウラは目から生気が抜けながらも必死にカゴメの命を救おうとした。

必死に何度も助けてほしいと叫んだりしながら・・・・

 

だが・・・・・現実は残酷であった。

 

「助けるわけないだろ・・・・腑抜けたのか?元ゼントラーディ軍人の癖に・・・」

 

拒絶された・・・・・

 

助命嘆願は一蹴され、VFー1Dの頭部を掴んでいた指の圧が強まる。

更に追い打ちをかけるようにゼントラーディ軍人としての誇りを傷つけられた。

 

精神が更にボロボロになる・・・・ラウラは絶望のあまり手の震えが止まらなくなった。

 

「ベルタリア少尉・・・・・貴女何を言っ・・・・きゃ・・・」

 

「お前の相手は俺だ!民間人(ミーリヌィエ ジーチリ)!」

 

ラウラとレミアのやりとりを聞いていたアムは助けに向かおうとしたが、対峙していたSvー51Ωの妨害により遮られた。

 

正規軍人ではないアムはSvー51Ωと対峙しているだけで精一杯であり、仮に突破してもレミアの駆るVFーXー8に返り討ちにあってしまうのがオチだ。

それでもラウラが脱出するチャンスを得られるならばと後悔はない。

 

アムも同じように自己犠牲で誰かを救いたいつもりでいた。

それも叶わない壁が大きくラウラの元に到達出来ないのだから。

 

「本当によくもそんな甘い考えで生きてこれたな。」

 

「なっ・・・それは・・・カゴメ・・・カゴメだけは・・・・」

 

「知らん・・・・だったら死んでくれ・・・・」

 

残酷な現実と共に自身と駆る愛機に冷たい銃口が突きつけられる。

 

カゴメは軍人として覚悟を決めたのか目を閉じ、自らの死の運命を受け入れた。

一方のラウラは残酷な現実と銃口を突きつけられ、涙を流した。

自身のせいで艦内にいればまだ生きられたのに死ぬ事になってしまった。

 

死ぬならば私だけで死ねば良かった。

嫌違うそれは違う・・・・

 

「私はこんな所で死にたくない・・・折角生きる希望が出来たのにぃぃぃぃぃ」

 

感情を込めて叫んだ死にたくないと・・・・・

 

やっと生きる希望が見つかり、これから新しい人生を歩もうとしたのにこの座間。

今までの戦友と二度と再会出来ず、やりたい事も出来ず死ぬのは嫌だ。

ラウラは無意識に自身の顔を両腕で隠した。

 

「!?なんだ!?」

 

「この攻撃何処から?」

 

撃たれると思い叫んだ直後、レミアを狙うようにガンポッドの銃弾が飛んできた。

咄嗟に回避したレミアであるが、一部装甲に命中しその場から離れた。

 

一体何処の機体だ?ラウラは見渡すと、黒い機体が目の前を通り過ぎた。

そして目にしたのは航空自衛隊第8飛行隊のブラックパンサーズのマーク。

VFー1とは違う大型で全く違うVFの姿が見えた。

 

唖然とする姿にモニターに目つきの鋭い若い男が出てきた。

 

 

「ラウラ・ベルタリア曹長だな・・・・・実物はとんだじゃじゃ馬だな。」

 

「えっなんで私の名前を?」

 

「援護する!」

 

目の前に桜花、一撃必勝と描かれたVFー4ライトニングが現れレミアのVFーXー8を攻撃し激しい戦闘を繰り広げた。

そのVFー4ライトニングのパイロットは援軍を引き連れ来援した大樹だ!

 

大樹のVFー4はレミアからの反撃を宙返りしながら回避し、そのまま追撃した。

 

「凄い・・・・・」

 

3形態をうまく駆使した激しいドックファイト(格闘戦)

一流エース級のパイロット同士の激しい戦闘の様子を見てラウラは言葉を失った。

 

大樹が逃げる立場になっても、ガウォークを使い艦船の残骸を滑るように移動し背後から追撃してくるレミアの攻撃を上手く回避し一定の地点でバトロイドに変形し上部構造を左手で掴み上にジャンプし背後から銃撃を加えた。

 

あんな戦い方が出来るなんて何者なんだ・・・・・

 

「吉野大尉、本日アルタミラに転属する日なのに来てくれるなんて・・・・」

 

「吉野大尉?カゴメそれは誰?誰なの?あのエースは?」

 

「それは・・・・・」

 

唖然としていると、カゴメの口から吉野大尉の単語が気になった。

吉野大尉それが目の前で優れた戦闘を繰り広げているエースの名か・・・

 

カゴメに吉野大尉について聞こうとすると近くにVFー4が目の前に降り立った。

 

聞きたい事を遮られ残念そうな表情を浮かべたラウラだったが、映し出されたモニターにはとても懐かしい人物が出てきた。

 

「ラウラ、やっぱ生きてたんだな。」

 

「シュリ!?」

 

「シュリ・ベルラン少尉、今では上官口に気をつけて!まっいいけど。」

 

半年前に海兵隊から離れVFパイロットになったシュリ・ベルランだ。

海兵隊から離れ音信不通であったが、まさかこんな所にいたとは。

 

ゼントラーディ軍時代や海兵隊時代と比べ、明るい性格となっていた。

そればかりではなく階級も同じ曹長たったのが、今では少尉と上官になっている。

下手すれば実力を上回っているかもしれない。

 

助けてもらった以上考えるのは無駄か・・・・

ラウラはそのままコックピットの中で動かなくなった。

 

「火星の英雄(マーズ・ヒーロー)、これほどの実力だとは・・・」

 

「新星インダストリーの新型、VFー4000の発展型と言うがやるな。」

 

大樹とレミアの激闘は続いていた。

 

激闘は大樹が優勢に進めレミアを追い詰めていった。

 

予想外に強力であった大樹の実力、対策も何も出来てない為対応が出来ない。

3年前の火星独立ゼントラーディ軍の武装蜂起の時、混乱が生じた新統合軍火星方面軍の中に新人パイロットが輝かしい功績を残した。

 

それが火星の英雄.吉野大樹、ロイ・フォッカー章とチタニウム章を受章し20代前半の若さで小隊長そして中隊副官を勤めた次世代の期待の星。

 

先の大戦で一条輝と言う凡人が後世に名を残すほどの実績や輝かしい出世街道を歩んでいるが、大樹も似たような道を歩む・・・その輝かしい実績の中で踏みつけられるのがレミアのような敵・・・・・

是が非でも殺してやろうとレミアは最後の力を出そうとした。

 

「やめろ!レミア・ジフォン!Mrダルダントンを失望を買いたいのか!早く撤退しろ!」

 

「こいつは・・・・」

 

「ヤバい連中が来ている、こいつらは先遣隊だ・・・今逃げねば終わるぞ!」

 

「チッ・・・・・」

 

僚機のSvー51が近づき任務遂行優先の為撤退するように促された。

 

反論しようにもレーダーには複数のVFと空母2隻が接近しつつあり、下手すれば脱出ルートが封鎖され折角達成した任務が失敗に終わってしまう。

引き際を間違えれば作戦成功が反転、作戦失敗に終わってしまう。

 

舌打ちをしながらレミアはSvー51と共に戦線から離脱を開始した。

離脱するレミア達にジェフリーらダンパー小隊が追撃した!

 

「野郎!」

 

「リックやめろ!」

 

「しかし・・・・」

 

「はぐれゼントラーディがいる友軍艦隊を救うぞ!ジェフリー、お前らも戻れ!」

 

強奪された最新鋭機を追撃しようとリックは動くも大樹は止めた。

 

普通ならば最新鋭機を奪還する為追撃するべきなのだが、はぐれゼントラーディの勢力は以前そのままであり脅威の排除がされていない。

ラウラも戦闘不能な状態に陥っている為追撃したら艦隊が全滅し救援が無意味になる。

 

今は艦隊を救い出す事を優先しなければならない。

 

「様子はどうなっている?」

 

「我が方の部隊、被害甚大・・・敵の援軍多数・なれど後詰めを出せば・・・」

 

「そうか分かった。最後の部隊を出せ・・・・」

 

はぐれゼントラーディ艦隊は後詰部隊発進しようとしていた。

直掩部隊と新統合軍護衛部隊全滅後に投入予定だった制圧部隊の混成である。

 

リガード・16、ヌージャデル・ガー・10機そしてグラージ・5機

 

艦隊からすれば十分な脅威であり、前線で戦っていた残存14機を含め50機近くの戦力になる為艦隊に留めを刺すには十分すぎた。

アブサラン甲板では残存した唯一のプロトタイプモンスターが艦載機群に向け砲撃、数機撃破するも数の暴力に押し切られ撃墜された。

 

「ラウラは早く退避して!ここは我々が食い止める!」

 

「シュリ!私だけ逃げるなんて・・・・」

 

「バカ!その機体で何ができるの?それに折角拾った命を捨てるつもり!死んだら許さないから!」

 

「くっ・・・・シュリこそ・・・・・死ぬなよ。」

 

「バカを言え!死ぬか!」

 

援軍が来たとは言えはぐれゼントラーディ最後の攻勢に苦戦を強いられた。

 

戦闘不能になったのにラウラは逃げる事を拒絶したが戦力外だとシュリに逃げるように言われると渋々退避し戦場から離れようとした。

ラウラから死ぬなよと言われたシュリはムッとした表情を浮かべ反論しその場を去った。

 

誰が死ぬか・・・・それもそうだよな。

 

「吉野大尉、本隊はまだですか?」

 

「後数分後だな、ジェフリー・・・それまで耐えろ!」

 

大樹率いるクーガー小隊とジェフリー率いダンパー小隊は苦戦していた。

 

マナット中隊残機と合流しシナノとアルタミラ本隊を待っていたが敵の数が多すぎるかつ、被弾した艦隊を警護しなくてはならないので力が発揮出来なかった。

シナノとアルタミラ本隊はもうすぐ合流する手はずだが、まだ数分ある。

 

わずか数分も言えども長すぎる。

 

「レーダーには艦あり!ゼントラーディ軍艦艇・・・これは・・・・」

 

「リックどうした?」

 

「友軍・・・・ブリタイフリート(第1機動艦隊)です!」

 

本隊到着を待っているとゼントラーディ軍艦艇がレーダーに映った。

 

一瞬敵だと思ったが、友軍を示すIFFを示した為安堵した。

友軍・・・・第1機動艦隊.通称ブリタイフリート。

ブリタイ・クリダニク率いる第1機動艦隊であった。

 

「ゼントラーディ軍将兵に告ぐ新統合宇宙軍総司令官ブリタイ・クリダニクである。」

 

「ブリタイ司令!?」

 

「貴官らは完全に包囲されている。無駄な抵抗はやめ投降せよ!命までは取らない。」

 

ブリタイ艦隊は旗艦ノプティバガニス級ガンドゥーラを中心しキエトラ・ケルエール級やケアドウル・マグドミラ級などを旗艦に複数のスヴァール・サラン級を僚艦にした小艦隊を右翼・左翼に展開し強力な包囲網を展開した。

 

第1次星間大戦後、ブリタイは旧アドクラス艦隊.ラプ・ラミズ艦隊残存艦艇を取りまとめ第1機動艦隊を編成し地球圏と月面防衛の任に就いていた。

修理する艦艇が多かったのか単艦で行動してながらも、ダガオ・ノルガル率いる工業衛星奪取作戦など数々の実績を積んでいき新統合軍総司令部からの信頼を勝ち取った。

 

2015年には星村謙三大将に代わり新統合宇宙軍総司令官に就任し、新統合軍内部や国防総省内はおろか新統合政府において無視できない程の大物人物となった。

 

引き続き第1機動艦隊旗艦ノプティ・バガニス級5631ガンドゥーラに乗艦しながら総司令官としての職務に就いている。

ゼントラーディ軍の装備の部隊だけでなく、ゼントラーディ人兵士によるVF飛行隊を多数有しており異種混合大隊を編成し反統合ゲリラやはぐれゼントラーディと交戦し多数のエースパイロットを輩出するなど第1機動艦隊は精鋭揃いと称された。

 

そんなブリタイだが、第1機動艦隊を率いて月面一周哨戒任務に就いて航行中にレーダーにてラウラ達の戦闘を確認した。

 

空母シナノと空母アルタミラの2隻が援護に入っているが、ゼントラーディ艦相手では更なる損害を被ると判断し自らの介入を決断した。

 

「ブリタイ・クリダニク・・・・」

 

「艦長・・・・・」

 

「相手にしたらどの道負ける・・・・降伏する。」

 

ゼントラーディ軍艦隊はブリタイフリートの威容を見て戦意を喪失、降伏した。

 

第1機動艦隊からはゼントラン海兵隊やダルエスカラック中隊などのVF部隊が発艦し次々にはぐれゼントラーディ艦艇に侵入し制圧したり、艦載機部隊の武装解除を開始した。

 

中には抵抗する者がいたが一蹴され武装解除はスムーズに完了した。

 

「ラウラ・ベルタリア曹長・・・でありますか?」

 

「はい・・・・ラウラ・ベルタリア曹長・・・です。」

 

「レフトウィッチまで連れていきます」

 

ラウラとカゴメはボロボロになりながら、残存したドーントレスに掴まれレフトウィッチに帰還しようとしていた。

レフトウィッチまで自力で移動することが困難であり、救援信号を出した所たまたま近くにいた残存ドーントレスがキャッチし回収しに来てくれた。   

 

機体の中でラウラは安堵しパイロットスーツのヘルメットと胸元のチャックを外しリラックスし、カゴメもヘルメットを取った。

 

第1機動艦隊から到着して数分後、トリコロールカラーでMPと翼に描かれたVFー5000スターミラージュで編成された警務飛行隊が到着した。

 

「隊長、あれ?」

 

「警務隊・・・リック.シュリついてこい!」

 

現場に到着した警務隊のVFー5000の姿を見た大樹は直ぐ様動いた。
 

連中はラウラ達を逮捕するつもりであり、その前にラウラ達を保護しなくてはいけない。

近くで警戒しているリックとシュリに呼びかけラウラと警務隊の元に向かった。

 

その頃、警務隊のスターミラージュはバトロイドに変形すると否やガンポッドを銃剣モードで構えラウラのVFー1Dと掴んでいるドーントレスに銃口を向けた。

 

 

 

 

「動くな!」

 

「うっ!?」

 

「我々は新統合軍警務隊、主犯ラウラ・ベルタリア曹長.共犯カゴメ・バッカニア少尉貴官らを拘束する!」

 

警務隊のVFー5000スターミラージュはラウラ達を取り囲んだ。

ガンポッドの銃口はラウラのVFー1Dに向けられており、全方位に4機編成小隊が固められ完全に逃げられないように包囲していた。

 

ーロイエンタール少佐により今回の件は不問にされていたはず!

 

ラウラは意味不明な展開に困惑した。

警務飛行隊の隊長が近づき、ラウラのVFー1Dに手を置いた。

 

「抵抗しても無駄だ、我々を排除した所で新統合軍全軍を敵に回すのだからな。おい!」

 

「「ハッ」」

 

「待ってください。ベルタリア曹長は強奪されたVFーXー8の奪還を・・・・」

 

「新星インダストリー、本来ならお前も拿捕対象だ!今回はベルタリア曹長の逮捕だけだが、これ以上口にするならばお前も拿捕する!」

 

「な・・・なんて横暴な・・・・」

 

警務飛行隊長の態度は横暴極まりなかった。

 

連行されるラウラを擁護しようとアムに警務隊は銃砲を向けて脅した。

本来国民を守るべき軍隊が銃砲を向けており、アムは横暴だと評した。

アムが怯んだ所でラウラの連行を開始した時、隊員の一人が何かに気がついた。

 

「隊長、一般部隊です。」

 

「黒いVFー4・・・・・部隊は?」

 

「空母シナノ所属ブラックパンサーズ中隊、JASDFの末裔です」

 

周辺警戒をしていたブラックパンサーズ中隊もとい大樹達が近寄ってきた。

ブラックパンサーズは航空自衛隊第8飛行隊の後継部隊で有名であり、警務隊の面々の中に存在を知っている者が多数存在してきた。

 

それに火星の英雄である大樹の存在も・・・・

 

「俺はブラックパンサーズ中隊副隊長.吉野大樹.大尉だ!」

 

「警務飛行隊ホワイト・ドック隊、ジョージ・ディアス大尉である。貴官らは何用か!」

 

お互い挨拶をした・・・・・階級は共に大尉。

何とも言えぬ空気がこの場を支配した。

 

膠着状態が続いたが先に口を開いたのは大樹であった。

 

「我々はロイエンタール少佐の命により、カゴメ・バッカニア少尉並びにラウラ・ベルタリア曹長を拘束。シナノまで連行するように言われている。引き渡しを・・・」

 

「!?一般部隊の貴様らが我ら警務隊に意見するのか!!」

 

「我々は白川提督の指示に従っているが何か?」

 

ロイエンタールの命令によりラウラとカゴメを連行するように言われていると警務飛行隊の隊長であるディアス大尉に告げるが、予想通り反論してきた。

 

本来軍規違反者を取り締まるのは警務隊であるからだ。

 

予想通りの反論に大樹は上位階級者である白川提督の名を出すと怯んだ。

ディアス大尉らは権力者に弱いようだ。

 

「白川提督だろうと我々は軍法に基づき・・・・」

 

「我々に課せられた命令は白川提督直々の命令である!」

 

「貴様・・・・軍法をなんだと・・・」  

 

お互い激しい言い争いをする。

 

ディアス大尉は権力者に弱いが、法を持ち出してラウラとカゴメを連行し軍法会議に処する権利を有するのは我々だと必死に言ってくる。

流石に一筋縄ではいかないか・・・・大樹の額に冷や汗が垂れたその時だった。

 

「そこまでにしろ!」

 

「貴様は?」

 

「ダルエスカラック中隊長ロシュラル・トリューズ少佐だ!」

 

近くで戦後処理を行なっていたダルエスカラック中隊の隊長であるロシュラル・トリューズ少佐が大樹とディアスの言い争いに介入した。

 

トリューズの介入にディアス大尉や警務隊員らは何か言いたげだったがら、鋭い眼光に怯んだまま何も言えずにいた。

 

「貴様らは民間人であるアム・ヒタチアに横暴な態度を取ったがそれこそ軍法に違反するのでは?」

 

「それは・・・・・」

 

「軍法を出しているが軍法を盾に横暴を働くのは度が過ぎるぞ。黙っているからこれ以上は手を退け!」

 

眼光に怯んだ警務隊にトリューズは正論を言い放った。

 

先ほどのアムに対する横暴な態度は軍法的にもモラル的にもアウトであった。

本来守るべき国民であるアムを銃口を向けて連行すると脅したり、見下す行為は他の正規の新統合軍人から見ても異常であった。

 

無論、民間人であるアムが無断で自衛行動に出るのもアウトであるが・・・

 

トリューズの言葉を聞いたディアス大尉は警務飛行隊は悪態をついたまま逃げ帰った。

大樹は擁護してくれたトリューズに感謝の言葉を述べるとラウラの元に来た。

 

「ベルタリア曹長・・・・」

 

「はい!」

 

「貴官には問い詰めたい事がある。今回の件は完全に無罪放免とは行かんからな。」

 

鋭い眼光で大樹と話したラウラは心臓を抉られるかのような感覚に襲われた。

まるで獲物を狩る野生の狩人に狙われた野生動物のように。

震えるラウラを他所に大樹はアムの機体の肩に手を置いた。

 

「ヒタチア主任・・・・」

 

「は・・・はいなんでしょう。」

 

「他組織なので詳しく問い詰めませんが、極力しないように・・・次はこうはいきませんのでいいですか?」

 

「はい・・・」

 

大樹は詳しく問い詰めないと言いつつ、民間人であるアムの無断自衛行為に極力するな次はないと脅すような事を言った。

あまりにも冷たすぎる声に警務隊と同じじゃんとアムは言えなかった。

 

アムはその後、事情聴取の為レフトウィッチに乗艦する事となった。

 

【空母シナノ.格納庫】

 

 

 

VFー1Dから降ろされたラウラとカゴメは厳しい視線を送る大樹の姿に震えていた。

大樹だけではない、ブラックパンサーズ中隊の面々やシナノ整備班の視線もあってか尚更厳しい。

 

震えるラウラの前に大樹が近づいてきた。

 

「ラウラ・ベルタリア曹長、何故あんな真似をした?」

 

「ハッ艦内でそのまま死ぬのが堪えられなかったのであります。」

 

鋭い殺気の籠もった目をしており、とても怖かった。

さっき警務隊から助けてくれた人物と同じ人だとは思えない程恐ろしい。

 

震えるラウラに指揮棒を持ちながら大樹が目の前に立った。

目の前に立った大樹の目は氷のように冷たい。

 

「気持ちはわかる・・・・が・・・・貴様は軍人だろ?そんな勝手が許されるのか?」

 

「それは・・・・・」

 

「貴様は軍人だろうがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ラウラの正直な問いを聞いた大樹は氷が沸騰したかのように激しく激昂した。

パイロットスーツのホルスターからベレッタM9を取り出し額に突きつけた。

 

今まで激怒された目に遭った事のない。

 

額に頭の頭蓋骨を捩じ込むかのように強拳銃の銃口を突きつけられ痛い。

頭から少し血が出る程に痛い。

 

「!?」

 

「隊長それは・・・・」

 

「お前らは黙って見てろ!」

 

カゴメやシュリとリックらブラックパンサーズ中隊の隊員達はこの光景を見てあおざめ、諌めようとするも大樹に一喝され何も言えなくなる。

ラウラは目の前の殺気際立っている4階級上の上官である大樹に殺されるかと思った。

 

しばらくすると落ち着いたのか拳銃を降ろしホルスターに戻した。

 

「俺が怒っているのは軍法会議云々の話じゃねぇんだ。勝手な独断専行で更に人が死ぬ事を理解してねぇから怒ってるんだ。」

 

「それは・・・・・」

 

「貴様・・・・・自分の身勝手な行動や言動で仲間を殺すと言う事・・・まともな軍人ならば理解した方がいいぞ。」

 

ラウラのした事はあまり許される行為ではない。

結果的にレフトウィッチなどの新統合軍等の友軍兵士の命を救えたが・・・・

下手をすれば自分の行動次第では余計な犠牲が出ていたかもしれなかった。

 

「軍人ならば自分の行動で誰を殺すか生かすか決まる。感情で動くな、考えた上で行動しろ!」

 

「はい・・・・・分かりました。」

 

軍人である以上、感情ではなく冷静な判断をした上で行動をしなくてはいけない。

 

感情で動いた結果、自分自身や仲間を失い最終的に国民に多大な害を与える事になる。

納税と言う国民の支援の元に活動している新統合軍としては許されない事だ。

今のままのラウラでは今後生きていく上で生涯になるので大樹は敢えて怒鳴った。

 

「吉野大尉、私は・・・・」

 

「バッカニア少尉、本来なら貴官も厳しく言いたいが不問だ。ベルタリア曹長のこれからを頼む。」

 

「ハッ」

 

ラウラに対する説教に戸惑っていたカゴメに対し大樹は鋭い眼光のまま普段通りに接した。

 

大樹は感情的に怒る性格ではない、部下を叱る時もアメとムチの感覚を弁えており戦場で死なせない為に厳しく叱り良く出来た時や嬉しい事があったら褒めたり共に喜ぶ事がある。

 

激しい激昂は感情から来るものではない。

仲間を救うため嫌われ者になる覚悟から来るものだ。

 

しばらくして話し合いが終わると話し合いが終了しラウラとカゴメそして大樹率いるクーガー小隊やダンパー小隊は整列を解除して解散した。

 

だが、ラウラはまだ大樹に睨まれている事に気が付きビビった。

 

「ベルタリア曹長、一言言いたい事がある。」

 

「はい。」

 

「そしてシュリ・・・バッカニア少尉を部屋に案内してくれ。」

 

「了解です。」

 

自分だけ呼び出された・・更にきつい事を言われるのだろうか

それを考えると震えが止まらなくなった。

拳銃を突きつけられた時、本気で殺されるかと思った。

 

ラウラにとって大樹は存在自体がトラウマと言う認識が出来た。

するとシュリは薬と笑い目の前に現れ口を開いた。

 

「ラウラ、吉野大尉の事あんまり怖がらないでね。」

 

「シュリ・・・・」

 

「大尉、結構素直じゃないから。」

 

素直じゃないと言う言葉に、大樹を怖がっていたラウラは拍子抜けした。

 

ラウラは厳しい口調で説教する大樹は恐怖の対象でしかなかったが、素直じゃないと言う言葉を聞いてから安心感を覚えた。

軽くシュリと会話を交わしたラウラは大樹の所へ向かった。

 

到着するとVFー4ライトニングⅢを名残惜しそうに見ている大樹の姿が見てた。

まるで親しい人と別れるかのように寂しそうな表情だ。

 

ずっと見つめているラウラに気がついた大樹は近づくと目の前でお辞儀をした。

 

「さっきは厳しい事を言って済まなかったな。」

 

「いえ大尉の言う通りですし、私もまだ・・・・」

 

「まだだからこそ周囲から学べ、俺もお前も若いし挫折はある。だからこそ道だけは外れるなよ。それだけだ。」

 

話はそれだけであった。

謝罪と今後の行く末に対するアドバイス。

 

人生挫折する事があるから道から外れず周囲から学べ、ラウラはこの言葉に感銘を受けた。

なんかまた明日が歩めそうな気がした。

 

ラウラはしばらくぼーとしていたが自室に戻る大樹を引き留めた。

 

「大尉!」

 

「ん?まだなんか?」

 

「ありがとうございます。まだ私は生きていられそうです。」

 

大樹を引き留めて言った言葉は感謝だった。

 

初めて誰かに感謝の言葉を述べる事が出来た。

戦友のアンジェミラやメフィリア達でさえ言えなかった感謝を今こうして・・・

今まで人生

 

ありがとう・・・・・なんて言葉知らなかったのに自然と口から発した。

 

大樹は軽く笑ってラウラの肩に手を置いて言葉を返した。

 

「バカを言え・・・・友軍を助けるのは軍人として当たり前だからな。それと・・・」

 

「は・・・・・はい」

 

「簡単に死ぬと思うなよ。お前が死んで悲しむ仲間がいる事を忘れるな。死こそ解放ではないからな。」

 

「了解しました。肝に銘じておきます。」

 

感謝されるほどではない、友軍を助けるのは当たり前。

簡単に死ぬとは思うな、悲しむ仲間がいる大樹の言葉が心地よく感じた。

 

同時に気持ちが変になった。

今まで感じた事のない不思議な感覚、大樹の顔がまともに見えなくなるくらいに。

海兵隊時代ゼントランと同乗していたが、不思議な感覚に陥っていない。

 

「ラウラ・・・顔赤いわよ。」

 

「えっ顔が赤い?そうかな?そう見える?」

 

「ふ〜ん、なるほどね。なるほどね。」

 

「シュリ・・・なるほどって一体なんなのよ?」

 

カゴメを部屋に送ったシュリから顔が赤いと指摘されるとラウラは戸惑った。

顔が赤くなった原因を察したのか、指摘した本人は笑った。

 

何か知っている・・・ラウラは問い詰めるも、はぐらかされ結局分からなかった。

 

その後、ラウラはシュリに部屋を案内され入室した。

 

「吉野大樹か・・・・なんでだろう・・・一緒にいたいと思うんだよね・・・・」

 

クラビウス基地に到着するまでに用意された部屋のベッドの上に下着姿のまま寝っ転がったラウラは大樹に対する気持ちを吐露した。

一緒にいたい、今まで男性相手にそんな感情を抱いた事は無かった。

  

後に恋だと言う感情であると知るのだが、この時のラウラはまだ知らなかった。

 

西暦2021年2月1日

 

クラビウス基地にラウラ・ベルタリア曹長、カゴメ・バッカニア少尉が到着、VFー1Dの無断使用に対する罪状により在室謹慎がクラビウス基地司令部から命じられた。

その一方で機種転換センターに入所に対しては予定通りに入所する事が許可された。

 

入所式までの間ラウラは本を買い込み、軍人として己を磨こうと考えた。

再び吉野大樹と出会った時、きちんとした軍人として振る舞えるように。

 

次回予告

機種転換センターに入所したラウラは手渡された銃にとてつもない重さを感じた。それは国民の為の軍人として背負う命の重さを認識した時であった。憧れの人生を歩み始めたラウラであったが、現実は想像を絶する苦難を歩ませようとしていた。

 

次回、マクロス外伝蒼い髪のメルトラン

 

モデルチェンジ

 

大地を抉る炎となれモンスター

 

前回

 

 

合間

 

 

 

次回

 

 

 

(作画 鈴花べるさん

【漢字名】

石﨑英幸

【生年月日】

1969年10月2日

【種族】

地球人(日系人)

【所属】

クラビウス市議会議員(市民の会)

【経歴】

会派市民の会に所属するクラビウス市議会議員。

 

月面クラビウス市に移住する前は地球.日本自治区市川に住んでいたが、第1次星間大戦末期のボドル基幹艦隊決戦(リン・ミンメイアタック)における砲撃戦で避難していた地球統合軍習志野基地地下シェルターで奇跡的に難を逃れたが壊滅する憂き目に遭う。

 

第1次星間大戦後は月面クラビウス市に移住し、創業したワンガンを再建

クラビウス市議会選挙に立候補し当選している。

 

【こぼれ話】

石崎ひでゆきは実在する人物であり、市川市議会議員である。

相互関係でもあり、長田義家と関係が深く出していいか確認したら承諾してくれました。

マリアナ海溝の深さ並みに感謝です。

 

本人アメブロ記事

 

(作画いわしぃさん)

【開発】

新星インダストリー

【所属】

新統合軍

【型式】

VFー1P

【愛称】

フレイヤ

【重量】

13800kg

【推進主機】

新中島重工P&WロイスFFー2021熱核タービンエンジン×2 (推力13200kg)

【推進補機】

液体ロケットブースター×3 (推力8520kg)

【最高速度】

M2.82(高度10000M)

M3.91(高度20000M)

【標準武装】

◆共通

ハワードGUー11D55MM3連装ガトリングポッド

多目的ガンポッド

◆一般型

マウラーRÖVー20×1

◆小隊長型・副隊長型

マウラーRÖVー20×2

◆中隊長型

マウラーRÖVー20×4

【外部武装】

AMMー1対空対地ミサイル

RMSー1F大型対艦反応弾

【乗員】

1名

【ファイター形態】

全長・14.23M

全幅・14.30M(主翼展開) 8.20M(主翼後退)

全高・3.62M

【運用開始】

2020年2月4日

【概要】

VFー1バルキリーの後継主力可変戦闘機として運用されたVFー4ライトニングⅢであったが、大気圏内における機体性能が期待通りに発揮せず現場からの評判が悪く空軍や海軍などの地上部隊への配備が遅れていた。

 

それを補うべく国防総省と新統合軍参謀本部開発局はアドバイスド・バルキリー計画を発動し多種多様なVF開発がVFー11サンダーボルトが運用される2030年まで積極的に行われた。

新型VF開発計画同時に行われたのがVFー1改修計画スレイプニルⅡであり、ゼネラル・ギャラクシーが再設計した発展強化型のアタックバルキリーシリーズ(VFー2SSバルキリーⅡの先祖)や既存の改修型のNナンバー.Xナンバー.ZナンバーそしてPナンバー・フレイヤである。  

 

ちなみにスレイプニル計画Ⅰは地球統合軍が2010年に進めた大気圏内外運用能力の強化、生存性向上を目指したVFー1強化計画であり、ボドル基幹艦隊決戦の影響により計画が打ち切りになっている。

 

【解説】

Pナンバーは他の改修型と違いステルス性能が強化されており、汎用最新主力可変戦闘機VFー5000開発データ流用により最新鋭機に匹敵する性能を会得している。

既存のVFー1の不安点だった変形時の強度不足を改善する為にエアフレームの一部を換装し各部を最適化させ、ステルス性能を可能な限り向上させている。

 

純粋な改修型のNナンバー.VFー4のパーツを改良し改修したXナンバーと比べステルス性能を極限に向上させた結果、コスト面が膨れ上がり生産数は少ない。

(ZナンバーはVFー1の技術研究用で後にVFー1EXに発展)

 

【配備部隊】

○地球

◆マクロスシティー防衛隊

特殊戦略航空団・グレートパイソンズ中隊 ×16

第1防衛航空団・セブンスターズ中隊 ×16

◆岐阜開発基地

開発実験航空団     ×10機 予備×5 

 

○月面

◆月面クラビウス基地

クラビウス予備宇宙艦隊

・アンサーズ中隊(アームド級宇宙空母アルタミラ)×16 予備×2 練習×5

・プレーリードッグズ早期警戒飛行隊 VE×8

・グライムウルブス中隊(アームド級宇宙空母キラウエア)×16 予備×2 練習×5

 

○宇宙

冥王星守備艦隊

・スティンガーズ中隊 ×16 予備×2 練習×5

 

○惑星エデン

◆ニューヒッカム統合基地

北部防衛飛行隊・アッサム・ドラゴン中隊   ×16 予備×2 練習×5

◆エデン予備宇宙艦隊

・ シャドーホークス中隊 (アームド級宇宙空母フォート・フィッシャー)×16 練習×2

 

【バリエーション】

一般型

VFー1A型頭部を有する一般機、後期型の頭部が採用されている。

 

小隊長型

VFー1J型頭部を有する小隊長機、各中隊ごとに4機配備されている。

岐阜基地に所属するフレイヤバルキリーは全機小隊長型である。

 

副官型

J型とS型の中間機能を有していたJS型に匹敵する仕様を有していた副隊長専用機。

生産数は18機。

 

 

中隊長型

VFー1S型の頭部を有する中隊長専用機。生産数は希少であり、15機にも満たない。

 

VTー1Pフレイヤオストリッチ

VTー1のフレイヤ仕様、配備部隊の練習機として運用される。

 

VEー1Pフレイヤシーカー

VEー1エリントシーカーのフレイヤ仕様、早期警戒部隊

 

クァドラン・ローアーム試験機

ゼネラル・ギャラクシーが裏取引で入手したVFー1Pをクァドラン・ローの技術を導入し改修した試験機であり、後のスーパーノヴァ計画におけるYFー21の始祖鳥的存在になる。

 

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【参考出典】

ヴァリアブル・ファイターマスターファイルVFー1バルキリー宇宙の翼

2010年12月22日創刊

 

【⚠️】

参考出典に二次創作物要素付け加えてます。

 

作画ロボノヒト

 

【開発】

マクロスコンツェルン

【形態】

グラージ・ファイター

グラージ・ガウォーク

グラージ・バトロイド

【解説】

惑星クリストラニア.ニューナイル秘密開発基地で開発された可変戦闘機。

再生産が可能になったグラージに地球のVFの技術を組み合わせたネオグラージの発展型

 

マクロスコンツェルンがネオグラージにバトロイド機能を追加する改良し、反統合ゲリラ組織.クラストラニア軍ニューナイル秘密開発基地でロールアウトした。

 

複数機生産されたが開発工場であるニューナイル基地はダンシング・スカル隊により破壊された。

ただし設計図はマクロスコンツェルンが秘密裏に保持しており複数の反統合ゲリラの秘密工場にてモンキータイプ含め現在も生産されている。