今年、中国がGDP(国内総生産)で日本を抜いたといわれています。
GDPと、先日の尖閣諸島の領海侵犯の件は、要するに中国が強大な軍事力と経済力を持ったということです。
もっとも、中国は突然偉そうになったかのように見えますが、もともと紀元前から中華思想の国で、周辺諸国を属国にして脅迫して貢がせるのが当然という国です。
19世紀末から20世紀半ばまでGDPが低迷していたのでしばらく大人しかっただけで、19世紀以前はやはり強かったです。
世界のGDP(国内総生産)のうち、どの国がどれだけの割合を占めていたかの歴史を表したグラフが面白いです。
推定値だし、2008年の時点ですでに中国が日本を大きく上回っているのがおかしいなど疑問はありますが、まあ傾向は分かります。
(追記:これはPPPという基準で見たGDPだそうです。どの国でも同じ材料で作るビッグマックの値段が国ごとにどう違うかで物価の違いが分かるように、同じ商品の物価が国ごとに違うのをできるだけ計算に取り入れて推定したGDPだそうです。一般に発展途上国の通貨はドルに対して安いけど、それで生活できているのだから、PPP基準だとGDPが高めに出るのだそうです。)
http://www.economist.com/node/16834943
から借用しました。
近代以前はほぼGDP=農業生産です。従って、多くの人口を養えるだけの農業生産のある国がGDPの上位を占めていますね。
この棒グラフを見てすぐ分かるのが、インドと中国が19世紀初頭までずっと1位か2位を占めていることです。古代からずっと人口が多い土地なのでしょう。
あと、このグラフに出ていないけど、本当はペルシャ(イラン・イラク)が古代から近代初頭までずっと上位を占めているはずです。
イタリアは、紀元1年の時点では古代ローマ帝国の中心地で、GDPはインド、中国に続いて3位ですね。
ローマ帝国は基本的に農業国でしたが、合理精神が強く、高度に発達したインフラと軍事力で、周辺諸国を圧倒し富を蓄積しました。
しかしその後、農業生産も軍事力も外注で済ませるようになり、贅沢にふけるようになって弱体化したと言われています。
外注は合理化を進めると必然的に通る道なのかもしれませんが、短期的には楽して儲けられても、長期的には怠惰と衰退をもたらすのでしょう。
イタリアから生産や軍事を委託されていた地域は、主に小アジア、シリア、ガリア、スペイン、北アフリカ(エジプトからモロッコまで)です。古代末期から中世にはこれらの地域がイタリアをしのいで栄えてきました。
1000年ごろには、小アジアやシリアを中心に東ローマ帝国、ガリアを中心にフランク(フランス)王国、北アフリカからスペインにイスラム帝国が栄えていました。
フランス以外は棒グラフに入っていませんが、その他が増えているので、それが東ローマとイスラムの寄与のはずです。
こうして衰退の一途を辿ったイタリアのGDPは、中世の1000年ごろはずいぶん小さくなっています。
しかしちょうどその頃、イタリアではローマ教皇を中心にカトリック教会がオカルト(キリスト教)をはやらせ、ヨーロッパ中から非常に組織的にお布施をかき集める霊感商法が成功し始めます(^^;。
オカルトで人々を扇動し、十字軍、特に第4回十字軍では東ローマ帝国を滅ぼして莫大な財宝をイタリアに持ち帰りました。
1500年(ルネサンスの時代)、再びイタリアが3位に躍り出たのは、こうしてかき集めたお金で、イタリア各地で教会建築、絹織物、絵画など贅沢品の生産が活発になったためでしょう。
しかし近代になり、贅沢品の生産よりも日用品の大量生産が物を言う時代になるとイタリアは再び衰退し、観光でボッタクる国家としてなんとか生き残り現在に至ります。
日本は、1000年ごろ(平安時代)にそこそこのGDPになってから、1700年ごろ(江戸時代中期)までずっとそこそこですね。
1700年まではほぼ農業国で工業生産がほとんどなかったのが、そこそこのままだった原因でしょう。
それでも、コメの品種改良と関東・東北地方への新田開発のおかげで、世界の中での順位は下がらずにいたんでしょう。
同じく農業国のフランスも中世から近代初頭までずっとそこそこです。
1700年に入ると、イギリスが羊毛と毛織物産業でGDPが増え始め、1820年には産業革命で一気にイギリスが工業国として躍り出ていますね。それまでイギリスのGDPなど微々たる物でしかありませんでした。
少し遅れてドイツとアメリカがやはり工業国として急激に拡大しています。
欧米列強は工業化とともに大量の近代兵器を作り、アジアやアフリカの支配に乗り出していきました。
日本は、1870年(明治初期)に順位を大きく落としているのが分かります。農業が衰えたわけではないのですが、工業生産で欧米に圧倒されていたためですね。
これに危機感を持ったことが明治以降の工業化の原動力だったのでしょう。おかげで1900年には少し順位が上がっています。
一方危機感がいまひとつ薄かった中国やインドは農業国のまま、この時代にずるずると順位を落とし、近代兵器を持つ欧米列強の支配下になっていきました。
1900年以降、今度はイギリスが衰退していますね。
過去の資産で国民が働かず福祉で暮らすようになったこと(英国病)や、世界中に植民地があっても飛び地支配なので、同時多発的に独立運動が起きると抑えきれないのと、アメリカのように現地で資源採掘から工業生産までできる国に比べて(特に有事の際に)コストやリスクが多くなる運命にあったことが原因でしょうね。
特に2度の大戦でドイツの潜水艦作戦でイギリスの船が次々に沈められましたし、スエズ運河をエジプトに奪われましたし、香港も手放さなければなりませんでしたし。
日本は富国強兵政策のおかげで明治から昭和の初めまで独立を保ちました。しかしアメリカやイギリスに必死で追いつこうとしすぎて、長期戦略もないまま身の程を知らずに戦争して負けて、かえって一時独立を失ってしまいました(しかし戦後の高度経済成長で再びGDPが伸びました)。
中国は2008年の時点で大復活を遂げていますね。改革開放路線、つまり海外貿易と工業化の結果です。
これは日本が明治維新後に通った道と同じですが、中華思想を持っているため戦前の日本以上に危ない国です。
中国の次に発展するのはインドでしょう。
おお、この2000年間の世界史を一気に勉強できてしまいました(^^;
学校でもこうやって歴史を教えればいいのにと思います。
日本が今後、古代末期のイタリアや19世紀の中国・インドや20世紀のイギリスのように、ずるずる衰退していくのか、それともこの危機をバネに復活するのか、今は大きな分岐点に立っていると思います。
あと、長期的に考えて、日本が今後同盟を結ぶならインドでしょうね。インドはまあまあ穏健な国で、日本とは仲良くやっていけると思います。あちらは非同盟主義なので緩やかな協定にとどまるでしょうけど。