The Romance Languages(翻訳)(7) | ポルトガル語学習のブログ

ポルトガル語学習のブログ

あえてポルトガルのポルトガル語中心です。
言語学ネタも少しだけ。

ポルトガル語は、スペイン語と同じように、コピュラの機能をもつ
動詞を2つ持っています。この2つというのは、SEDERE(古ポルトガル語seer)
とESSEREが融合したものに由来するserと、estar(< STARE、cf.p.102)です。
(どちらも、以下で説明するように、助動詞としても機能します。)

[コピュラcopulaというのは、主語とそのあとに置かれる語とを結ぶのに
使われる語のことです。
ちなみにここに書かれている通り、serの活用が極端に不規則なのは、
2つの動詞の活用が混ざったからです。直説法現在形でみると、
sou, somos, sãoがSEDERE由来、és, éがESSERE由来です。]


この2つの動詞の区別は、主にアスペクトの区別です。
serは非進行形の表現で使われ、estarは進行形の表現に使われます
(助動詞としての用法も一貫しています)。

伝統的な特徴として、serは固有または永続的な資質を示し、estarは
非固有の資質を示すということも、この区別に従っています。
大部分のケースで、動詞の選択は対立によるというよりは条件づけによります。

O João é bombeiro「ジョアンは消防士です」
O Pedro está zangado「ペドロは怒っています」

O João é um desempregado habitual
「ジョアンはずっと失業しています」
O Pedro está desempregado「ペドロは失業しています」

O João é esquisito「ジョアンは変わり者です」
O Pedro está (sendo) esquisito (hoje)
「ペドロは(今日は)様子がおかしい」

アスペクト的に中立の動詞ficarは場所をあらわす表現によく使われ
(それ以外の場合では、ポルトガル語はestarよりもserを好む傾向が
あります。例えば、Lisboa é/fica/ ?está em Portugal
「リスボンはポルトガルにあります」)、形容詞とともに使われる場合、
ficarでないケースではestarを要求します。

fiquei doido「私は常軌を逸している」

[Lisboa está em Portugalは、Lisboaが移動できて、今はPortugalに
ある(いる)と理解してよい文脈ならば可能です。ファンタジーかも。]


この最後の用法では、もともとの永続性と結果の状態を含意することを
いくぶんか保持し、これは完全自動詞としての用法に維持されています。
例えば、eu vou ficar em casa「私は家にいます」

ficarは*FIGITAREに由来し、もともとの他動詞の意味はfincar
「置く、ささえる」に保持されています(cf. スペイン語hincar)。

[ラテン語の語頭のFは、ポルトガル語ではそのまま維持されましたが、
スペイン語ではその後、f > h > φという変化をとげました。
(つまり、無音化しました)。例:ポfazer、falar/スhacer、hablar]