『豊臣大坂城をつくる』の道のり⑧ | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。


8月の下旬に、東京のスタジオで2日間撮影を行いました。


スムーズに撮影を進めるため、事前にこちらで撮影した仮写真を使った香盤表に従って、必要な写真を撮っていきます。モニターを見ながら、光の向きなど注文を出しつつ。


この撮影中に、テスト販売のパーツのサンプルが届きました。しかしこれもまだ3Dプリンター出力のものが含まれていて、あくまでサンプルです。


これを持ち帰ってすぐに始めたのが、組立ガイドの原稿作りです。


接着剤の扱いから



パーツの取り付け方まで、



組立ガイドの写真は全て私のところで用意したものです。組立ガイドは専門の方に任せることもあるそうなのですが、今回は全て私が担当することになっています。


これが結構大変な仕事です。


写真を撮って、ラフ原稿にして、写真は全て解像度や明るさの調整を加え、そのまま印刷できるデータにした上で、原稿とは別にまとめて送ります。


するとデザインされた校正原稿が返ってきます。チェックして修正指示を書き込み、返送します。


アーマーモデリングの連載で慣れている作業とはいえ、編集プロダクションが違うと、少し勝手が違うところもありました。制作過程ではなくて、組立説明書なので、分かりやすく編集し、注意書きはしっかり読んでもらえるようにしなければならないので、かなり気を使いました。


この組立説明書の段階では、まだ、サンプルパーツを使っています。テスト販売用の本パーツが届いたのは、もう入稿した後だったと記憶しています。しかし、サンプルと異なる部分はありませんでした。


今回のキットパーツは、基本的に塗装済みです。テストでは一部お客様塗装の部分もありましたが、塗料と筆がセットされています。この筆もいくつかのサンプルの中から選びました。パーツの色味は国際標準色見本であるパントンカラーで指定しましたので、プロトタイプで私が着色した色にかなり近いものが再現されています。

漆の黒色はちゃんと半ツヤになっていて、漆塗りの雰囲気が出ています。




金の部分は、当初、工場の提案でメッキのシールがサンプルとして出てきていましたが、

反射する時と(菊紋部分がメッキシール)

反射しない時では

見え方の差が大きく、金の重厚感がないので、これもカラーサンプルを送って塗装にしてもらいました。


金は基本的に塗装済みのエッチングですが、このエッチングの何がすごいかと言うと、通常のようにデザインナイフで切り離すのではなく、手でねじ切れるようになっています。材質もかなり硬いもので、工場は「初心者に扱えるように研究します」と言っていましたが、こんなものが出来てくるとは!驚きました。


組み上げるとこんな感じです。

ここまで8回に分けて、テスト販売までの道のりを書いてきました。まあ、やれること、やりたいことはほぼやれたと思います。


ミュージアムモデル並の仕上がりで、しかもホビー商品にしか出来ない遊び方もできて(完成後中が見れるなど)、ちゃんと天守の形をしていて、そして何より見ていて美しいこと、飽きないこと。そんなことを目標に設計しました。


100号集めるとお高いですが、しかし、もしこれが一点物、注文品だったら絶対にこんな価格では手に入りません!!


全国の皆さんのお手元にお届けしたい!

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