∞心機一転まさるの日記∞ -6ページ目

∞心機一転まさるの日記∞

規律の厳しい役所を退職し自然豊かな山間の温泉町に道場を造りスタートしました。しかし元職からメールが一通!堅い仕事の師範役に逆戻り!

機動車の後輩をお出迎え

新築現場のプレハブ前に来てみると、ブルーシートが気になり捲って見たが変化はない。戻って道場のワゴン車に乗り込み、シートを斜めにして目を瞑る

 

何とも長い一日が過ぎ午前2時半だ。
しつこい〇国マフィアだ中東の国が関与しているのか、川渡がマークされたのかチャンの個人的な行動だったのか、心配の種が残る。

 

ウトウトしたときスマホが着信(いま古川を降りて西方に向いて走行中)とLINEで来た
折り返し(お疲れ様、20~30分くらいです)と返信

 

ワンボックスのエンジンをかけ、静かに県道に出る。そろそろ祖父たちも戻るころだが国道の入り口までゆっくり走る。

国道も通行量が無く、クラウンがゆっくり曲がってきて、反対車線に止まる。

「もう来るのか?」と祖父が

「ちょっと前に古川を降りたようで、退屈なので降りてきました、女性陣が気が付いて責められるので離れて来たところです」と本音を言う。

 

「そうか、送り出すまでは気づかれないようにと思っていたが、気付いたか?」と祖父

「いや~まだ骸になったとは言っていません、機動車に載せてから話そうと思います」

「そうだな それが良い、兎に角先に帰っているから」と言うと、榊原さんが

「私も降りてお待ちします」とドアを開けた。境原さんがドアの外で

「有難うございました、お陰で傷は落ち着き、痛みも薄らいできました。有難うございました」と礼をする
「痛みが治まったのは、薬のせいで切れてくると痛くなるかもしれないよ」と注意しながら車を発進させる。

 

「こんな夜中に病院が開いて、居ましたか?」とまさるが気にする。

「え~開けて頂きましたが、看板は内科・小児科で驚きました」

「あぁ個人医院でしたか」

「外から見ると暗いのですが、診察室は明るくきれいで、ホッとしました」と本音を。

 

「内科でしたが、ガラス戸の棚からアルコールやガーゼやピンセットや手術刀など外科の治療セットをテーブルに並べ、目でチェックして居ました。
 

本格的な外科の治療室に変り、私を診療台に載せ(柏木くん流しの脇の湯沸かしから湯をボールに注いでくれ)と声をかけ、お爺様を君付で呼ぶので仲がいいんだな思いました。
お爺様も気軽に棚からボールとタオルを出し、湯を注ぎ準備していました。傷の縫合も手際よく、お爺様にガーゼを浸してというちアルコールに浸し、ライトの角度を変えてとか、まるで看護婦に言うように指示するんですよ」

 

治療が終わり、用具を片づけながら
「風呂は傷を押しても痛みを感じなくなったら大丈夫で、その時抜糸するから来なさい。こんな夜中は受け付けませんが、この人が付き添いなら仕方がないので対応します」笑う。

 

「そうだな、来るときは四合瓶一本忘れないように」と念を押す

「又飲む気か、今度来るときは「こも被り」でも何でも持ってくるよ、昔の木阿弥には戻りそうに無いから大丈夫だろう」とお爺様が笑っている。
「何とも磊落な問答で戸惑ってしまいました」と吊り下げた左腕をなでる。

 「不思議な関係ですね」とまさるも考え込む。


「いやぁ帰りの車で聞きましたが、波乱万丈のストーリーでした」

山田先生は東京の総合病院で外科部長を務めていたが、奥さんの病気治療で鳴子に借家して治療に専念、落ち着いたので古川の実家近くに、奥さんの治療用に内科・小児科を開業したようです。

それでも快方には向かわず50代で先立たれ、ショックで医院は閉じたままその後は酒浸りで仕事は出来ず、看護師・スタッフも離れ、荒んだ生活に落ち込んだ。

 

お爺さんは鳴子で静養すれときも、全面的に支援し時々見舞いして、古川に戻る時も身近なので応援した。土地は親の代から大きな屋敷だったので、一部を用地にして工事一切をお爺さんが関わって仕上げた。

地元では、内科・小児科だが本業は看板にない外科が専門だったので、なんでもできる掛かりつけの頼れるお医者さんで信頼があった。
 

祖父は山田医師の状態を承知、一気にリカバリーする作戦を正一さんや関連する業者を確保1日で回復作戦を考えて、材料は全て揃えて自宅倉庫に保管して、実行した。
長期作戦アル中状態が精神的なダメージをクリアすることを考えて来た、時間を置いて時々屋敷の清掃・整備を従業員を伴って片づけて来た。先生は他人に暴言・暴力を振るう人ではないので、隣り近所でも当たらず触らずで距離を置いていた。

 

お爺様がショッチュウ尋ねて話し、家の周りだけでなく屋内も整備するため、本人を外に誘いその間に建築業の長男正一さんとその配下とリホォームの子会社を動員して、表も屋内も真新しく仕上げる。

その日はお爺さんと大学生の香織さんが付き添い、鳴子の江合川添いの「農民の家」と言う、民間組織の温泉設備を予約した。
一定の料金で一日中滞在でき、湯と団らん室は自由に使え、食事は種類が豊富で、農家の人たちは自炊でも湯治できる施設だ。

酒から切り離しの一歩目で、二人で何回か温泉に入り汗を流し酒が抜けた先生は、歩行は覚束ないが顔色が明るくなり言葉もはっ切り喋る。
医院の手前に理髪店が有るのでその駐車場に入る、ちょうど奥さんが出て来たので「山ちゃんが床上げなので綺麗にしてください」と冗談を言いながらはいる、

「あぁら先生顔色が良くて元気になりましたね」と理髪椅子に導く。

ご主人も隣のお客が終わり
「それでは一年振りの散髪を遣ってみますか?」と伸びほうだいの髪をバサリバサリと鋏を入れる。

髪を切ると若返り一層明るい顔になる。みんなに冷やかされながら車に乗り

「一年もカットして居なかったんだな、おやじ良く覚えていたね」と微笑む。

車で医院の駐車場に入ると

「随分きれいなったな?」と呟き、待って居た正一さんが

「お帰りなさい先生!」と祖父の車のドアを開けて手を貸す。

 

「おぉ正ちゃんがやって呉れたのか?」と笑顔になる。

「まぁそうですが、家の若いのが手伝ってくれました」
 

先生は車の外に立って、周りをゆっくり眺めていたが

「信ちゃんに気を遣わせたようだな」と祖父の顔をマジマジと見つめ。目を潤ます。
 

「な~に山ちゃんは病気なんだから、気にしなくて良いよ、中に入って落ち着こう」と先に立って玄関に入る。
 

家は祖父が建て、一年前までは治療居た医院だが掃除をしただけで蘇った。

「あれっここは我が家だったかな?」と言いながら、玄関から待合室にしている広間と診察室を眺めている。
 

居間やキッチンも掃除しながら、アルコール類は一切始末し、流しや床に散乱して居た酒やビールの空を始末、カーテンも明るいもに変えた。

翌日には、以前勤めていた50代の看護師が「回復した先生の為に、協力します」と率先して戻って呉れた。知り合いの高校での女性が看護士志望なので手伝いと言って一緒に来てくれた。再出発に相応しい話で、春から看護学校に入校するらしい。

 

ここの部分は、祖父が機動車が帰った後で、朝食後に家族に経緯を説明した時、隠す事でも無いのでその経緯を丁寧に話し、頼もしい友人の存在を披露した。

 

榊原さんの傷も外科専門医にかかれば、当然刺し傷だから警察に通報される事案だ。

痛くもない腹を探られるのを避けるたむには、非公式な治療は有難い。

 

国道もほとんど交通量が無く、県道は30分で2台だけだった。

 その時、国道から黒い車が曲がってきて、静かに止まる。

黒ではなくブルーの濃い機動車だった。

役所の後輩は礼儀正しい

「柏木〇視久しぶりです」と二階堂〇部が直立で挙手の敬礼をして居る。

斎藤〇部補も直立で挙手の敬礼だ。

 

まさるも軽く右手を上げて、挙手の礼をする。

「ここは田舎だから、気楽にして呉れ、ごめんなこんな時刻に四百キロも走らせて、申し訳ない」

 「いや~とんでもないです、仕事ですしドライブも好きな方ですから、お気を使わないでください」榊原さんも、丁寧に頭をさげ「その節はお世話になりました」と挨拶。

「あぁカンさんもご一緒でしたか?」と懐かし気だ。 

「厄介な奴が出没して戸惑ったよ、まぁ現場で話そうか」とワンボックスに乗る。

「ついて行きます」と機動車に戻る。

まさるもエンジンをかけ静かに発進。

 

まさるは倒れた不審者を回り込み、首筋に右手で脈を診る。

榊原さんに目をやり首を横に振る。

 

「少し力んじゃったようですね、自分の出血で思わず力が入りました」と頭を下げる。

まさるは冷静に「出血を留めましょう」と榊原さんの左の手首から上着をまくり、自分のテッシュを10枚くらい抜いて傷口に当て、ハンカチで抑えるが滲んでくる。

 

「ちょっと待ってね、現場写真を残しますから」と、榊原さんの顔や腕の出血を撮る。続いて、うつ伏せのまま不審者を撮り、ひっくり返してデスマスクも撮る。

トイレやその階段、内部もスマホのライトを点けて建築現場と位置関係も撮る。

 

「こいつをシートにくるんで、家で応急処置をしましょう」と、まずプレハブの近くにあったブルーシート持って来て、二重に巻きにして榊原さんを急き立て自宅に戻り、 

玄関が開いて居たので、音をたてないように二人で静かに入る、24時前だが居間に誰かいる様だ。

扉をコツコツとノックし開けると、祖父がテレビもつけずにソフアに背を持たせて顔を向けて来た。まさるが口に指を当て、榊原さんを促して自分はテーブル上のポットを持ち上げ、救急箱に手を伸ばす。

 

祖父は、榊原さんの上着を脱がせ、上腕部を両手で抑え止血をする。

まさるがガーゼにエタノールをたっぷりしみ込ませ、傷口を静かに拭き取る。

祖父が覗き込み
「浅くて良かった、血管からも外れている」と言いながら。

「上腕部にも包帯をきつく巻いて、傷口に軟膏を塗りガーゼの上に油紙を巻いて様子を見よう」とまさるの処置を静かに待って居る。


その間 榊原さんは一言も漏らさず、じっと痛みを堪えている。

まさるがタオルをポットの湯に浸し、顔や首の周りを腕を丁寧に拭き取る。

作業シャツとTシャツ・スラックスを脱がせ、近くにあった自分の替えと着せ替える。取り敢えず女性や子供たちに見せずに済みホッとした。

 

榊原さんの左腕は、幅広の包帯を二重にして首に吊るようにしながら

「お爺さん、昼間の不審者を捕獲したのですが、トイレに行きたいと言うので、二人で付き添い、用をたしたと思っが呻き声に騙され、隠し持っていた刃物で左腕を突かれましたが、二突き目を払いのけ手刀を頸動脈付近に決め、倒しました」

 

「逝ちゃったのか~どう処置するかだなぁ」と考えこむ。

「この乱闘前に、〇庁へ引き取りを要請して居たので、夜明け前に機動車が来ます、これから電話して状況が変わったことを伝えます」

 

「そうか〇庁も承知なら好都合だな」とほっとした顔になる。

「ただ時間勝負で、ドライアイスでも調達できれ良いのですが、異臭が出れば問題になるので~」

 

「何時だいま、12時前かホテルか魚屋ならドライアイスを常時置いてあるのだが~少し遅いが電話してみよう」とスマホを出す。

「そうだな榊原くんの治療も、早い方が良いので古川に行って見よう」とスマホでどっかをコールして居る。

 

「二階堂くんに連絡しよう」とまさるも、スマホでワンタッチコールをしている。

二階堂〇部のLINEでは、機動車はを時々赤色灯を点灯しフル走行で、福島を過ぎて宮城の蔵王の分岐点を過ぎた様だ

 

「実は状況が急変し、やむなく○○搬送になった、〇庁にはまだ通報して居ないが、こっちも被害者が居て応急処置をしているところだ」と伝えると、

「うちの会社には私の方から連絡します、それでどなたですか怪我ですか?」と聞く。「あなたの知り合いで、榊原さん(前のカンさん)が腕を刺され、手刀を放ったら頸動脈に決まった」

 

「そうですか、後始末はお任せください、○○搬送袋は常時積んでいますし、コンビニで食用の氷を5~6個買ってゆきますから大丈夫です」と簡単に答えを出してくれた。頼もしい後輩が育ったようで安堵する。

 

聞いていた祖父と榊原さんが、頷き合い「コンビニかぁ~」と納得する。

「それじゃぁ、榊原くんはわしと一緒に知り合いの医者に行こうか?」と立ち上がる。

「そうですね、古川ですか?」まさるが確認。

 

「うん 前から難しい治療を心良く引き受けてくれる奴が居るんだよ」と笑う。

榊原さんが、心配そうな顔に(行って良いですか)見たいな顔でまさるを見ている。

「榊原さん、こっちは心配せず行って治療を優先にしてください」

 

「そうですか お言葉に甘えて2~3針縫ってもらいます、これはプレハブのカギです」と鍵を渡して立ち上がる。

祖父はすでに外へ出て、エンジンを掛けている。

留守宅の 女性陣の心情(^^♪

まさるは一人になりソフアに凭れかかりながら、うとうとして居ると居間のドアが開き彩音さんとユウリンが入って来た。

「何か重大なことが起きたのですか?」と心配顔の彩音さんだ。

「いまは事態が進行中で、夜明け前に片付くので二人は心配だろうが、明日の朝詳しく話したいんです」とユウリンを見ながら話す。

 

「お爺さんも居ないようですが、お出かけですか?」と鋭く聞いてくる。

「うん、榊原さんが少し怪我をしたので、夜でも治療してくれるお友達の所に行ったので、待ってるんだよ」

 

「あなたはのんびりして居ますけど、怪我なら救急車を呼んだ方が好いのではないですか?」と元〇部は急所を突いてくる。

「そうですね少し詳しく経緯を話します、掛けて下さい」と立っている二人を座らせ、今日の午後からこれまでの経緯を公開する。

 

「えっつ昼頃は東京でしょう」と二人が同じような顔を見せる。

「夕方、榊原さんが迎えに来た時からすべてを聞き、お爺さんには車を借りたり鳴子のホテルのKさんには尾行を手伝って貰ったり、結構長い一日でしたが、まだ続いています、もう少しで二階堂〇部たちが機動車で到着し、不審者を引き渡します」と一気に話し、

「この先は未だ決まって居ませんが、我が家は寝たことになって居ますので、電気を消して外には顔を出さないように、お願いします」

 

「何だか隠しているんじゃないの?」と彩音さんが未だ怪しむ。

「隠して居ませんよ、不審者の引き渡しや、機動車の到着はモノモノしいのでそっとしておいて下さいよ」と、時計を見ながら立ち上がる。

 

何か言いたそうな二人が付いてこないように、外へ出る。30分くらいは掛かりそうだが話して居ると、〇〇搬送に及ぶことを言いそうで外に逃げた格好だ。

二階堂氏から連絡が「約1時間前に浦和から東北道に入り順調に走って居ます、今栃木に入ります、カーナビに柏木さんの住所を入力して、マップで確認しましたから、迎えは必要ありません。朝暗いうちに引き取りたいのですが、ご都合は良いでしょうか?」

チョット長いLINEで、すぐ返信する。

 

「やはり人目が有るから、早い方が良いでしょう常時スタンバイです、連絡を気長に待って居ます。一応固縛して、猿轡と目隠しをして転がしてあります、事情聴取し、真偽は不明ですがコピーしてあります。所持品も確保しましたが現金が多く、216万ほど持って居ました」と報告する。

 追伸:古川のインターを降りたら、電話くださいと追伸する

 

一度外に出て一呼吸おいてから榊原さんと徹宵しようと、 ワゴンの後ろで立ち止まる。見上げると川渡の空は星が手に届くほど近く見える。

 

最近趣味の一つになった、デジタル一眼で夜の星空や山の景色なども撮っている。
裕太が大きくなったら、一緒にカメラで遊ぶのも良いかなと思ったっり(^^♪

都会から離れている川渡は、夜空を眺めるのが楽しい(^^♪

榊原さんに声を掛けて、付き合うことを知らせる。

大いに歓迎と言いながら、念のため被疑者をシートにぐるぐる巻きで転がして置く。

ワゴン車に仮眠をとることにし、後部座席を全部倒してスペースを作る。
被疑者のロープが、無理に解けばホーンが鳴るように細引きでつないで置く。

 

「東京に渡してしまうと、強制送還でお終いになるのかなぁ~」と榊原さんは未だ不安が残るようだ。

「いやぁ今回も非公式の拉致・確保だから、暗黙の処置で抹消するんじゃないですか?」

「それならあと腐れが残らなくて、すっきりするんですがぁ」と、寝返りをうつ。

 

10分くらいしてウトウトしかけた時、クラクションが鳴り二人とも起き上がってブルーシートを覗き見る。

「動いて居ますね、小便かな?」と榊原さんが外に出る、まさるも続く。

シートがもぞもぞ動いて居るので、榊原さんがシートめくると、何か言っているのか猿轡を外すと、やはり小便らしい。

 

「まさるさん、工事用のトイレが向こう側に在りますから、歩かせてゆきます」と足元のロープをほどき、両足を40センチ間隔で縛り走れないように狭める。

手を貸さないが脇に付いて歩きだす、まさるも気になるので、後ろに付いてフォローする。

 

榊原さんが、トイレの前で手のロープをを外し、両手を高く挙げさせドアに付けるように、中国語で指示する、続けて足のロープを外し素早く羽交い絞めして、立たせる。

「まさるさんドアを開けてくれませんか」と声をかける。

「了解しました」と、まさるも節度を付けて動作する。

そこで、相手のベルトを掴んでトイレに押し込む。

「終わったらドアをトントンと叩け」と指示し,閉める。

 

榊原さんは、まさるにだけ聞こえる小さな声でドアを頼みます、私は正面で確保しますと、確認し合う。3分くらいするとうめくような声が聞こえる


「どうした?」と声を掛けたが返事がなく唸るような声になる。

榊原さんがまさるを見て頷き、まさるがドアを少し開けたが、苦しそうな声だ。

まさるが榊原さんの顔を見て確認しながら、ノブをしっかり握りながら10センチ位開いて様子を見るが、気配をあるが動かないで、うなる声だけで姿が見えない。
 

怪しさを感じるが、榊原さんんをみる、頷く顔を確認しながらドアを少しづつ引き、20センチくらいになった隙間にキラッと光る刃物を感じ一瞬で突いて来た。


ドアに手を掛けようとした榊原さんの左腕をかすめたが、二突きめは体を右に開いて受傷した左腕流れる血が返り血の様に顔に浴びながら相手の右手を払い、前のめりに落ちてくる首筋に手刀を打ち込む。

手刀が利いたのか、前に倒れて来たので刃物をもぎ取る。

カンさんは阿修羅の様な顔に笑みが浮かぶ。

タクシーから降ろされ、立っていたが周りを見回しながらめおと道場を通り越した。

車は小道に入っているの見つからない、まさるは車に戻り榊原さんと詳細を詰め、行動開始。

めおと道場は煌々とライトアップしているが、県道の両サイドは雑木林で人家が無く外灯の間隔が離れていて薄暗く尾行には都合が良い。

道場の手前から、小道を入り裏側を通って白樺林に入りプレハブの裏で片膝をついて様子をみる。
仮設のプレハブには明かりが点き、テレビ放送の音が聞こえて誰かいる感じがする、榊原さんが出発前に気配りをして、不審者に在宅を知らす。

 

ターゲットは工事中の門に身を隠すように、うずくまって居たようだが動きだし、這うよう身を低くして近づいて來る。右手には何か持っているが拳銃ではなく、刃物かも知れない。工事中の現場は、残材や砂利が無造作に積んであるの躓きながら、結構物音を立てながらドアに手を掛け開く。

その時、建築中の暗闇から声がする

「チャン・ケンシ―待っていたよ!」榊原さんが低い声と同時に飛び出して来た。

不審者は目の前のプレハブに集中して居て、脇の建築現場を見落としたようだ、狼狽したように右手を振り回したが、榊原さんは軽く交わし後に周り羽交い絞めで地面に押し付け、脇腹に突き入れる、もう動かない。

何とも鮮やかと言うか、ほとんど無抵抗だ。

「な~んだそこ迄接近して居たんですか」と、まさるは気付かず呆気に取られていた。榊原さんは、手ぬぐいと捕縄のようなロープを渡しながら
「車を持ってきますから、捕縛して置いて下さい」と駆け出した。

 

まさるも、〇部になる直前 研修所で同年配の○○官に逮捕術の講師をしたことを思い出し、猿轡と手足を完全に固縛したが気を失って居るので結構重い。相手が縄抜けを心得てるかも知れないので、後ろ手から首にかけて、足にも掛けて、手を動かせば自分の首が閉まる捕縄術だ。

気付いても逃げることは難しい状態にし、傍らにあったブルーシートを掛けた。榊原さんも2~3分で、めおと道場のワンボックスを寄せてきた。

 榊原さんが見張りを志願「まさるさん車を貸しておいてくれますかね、奴は気絶してるから逃げることは出来ないでしょうが、ここで張り番します」とエンジンを切った。

「そうですね、東京から4~5時間は掛かりそうだから仮眠は取れますね、私は祖父の車か香織ちゃんの車で、ホテルから此奴の荷物を持って来ますから」と家に戻る。

「あぁ~この車の方が良いかな」と榊原さんが気を遣う。

 

「これは結構広いから後部座席で横になれますよ、その車の方がゆったりして居ますよ」と門の方から道路に出る。

 

県道の奥の方から車が近づくので、脇によると

「済みません、この辺に変な外人が居ませんでしたかね?」と声を掛けてきた。

さっきのタクシーだった、まだ10分も経って居ないが、恐々戻って来たようだ。

「会いましたよ、私も何か聞かれましたが道に迷ったのか、こっちは山だから戻った方が良いよって日本語で言いましたが、何か言いながら降りて行きましたよ」と惚ける。

 

「まだ居ますかね、料金は貰ったのですが「ココウゴクナとか、マッテイロとか、片言でよく分からなくて、怖くなって逃げたんです」と周りを見回している。

 

「それは気の毒でしたね、ここは私の道場ですが休んでゆきますか?』と聞くと

「姿が見えないから、徐行しながら戻ります、有難うございます」と元気を取り戻し静かに走りだした。

 

道場に戻り、祖父に概要を報告し「榊原さんが車で見張っているのでクラウンを貸して下さい」と言ってキーを借りてホテルに向かう。

 

ホテルの社長がまだフロントでパソコンを操作して居たが、顔を上げてまさるに会釈。

「お世話に成りました、あれはICPOに手配されている悪で、パスポートも在留カードも偽物でした。目的がはっきりしないのですが、不法滞在で〇庁に引き渡した所です、こちらに彼の荷物が有るような口ぶりでしたが、有りますかね。私が明日上京しますので、〇庁に持って行くことになりました」と詳細はごまかした。

 

「そうでしたか、川渡の方まで何が有るんでしょうね、誰かあの部屋の荷物を持ってきてください、柏木師範は直接犯人を捕まえることもあるんですね」と興味を示す。

「今は、道場通いで現場には出て居ません、犯人と対面したのも何年振りかな、偶々隣に道場を造っている榊原さんが中国に留学して、資産家のお嬢さんと結婚し日本に戻ったのです。遺産相続で裕福だと評判がたっていたようです。それを妬んだ話を鵜呑みにしたのが様子を見に来たんじゃないかと言う事です」

 

「あぁ いつも温厚な方ですよね、初心者にも丁寧に教えて良い先生ですよね、そうかあの先生が別の道場を開くんだね、寂しいですね」

大丈夫ですよ、お隣ですからチョコチョコ行けますよ、ただ八極拳だからね、かなり激しいお稽古が続きますからね」とまさるが首をひねる。

 

「なんですか?その八極拳って」

「あぁそうだねジャッキー?チェンの映画でお馴染みの「カンフー」って言えば良いのかな、榊原さんは空手とカンフーと躰道とか武道に通じているので、頼もしい友人です」とまさるが説明する。

 

「そうですか、カンフーの道場を開くんだ」と思案顔だ。

「何か気に成りますか?あそこの道場を襲っても、まともに帰れないですね、奥さんもカンフーの段持ちで子供たちも猛稽古して居ますから、生ちょろい若い連中は歩いては帰れないでしょうね」」

 

「奥さんは中国の方ですか?きれいな日本語で、道場をこまめに掃除したりお世話して居ましたが、資産家のお嬢様でしたか」と社長も感心して居た。
そこへフロントの二人が旅行鞄と小物が入った袋を持って帰って来た。

「これが全部ですが、金庫にはこの袋の中身で200万が帯封して18万がバラで有りました、こっちは下着と靴下などで旅行カバンはキーが無いので開けて居ません」と社長に渡した。

 

 

「小銭は身に着けているのかな、それにしても温泉に200万はちょっと多すぎるな」と首をかしげる。

「それでは、部屋代は一泊としてそこから引いて、領収書を書いて下さい、明日届けます」とまさるが仕切る。

「木村君領収書を書いて、柏木さんに渡してください、恵子さんはお金を数えて頂いて下さい」と社長が仕切る。

 

それぞれが仕事をして、荷物をホテルの名入りの袋に詰めて渡してくれた。現金は帯封したのが2個と16万5000円封筒にいれ、手提げフックを付けてくれた。

「この件は外交関係と微妙な事項が含まれていますので、地元〇察に届けていません。あの客は一泊して翌日チェックアウトしたことで処理してください。調べが終わった段階で、本庁から県〇に連絡させます、色々騒がして申し訳ありませんでした」と礼を言って帰った。


「この件は外交関係と微妙な事項が含まれていますので、地元警察に届けていません。あの客は一泊して翌日チェックアウトしたことで処理してください。調べが終わった段階で、本庁から県警に連絡させます、色々騒がして申し訳ありませんでした」と礼を言って帰った。

 

まさるは道場に帰り、車を置いて榊原さんの様子を見ようと、表から覗いてみた。

驚いたことに二人で会話している、まさるも中国語は聞き分けられるが、榊原さんが猿轡を外したチャンから聞き取りをしてノートに記入している。

 

「やぁ気付いたようだね、What did you come to?」わざと英語で問うと

「came to kill meと、平気で言いやがるんですよ」と榊原さんが苦い顔をする。

 

まするとカンさんは、道場の名簿から確認して、電話することにした。

柏木家と榊原家の夕食が終わり、みんなが居間で寛いで居る間に、学習室に移動した二人は、鳴子のホテルに電話した。
まさるの携帯に登録させており、時間が有るか聞くと社長が、

「師匠こんな時間にお電話を呉れるなんて、珍しいじゃないですか?」いつもの調子だ。

「今 周りにどなたかいますかね?と言うのはこっちの都合でお願いが有るんですよ」と念を押す。
「誰も居ません自分の部屋で、手紙を書いているので大丈夫ですよ、手紙と言ってもお客さんに礼状を書き、ついでにお誘いが本音ですがね」

 

夕方 チェックインした客のことを聞いてみると、やはり手こずったようだが

「今は夕食を摂って自室だと思いますが(夜街に出ても大丈夫です?)と聞くので、(フロントにキーを渡して出て下さい、独り歩きは進めませんよ)と言って置きましたが、片言の日本語なので理解しているのか~何か問題ですかね」と聞く。

 

 「実は、問題を抱えている人間らしいのでマークして居ます、夜出て行くときこの電話に連絡いただけないですかね」と言うと

「待ってください、フロントに確認してみます・・・・」と保留になった。別の電話で確認しているようだ

 

「もしもし柏木さん まだ出て行って居ませんね、フロントも要注意でマークをしています、私もフロントに入って様子を見ます」と言う。

「詳細は、お会いして話しますが、これから車で近くに待機します」と切る。

 

二人は、家族に仕事関係だと伝え、道場の車で出かける。

派手なデコレーションの車は目立つが、時間にゆとりが無いし祖父の車じゃ申し訳ないので、今晩中に決着を!

 

       

 夜の人出が少ない温泉街は寂しさを感じながら追跡を開始

車を発車して5分くらいで着信!

車は国道から鳴子温泉街に入りかけると、まさるのスマホが着信

「今出て行きました、私が後を付けていますが温泉街に上ってゆきますね、何かを探すように周りを見ながら進んでいます」

「ハイ有難うございます、今お宅の前を通過し アッツ社長の姿を確認しました、あぁその先をキョロキョロしながら歩いていますね」

 

 

「そうですね、師匠の車が徐行しながら来ますね、その車じゃ目立ちますね~もうしばらく付けますからその辺で脇に入って居て下さい、どうもタクシーを待っている様ですね、この辺は流しは無いから、拾えないでしょうね~アッツ駅の曲がり角で帰り車を留めましたね、乗り込みました~そのまま走り出しました~そっちに行きますよ」

 

「分かりました、土産店の駐車場に入りましたが、ハイ確認しました後は任してください、私たちの関係車両も待機して居ますから、有難うございます明日伺います」と電話を切り、タクシーの後に付ける。

 東京の現役にレスキュー

やはり国道を古川方面に走ったが左折して川渡方面に曲がった、榊原さんに運転を任せスマホホを出し短縮を押して
「今晩は、柏木まさるです、夜分申し訳ありません」と話す。相手の応答を聞いている「ちょっと変わった捕り物があるのでご報告します、出来ればお手を貸して頂けないかと電話しました」・・・


「この間どこかの外交官が3名行方不明になりましたが、その続きが我が家の周辺で起きています、確保・拘束は出来ますが後始末が面倒なので、ご相談したいのです!」

「また変なモノ拾ったんじゃないの?」
「そうです、審議官もお知り合いの榊原さんが、お家と道場を建築中の話は御存じでしょうが、今日の昼過ぎに、前の道路でタクシーに乗ったまま建築中の家を撮っている奴が居て、榊原さんが後を付けて行き鳴子のホテルに投宿したところまで確認しました。私が東京から帰るのを待って相談を受け、ホテルを確認すると ご主人が道場の塾生で内緒の話で、ターゲットが動いたら連絡を受けることにして居ました

 

少し前にターゲットが(街を見て来る)と出かけたらしく、今、二人で追跡中です。ターゲットは前回の事案で外交官に化けた二人組のボスで、配下が戻って来ないことを不審に思い直接動いて今日は一人で探って居たようです」

「それで 今、どの辺なの徒歩じゃないでしょう」

「私たちも車ですが、鳴子駅近くで帰り車のタクシーを拾って、国道から我が家の方へ曲がって県道を走行中です、結構用心深いようで小さなホテルに旅行者のふりをしてチェックインし暗くなって行動開始です」

 

上司が了解!

「分かりました、知らない仲でもないのでお手伝いさして頂きます、これから手配して機動車を出動させますが、明日の朝までには着くでしょうが二階堂君と斉藤君は前回も関わっているので派遣します、出発前にまさるくんに電話させますが、お互い連絡を取り漏れないように気を付けてください、その辺は十分心得があるのでこの先はお任せします。明朝 次官に報告して置きます、彩音ちゃんにも宜しく伝えて置いて下さいね、裕太くんだったけそのうちに遊びに行きたいですね、以上了解しました」と切れる。

 

「まさるさん、やっぱり〇庁の方がスマートに処理できそうですね、関係車両って言うから何台か配置しているのと勘違いしました」と苦笑している。

「榊原さんも正直ですね、嘘も方便って知っているでしょう、私たち二人で充分でしょう、この道は交通が皆無ですから都合が良いでしょう」と惚けるまさるだ。

 

タクシーはめおと道場の手前200メートルくらいで止ったが、4~5分動かない。後ろに付いた道場のワンボックスは、不審がられないように脇道に入りまさるが降りた。様子を見ると、ドアが開いたまま運転手に小言を言って居る様だ。

料金は払ったようだがドアに手を掛けていて、内容が分からない苦情のように聞こえるがタクシーが急発進した。

 

ターゲットは怒鳴りながら追いかけたが、タクシーはめおと道場の方にスピードを上げて走り去る。ターゲットは呼吸を整えるように真っすぐ立たち歩き出す。