(作画 鈴花べるさん

【漢字名】

石﨑英幸

【生年月日】

1969年10月2日

【種族】

地球人(日系人)

【所属】

クラビウス市議会議員(市民の会)

【経歴】

会派市民の会に所属するクラビウス市議会議員。

 

月面クラビウス市に移住する前は地球.日本自治区市川に住んでいたが、第1次星間大戦末期のボドル基幹艦隊決戦(リン・ミンメイアタック)における砲撃戦で避難していた地球統合軍習志野基地地下シェルターで奇跡的に難を逃れたが壊滅する憂き目に遭う。

 

第1次星間大戦後は月面クラビウス市に移住し、創業したワンガンを再建

クラビウス市議会選挙に立候補し当選している。

 

【こぼれ話】

石崎ひでゆきは実在する人物であり、市川市議会議員である。

相互関係でもあり、長田義家と関係が深く出していいか確認したら承諾してくれました。

マリアナ海溝の深さ並みに感謝です。

 

本人アメブロ記事

 

(作画いわしぃさん)

【開発】

新星インダストリー

【所属】

新統合軍

【型式】

VFー1P

【愛称】

フレイヤ

【重量】

13800kg

【推進主機】

新中島重工P&WロイスFFー2021熱核タービンエンジン×2 (推力13200kg)

【推進補機】

液体ロケットブースター×3 (推力8520kg)

【最高速度】

M2.82(高度10000M)

M3.91(高度20000M)

【標準武装】

◆共通

ハワードGUー11D55MM3連装ガトリングポッド

多目的ガンポッド

◆一般型

マウラーRÖVー20×1

◆小隊長型・副隊長型

マウラーRÖVー20×2

◆中隊長型

マウラーRÖVー20×4

【外部武装】

AMMー1対空対地ミサイル

RMSー1F大型対艦反応弾

【乗員】

1名

【ファイター形態】

全長・14.23M

全幅・14.30M(主翼展開) 8.20M(主翼後退)

全高・3.62M

【運用開始】

2020年2月4日

【概要】

VFー1バルキリーの後継主力可変戦闘機として運用されたVFー4ライトニングⅢであったが、大気圏内における機体性能が期待通りに発揮せず現場からの評判が悪く空軍や海軍などの地上部隊への配備が遅れていた。

 

それを補うべく国防総省と新統合軍参謀本部開発局はアドバイスド・バルキリー計画を発動し多種多様なVF開発がVFー11サンダーボルトが運用される2030年まで積極的に行われた。

新型VF開発計画同時に行われたのがVFー1改修計画スレイプニルⅡであり、ゼネラル・ギャラクシーが再設計した発展強化型のアタックバルキリーシリーズ(VFー2SSバルキリーⅡの先祖)や既存の改修型のNナンバー.Xナンバー.ZナンバーそしてPナンバー・フレイヤである。  

 

ちなみにスレイプニル計画Ⅰは地球統合軍が2010年に進めた大気圏内外運用能力の強化、生存性向上を目指したVFー1強化計画であり、ボドル基幹艦隊決戦の影響により計画が打ち切りになっている。

 

【解説】

Pナンバーは他の改修型と違いステルス性能が強化されており、汎用最新主力可変戦闘機VFー5000開発データ流用により最新鋭機に匹敵する性能を会得している。

既存のVFー1の不安点だった変形時の強度不足を改善する為にエアフレームの一部を換装し各部を最適化させ、ステルス性能を可能な限り向上させている。

 

純粋な改修型のNナンバー.VFー4のパーツを改良し改修したXナンバーと比べステルス性能を極限に向上させた結果、コスト面が膨れ上がり生産数は少ない。

(ZナンバーはVFー1の技術研究用で後にVFー1EXに発展)

 

【配備部隊】

○地球

◆マクロスシティー防衛隊

特殊戦略航空団・グレートパイソンズ中隊 ×16

第1防衛航空団・セブンスターズ中隊 ×16

◆岐阜開発基地

開発実験航空団     ×10機 予備×5 

 

○月面

◆月面クラビウス基地

クラビウス予備宇宙艦隊

・アンサーズ中隊(アームド級宇宙空母アルタミラ)×16 予備×2 練習×5

・プレーリードッグズ早期警戒飛行隊 VE×8

・グライムウルブス中隊(アームド級宇宙空母キラウエア)×16 予備×2 練習×5

 

○宇宙

冥王星守備艦隊

・スティンガーズ中隊 ×16 予備×2 練習×5

 

○惑星エデン

◆ニューヒッカム統合基地

北部防衛飛行隊・アッサム・ドラゴン中隊   ×16 予備×2 練習×5

◆エデン予備宇宙艦隊

・ シャドーホークス中隊 (アームド級宇宙空母フォート・フィッシャー)×16 練習×2

 

【バリエーション】

一般型

VFー1A型頭部を有する一般機、後期型の頭部が採用されている。

 

小隊長型

VFー1J型頭部を有する小隊長機、各中隊ごとに4機配備されている。

岐阜基地に所属するフレイヤバルキリーは全機小隊長型である。

 

副官型

J型とS型の中間機能を有していたJS型に匹敵する仕様を有していた副隊長専用機。

生産数は18機。

 

 

中隊長型

VFー1S型の頭部を有する中隊長専用機。生産数は希少であり、15機にも満たない。

 

VTー1Pフレイヤオストリッチ

VTー1のフレイヤ仕様、配備部隊の練習機として運用される。

 

VEー1Pフレイヤシーカー

VEー1エリントシーカーのフレイヤ仕様、早期警戒部隊

 

クァドラン・ローアーム試験機

ゼネラル・ギャラクシーが裏取引で入手したVFー1Pをクァドラン・ローの技術を導入し改修した試験機であり、後のスーパーノヴァ計画におけるYFー21の始祖鳥的存在になる。

 

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【参考出典】

ヴァリアブル・ファイターマスターファイルVFー1バルキリー宇宙の翼

2010年12月22日創刊

 

【⚠️】

参考出典に二次創作物要素付け加えてます。

 

作画ロボノヒト

 

【開発】

マクロスコンツェルン

【形態】

グラージ・ファイター

グラージ・ガウォーク

グラージ・バトロイド

【解説】

惑星クリストラニア.ニューナイル秘密開発基地で開発された可変戦闘機。

再生産が可能になったグラージに地球のVFの技術を組み合わせたネオグラージの発展型

 

マクロスコンツェルンがネオグラージにバトロイド機能を追加する改良し、反統合ゲリラ組織.クラストラニア軍ニューナイル秘密開発基地でロールアウトした。

 

複数機生産されたが開発工場であるニューナイル基地はダンシング・スカル隊により破壊された。

ただし設計図はマクロスコンツェルンが秘密裏に保持しており複数の反統合ゲリラの秘密工場にてモンキータイプ含め現在も生産されている。

 

管理人の長田義家です。

 

加齢に伴い体力が低下し作業工程が遅延気味で申し訳ございません。

 

 

メカ担当のロボノヒトさんからマクロスΔ絶対LIVEに登場したYF-29デュランダル描いてもらいました〜。

 

フォロワーさんに対するプレゼント企画の一貫です〜

 

 

【西暦2021年1月30日】

【月面.東の海周辺中域】

スヴァールバルサラン級2隻からなるはぐれゼントラーディ軍は艦載機計54機からなる大部隊を展開させ、ラウラ達の艦隊に迫った。

 

VFー4ライトニングⅢからなる護衛部隊であるマナット中隊はレーダーの反応のあった方向へ迎撃に向かっていき、戦闘状態に入った。

 

レフトウィッチは露天繋止してあったデストロイド・ドーントレスを直掩として出撃させ、護衛艦シンプソンとハシダテからもデストロイド・ドーントレス部隊が出撃していった。

 

S.M.Sもマヤン級輸送艦アブサランを守るようにオーベルト級宇宙駆逐艦ヒュドラとガリアが前に出て、護衛のVFー1A初期型2個小隊が展開しアブサランの甲板に新星インダストリーの警備隊のデストロイド・シャイアンが防空任務に就いた。

 

更に砲台代わりにプロトタイプ・モンスター3機が各所に展開し、スヴァール・サラン級に備え砲撃態勢を取りつつアポロ基地やクラビウス基地そして各地の新統合軍部隊にSOS信号を出した。

 

「カゴメ!この艦に私が乗れる機体はないの?」

 

「ラウラ、まさか出撃するつもり?」

 

「戦場で死ぬのは誉れだけど、こんな死に方誉れじゃない!この艦に出せる機体があれば使わせて!」

 

ラウラはカゴメに出せる機体がないか確認した。

 

つい最近まで死に場所を求め戦い続けてきたラウラだったが、機体に乗らず軍艦の中で何も出来ないまま死ぬ事だけは絶対に嫌だった。

 

「冗談言わないで!連絡機にVFー1Dはあるけど、操縦の事知らないでしょ?」

 

「ゼントラーディ語のマニュアルなるものがあれば出来る!」

 

「それでもダメなものはダメ!」

 

一応レフトウィッチには連絡機にVFー1Dバルキリーが配備されており、自衛用にミサイルやガンポッドなど戦闘機に相応しい最低限の装備が備わっていた。 

 

だが、ラウラはVFに一度も乗った事がなく操縦方法が分からない。

カゴメは法律面や技量面を考慮し必死に止めに入った。

 

「それでも私は行く!」

 

「ちょっと待ってラウラ!」

 

ゼントラーディ人としての血からなのか、誇りからなのかカゴメを振り切り更衣室へ向かった。

 

ラウラは女性更衣室に入ると、近くにあったパイロットスーツを強奪した。

自分の身長に似た物をたまたま見つけ出し、制服を脱いでパイロットスーツに着替えた。

ファスナーを締めようとしたところ、カゴメがドアを開けた。

 

「勝手に出撃は重罪よ!何を考えているの!?」

 

「カゴメはこのまま黙って死ねとでも言うの?」

 

「死ぬと決まったわけじゃない!」

 

「死なないと決まったわけじゃないか!私は戦わずに死ぬのは嫌なのよ!」

 

このまま出撃すればラウラは機体強奪による重罪であり、VFパイロットになるどころか警務隊留置所生活を送る事になってしまう。

最悪な場合、軍籍剥奪により職を失う事になる。

 

「いい加減にして!」

 

ラウラはカゴメに思いっきり平手でビンタされた。

 

「どう見ても死に急いでいるようにしか見えないわ。軍籍剥奪により職を失うのはまだいい、でも操縦方法を知らないでしょ!」

 

「私はゼントラーディ軍のエースだったんだ!なんとか・・・・・」

 

「ふざけないで!いきなりやって出来る程甘くないわ!」

 

出会って間もないが、カゴメがここまで怒ったのを初めて見た。

泣き出しそうなのを我慢して、自分自身の身を案じて怒っているのが言葉から伝わってくる。

 

自分の為に心配してくれる人は初めてだった。

 

製造されてきて真剣に心配してくれる人は今まで、誰もいなかった。

戦友と言えどもそこまで心配してくれる事はなかった。

 

だが

 

「ごめん、カゴメ・・・・甘くないのは分かっている。」

 

「なら・・・・」

 

「でも、それでも戦いたい。軍人として何をするか見つけるために・・・」

 

戦わければここまで親身になって心配してくれるカゴメを死なす事になる。

確かに甘いかもしれない、それでも戦わければ自分の命どころか多くの人を失う。

 

同じ志の者から何から全部、それだけは絶対に嫌だ。

 

今のラウラが述べた本音は嘘偽りもない。
 

「カゴメ?」

 

「VFー1Dは複座型、私も乗ってサポートするから乗りなさい。」

 

「それじゃ重罪に・・・・」

 

「別にいいわ、私も黙って貴女を死なせない。」

 

ラウラの本音を聞いたカゴメは少し諦めた表情を述べると制服を脱ぎ始め、下着姿になるとロッカーから自分のサイズに合ったパイロットスーツを探し着始めた。

操縦方法が分からないラウラを自身も乗ってサポートして支えるしかない。

 

当然、パイロットじゃないかつ重罪のでラウラから心配されるが覚悟を決めている。

 

パイロットスーツに着替え終わるとラウラとカゴメはVFー1Dのある場所に向かった。

 

 

戦闘は一進一退の攻防を繰り広げていた。

マナット中隊とS.M.Sのオルペウス小隊とベロボーグ小隊が前衛、艦隊直掩にデストロイド・ドーントレスとVFー1Dの混成部隊が務めていた。

 

数の上ではゼントラーディ軍部隊が優勢であったが、新統合軍とS.M.Sの連合軍は機体性能や練度が高い為善戦していた。

 

ただ・・・・

 

「反応弾がないから敵艦を仕留められない!」

 

「艦載機を抑えたとしても艦を沈められなければ意味がないぞ!」

 

「艦砲射撃を喰らえば我が艦隊は・・・」

 

反応弾を装備してないが故にスヴァール・サラン級を撃沈するには火力が足りない。

そればかりか、艦砲射撃も強力でありオーベルト級ヒュドラが蜂の巣になり撃沈されていた。

 

僚艦ガリアが撃沈されたヒュドラの穴を埋めるべくアブサランの盾となりながら、奮戦するもスヴァール・サラン級の圧倒的火力に押され気味だ。

 

「レフトウィッチを沈めさせるな!送り狼を我が艦の意地に賭けて通すな!」

 

護衛艦オーベルト級ハシダテとシンプソンはラウラ達を乗せたレフトウィッチを守るように必死に防戦を展開していた。

直掩のドーントレスと共に防戦した結果、レフトウィッチは無傷であった反面ハシダテとシンプソンはボロボロであった。

 

「うわぁぁぁぁぁ」

 

直掩としてオーベルト級各艦から発進したVFー1Dの1機が艦砲射撃に巻き込まれ爆散した。

爆発の余波はハシダテに影響を与え対空防御が鈍った。

 

VFー1Dとドーントレスが必死で防御に当たるも損害が増える一方だ。

 

「ロイエンタール少佐、どうなりますかね?」

 

「相手は死兵と化してるから生きて帰れるのは五分五分だな。」

 

レフトウィッチのブリッジにて戦闘の様子を見ていたロイエンタールは冷静に今の戦場の状況を分析していた。

善戦しているとは言え既に帰る場所を失った事により死兵となっており戦意が高いため、最終的にどんな結末を辿るのか分からない。

 

「ん?我が艦のVFー1Dが出撃してないがどうした?」

 

「おかしいですね、まだ係留されたままだ・・・・・」

 

レフトウィッチに係留されたVFー1Dが動いてない。

 

ブリッジ要員はVFー1Dのパイロットが被弾した際に戦死した事に気がついておらず、戦闘中なのに動かない事に疑問を感じていた。

パイロットが戦死している為、VFー1Dは当然動かない。

 

オペレーターがVFー1Dに向け呼びかけようとしたが、邪魔が入った。

 

「艦長、北東よりIFFのない3機の機影確認!」

 

「はぐれゼントラーディか・・・・」

 

「これは・・・・Svー51Ωです!更にアタッカー2機!」

 

レミア率いる反統合ゲリラの航空戦隊が戦場に乱入してきた。

 

反統合ゲリラ航空戦隊は新統合軍とゼントラーディ軍.両軍に攻撃を仕掛け次々と撃破。

攻撃目標であるアブサランに向け突撃した。

指揮官であるレミアの駆るSvー51ΩはS.M.Sオルペウス小隊を殲滅し、オーベルト級ガリアの艦橋の前に出てガンポッドを構えた。

 

「おぉぉぉ」

 

ガンポッドでガリアのブリッジを破壊し、エンジンを破壊。

コントロールを失ったガリアは月面の重力に引かれ、墜落し爆散した。

 

レミアはそのまま近くにいたリガードやヌージャデル・ガーを撃墜し、アブサランへ向かいドーントレス部隊が守る防衛線の突破を試みた。

 

「ラウラ、私が後部座席から操縦方法教えるからその通りに動いていい?」

 

「うん、死にたくない死なせたくないからねしっかりやるわ。」

 

レフトウィッチの甲板ではラウラとカゴメが係留されているVFー1Dに乗り込もうとしていた。

不用心にもコックピットが開いており、いつでも出撃が可能であった。

 

コックピットに乗り込んだラウラはクァドラン・ローと違う操縦系に驚きつつ、まるで子供であるかのように胸がときめいた。

 

「これがマイクローンの兵器なのか・・・・」

 

「こちらグリップ1、302番機何故発艦・・・・えっ!?」

 

「あのぉ・・・・・ごめん!」

 

胸がときめいていたのも束の間、ブリッジから発艦の催促の通信が入り背筋が凍りついた。

今やっている事は正規の軍事行動ではなく、違法行為。

 

背筋の凍りついたラウラは強引に操縦桿を握り係留ロープを引きちぎりレフトウィッチから離れた。

 

 

 

「艦長、302番機強奪されました!」

 

「なんだと!?」

 

「我が艦から離れます!」

 

レフトウィッチから離れたラウラ達は強奪者扱いをされた。

 

咄嗟の行動とは言えVFー1Dに勝手に乗り込んでいる時点で軍規違反を犯しており、主犯であるラウラは勿論共犯であるカゴメも処罰の対象だ。

VFー1Dはレフトウィッチから離れつつ戦場へ向かい友軍部隊と合流しようとしていた。

 

「こちらグリップ1から302、直ちに帰還せよ!貴官の行為は立派な軍規違反である!」

 

「302からグリップ1、クラビウス基地のカゴメ・バッカニア少尉です。今訳あって出撃してます!」

 

レフトウィッチから帰還命令が出た。

いくら戦闘中とは言え、軍規違反を見逃すわけにはいかない。

 

オペレーターからの帰還の催促にカゴメは説明しようと返答した。

今更説明しても無駄だがしないよりかはマシそう判断したが、オペレーターからある質問が来て青ざめた。

 

「正規のパイロット・・・ホルデ少尉はどうしたんですか?」

 

「それは・・・・・」

 

本来のパイロットであるホルデ少尉の事を聞かれた。

当然、カゴメはホルデ少尉の事を知らないので不味いと言う表情を浮かべ、ラウラは戦死したパイロットスーツ姿の兵士の事を思い出した。

 

目の前で死んだあいつがホルデ・・・・本来のパイロットか・・・

 

今乗っているVFー1Dは本来はホルデが乗るはずだった。

だがそのホルデはもういない。

 

「ホルデと言う奴は私の目の前で死んだ・・・・以上」

 

「それはどう言う意味ですか?302番機?302番機?」

 

ラウラは素直にホルデが死んだと答え、通信を無理やり切った。

死んでしまった以上、どうしようもないこれ以上の説明は必要ない。

説明したところで何も変わらないし、意味がない。

 

「艦長・・・ダメです・・・302戻りません・・・・どうします?」

 

「撃墜しろ!」

 

対応が悪かった。

 

今のラウラの一連の対応は艦長以下、レフトウィッチ乗員に不信感を抱かせ脱走兵として各部隊に向け撃墜命令を下そうとしていた。

ホルデが死んだと言うのはVFー1Dを奪うために殺害した。

ラウラは反統合系ゲリラのスパイで、カゴメは共犯であると。

 

艦長は部隊にラウラ撃墜命令を出そうとしたが・・・・

 

「いや待て!」

 

「ロイエンタール少佐・・・・」

 

「今は戦力がいる。それに302が今まで出撃してないのはホルデ少尉が艦が被弾した際に戦死したんだろう。ホルデ少尉亡き今、あの無断出撃者がいる・・・・」

 

「しかし・・・・」

 

「今の行為を不問にするのはどうかと言いたいのだろう?愚か者め、今はこの状況をどう切り抜けるかが重要だ!軍法会議に処するかは今考える事ではない。」

 

戦闘中でありレフトウィッチもいつ撃沈されるか分からない状況にある中で、様子を見ていたロイエンタールが異議を唱えた。

ここでレフトウィッチを撃沈されたらVFパイロットとなる人材を多く喪失する事になる。

艦長はここで不問にするのはどうかと反論しようとするも、ロイエンタールは正論を唱え黙らせた。

 

「また通信・・・・」

 

「ラウラ・・・・出なさい、流石にまずいわ。」

 

「うん・・・・・・」

 

友軍と合流を目指すラウラの302番機に再び通信が入った。

 

既にレフトウィッチに不味い印象を与えている為これ以上自分の立場を危うくするわけにはいかない。

通信を無視するよりも素直に応対し、自分達は仕方がない事情で出撃している事を伝える必要がある。

 

カゴメの深刻そうな声を聞いてラウラはあっさり命令に従った。

 

先ほどの対応で自身の夢を断つような真似をしており、カゴメからきつい言葉で叱られた。

相当堪えており、いつもの勝気な性格も鳴りを潜めていた。

ラウラは応答するため通信モニターをONにした。

 

「はいこちら302・・・・・」

 

「302番機・・・・ラウラ・ベルタリア曹長は君か?」

 

「はい・・・・」

 

「私はクラビウス基地人事局ヴィルフリート・フォン・ロイエンタール少佐だ!君に命令を出す。」

 

「今回の件は不問にする、曹長は我が艦隊の防衛任務に当たれ!」

 

「でも私達は軍規に違反しているんですよ?」

 

「今は戦場だ・・・今気にしている場合ではない。」

 

通信の内容は思っていた物とは程遠かった。

VFー1D無断使用の件を不問とし艦隊の防衛任務に従事せよと。

 

命令違反を犯し重大な処罰が下されると思っていたラウラとカゴメは驚いた。

無断出撃による脱走の罪で処罰されるのが当然なのに不問にする。

なんて寛大な処置だと思った。

 

ラウラは軍規に違反しているので寛大な処置を丁寧に断ろうとしたが、今は戦場でいつどうなるか分からない環境なので気にするなとロイエンタールに言われた。

 

「アンノントループ・・・・シンプソンに目掛けて接近中!」

 

「援護に行ける機はないのか?」

 

「ダメです・・・・・ドーントレス隊も過半数やられており防衛網は機能しません。」

 

直後、Svー51編隊が護衛艦シンプソンに向けて攻撃を仕掛けようする報告が入った。

 

ハシダテは数分前に満身創痍になり戦線離脱中であり、頼みのVー1D部隊全機喪失・ドーントレス隊も過半数が喪失し防衛網はほぼ機能しておらず残存機はレフトウィッチ防衛に専念しかできないありさまだ。

マナット中隊はゼントラーディ軍艦載機部隊を抑えるのがやっとどころが徐々に追い込まれており、部隊の4分の1が戦闘不能に陥りいつ壊滅してもおかしくない状況だ。

S.M.Sの護衛飛行隊は既に全機喪失、全員戦死と艦隊はもう風前の灯火と化した。

 

「ベルタリア曹長、お前しかおらん。シンプソンを防衛しろ!」

 

「拒否権はないんですよね?」

 

「今のお前には・・・な。」

 

「エスケスタ、ただちに急行します。」

 

撃沈の危機に瀕しているシンプソンを防衛するように命令されたラウラは操縦桿を握り急行した。

拒否権は当然存在しない、ラウラはただロイエンタールの命令に従うしかない。

 

不問にされたからと言ってラウラとカゴメは無罪放免になるわけではないが、ただ生き残る為に必死に働くしかない。

今のラウラにそれ以上の選択肢は存在しないのだから。

 

「レミアが物を入手する前に退路を確保する、セルゲイ・・・・・お前はもう一つの艦をやれ!」

 

「ダー!!(了解)」

 

レミアが駆る僚機のSvー51は退路確保する為、レフトウィッチの僚艦に狙いを定めた。

第一目標は懸命に防戦中のシンプソン、第二目標は戦線離脱中のハシダテ。

この2艦さえ沈めばレミアが目的を達し脱出する際に逃走が容易になる。

 

早めに沈めないと新統合軍の増援部隊が到着し逃走は困難を極める。

 

シンプソンに狙いを定めたSvー51は対空防御網を突破し、ブリッジに狙いを定めようとしていた。

 

「よし!もらった!」

 

「やらせない!」

 

 

シンプソンのブリッジの前にラウラが駆るVFー1Dが立ち塞がった。

 

無断出撃しているラウラは何処の部隊に所属しておらず、実質ロイエンタール指揮下の兵と化していた。

バトロイド形態に変形し、ブリッジを狙うSvー51を迎撃した。

 

「新統合政府の飼い犬が1匹前が出ようとも防ぎきれると思うな!」

 

Svー51のパイロットは統合戦争からのベテラン兵であった。

祖国が地球統合政府により敗北し滅亡しており、10年経った今でも復讐の念を抱いて戦っていた。

 

生誕してから戦いエースの地位に相応しい実績を持っているとは言え、正規のVFの訓練を受けていないラウラは素人同然であり、しかも1機でベテランのゲリラ兵の駆るSvー51に挑むのは無謀である。

支援攻撃に徹していればまだ勝ち目はあったかも知れない、だが今のラウラの周囲にいるのはドーントレス隊とシンプソンのみ。

 

生きるか死ぬかの行く末はラウラの腕に委ねられていたが、VFパイロットの技能と経験の差は早々埋められない。

 

「飼い犬は飼い犬らしく愚かな飼い主と共にしねぇ!!!」

 

「あぐっ・・・・・」

 

歯を食いしばりながらラウラはSvー51の猛攻に耐えていた。

 

空戦を得意とする遺伝子を持つメルトランであるラウラだが、ベテランパイロットの駆るSvー51が駆使するドックファイトは不慣れだ。

エースの技量を持つラウラとは言え苦手分野で戦うのはごく普通の兵士より少し上の技量しか発揮できない。

 

苦戦を強いられるラウラの姿を見たカゴメはある事を伝えた。

 

「ラウラ!ヒットエンドラン!」

 

「ヒットエンドラン?何それカゴメ!?」

 

「一撃離脱、攻撃を加えたらすぐ逃げて再度反撃して!」

 

一撃離脱戦法(ヒットエルドラン)

 

目標となる敵に一撃を与えそのまま離脱し、それを繰り返す戦術である。

歴史は古く紀元前パルティア王国の騎馬戦術パルティアショットや78年前の米軍による格闘戦術に優れる日本軍の零戦対策など、様々な戦場で登場した。

 

格闘戦に優れるSvー51と戦うにはこの戦術しかない。

 

「でも・・・・」

 

「クァドラン・ロー!クァドラン・ローを思い出して!」

 

「クァドラン・ロー!?」

 

一撃離脱戦法を駆使し数々の敵と戦ってきたラウラだが、一撃離脱戦法と言う名前を知らずに困惑していた。

戦術の内容を聞いても必死にSvー51の攻撃を防いでいる為頭に入らなかったが、クァドラン・ローの単語を聞いて一瞬で理解した。

 

「エスケスタ(分かった)」

 

理解してからのラウラの動きが変わった。

長年愛機として駆って戦ってきたクァドラン・ローの動きを思い出し今操縦しているVFー1バルキリーの特性を理解した。

クァドラン・ローのパイロットとしての経験を活かせば十分に戦う事が出来る。

 

「こいつ、動きが変わっただと!?」

 

「形さえ分かれば私だってまだまだ戦える!」

 

自身の特性を理解してからのラウラは強かった。

 

バトロイド形態のVFー1Dをクァドラン・ローのように見立て一撃離脱戦法を実質、格闘戦を得意としていたSvー51は一気に劣勢に立たされた。

先程まで追い詰められていたラウラが逆に攻勢を仕掛け、Svー51を追い詰めた。

 

「私の邪魔するならばしねぇ!消えてしまえ!」

 

追い詰める所は徹底的に追い詰めたラウラはガンポッドの銃砲をSvー51に照準を合わせた。

上手く行ったラウラは自身の夢を壊される寸前に追い込まれた事に激怒し、Svー51に怒りをぶつけトリガーを引き弾丸を放った。

 

「犬が・・・・・勝ったのは・・・・・・お・・・・」

 

「しまった・・・・・・」

 

Svー51を一撃離脱戦法を用いた上で撃墜に成功したが、散り際にミサイルとガンポッドをシンプソンに向けて放たれた。

ミサイルとガンポッドの銃弾の雨を受けたシンプソンは大破、ブリッジ艦橋全員戦死。

生き残った乗員はランチにて総員退艦した。

 

「ハシダテ・・・・・撃沈」

 

違う方向でハシダテが撃沈された。

既に満身創痍であり、戦える状態ではなかったが餌食になってしまった。

 

ラウラの目の前には無残に破れ散ったドーントレスやVFー1Dの残骸が漂っていた。

 

「こちらレフトウィッチ、マナット中隊後退・・・・戦線崩壊。」

 

更に悲惨な報告が入った。

マナット中隊過半数を喪失し、防衛線を維持が出来ないと。

 

救援もなく、更に多数のゼントラーディ軍部隊を相手にしなければならない。

ラウラはその辺に漂ってたガンポッドから銃弾を抜き取り補充、過剰な分の弾薬は予備として装備しゼントラーディ軍の迎撃にむかった。

 

【西暦2021年1月30日】

【アームド級宇宙空母シナノ・アームド級宇宙空母アルタミラ.ランデブーポイント】

 

アームド級宇宙空母シナノは予備宇宙艦隊所属のARMDー213アルタミラと合流していた。

 

予備宇宙艦隊のアルタミラはアンサーズ中隊が母艦とする空母であり、予備宇宙艦隊所属ながら3個飛行隊・攻撃飛行隊・早期警戒飛行隊を有しておりしかも単艦で来ていた。

 

「単艦で来るとは度胸あるな。」

 

アルタミラは護衛艦を付けずに単艦で現宙域にたどり着いており、大樹は艦長のジェイル・ベレスフォード大佐は中々の強者と見なした。

 

単艦と言っても周辺には2個中隊しかも最新鋭機のVFー5000スターミラージュが直掩に付いており、白川提督お墨付き部隊もあってか装備も豪華であった。

 

大樹は煙草を吸おうとアメリカンスピリットの箱から煙草を取り出し、口に加えようとしたところ上官であるクン少佐と元部下になるシュリとリックがやってきた。

 

「吉野大尉!」

 

「クン少佐!どうしたんです?私の最後の日に?」

 

「緊急事態だ!ワイルダーの小隊と共に出撃してくれ!」

 

「出撃?」

 

来て早々に言われたのは緊急事態に伴う出撃命令。

 

大樹は30日を以てブラックパンサーズ中隊から離れアンサーズ中隊の副隊長になるべく、ランチで宇宙空母アルタミラに向かう予定であった。

最後の日に煙草を吸って一服しランチに乗ろうとしていたが、まさかの緊急事態出撃にリラックスした表情から緊張感のある表情に変わっていた。

 

「少佐、何があったんです?」

 

「アポロ基地から出港した艦隊と同時期に出航したS.М.Sの艦隊がはぐれゼントラーディ軍、第3軍にアンノンによる襲撃を受けた。」

 

「大型艦ともあり有効打のない艦隊は放置すれば全滅する、大尉・・・・ワイルダーと先遣隊として応援に向かって欲しい。」

 

緊急出撃の命令の内容はラウラ達がゼントラーディ軍やレミアらゲリラ部隊の攻撃を受け苦戦中であり、大樹は先遣隊としてクーガー小隊とジェフリーのダンパー小隊と共に救援に向かってほしいと。

救援任務の命令を聞いた大樹は煙草を仕舞い、部下のシュリとリックに近づいた。

 

「ベルラン少尉.ニーヴン少尉・・・最後の出撃だが着いて来てくれるな?」

 

「エスケスタ!勿論です大尉。」

 

「俺達の強さ敵に見せつけてやりましょう!」

 

「うむ・・・・よし行くぞ!」

 

『『ハッ』』

 

クーガー小隊の隊長としてシュリとリックを率いて戦うのは今日で最後。

 

本来であればランチに乗り数時間後、そのまま別れる予定であったがまさか緊急出撃で部隊長として最後の華を飾れるとは思わなかった。

予期せぬ行幸に大樹はグッと拳を握りしめた。

 

【マヤン級輸送艦アブサラン】

S.M.S護衛隊全滅し、残ったのは新星インダストリーの護衛のドーントレスと甲板防衛のシャイアンのみであった。

予備戦力として残りのドーントレス部隊を全機出し迎撃に当たらせるも、迫りくるゼントラーディ軍相手に防ぎきれる自信はなかった。

 

「新統合軍の駆逐艦1隻と戦力の過半数失った飛行隊、ヒタチアチーフ・・・ファントムは出せないのか?」

 

「ダメです、ファントム2号機は無事にクラビウス基地に届けなくてはいけない物なんですよ。」

 

「だがやられるのは我々なんだぞ!」

 

アブサラン艦長は新星インダストリーのアム・ヒタチア.チーフに積荷のファントムを使えないかどうかを確認したが、クラビウス基地に届けなくてはいけない物だと拒否した。

ファントムは形式番号VFーXー8と呼ばれる最新鋭機であり、VFー4000シュメブルーメをベースにした新星インダストリーの自信作であった。

 

ゼントラーディ人でありながら新星インダストリーに所属した天才技師アム・ヒタチアにより、ゼネラル・ギャラクシーのアルガス・セルザーの製作するVFーXー10に劣ると勝らない性能を有していた。

 

「敵可変戦闘機1機及び攻撃機2機接近!」

 

「アンノントループか!警備隊、迎撃しろ!」

 

レミアと追随する攻撃機2機はアブサランに防衛圏内に侵入した。

 

護衛のドーントレスは防戦を開始するがレミアの優れた操縦技術の前に次々と撃破され、最後の防衛線であるシャイアンが立ち塞がるも一瞬で宇宙の藻屑と消えた。

 

「やれ!」  

 

攻撃機ヴェルステンはバトロイド形態に変形するとアブサランの隔壁を破壊した。

 

破壊した隔壁にあったのは最新鋭のVF、アムが言っていたVFーXー8.コードネーム.ファントムⅢ試作2号機であった。

レミアはSvー51Ωから降り、ファントムⅢのコックピットに移動した。

 

「新星インダストリー社が開発したファントムⅢ・・・・私の力になってもらうぞ。」

 

「レミア、首尾はどうだ?」

 

「問題ない、物は手に入れた・・・・・行くぞ!」

 

ファントムⅢを強奪したレミアはアブサランを脱出した。

ヴェルステンと合流すると戦場から脱するべく戦線離脱を開始。

アブサランに目もくれず艦から離れていった。

 

「ファントムⅢ試作2号機奪われました!」

 

「なんだと!?・・・・ヒタチアチーフ何処に行く?」

 

「私は元ゼントラーディ軍兵士です。ファントムⅢ奪い返します!」

 

「待て!機体は・・・・」

 

「なんとかします!」

 

ファントムⅢを強奪され、アムは頭に血が上り機体を取り戻すべく格納庫へ走った。

別の格納庫にはアムがこの時のために保管していた予備機がある。

 

しかし、いくら元ゼントラーディ軍兵士とは言えアムは通信兵出身でありクァドラン・ローや空戦ポッドで戦った兵士ではなく戦闘能力が高いわけではない。

いくら予備機に乗れたとしてもレミアに叶うとは限らない。

 

艦長はアムの身を案じて止めようとするが、そのまま更衣室でパイロットスーツに着替え格納庫に向かい秘密兵器に搭乗した。

 

「アム・ヒタチア、SDPー1スタンピード行きます。」

 

秘密兵器の正体はSDPー1スタンピード、マクロス艦内で開発されたVFー1の亜種である。

開発主任として新型VFに開発に携わる一方、保険としてVFパイロットの資格を持っていた。

イザって時のために密かにSDPー1を購入し改造した上で予備機として保管していた。

 

「私が開発した大事な機体返してもらうわよ!」

 

アブサランから発進したSDPー1はレミア率いる編隊を追撃した。

 

既に艦周辺のドーントレス部隊とシャイアン部隊は壊滅し、生き残っているのはたったのドーントレス2機とシャイアン1個小隊言う有様であった。

追撃するアムについて来れる機体は1機もいない。

 

「追撃機1機、まだ連中にそれほどの力が残されていたとはな。」

 

「相手は1機だ・・・・・私達は機体を無事に持ち帰る事を第1にせねばならん。」

 

「前方に1機、どうする?」

 

「無論、突破あるのみ!」

 

アブサランから離脱中のレミアからすれば追撃は敵ではなかった。

 

レフトウィッチはもはやはぐれゼントラーディ軍に任せても問題はないし、両軍とも疲弊している為後はそのまま離脱するのみである。

前方に1機が残りのSvー51と戦闘しているが、たかが1機すぐに撃墜できる。

 

「ラウラ、アブサランから未確認機が接近・・・データ照合なし。」

 

「データ照合なし?それはどう言う事なの?」

 

「分からない、でも1機は反統合系の物ではないわ。」

 

ラウラ達は反統合ゲリラ部隊のSvー51やはぐれゼントラーディ軍部隊と交戦中にアブサランから向かってくる編隊を確認した。

1機は未確認機であり、新統合軍や反統合系のデータに照合しない。

 

Svー51と戦闘し、近くにいたリガードを撃墜しながらアブサランから向かってくる編隊を目視で視認するとラウラの顔は真っ青になった。

 

「何こいつ!?」

 

ラウラの目の前に表れたのは見たことない、新型のVFであった。

国籍標記は新統合軍の物があるが、IFFに反応がない。

 

IFFのない新型の新統合軍のVFは無論、レミアに強奪されたVFーXー8だ。

 

公表もされてないので新統合軍のデータベースに入ってないのも当然だ。

 

 

「くっ・・・・」

 

「旧型のD型なのによく動けるわね。」

 

先手を取ったのはレミアだ!

 

ラウラの駆るVFー1Dをただの旧型ザコと認識しており、一撃で撃墜できると思っていた。

旧型のVFー1を駆っていたのはエースの実力を持っていたラウラ、そう簡単にやられる程技量は低くなく攻撃を難なく回避した。

 

「ラウラ、凄いわね。訓練もなしに回避できるなんて・・・」

 

「それでも慣れてないからクァドラン・ローの時よりかなり腕が落ちてる。」

 

訓練もなしにVFー1Dでレミアの攻撃を回避したラウラだが、明らかにクァドラン・ローに乗ってた頃よりも技量はかなり落ちていた。

それもそのはずVFに乗ったのは今日が初めてであり、乗り慣れてないから。

 

操縦方法はカゴメのサポートもあってかある程度理解しているが、まだまだ不慣れである。

 

「前方で戦闘?新統合軍か?」

 

ラウラとレミア率いる部隊が交戦開始してから2分後、アムは追いついた。

 

最新鋭機ファントムを含む複数の敵機を相手に旧型のD型で単身奮戦するラウラの姿を見て並のパイロットではないなと言う感想を述べた。

ヴェルステンを1機撃墜し、はぐれゼントラーディ軍のリガードを撃墜している。

普通のパイロットでなければできない芸当だ。

 

「こちら新星インダストリー.所属アム・ ヒタチアから前方の新統合軍機へ。」

 

「通信?こちら・・・新統合軍ラウラ・ベルタリア曹長.......」

 

「ラウラ・ベルタリア?まさかキヨラ機動戦隊のラウラか?」

 

「そうですけども・・・・」

 

「なるほどね。」

 

アブサランから逃走中のレミアら反統合ゲリラをと交戦中のラウラに後方から追劇中の

アムから通信が入った。

突然の通信にラウラは迷うことなく通信に応えると、アムは予想もしなかった人物の応答に驚き善人じゃない笑みを浮かべ驚いた。

 

キヨラ機動戦隊のエースと言われた人物が目の前にいる。

 

ラウラは気がついていないが、アムはどんな人物かは知っていた。

 

アムは先の大戦以前にラプ・ラミズが指揮していたケアドウル・マグドミラの通信兵をしていた。

面識はなかったがキヨラ機動戦隊のエース、ラウラ・ベルタリアを知っていた。

まさかゼントラーディ軍の幼いエースが生きて目の前にいる。

なんたる僥倖!目の前に表れたラウラを見たアムはこの状況を利用しようと思った。

 

「まぁいいわ、ベルタリア曹長・・・・目の前の新鋭機の動きを止めて。」

 

「新鋭機?目の前にいる敵(デ・ブラン)ですか?」

 

「奴は私が乗ってた艦から奪った敵なの?奪われたら色々厄介なんだ。」

 

「了解しました。撃墜しないよう気をつけながら動き止めます。」

 

言葉巧みにラウラはアムの言いなりになった。

 

ゼントラーディ軍に対し強い忠誠心があったラウラは軍人としての使命感にかなり弱く、言葉巧みに物事を活用すればすんなり信じてしまう。

知らずにアムの言葉を信じたラウラはファントムに対し激しい攻撃を加える事になった。

 

「ラウラ!?さっきより攻撃的になっているわよ!」

 

「えっそう?」

 

「動きがさっきより素早くなったと言うか・・・・」

 

ラウラはあんまり気がついていないが、アムに命令されてから激しい攻撃に加え機体を操縦する時の動きも良くなっており普通の一般兵よりも上の実力となっていた。

バトロイド形態が得意だと認識しており、クァドラン・ローを操っているかのような機動を駆使しヴェルステン1機を撃墜した。

 

「動きが良くなったな、遊び甲斐があるわけだ。」

 

動きが良くなったラウラと戦うレミアはこの時を楽しんでいた。

 

今までつまらない雑魚しかいなかった戦場に殺し甲斐のあるエースが目の前に現れた。

旧型のVFー1Dとは思えない優れた動きをするので興味津々だ。

出てくるのであればもっと早く出てくればいいのにと思える程。

 

だが・・・・・

 

「動きが良くなったと言っても、クァドラン・ローの一般エースと同じ。実力の差を教えてやる!」

 

動きが良くなったとは言えラウラの実力は一般エースと言う強さのレベルでは平凡であるとレミアは評価し、難なく倒せると強く確信していた。

背後からアムのスタンピードがガトリングを放ってくるが、実力は眼中にない。

 

ガトリング攻撃を回避しながら、残骸を足場に跳ねるかのように動いてみせた。

 

「こいつ、動きが速すぎる!」

 

飛び跳ねるかのように動くレミアに攻撃的になってたラウラの頭が冷えた。

まるで化け物が迫りくるかのようだ。

 

この時のラウラの手は激しく震えていた。

 

そうこうもしているうちにレミアのファントムⅢの顔が殺意強めでカメラ越しに現れた。

 

「ラック・・・・」

 

「性能の違いを・・・・思い知るんだな!!

 

「あグッ!!」

 

思いっきり殴ってきた。

一時的にカメラの調子が悪くなるほど強い衝撃を受けた。

 

殴られたラウラのVFー1は大きく後ろに吹き飛ばされるが、脚部バーニアを駆使して態勢を整えガンポッドを構え自身が得意とするクァドラン・ローの機動戦術を駆使して抗った。

 

なんとか持ち直したが先ほどの勢いを取り戻すことが出来なかった。

ラウラはこの時、夢はもう無理かも知れないと諦めかけていた。

 

【同時刻】

【新統合宇宙軍クラビウス基地.第34格納庫】

 

クラビウス基地第34格納庫ではトリコロールからのVFー5000が発進準備に入っていた。

パイロットはダークカラーのパイロットスーツに身を包んでおり、左腕には軍事警察を意味する『MP』の文字が描かれていた。

 

パイロットは整列し、赤いヘルメットを持っている指揮官が入ると一斉に敬礼をした。

 

「レフトウィッチから通報が入った、脱走兵がVFー1Dを強奪し艦から逃走した。我が隊は現地に向かい脱走兵を逮捕する。」

 

彼らの任務内容はラウラとカゴメの逮捕であった。

 

実はロイエンタールの命令に反発した艦長がクラビウス警務隊司令部に密かに通報しそれを受理し、警務飛行隊が出撃する事となった。

無論、この出撃は白川提督は知らない。

 

「現場到着後、該当機302番機がその場にいた場合もしくは遭遇した場合は即座に拘束せよ!」

 

「隊長、目標が抵抗した場合はどうしますか?」

 

「即座に撃墜・・・・と言いたいが情報を聞き出す必要がある。逃走できないように機体を損傷を与えろ!可能な限りな。」

 

抵抗したら逃走できないように損傷し拿捕。

極めて穏便に見えるが、場合によっては撃墜も暗黙の了解で承認されており、不慮の事故で撃墜に至ってしまっても不問とされている。

 

それが地獄の鬼よりも恐ろしい集団が新統合軍警務隊なのである。

 

「説明は以上だ!全機搭乗!」

 

警務飛行隊各隊員は搭乗の一声でそれぞれの愛機に搭乗した。
 

トリコロールカラーに塗装された最新鋭機VFー5000は次々と格納庫から発進して行き、目的地である輸送船団襲撃ポイントへ飛び出して行った。

幻影の集団は何も事情も知らず、ただラウラとカゴメを拿捕もしくは処刑しに向かう。

 

そしてラウラにとって運命の出会いとなる人物である大樹もまた、自身の小隊とジェフリー率いるダンパー小隊を率いて現場に先行して向かっていた。

 

次回予告

爆炎の中から目覚めた亡霊、異型のバルキリーの姿にラウラは恐怖を覚えた。実力の差と性能差からどんどん追い詰められていく中、漆黒の海から黒いバルキリーが戦場に舞う。

 

次回 マクロス外伝蒼い髪のメルトラン

 

【ファースト・エンカウンター】

 

地獄の海にもがけバルキリー!

 

前回

 

次回

 

 

 

1999年のASSー1の小笠原諸島南沖島(南アタリア島)への落下と2009年の第1次星間大戦開戦は20世紀と21世紀それぞれのターニングポイントとなった。

 

後にSDFー1マクロスと命名されるASSー1から得られたテクノロジー、初めて遭遇する亜プロトカルチャー種族の1つゼントラーディ人との戦争。

2つの出来事は大きな犠牲を払いつつも地球人類に恩恵を与えた。

 

地球人類に与えた恩恵は大きく、人類播種計画が発動。2012年9月、第一次超長距離移民船団メガロード級移民船1番艦メガロード01が出航をしたのを皮切りに人類の生活圏が拡大した。

 

メガロード01が出航して9年・・・・

 

【西暦2021年1月28日】

【ゼントラーディ工業衛星Ⅵ】

 

海兵隊の補給施設として機能しているゼントラーディ工業衛星Ⅵに向かう小型艦船があった。

 

オーベルト級宇宙駆逐艦改ゴダード。

宇宙駆逐艦2番艦であり、マクロス艦長で新統合政府初代大統領ブルーノ・J・グローバルが艦長を務めた古参艦である。

 

現在はアポロ基地所属となっており、今だに地球圏防衛を担っていた。

 

ゴダードは護衛のVFー5000スターミラージュ.計9機を引き連れながら目的地に向かった。

 

「あれがゼントラーディ工業衛星、ゼントラーディ軍の兵器を作ってただけに大きいですね。」

 

「全長50km、SDFー1マクロスよりも大きいゼントラーディ艦艇を作れるぐらいだからな。」

 

全長50kmを誇る圧倒的な大きさを誇るゼントラーディ工業衛星を見てゴダードの女性オペレーターは震えるように驚いていた。

200mしかないオーベルト級宇宙駆逐艦と比べたら、鯨と蟻のようなもんである。

 

「こちら工業衛星Ⅵブリッジからゴダードへ、ガイドビーコンを出した。ただちに誘導に従われたし。」

 

「ゴダードからゼントランプラントⅥコントロール、了解(エスケスタ)誘導に従う。」

 

ゴダードは工業衛星から出たガイドビーコンに従い入港開始した。

工業衛星には地球製船舶の入港ドッグがあり、少数であるがマイクローン化しているゼントラーディ人が勤務している。 

 

「いよいよかぁ。いよいよ、私もマイクローンの兵器を扱えるのか・・・・」

 

工業衛星について早々、ラウラはマイクローン化し他の転属希望者と共にメルトラスから退艦した。

元のサイズのままアンジェミラとメフィリアに顔を上げながら敬礼し分かれ、メルトラス出航後はミュレら転属組と共に工業衛星で月面からの出迎えを今か今かと待ちわびていた。

 

「全員整列。」

 

10分後.ドッグ管理隊長のガムエル・ロイザー大尉が転属希望者に整列するように指示を出した。

40名に及ぶ転属希望者はマイクローン化し支給されたTシャツに短パンを履いており、制服に袖を通すのは人事局員に渡された後である。

 

しばらくすると接続した連絡路から人事局員らが降りてきた。

 

「新統合宇宙軍参謀本部人事部長.チェスター・スティルウェル大佐である。」

 

「アポロ基地人事局長.頼翠花.少佐です。」

 

「クラビウス基地人事局長ヴィルフリート・フォン・ロイエンタール少佐だ。」

 

参謀本部から派遣されたチェスター・スティルウェル大佐を筆頭に人事局員団のメンバーがラウラ達の前に並んで転属出陣式が執り行われた。

直で見る地球人達の姿を見て、ゼントラーディ人とほぼ変わらないと思った。

 

人事局団が来るまでの間、新統合軍の基礎知識を学んでおり最初に挨拶をしたチェスターがこの中で一番階級が高い人物だと認識していた。

 

「ユク・ミヨン少尉です。」

 

「警務隊員.賀谷愛梨少尉です。」

 

「ラウラ・ベルタリア曹長です。」

 

「ララミア・ジェレル曹長です。」

 

転属出陣式を終えると、ラウラ達.女性兵(メルトラン)はミヨンと護衛の賀谷愛梨少尉と謁見した。 

今回転属しクラビウスに行く女性兵の中ではララミア・ジェレル曹長と共に階級が高かった為、ミヨンと賀谷少尉に挨拶する事になった。

 

「ユク少尉殿、これは?」

 

「握手です。友好の挨拶です。」

 

「なるほど、よろしく。」

 

初めての握手する動作に戸惑うも、難なくミヨンに握手して返した。

 

挨拶を終えるとラウラ達は制服一式を渡された。

制服を渡されるとすぐ女性兵員更衣室に連れて行かれ、着用の仕方が教えられた。

 

「結構キツくないか?」

 

「これが普通ですよ。事前にサイズデータ送られているのでベルタリア曹長に合ったサイズのですよ。」

 

「上はともかく、このスカートとやらはキツいなぁ。」

 

初めて着る地球式の軍服にラウラは戸惑っていた。

ズボンではなくスカートであり、下にストッキング履くので着慣れてないラウラはキツさを感じた。

他の転属希望者の女性兵も同様であり、苦戦していた。

 

ようやく着替えを終え、制帽としてベレー帽を被り広場に集まった。

 

「乗組員乗艦。」

 

 

ラウラ達は行進しながらゴダードに乗艦した。

乗艦する際に旧海上自衛隊で使われていた軍艦行進曲が流れると、聞き慣れない悠長な音楽にビクッと怯えるが平静を保ちながら連絡路を通じゴダード艦内に入った。

 

「ユク少尉・・・」

 

「なんでしょう?」

 

「行進する際に流れた音は何でしょうか?」

 

艦内に入ったラウラは隣にいたミヨンに音の正体に聞いた。

軍艦に乗艦するのに悠長な音楽を流す行為が理解できなかった。

ミヨンは制帽を整え、真顔で口を開いた。

 

「日本の軍艦行進曲って言う軍の音楽よ。」

 

「軍の音楽?」

 

「貴女音楽知らないの?」

 

「えぇ」

 

ラウラ達が乗艦した時に流れた音楽は軍艦行進曲と言う日本の行進曲だ。

地球統合政府が出来る前にあった日本国の海上自衛隊と前身国.大日本帝国の帝国海軍にて使用された歴史のある行進曲であり、今も一部で使用されている。

韓国出身のミヨンはあんまり好ましい印象を持っていないが、慣れたので気にしてない。

 

返答を聞いたラウラだが、音楽が何なのか分からなかった。

 

「リン・ミンメイって知っている?」

 

「リン・ミンメイ?誰それ?」

 

「はぁ・・・・(マジ知らないの・・・)」

 

ボドル基幹艦隊決戦で同胞殺しのショックでまともにリン・ミンメイの歌を聴いてなかった事もあってか、ラウラはミヨンを振り回す。

先の大戦の英雄であるリン・ミンメイを知らないと言うラウラの世間知らずさはあり得ない。

 

「すいません、ベルタリア曹長はいろいろありまして。」

 

「いろいろですか?フリジェル軍曹それはどう言う・・・・」

 

「とにかく深い事情がありまして・・・」

 

近くにいたミュレはラウラのフォローに入る。

変に解答されるといろいろとややこしくなり面倒くさいので、慌ててミヨンから離れた。

ラウラとミュレの反応を見てミヨンはまるで疑いの目で見るかのように見続けた。

 

「あんま下手な事言えないわよ曹長殿。」

 

「私は本当に知らないんだって。」

 

「なら勉強する事を提案します。ゼントラーディ軍とは違うんですよ。」

 

艦内の休憩所のテーブルに座ったラウラはミュレから叱られていた。

地球人からすれば帰化したゼントラーディ人はリン・ミンメイの事を知っているのが当たり前であり、それを知らないラウラは異質だった。

知らないと言いたいが、流石に不勉強であれば勉強すればいいとミュレに言われたので不満げな表情を浮かべたが観念して勉強する事になった。

 

【西暦2021年1月30日】

【新統合宇宙軍.月面アポロ基地湾口施設】

 

2日後、ラウラ達の乗る宇宙駆逐艦ゴダードはアポロ基地に入港した。

入港すると内火艇に乗船し、軍港に下船する。

 

ラウラ達は数時間上陸休憩の後、返りのクラビウス基地所属艦レフトウィッチに乗艦し護衛艦のシンプソンとハシダテと共にクラビウス基地に向かう予定である。

既にクラビウス市役所に提出するラウラの戸籍手続きの準備は終わっており、しばらく羽根を伸ばして2月4日の入所式に備え英気を養うつもりだ。

 

同時期にアポロ基地に到着した人物がいた。

 

「ライナス君、ごめんね。私の護衛任せて。」

 

「いえ、卒業まで時間ありますので。」

 

卒業を控えたライナス・フィルダー少尉と共にレフトウィッチに乗艦しやってきたのはカゴメだ。

茂人から一足先にラウラと会う為、アポロ基地に派遣されていた。

 

「カゴメさん、あれじゃないですかね?」

 

「えぇと・・・・情報通り、あれがラウラ・ベルタリア曹長。蒼い髪のショートカット、まるでイケメン系女子みたいな娘ね。」

 

ゴダードから降りてきたラウラを見つけると、第一印象としてイケメン系女子と評した。

中性的な容姿であり、大きい胸やスカート履いてなければイケメンな男の子と見間違えてしまう。

 

まるで王子様だな。

 

カゴメは爽やかな容姿の隊員候補を見て微笑むと、ラウラの方へ向かって歩いた。

 

「失礼ですけれども、貴官はラウラ・ベルタリア曹長ですね?」

 

「か・・・カゴメさん。」

 

遂に対面した。

 

バックを持ちながら興味津々に周りを見ていたラウラに、カゴメが話しかけた。

白川提督が推薦する元ゼントラーディ軍のエースパイロットで、女性兵士(メルトラン).ラウラ。

カゴメは気になってしょうがなかった。

 

「そうですけれども、貴・・・・ 少尉!?」

 

「初めまして、クラビウス基地から参りました。予備艦隊空母アルタミラ所属カゴメ・バッカニア少尉です。」

 

「護衛を任されてます、訓練生ライナス・フィルダー少尉です。」

 

話しかけられたラウラは振り返り、誰なのか確認しようとしたが少尉である事を見抜き慌てた。

慌てて敬礼しているラウラに、答礼しながらカゴメは微笑みながら口を開いた。

 

「そこのハンバーガーショップで食事しながら話ししませんか?」

 

「話ですか?一体何の為に?」

 

ハンバーガーショップで食事しながら話をしようとカゴメが提案した。

いきなり来て食事しながら話をしようとする提案にラウラは疑念を抱いた。

 

気難しい表情を浮かべるラウラを見て、カゴメはフフと意味深な笑みを浮かべた。

 

 

【西暦2021年1月30日】

【セグナークレーター上空、空母シナノ】

 

アポロ基地とクラビウス基地間のはぐれゼントラーディと反統合ゲリラなどの掃討作戦に従事している大樹らはクーガー・ダンパー両小隊はブラックパンサーズ中隊長のクン・ドユン少佐を交えてブリーフィングルームに集合していた。

 

ブリーフィング内容はシッカルトクレーターにてパトロール中だった警備隊所属のVAー3インベーダー2個小隊と母艦であるオーベルト級宇宙警備艦クリケットが撃沈された事だ。

 

他にも民間船舶が多数襲撃されており、安全保障的にも経済的にも多大な被害を被っていた。

 

「吉野大尉、貴様はどう考える?」

 

「通信記録ではSvー51Ωが単機で襲来となると、単なる反統合ゲリラの仕業じゃないですね。」

 

被害を受けた警備隊第38哨戒部隊には8機のVAー3インベーダーと警備艦1隻がいたが、僅か1機の統合戦争時代の旧型Svー51Ωにより撃墜された。

単機となるとはぐれゼントラーディでも反統合ゲリラとは考えにくい。

 

『報告、インギラミクレーターにて警備隊第18哨戒部隊が襲撃を向けました。』

 

「何?状況は?」

 

『エリトリアからの報告だと、Svー51Ω単機が襲来。第18哨戒部隊は喪失4 エリトリア中破の被害を受けアポロ基地に撤退したと。』

 

ブリーフィングしている最中に新たな被害が出た。

アポロ基地から出撃し、民間航路警戒の任に就いていた第18哨戒部隊が襲撃された。

損害はエリトリア中破、4機撃墜.2機損傷と言う大被害であった。

 

「この分では追撃は不可能か、敵機の離脱方向は確認出来たか?」

 

「北東方面に逃走、場所は何処かまでは・・・・」

 

「それだけ分かれば十分だ。」

 

大樹はモニター越しの女性オペレーターに向かって逃走経路を確認し、北東だと聞くとあらかた敵が何処に逃げるか予測した。

 

月面の地図を見て何処に潜伏場所が相応しいか考えられるとすれば1つ。

 

「ハインツェルクレーターか・・・」

 

ハインツェルクレーター・・・

シッカルトクレーターやインギラミクレーターの北東にあり、Svー51Ωの潜伏先とするならばこの周囲にあるに違いない。

 

そう確信した大樹はクン少佐にハインツェルクレーター方面に進出する事を進言しようとしたが、空母シナノはシッカルトクレーターに向かう事になり直掩として出撃する事が命じられた。

 

悔いを残す結果になってしまった大樹だが、Svー51Ωは予想外の場所に逃走していた。

 

【フォキリデスクレーター内、秘密基地】

 

山吹色をしたSvー51Ωフェンサーがフォキリデスクレーター内の秘密基地に降り立った。

格納庫内にはSvー52オリョールやSvー53フルクラムⅡが駐機しており、横流しされた新統合軍のデストロイド・ドーントレスも整備中だった。

 

「レミア・ジフォン、一連の活躍見事だな。」

 

「ふん、大した事もない。先ほどの連中だって弾薬が十分であれば殲滅できた。」 

 

Svー51Ωフェンサーから降りてきたのはレミア・ジフォンと言う紫色のショートヘアと赤い口紅そして鋭い目つき特徴のメルトランであった。

レミアは第1次星間大戦後、マイクローン化し反統合思想の強い傭兵として各地の戦場を転々としており今は月面で暗躍していた。

 

フェンサーから降りたレミアを応対したのはコートを羽織りサングラスとスーツ姿のゲラムだ。

 

「一連の働きに関するギャラは振り込んでおいたぞ。」

 

「金はしっかりしてるな。」

 

「金は地球人社会には必須だ、きちんと働かせるには相応の金をギャラとして支払う当然の話だ。」

 

ゲラムは通商破壊をしてきたレミアの銀行口座に多額のギャラを支払った。

武器の補給などは天引きであるが、個人のギャラとしては破格だ。

ギャラを支払ったゲラムだが、次の一手に移行しようとしていた。

 

「次の任務だが、極めて重大だ。」

 

「極めて重大?・・・・ふ・・難しい内容だな。」

 

「やり遂げれば、これからの傭兵稼業更に楽になると思うぞ。」

 

「そうならばやらせてもらうわ。」

 

次の任務内容は難しい内容であるが、成功すれば莫大な金も入るどころか今後の傭兵稼業が更に楽になる代物であった。

データを受け取り内容を見たレミアは難しいと言いつつも、何処か楽しんでいた。

 

「彼女上手くやりますかね?」

 

「レミア・ジフォンは確実にやる女(メルトラン)だよ、惑星クラストラニアで何度も見ている。」

 

「そうでありますが・・・・・」

 

「心配するな、失敗したところで私には何も損はしない。利になるか、現状維持かだな。」

 

Svー51Ωの整備を見守るレミアの後ろ姿を見ながら、ゲラムは悪意のある笑みを浮かべた。

 

自身の愛機であるヴァリアブル・グラージと設計図の受領の契約を惑星クラストラニアの反統合勢力と結んだ時、クラストラニア自治政府軍掃討部隊を相手に戦うレミアの姿を何度も見ている。

難しい任務内容ではあるが、レミアなら確実にやり遂げると確信していた。

 

失敗したとしてもゲラム的には何も損はしないどころか、通商破壊による混乱と言う目的はどの道成功するので任務内容はプラスアルファでしかなかった。

 

「さて新統合政府の犬どもが嗅ぎつける前に月面をおさらばして、マーズ(火星)のHGウエルズシティの郊外かオリンポス山にでも行きますか。」

 

「ハッ・・・」

 

「なぁにレミアが事を起こすまでは行かんがな。」

 

通商破壊に成功したとは言え、月面周辺の新統合軍の警戒が強まっており月面圏からの退去し遠く離れた火星圏に本拠を移そうと考えていた。

表向きゲラムは財界人であり、引き続き活動していくので移動するのは私兵のみである。

 

とは言えレミアが任務成功するまでは移動するつもりがなく、当面は月面に居続けるつもりだ。

 

 

【新統合宇宙軍.月面アポロ基地湾口施設】

【民間エリア・バーガーキング.アポロ湾口店】

 

ラウラ達はバーガーキングにて楽しく食事しながら会話していた。

 

カゴメが機種転換センターに出向していて、上官である茂人からラウラに会うように命じられた事や機種転換センターで学ぶ内容と暮らしなどを話し合われた。

 

話の内容はよく分からなかったが、何より初めて食べて飲むハンバーガーとコーラが美味しかった。

 

「バッカニア少尉は何故私に会うように命じられたんですか?」

 

「確かにベルタリア曹長が目的みたいな。」

 

「えぇっと・・・・・ね。」

 

ダブルステーキワッパーを食べながら、ラウラは疑問をぶつけた。

 

何故自分だけなのか?

 

クラビウスの機種転換センターに行くのはラウラだけではなく、ミュレなど多くの候補生がいる。

それなのに数多くの候補生の中で、自分だけが目をつけられているのか?

 

「私・・・・・目の敵にされてません?」

 

「目の敵にしてないわよ、ただ貴女の経歴を見て桐原少佐が関心を持っただけで・・・」

 

「私の経歴に関心を持った?」

 

疑念をぶつけられたカゴメは慌てて誤魔化すが、流石に誤魔化しきれない。

ラウラはハンバーガー食べ続けながら、本質を下げるため質問を攻めを続けた。

 

その頃、バーガーキングアポロ湾口店の外ではとある私服姿の緑色のショートカットの女性が黄緑色の女性と共に歩いていた。

 

「和也はミリアと仕事、子供は学校・・・お義父さんとお義母さんは夫婦で温泉・・私だけ暇かぁ。」

 

「中尉、だからと私と一緒じゃなくても・・」

 

「ミアンがたまたまいたから悪い、暇つぶしぐらいさせてよね。」

 

「強引だなぁ。」

 

たまたま休暇中であった絵理とその副官のミアンだ。

 

休暇中とは言え子供は学校で、義両親は温泉に出かけており広い家で警備の兵や家政婦と執事しかおらず心細くなった絵理は一人外出した。

 

またまたミアンを見かけたので、同行する事になった。

 

「ミアン、何故市中ではなく湾口なの?」

 

「機種転換センターの候補生が到着する日で、どんな相手が来るのか気になるんので見に来ただけです。」

 

「ふ〜ん、彼氏いるのに他の男を見に・・・」

 

「人聞きの悪いこと言わないでくれます?中尉。」

 

ミアンがこの日湾口施設に訪れたのは機種転換センターの候補生を見に来ただけである。

機種転換センターの候補生を見たら民間施設でランチを取って家に帰宅するだけであったが、絵理が来た事でややこしくなった。

 

おまけに変な誤解までするので、誤解が解けるまで説明で苦労した。

 

後にミアンはマクロス7船団の人気歌手で娘のフラスチャカヤ・シュラインに、上官である絵理に説明しようにも変な誤解生んで大変だと語っているがそれはまた別の話。

 

「中尉、私は別に・・・」

 

「「バッカニア少尉、私は確かにエースだったですけれども上から褒められるような兵士ではないです!」」

 

「あの声と口調は・・・・ラウラか・・・声の方向はバーキンか・・・」

 

ミアンが必死に説明している最中、ラウラの声が聞こえた。

 

声が聞こえてくるバーガーキングの店内を見ると追加注文のトリプルワッパーチーズを食べながらラウラがカゴメに執拗な質問攻めをしている姿だった。

 

「ベルタリア曹長、元戦友の方から貴女の事を聞いた上で・・・・」

 

「にしても私の事、気にしすぎです。」

 

カゴメといい、白川提督といい何故そこまで自分に固執されるのか分からない。

エースと呼ばれる程の実績を残しているが、結果論であるし特に凄くない。

元上官であるキヨラの方が凄いし、それに比べ自分はエースなだけで平凡だと思っている。

 

更に質問をぶつけようとした直後。

 

「うるさい声がすると思えば、ラウラ・・・やっぱりマイクローンになりVFパイロットになりに来たのか・・・」

 

聞き慣れた声がラウラに向けて話しかけてきた。

 

話しかけてくる聞き慣れた声はつい最近聞いた事のある声であり、ゼントラーディ軍時代は特に何度も聞いた事があれば喧嘩したことのある主であった。

振り返ってみると、ラウラの顔は唖然とした。

 

「モーア・カリダム!何故ここに?」

 

「何故ってここが私のホームグラウンドだからだよ。」

 

インフェルノ・ザ・ワンパウンダーセットとバーベキューチーズホットドッグを載ったトレーを持つ星村絵理と小隊副官のミアンの姿だった。

私服姿の絵理の姿を見てカゴメ達は慌てて敬礼したが、ラウラだけはしなかった。

 

「ラウラ相変わらず不躾ね。」

 

「モーア、その服装は何だ?」

 

「これは私服、地球人の普段の服装よ。」

 

「私服?」

 

ラウラは絵理とミアンが着ていた私服に興味を持った。

 

絵理はキュロットパンツにTシャツ、その上にカーディガンを羽織っており、ミアンはタイトミニスカートに革ジャンを着ていた。

軍服と違う地球人の私服に、戸惑いつつも魅力的に感じていた。

 

「星村中尉、何故貴女がここに?」

 

「休暇だからミアンの付き合いしているのよ。たまたま懐かしい戦友見つけたから話にね〜♫」

 

「何を話したいモーア・・・」

 

「適当〜♫」

 

わざわざ話しかけて来たと言う事は重大な事かと思ったが、絵理は適当と答え苛ついた。

ラウラが苛ついたのは、ある意味期待して損した事からで意味深な事を話すのかと思っていた。

 

「VFパイロットに志願したって事だけども、覚える事は多いのって知っている?」

 

「知っているここに来る道中覚えたから。」

 

「へぇ。」

 

質問してきたが、至って普通であった。

言葉の通り適当であり、何も考えていない。

そう考えていたラウラだったが、予想外の質問が来て心臓が止まるような感覚に陥る。

 

「生身で人を殺す事は?」

 

「生身?」

 

「そう生身、人を殺す事は出来る?これから殺す相手の顔を見ながら・・・・ね♫」

 

これから殺す相手の顔を見ながら生身で人を殺せるが出来るか?絵理が笑顔で質問してきた。

過激すぎる質問に周りはドン引きし、ラウラはコーラの入った容器を持つ手が震えた。

不幸中の幸い、他の一般客はいないが周りからしたら不愉快極まりない。

 

「中尉、ここは食事する場ですよ!」

 

「軍人なのに、人の生死を関わる発言を気にするのかね?」

 

「民間人もいます。」

 

「だけど周りには私達しかいないわ、ラウラどう?答えられる?」

 

食事する場としてはあんまりな発言にカゴメは抗議するが、絵理は笑顔をやめ嫌悪顔になりながら見下すように言い返される。

カゴメは押されつつも、反論したが絵理は抑え込むかのように言い返した。

 

「別にVFパイロットになるんだから、目の前で人を殺す事なんて・・・・」

 

「そうとも言い切れない。非正規戦である今、ゲリラ部隊や工作員との戦闘があるのよ。拳銃などの武器で戦う事もゼロではない。」

 

「工作員との戦闘・・・・」

 

「後は自機が敵勢力圏に墜落した際の逃避行とかね。」

 

VFパイロットとなっても、生身で殺し合う事は無くならない。

 

反統合ゲリラのゲリラ戦や破壊活動.テロ活動により、自ら拳銃を持って迎撃戦をする事がある。

非正規戦と言う概念のないゼントラーディ人からすれば、生身で人を殺し合う概念はなく兵器による一方的な殺戮行為しかない。

 

相手の顔を知らないまま殺し合いをしてたあの頃と違い、ゲリラが生身で仕掛けてくれば相手の顔を見て戦闘する事になる。

 

「生身で戦闘と言う事ですけども、マイクローンは結構生身で戦うのですか?」

 

ミュレは生身で戦う地球人の事が不思議に感じた。

 

ゼントラーディ軍は兵器に乗って戦う軍隊であり、歩兵は入れど艦内警備の類でしかなかった。

ラウラやミュレは重火器は一応扱えるが、生身で戦闘を経験した事は一度もない。

 

生身で戦う地球人兵士の姿はラウラ達ゼントラーディ人から見れば異質に見える。

 

「地球人は原始的な時代から今日まで生身で戦闘するわよ。」

 

「あんな兵器があっても?」

 

「そうよ、地球人曰くいくら技術が進歩しても戦い方の基礎は変わらないって。」

 

地球人から言わせれば戦略・戦術の多様化により、様々な戦い方があるだけに過ぎない。

歩兵戦も基本中の基本であり、どんだけOTMやゼントラーディの技術を取り入れ大幅に技術が進歩しても無くなる事がない。

 

「ラウラ、地球の戦い方は単純じゃないんだ。かなり複雑だし、VFに乗って至って無力さ痛感する事あるわ。」

 

「モーアは無力さを痛感した事があるのか?」

 

「かなりある。」

 

VFパイロットになってからもエースとして、特殊部隊の副隊長としての名声と実力を兼ね備えた絵理であったが、戦場によって無力さと屈辱を味わった経験は何度もあった。

 

ラウラより10年以上、地球の戦争の流儀を経験してきた絵理は何十回地球の戦争は悲惨で胸が張り裂けそうな出来事を何度も遭遇した。

 

「お前は志願したのはいいけど、理不尽な目に遭う覚悟がなければやっていけないわ。」

 

「・・・・・・」

 

「でもね、お前がそんなヤワな女(メルトラン)じゃないのは知ってるから・・・」

 

地球は素晴らしい文化はありこの世の生き天国である一方、戦争や諸問題は戦争ばかりのゼントラーディ人を絶句させる程理不尽極まりないこの世の生き地獄だ。

 

生半可な覚悟では生きてはいけないそれが地球人文明だ!

 

とは言えラウラは理不尽極まりない状況に陥っても切り抜けられると絵理は思っていた。

 

「モーア、私は自分を変えたくて志願したんだ。今さら退く事なんて出来ない。」

 

「そう言うと思った。私は期待しているのよ、お前がどんなVFパイロットになるのか・・・どんな軍人になるのかってね。」

 

「期待・・・・・」

 

マイクローン化し転属する道を選んだ時点でもう退く事が出来ないと言う事を知らない程愚かではないし、それなりの覚悟を持ち合わせている。

むしろ、心配せずともラウラがどんなVFエースパイロットに育つのかの点を楽しむ事が出来るし期待しても問題はない。

 

後は本人の頑張り次第で何処まで伸びるかだ。

 

そう考えている絵理はミアンと共に食べ終わると席を立った。

 

「そろそろ他所に行くわ、じゃあね♪」

 

「しばらく顔を見せるな!」

 

「おー怖、あんまり感情的だと私にいつまでも勝てないわよ!」

 

「ほざけ!」

 

トレーを片してバーガーキングの外に出る2人にラウラは吠えた。

余裕そうな振る舞いを見せる絵理の姿を見てムカついた。

 

「ベルタリア曹長、感情を押させないと。」

 

「だってあいつが・・・・」

 

「あいつではありません、星村中尉です。」  

 

「うぅ、申し訳ございません・・・バッカニア少尉。」

 

吠えるラウラは能面のような真顔のカゴメに注意された。

あまりにも背筋の凍るようなカゴメの表情を見て、心臓を掴まれたかのようにラウラは震えた。

 

震えるラウラの姿を見て能面のような表情を解き、天使のような笑顔を浮かべある提案をした。

 

「堅苦しいのはなしです。ラウラ、これから下の名前で呼ぶから私の事をカゴメと言ってくれる?」

 

「バッカニア少尉、それはダメですよ。上官ですし、下の名前・・・」

 

「単に仲良くしたいからよ。友達にならない?一人じゃ心細いでしょ。」

 

「友達ですか?それは・・・なんですか?」

 

「戦友よ!私は貴女と戦友になりたい。」

 

友達にならないか?

カゴメは自身の事を下の名前で呼ぶように言ってきた。

 

突然の提案に最初はラウラは困惑し下の名前を呼ぶのを丁寧に断ろうとしたが、天使のような笑顔を浮かべるカゴメの姿を見て断れる気にはなれなかった。

 

むしろ、戦友になりたい。

その言葉に心地よさを感じた。

 

「よ.よろしくカゴメ、戦友になろうと言われるのは心地よい気がした。」

 

「そう、こちらこそよろしくねラウラ。」

 

ラウラとカゴメは握手をした。

 

長年の戦友と離れ寂しさを感じていたが、カゴメが戦友(ともだち)になってくれると言う事は青天の霹靂であり初めてゼントラーディ人以外の友を得る事にラウラは感激した。

 

先程までカゴメを追求していたが、今となってはどうでも良くなった。

 

その後、ラウラ達はバーガーキングを出るとしばらくカゴメのエスコートにより外出を楽しんだ後.クラビウス基地行きのレフトウィッチに乗艦した。

 

【月面クラビウス基地とアポロ基地間、某所】

 

度重なる戦闘で数多くの新統合軍部隊と反統合ゲリラ、はぐれゼントラーディの艦艇や艦載機が無残な姿が月面の大地に転がっていた。

 

宇宙に漂う死体は真空の世界が故に腐敗もせず、死んだ直後の姿まま無残に晒していた。

 

そんな戦場で散った骸の大地の上を小隊規模の可変機部隊が通り過ぎる。

 

「上手く新星インダストリーが密かに輸送中の新鋭機を強奪しろか・・・」

 

「我々がしっかり援護する。お前はしっかり任を果たせよ!」

 

「はいはい」

 

フォキリデスクレーターの秘密基地から飛び立ったレミア率いるSvー51Ω3機はゲラムの命を受け標的に移動中であった。

更にレミアの後方にSAー1ヴェルステンと言うゼントラーディの技術と地球の技術を融合した可変攻撃機2機が随伴していた。

 

「ん?」

 

「どうしたレミア・ジフォン?」

 

「先客だな。」

 

レーダーに反応が映った。

 

大型艦が2隻、ラウラ達の新統合軍艦隊とS.M.S船団の進路上向かっていた。

予想外の先客であったが、レミアはお構い無しに操縦桿を握り、目標に向かっていった。

 

【西暦2021年1月30日】

【月面.東の海周辺中域】

 

ラウラ達はアポロ基地を出航した。

オーベルト級3隻の艦隊とアポロ基地とクラビウス基地の防空圏に重なる地点までの護衛飛行隊マナット中隊が出撃し警護に就いた。

 

「S.M.Sと新星インダストリーの輸送艦ね。」

 

「S.M.S?新統合軍と違うのか?」

 

「民間軍事会社、国家を顧客にした警備会社みたいな物ね。」

 

「なんか分からんな。」

 

艦隊と並行するようにS.M.Sのオーベルト級宇宙駆逐艦2隻、護衛のVFー1A初期型バルキリー2個小隊が新星インダストリーのマヤン級アブサランを守るように航行していた。

 

S.M.Sアポロ支社は新星インダストリー社の依頼を受けてある物資を輸送していた。

物資の中身は部外秘であり、警護しているS.M.Sの隊員や輸送担当の星間運輸の社員は何も知らないままクラビウス基地まで運ぶことになる。

 

自身に関係のない事だと分かったラウラは、与えられた自室の椅子に座りリラックスした。

 

「いよいよ、VFパイロットとしての道か・・」

 

月面クラビウス基地に到着すればVFパイロットへの道の最初の第一歩を踏み出す。

10年前ゼントラーディ軍人としての立場を失い同胞を殺し死に場所を求め生きてきたが、ようやく自分がやりたいと思える事に巡り合った。

 

やりたい事を実現が出来る、今からそう考えると戦闘での高揚感以上の興奮を覚えた。

 

無論、絵理から言われた地球軍人としての現実に関する事もあるが今のラウラの頭の中は楽しみと言う感情に支配されていた。

 

だが

 

人生早々簡単に思い通りには進ませてくれない。

 

「艦長、レーダーに反応。IFFにない大型艦2隻!」

 

「なんだと?艦級は?」

 

「2000m・・・スヴァール・サラン級標準型です。」

 

レフトウィッチのレーダーに艦影が反応した。

 

2隻共、2000mを誇るゼントラーディ軍主力戦艦スヴァール・ サラン級であり、小口径多砲主義に基づく武装で敵艦隊を蜂の巣にする戦車のような軍艦である。

 

500mのマヤン級アブサラン除くオーベルト級宇宙駆逐艦は200mしかなく、スヴァール・サラン級の10分の1くらいの大きさしかない。

 

「艦長、敵艦隊は小型艇5・斥候艦1です。」

 

「斥候艦はマイクローンにとって大型艦、確証はありませんが輸送艦かと。」

 

「だとすれば弾薬等の物資を搭載しているに違いない。全艦に発令。インファイト・ゾーンへ突入する。小型艇と艦載機は殲滅していいが、斥候サイズの敵艦を沈めるなよ!脅しを放て!」

 

「第一射撃放て!相手の陣形を崩す!」

 

はぐれゼントラーディ艦隊は戦闘態勢に突入した。

 

ボドル基幹艦隊決戦以降、他の基幹艦隊に合流できずはぐれゼントラーディと化したが、海賊行為をしながらしぶとく10年間新統合軍による掃討作戦を生き延びてきた。

 

しかし、度重なる掃討作戦により戦力と物資を喪失し戦闘継続が困難になっていた。

 

つい最近は第9機動艦隊を引き連れていたクラビウス艦隊総旗艦である第1世代型マクロス級SDFNー13ニール・アームスロングと交戦し、艦隊は風前の灯火と化した。

 

それでも艦隊には70機以上の艦載機を有しており、安全保障上脅威であった。

 

2隻のスヴァール・サラン級は艦載機を発艦準備しつつ、脅しの第一射を放った。

 

「なんだ!?わっ・・・痛」

 

砲撃はレフトウィッチに命中するギリギリを通過した。

自室でリラックスしていたラウラは砲撃音の轟音を聞いた直後に、通過した衝撃で椅子から転げ落ちた。

 

『総員第一種戦闘配備!これは演習ではない。繰りかえす、これは演習ではない!』

 

「戦闘!嘘でしょ!」

 

艦内アナウンスを聞いて戦闘状態に入った事を知った。

 

「貴様!機種転換センターの訓練生か!」

 

「はい!」

 

「食堂で待機しろ!戦闘は・・・・」

 

部屋から出たラウラは外の様子を見ようと廊下に出るとパイロットスーツを着た兵士と遭遇した。

兵士はラウラの制服姿を見て食堂で退避するように言おうと突如爆発が後ろで起こり、空いた放り出された。

ラウラも空いた穴に吸い込まれそうになったが、運良くエアロックのハッチが閉まった。

 

「死んだ・・・・・・・・」

 

目の前で人が死んだ。

 

パイロットスーツを着ていた兵士だけでなく、近くにいた乗員も何人かが宇宙に放り出され死んだ。

後一歩間に合わなければ自分も死んでいた。

 

「戦闘で死ぬのは誉れだけど、あんな死に方は嫌だ。絶対に嫌だ。」

 

初めて戦闘が行われている中で恐怖を抱いた。

 

人が目の前で呆気なく死にゆく姿にとてつもない恐怖心を抱いた。

戦闘の中で何も出来ないまま死ぬ事が何より耐えられなかった。

 

「そうだ、艦には艦載機があった。」

 

恐怖心を抱いたラウラだったが、乗艦する際にレフトウィッチや護衛艦にデストロイド・ドーントレスが係留されているのを見た事を思い出した。

ドーントレスだけでなく、可変戦闘機のようなシルエットを艦上部にあるのを見かけた。

 

「ラウラ!大丈夫!」

 

そう考えていると、カゴメが心配しながら駆け寄ってきた。

ジャケットを着ておらず、顔から血が出てたり擦り傷が出来てたり、ストッキングが破れているのを見るに先程の攻撃で負傷したのだろう。

そうした姿を見てラウラは恐怖心を抑え、意を決して愚直に考えている事を述べた。

 

「私、出撃して戦いたい!」

 

「えっ!?どう言う・・・・」

 

「カゴメ!この艦に私が乗れる機体はないの?」

 

ゴダードに乗れる機体があれば戦いたい。

 

何も出来ないまま死ぬのが怖い、やりたい事が出来ないまま死ぬのが怖い。

どうせ死ぬのであれば戦って戦場の花として散華したいとラウラは思った。

 

正直、ようやくやりたい事を見つけたのに死ぬ事になるのは無念極まりないがこれも仕方がない。

そう考え素直に言ったが、カゴメの顔は物凄く怒っている表情に変貌した。

 

表情の変わったカゴメの姿を見てラウラは困惑した。

何故、そんな表情で私を見るのかと?

 

西暦2021年1月30日、ラウラの運命の出会いと価値観を大きく変える戦いが今幕を開けた。

 

次回予告

ラウラ達の艦隊が襲われた。はぐれゼントラーディとレミア率いる反統合ゲリラの攻撃で艦隊に多大な犠牲が出る中、ラウラは初めてVFの操縦桿を握る!

 

次回 マクロス外伝蒼い風のメルトラン

 

レミア・アサルト

 

月面の大地を駆け抜けろ!バルキリー!

 

前回

 

次回

 

 

 

 

デザイン.ネル

【生年月日】
2000年6月8日
【所属】
新統合軍
【階級】
少尉

【前職】

歌手・アイドル
【人種】
地球人/イギリス人(ウェールズ人)
【姉妹】
カオリ・バッカニア
ミユ・バッカニア

【イメージ声優】

安野希世乃
【解説】

新統合宇宙軍.予備宇宙艦隊アームド級宇宙空母アルタミラ.オペレーター。

 

士官学校に入る前の1年間、リン・ミンメイに憧れて歌手やアイドルをやっていたが売れなかった事もあってか自信が持てず引退し同時並行で受験していた士官学校に入学した。

 

士官学校時代は後に白川秀康提督の秘書官になるメロディー・ギンヌメールと親友兼ライバルの関係になり、首席の座を争った。

 

卒業後はクラビウス基地オペレーターとして勤務していた。

 

性格は真面目で面倒見があり、後輩から慕われている。負けず嫌いであり、ムキになる事も。

 

【親族】

(ラグナ駐留軍祭りにての新統合軍コスプレを披露する従姪孫のカナメ・バッカニア)

 

46年後に活躍するカナメ・バッカニアは従姪孫である。

 

曽祖父のトラフォード・バッカニアは英空軍第13飛行群.中尉として第二次世界大戦中のバトル・オブ・ブリテンの防空戦に参加している。

 

他にも多数の親戚がいるが、第1次星間大戦で戦没し断絶した家系もいつくかある。

 

トラフォード・バッカニア(英空軍第13飛行群.中尉)

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ニコル・バッカニア

|―――――――――――――――― |

トマス・バッカニア           スタンリー・バッカニア   

|                                                               |                      

エルマー・バッカニア        カゴメ・バッカニア

|

ヒュー・バッカニア

|

カナメ・バッカニア

【ギャラリー】

 

 

デザイン.鈴花ベル

【生年月日】

1993年10月26日

【所属】 

新統合軍

【階級】

少佐

【人種】

地球人/ドイツ人(ソルブ人)

【髪色】

黒髪

【イメージ声優】

若本規夫

【キャラクターデザイン】

鈴花べるさん

【解説】

新統合軍クラビウス基地人事局に所属する将校。

 

士官学校時代に南アタリア島攻防戦に巻き込まれSDFー1マクロスに乗艦し第1次星間大戦を生き抜いてきた過去がある。

 

人事局に所属していながら非凡な才覚で実績を積んでおり、次期に参謀本部所属の参謀の座に就くとして周囲から期待されている。

 

アポロ基地内のドイツ軍閥の幹部である父のヴォルフガング・ロイエンタール大佐は統合戦争時代は地球統合軍側の軍人として功を挙げ、月面アポロ基地に配属されている。

 

アームド級宇宙空母シナノ副長であるオスカー・ミッターマイヤー少佐と並びクラビウス基地ドイツ軍閥の双璧と称されている。

 

【モデル】

銀河英雄伝説のオスカー・フォン・ロイエンタール

こんばんは

当ブログの管理人長田義家です。

 

完全版漫画掲載用にPixivアカウント開設しました。

 

当ブログでも掲載しますが、Pixivは裸の描写などアメブロでは表現できないような表現ありです。

皆様よろしくお願いします。

 

(Pixivアカウントの管理人は私含め4人です)