∞心機一転まさるの日記∞ -13ページ目

∞心機一転まさるの日記∞

規律の厳しい役所を退職し自然豊かな山間の温泉町に道場を造りスタートしました。しかし元職からメールが一通!堅い仕事の師範役に逆戻り!

「はい分かりました確認します」とスマホを出した孫のシンディ―が短縮ナンバーで
「ハウ書記はお出でですか?」と聞いて「あ叔父さ~んはっきりしましたか?えっつ飛行機ですか、はい・はい分かりましたこの電話にお願いします」と切る。
「お役人はシンガポールから移動中で、丁度今頃着いたようで領事館の〇Sの仲間が星を見つけて、追って居るようです~~シンディーはスマホきらず

「こっちの方らしいので用意します、じゃぁ荷物をこっちに運びますがいいですか」とカンさんに聞く。
「はい分かりました、船室の方は開けて有ります」とカンさんも立ち、シンディーが上に運んだ食品などをデッキ同士で受け取り、デッキのリィーお爺さんに渡し結構用意してきたようだ。
星をマークした領事館の〇Sから携帯に着信し、シンディーの携帯に入りかなり近く、〇Sはここも良く知っていて、このクルーザを確認したが、この近くを星が歩いているらしい。きょきょきょろ見回しているが海の方ばかり見て、何か目印があるらしい」と〇Sがつぶやきが聞こえる。

お役人と領事館員が〇Sに連繋しタクシンーでこっちに接近して、外国の街中で容疑者確は難しいがこの近くがポイントの様だ。

カンさんも船から出ても何もできない訳で、じっと待つしかない。

〇Sの話しではボートではなく、ジャンクのような古ぼけた船を探しているようだと話す。
次第にこのハーバーから離れて行き、通信手段を検討する必要が出て来た。
星も歩きなので疲れている様だが、繫留している船も少なくポツンポツンだから、アクションを見て居ればまマーク出来ると言ってきた。
役人を載せたタクシーも、〇Sをマークしたらしくこの近くを走って〇Sに向かったことが分かった。

ブルーシートが屋根代わりのボートも浮かんでいる

リィー船長が「分かったこの端っこに漁港があってチョット大きいジャンクが留まっている所があるよ」
「シンディー向こうは鍵を掛けてあるね」と聞きながら
「カンさん動きましょうあそこは逆にノーマークになり易いんなぁー」と呟く。
そこへシンディーのスマホに音声が大きく聞こえ「一番外れの漁港のジャンクにアクションし、接触するようです、動いてくれますか?こちらに柏木〇部が着ききました、このままスマホをきらずに続けますー未だ乗り込んで居ません、船の特徴も3人で確認して居ますから、少しぐらい離れても追いつけます、写真も撮りました~
カンさんは実況を聞きながらバースから離れ、目指す漁港らしい場所も見えている。
確かに処どころにジャンクが潜む様に停泊し漁港にも2~3艘いて、一艘が動いて居る様だ。

リィーさんが「あれは改造船だなぁ、マストが立っているが、走りがエンジンだよ追跡を躱す船を探したんだ、カンさん結構厄介な追跡になりそうだね」とリィーさんが小さな双眼鏡を出して見ている。

カンさんはジャンクを視認し岸壁の3人に向けてライトを一回付け、ゆっくり接岸した、殆ど停止しないで3人が同時に飛び乗りし、カンさんも素早く反転。
ジャンクとは名ばかりで、結構な速度で外洋に出そうだ、カンさんがが操舵しながらシンディーを呼んで、小さな棚を指さし救命胴衣を出して渡してくれと指示した。

彼女も素早く動き、全員に着用指示し自分も付け、防水の大型ライトを3個出して丸フックに吊るしている。気が利いて居る航海士だ。

動き乍ら自己紹介したり、舫いロープを用意したり。柏木〇部も「ジャンクには1名でした」と言いながら「本庁の柏木と言います、港内では手続きがあるので離れてからが勝負です、但し乗組員が凶暴だとこっちも可なり強めに仕掛けます、お嬢さまは船室でお待ちください」と丁寧に話す。
「あっつ失礼します。リュー・コウジンさんの会社の方ですよね、前にお世話になったリィーと言います、この子も乗り組み員で航海士です4-5年の経験で夜間航海で容疑者確保も体験してるので、充分対応できます」リィー船長が説明する。
「大変失礼しました、リユーの後輩です、自分は国内の事例を考えて居ましたが、そう言えばタイでも若い女性の乗組員に手伝ってもらいました。ここも外国でしたね」と明るく笑うひとだ。

カン船舶として近海のフリークルージングを請けた、少し緊張する。

ユウリンさんも二番目が女の子で、恵姫(ハーウイン)と名付け抱っこしながら
「パパの新しいお仕事よっ」とあやしている(^^♪

2番目が女の子で恵姫(ハ-ウイン)と名付け、未だ聞き分けが無いのに妻のユウリンさんは嬉しくてやっと目があいたた赤ちゃんに話しかけている。

カンさんもシヨウさんの会社で、乗組員として入って来たので海域のイメージが付いたのですうっと近寄り見回した。
港外の船留まりと言った感じのボートの乗降には似合わない、船上生活者が多い感じでボートより典型的な中国のジャンク船が屯し中華街の匂いが漂う。
カンさんは聞いて居た桟橋に付けると、綺麗いな小型のクルーザガが揺れていて
「あ~らおニュウだわぁー」と昨日聞いた声がした。

「あぁショウさんとこのカンさんですか?」と白髪の男性がキャビンから顔を出した。
「ハイッツ カンと言います」と丁寧に頭をさげる。
ご老人が「リィーと言います、これは孫のシンディーです」と大学か高校生くらいの女性を紹介、「そちらに移っていいですか」と聞く。
「はいどうぞ」と舷側に立って手を差し伸べる「ガンネルもしっかりあって頑丈そうだね」と乗り込んで来た。
孫娘は祖父に続いて「ひょい」と足を挙げて音もなく乗り込んだ。
カンさんは会釈しながら、周りの視線が気になリ無言で操舵室に招き入れる。

小声で「リィーさんここは結構やばそうな雰囲気ですが~」と聞くと
「そうですよ、この近辺で追われたらここへ潜れば生きのびれる言われる、船上生活者の巣窟だからね、私の知り合いも4~5人居ますよ。人探しの時はまずここの住人にあたるんですよ」と笑う。

「好いことを聞きました、経験の深いプロは違いますね」

リィーさんは深圳育ちだが今は香港からマカオ迄ショウさんやカンさんたちの先輩で、裏世界にも一般的表社会にも幅広く認知され、安定した商売を継続して居る。
 

「元は深圳の会社勤めでしたがね、いつの間にか香港・マカオと交流域が広がりマカオに落ち着いて居ますと」とシンディーの顔を覗く。
「じっちゃん何で私なのよ。カンさんでしょう」とシンディーが不満そうだ。
「私はね、早く隠居して日本の花見に行きたいのですよ~」とカンさんに言う。
「えっつお花見ですか」とカンさんが驚き引く構えだ。
「私は知っているのですよ、カンさんが日本の学生さんで修業中であることを~」
「ばれて居ましたか?」
「私たちは元々深圳生まれであそこが地元でした、カン縫製の社長とも知り合いで、悲惨な事件も聞きました、そこの婿さんがこの人で、香港のチュウさんや深圳のカクさんも昵懇の間柄でカンさんが最近この辺で、ケリを付けた話もカクさんから聞きました」
「な~んだバレバレだったんですね、それでも今回のお付き合いには支障ありませんか?」と聞いてみる。

「私は初対面の人とは深く話さないのですが、カン社長やショウ社長・カクさんやチュウ組長から一目置かれる人は数少ないのでこの船の運航も任せることにしました、この事案の人はシンガポールか飛んでくる人だと聞いて、昔お世話になった会社の人と気付きました」
「じっちゃんのお知り合いは多すぎるからなぁ」とシンデイーが嘆いて、足の長い椅子にバック飛びのように座る。

リィーさは一段低いベンチにかける。
カンさんが気を利かして船舶免許や海洋航行の許可証など出してあったが「シヨウさんの認めた方ですから面倒なことはしません、実は依頼してきた方はお役人さんで、誰かを追って居るようです」
「海上ですか?」と聞いて仕舞った。
「そうです、どうも怪しい人間かもしれませんが、ここの領事館の知り合いから「リィーさんしか頼めない事案なので極秘に遣って欲しいのだが~」と面白くない仕事ですがお願いできますか?」と丁寧に話す。

「ハイッツ 分かりましたお仕事を選べる立場では無いし、ご指名頂き感謝します」と丁寧に頭をさげる。
「じゃお願いします、実は内ので遣ろうと思いましたが最悪の場合外洋に出そうなので信頼できるショウさんに話すと、今は定期だけで余裕がないが、信頼できる新人が居るので会ってみますか、紹介されました、お一人ですよね」と念を押す。

「はい人手が足りなければ内の若いのを派遣するから連絡下さいと言って居ましたがぁ」

「そうでしたか、中身が分からないですが、私と孫娘でも良いのですが、高3で2級はとって近辺は操舵しています、守秘事項が気になるので私たち3人が関わった方が良さそうですね」と言う。

「そうですね、何時頃出港するのですか?」と聞く。

ショウ社長は業界では信望厚く、裏の世界にも顔が利き信頼されその方面の仕事もさり気なく対応している。
カン夫妻も深圳で縫製会社のトラブルでも親身になってホローして頂き、香港まで同道して貰ったことが、昵懇の付き合いになって居る。

 

そんな話が密かに広がり、いつもコールされる香港の企業が自家用のクルーザーを購入し、社用として運用する話がショウさんの管理話が持ち込まれた。

カンさんも一緒に行くので、専属のように出入りしている会社だ。

 

 税金対策かも知れないが、ショウさんが請け負って居た仕事を、社用船で運用任せたい様だ。その企業は、香港の株式市場に登録している貿易商社で、社内の接待用に取引先の来客の移動や洋上パーティーに使う様だ。

これまでショウさんが請けていた仕事だが、香港は海上都市なので自前のクルーザーは価格は張るが、企業として社用車並みの扱いだ。
 

購入時は、ショウさんとカンさんも立ち会い、運転したりメンテの手順などメーカーのスタッフから徹底してレクチャーを受けた。

 

未だ会社の社員の辞令設けていないが、メーカー側は社員だと思って話をしてくれたが、貿易会社の担当が素人なので(任せるからしっかり聞いて置いてほしい)と任せっきりだった。

 

ショウさんのクルーザーよりひとまわり大型で、カンさんも最初は戸惑ったが型式が新しいと操作も簡単で、見た目より楽に動いてくれる。

 

しかし毎日出勤して、掃除して始動テストし待機する日が続く。

あまり静かに停泊していると船腹に貝が吸い付き、いざ出動時に見っとも無いので、その点検はクルーザーを陸揚げして、船腹から船底まで丁寧に手を掛ける、この作業はショウさんの会社で経験しているので、慣れた仕事だ。

 

そんな仕事を見ている会社の幹部はカンさんを信頼し、時々専務や会社の幹部が退屈なのか(1時間ほど港外に出てみましょう)と運転席の脇の椅子に掛けて、海を眺めながら煙草を美味そうに吸う人もいる。

 

大型の取引にも幹部社員と同じ扱いで運転席に待機、脇の応接セットで取引の話が筒抜けだ。お客と営業の幹部たちが女子社員が用意する食事会も、カンさんも自主的に配膳や片付けを担当、違和感なく契約事務が終了する。

 

そんなときは予め目星をつけていた静かな島陰に停泊、食事は当然お相伴で美味しいランチを頂ける。会社の都合で、大きい取引先に一日貸し出すことも在るが、操だ手&船長のカンさんは相手の言いなりだ。

 

結構無謀な要請で台湾沖までとか、南沙環礁までとか領海侵犯を平気で指示する輩も数多く、断れば会社が不利益になるかも知れないので、目を瞑って近くまでつけることも在る、日誌には詳細を記入できないので「異常なし」と記入する。

 

 

たまには前日に、明日予定は(???)指示が出ることも在るが、カンさんは仕事としては楽すぎて充実感が無い日々だった。

こんな仕事を3年ほど続け、シュウジンくんも小学校に入学したが街は活気があって賑やかだが、教育環境を危惧した。

ショウさんに相談し、会社の担当と3者で検討し、身を引く考えを出した。

 

会社も、ショウさんに委託していた時より3倍以上の経費が掛かっているため、元へ戻すか対策を検討し、自家用の利用価値が少なく、株主からも指摘されて居たらしい。

そんな時カンさんの申し入れで、社内では勤務ぶりは好評なのでクルーザーとは違う形で勤務要請があったが、カンさんは会社勤務を辞退し自分の進みたい夢を話した。

 

「なぁ~るほど、ショウさんのお仕事と同じとは、私の会社とお付き合いは続きますね」とうれしそうに笑う庶務担当だった。

ショウさんには前から話して居るので、ライバルじゃなく相互関係を強くして、マカオにも拠点を持つことで、効果を上げる話だった。

 

ショウさんの子供も、深圳からシンガポールに留学している話を聞いたので、カンさんが自由になるころ、ユウリンさんとシュウジンくんを連れて、東京かシンガポールに行くことにした。

 

会社は自家用として購入したが、カンさんが独立するなら払い下げると言う話が出、ショウさんとボート会社が間に入り、まだ新品だが経過年数が4年目で減価償却で中古の相場価格より割安の5年の年賦払いで契約した。
縫製会社を譲渡した資金と、以前からの資産は残して有るので子供たちの養育費には目途がついている。
ショウさんの会社からの報酬は通常の4・5倍でクルーザは即金で払えるが保険として残し分割で購入した。この辺は奥さんのユウリンが経済に明るく縫製会社でも財務の取り仕切って、安定した経営になった。

 

会社の専属ではないが、カンさんが個人会社を登録、前の貿易会社のオーダーはショウさんの分担して優先に配船することを約束する。

カンさんは海上旅客運搬業の社長になり、住まいも香港の港湾地区のマンションに移住、ボート置き場に小さなハウスも設け、ショウさんと共同の事務所にした。

 

無人だが電話がある。

シヨウさんが、マカオの同業から応援を頼まれ。カンさんに回して来た。
「日本の領事館経由で日程がハッキリしなく運航すれば3-4日掛かるようだ」
「マカオにはカンさんの番号言うから、電話が来たらワシの名前を伝えボートが大きく成り新しくなった言って、値段は同じだと、恩を売って置いて置いてください」笑っている。

 

その日の夕方カンさんのスマホに着信、マカオのシンディ―と言う女性の声だ。シヨウさんの話しなので落ち合う場所と時間を聞いて承諾した。

 

ユウリンさんも二番目が女の子で、恵姫(ハーウイン)と名付け抱っこしながら
「パパの新しいお仕事よっ」とあやしている(^^♪

カン一家の新たな出発

榊原修二(カン・ソンシ)は家族3人は、深圳の会社の不動産や権利は叔父の社長を引き受けて貰い居ぬきで叔父に譲渡、母を弔った半年後に移動した。
香港とマカオの間にある漁村に移住し、ショウ・ボッツ船長のクルーザーで海上旅客運搬業の手伝いをしながら、免許を取ったりノウハウを学んだり、将来の夢のために頑張って居た。

 

縫製会社は、叔父の社長に譲り榊原修二は暫くカン・ソンシの名前で、自立の道を探り家族を守る決意を最優先に行動している。
前の社長が悲惨な最期を迎えた会社から離れたいという義母やユウリンの気持ちを考え、お世話になった海上運輸のショウ社長の会社で研修を重ねている。
義母は亡くなった社長の思い出が強い深圳の土地が、会社幹部に処遇した男に裏切られその夫が殺された会社付近に住みたくない塞ぎこんで居るので、少し離れた公園の脇のマンションで療養的生活をしていたが、傷は癒えず体が回復しないまま半年前に夫の元へ旅立った。
ユウリンも母の気持ちを大事にソンシと相談、聞き分けが出来る年になったショウジンくんに話し、一から始める事にした。
前から親身になって面倒見てくれたショウ社長のプランで、ソンシのスキルアップとユウリンの生活改善を大事に、この村にきた。

ユウリンさんは漁村に移住し、生まれて初めて肉体労働を経験して居た、大学まで武道など体育系で汗を流すことを厭わなかったので、色白で華奢に見えるいで立ちで生魚の箱を抱えてヒョイヒョイ働いて居る。

先輩の社員は心配で「大きい工場のお嬢さんとして育ち重労働は初めてなはずだが」と気に留めて呉れる。

率先して手を出す。

若い女性は体が汚れるのを嫌い箱の移動などには近寄らないが「私は新入社員ですから動いて経験するのは当たり前です」とニコニコ働き1か月もしない戦力になった」

漁港近くの加工所で、魚を割いて干したり、ボイラーで蒸したりいろいろ初体験だが、健康に育ったので、違和感なく働く喜びを実感していた。

 

シュウジンくんは、加工所の従業員用保育室に預けて、地元の子供たちと一緒に遊んでいる、保育の担当者を配置しているので安心だ、深圳の高級マンション育ちが、浜辺の保育所は別世界のようで真っ黒に日焼けしながら、たくましく育っていた。


お腹に二人目の兆しがあったが、加工所に勤めながら生めるか考えながら、カンさんには打ち明けていない。

漁港は田舎だが、近くに産婦人科を兼ねる女医さんが、小児科を開いている事を聞いたので、午後の勤務が休みの日にシュウジンくんを連れて、診察に行って見た。

 

「あ~ら坊ちゃんではなく、おかぁさんの方が大事な時ですね」とズバリお目出度を指摘、2番目だが先生が丁寧にスケジュール組んでくれた。

先生はにこにこしながら、シュウジンくんを揶揄いながら「4カ月過ぎですね、順調ですよ」と告げられ、加工所の幹部も知合いなので配慮するように伝えてくれた。

カンさんも朝早めのバスで中心街に行くので話す時間が少なく、ユウリンさんも体を動かしているので疲れも残って居て、シュジンくんを間に川の字になって寝ている。

 

その日の夜、3人が布団に入ってユウリンさんが電気を消そうと立ち上がると

「ねぇ~ママお医者さんのことパパに話さないのぉ~」とせがむ。

カンさんが驚いて「何かあったの?」と起き上がる。

 

「忙しそうで話すチャンスが無かったのですが、今日 時間が有ったので産婦人科に行ってきました」

「えっつそうだったの、おめでとう」と言ってユウリンの寝ている方に移動して、抱きしめてくれた。

シュウジンくんは、何が起きたのかわからず”ポカン”して、抱き合っている二人を眺めている。「そうか、変な勤め人にしてしまい悪かったね」とおでこにキッスをして、元の布団に戻る。

 

カンさんは不定期の旅客運搬を手伝いながら、ショウさんから破格の手当てを貰っていた。

 ヤミの世界の客もいるので、時々得体の知れないのが小競りあいしたり、大声を上げるのも居たり乗り場が騒然とするが、カンさんがさり気なく捌き騒ぎを防ぐ。

 

 

予定の無い不定期船なので、夜まで海上を走り回りお客がトラブルに巻き込まれないように、体を張って裁くこともあり司直に知られず事を収めるのが、仕事以外の仕事だ。
寧ろその方面の仕事は、日中より日が傾く頃から多くなり街中より海風を受けてデッキで進める方が上手く行く様だ、当然酒肴を楽しめる配慮も必要だ。
ある程度の公的免許も取得し、独立する準備も出来上がりつつあり、子供たちの成長に合わせて永住する処も考えている。

 

 

元取締役キンはフェリー乗り場の検問で、拘束された。
殺人教唆の罪だが、○○本土とは協定が無いので、身柄を引き渡す必要が無いが近いうちに釈放されそうだという情報が入った。

 

実行犯を引き取ったのが今朝なので、香港から離れずにチョウさんの持ち船の艀に、クルーザーを舫いゆっくりしていた時、情報が届いた。
フェリーから(ワゴン車が降り漁港の方に回った)とスマホで短いメッセージが届いた。

船長のシュウさんが飛び出し、チョウ・カク・カン・シンと4人が続きクルーザーに乗り、
早朝の漁港は、漁に出る漁船とその家族などがワイワイ居るので、ワゴン車が岸壁近くにいても不審がらず、自分たちの仕事を遣っている。

 

クルーザーも少し離れた位置でエンジンを切り、惰性で岸壁に近づき、チョウさんだけが舫い綱を持って舳先に立つ、ワゴン車から若いのが一人綱を受け取り、そのまま体を斜めに踏ん張っている、後ろから中年の男が両脇を抑えられて、クルーザーに押されるように乗ってきた。

 

カクさんが素早く出て、一緒に船室に引きずり込む。ほんの1分くらいの動きだ。

舫い綱を離した若いのはワゴン車に潜り、クルーザーは静かに漂うように岸壁を離れる。

チョウさんが漁船の船長に軽く手を挙げて、挨拶して事は済んだ。

 

カンさんは不貞腐れたように突っ立ているキン取締役の正面に立ち、一言も発せずボディーブローで心臓下を、右の拳が顎に炸裂、血を吐きそうなので相手のコートをはぎ取り頭をくるむ。なんとも手際が良い始末だ。

 

カクさんが面白そうに

「プロの一発は利くねぇ」と笑う。

カンさんは、みんなの顔を見回して目礼をし、チョウさんと握手している。

チョウ組長も何かやりたそうだが、遠慮したように若いのに何か指示し、ショウ船長に何か話して居る。

 

クルーザーは、朝日を浴びて気持ち良くチュウさんの自宅に向かう。キン取締は伸びたまま艀に持つ置き場に放り込まれ、両手・足と猿轡は頑丈だ。

 

実行の殺し屋も香港らしいので、チュウさんのネットを使って追って貰うのと、チュウさんの叔父さんに網を掛けて貰うことにした。

 

深圳から出張ってきた3人とチュウさんが艀の船倉でキン取締役に面対し、実行犯の割り出しに掛かる。

「あんたも命が惜しけりゃ、サッサと吐いた方が生きる道も有るかも知れないよ」とカクさんが優しそうに話しかける。

誰かにさらに痛めつけられたのか、顔面に痣が出来ている。

カンさんは、手も口も出さず傍観している、シン警備主任が本領発揮で間近に椅子を持ち出して、カクさんを睨んだその横ツラを正面に向かせ「何とかいえよ」と凄む。

 

鉄板の船底に膝をつき恨めしそうに見上げる顔は、少しも反省の意思が見えない。
「おめぇのお陰で、社長夫人も亡くなったんだよ、お前を裁くのは警察や裁判所じゃないんだよ、わかるか?」とシンさんが横っ面を殴る。

 

「昔馴染みのカクさんは実行犯を承知して居るんだよ、どこに隠れても1日2日でアジトは抑えるが、お前の口から聞きたいんだよ」とおでこを突く。
キンは力無く後ろにひっくり返る、
さっきから何も言わずに目をギョロギョロさせて怯えているだけだ。

「おい、いつまでも置いてもらえないんだよ、今晩深圳に帰るとき流れの良いところで、解放してやるよ、もちろん両手足は固縛するよ、運が良けりゃ本国の海警に拾ってもらえるが、厄介ごとは嫌だと言われてるからなぁ」とカンさんが本音を言う。

 

キンは思わず身震いするように後ろを見る。カンさんは素知らぬ顔で続ける。
「全部吐いて呉れればどこかへ飛ばすこと出来るが、だんまりならシャークのご馳走だなぁ」と冷酷な宣言!

東沙諸島の海は荒れていて深そうだ

ここは香港と言っても、島の裏側の大潭湾(タイタムワン)の出口の方で、深圳に戻るには外洋に出るので、海流の激しい所が沢山ある。

 

体が自由に動かないので、両手で体を回しカンさんの顔を見る

「何だいその顔は、罪が無い俺の義理の両親を刺殺したんだよ、お前の指示で~」

 

その時チョウ組長がスマホを持って、急ぎ足で降りて来た 

「(チン・シューウをアジトの裏で確保、ワゴン車に収容移動開始と着信)皆さん第2ポイント確保しました、固縛して上で休憩しましょう」とニコニコしながらキンを靴先で突く。

 

カクさん・シンさん・カンさんはホッとした顔で若いのと一緒に固縛して猿轡を噛ませゴムの人型ザックに入れ頭部分を出して占める。

 

暮れてきた香港の空も、夕焼けはきれいだ