極小御殿の作り方②と山里 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

極小御殿の作り方、その②です。
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想像で作っている西の丸御殿は前回までで屋根を作りました。
その屋根に壁面を取り付けていきます。
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壁面の芯にはウェーブの角棒を入れています。これは強度を増すためと、ベースへの接着面を広く確保するためです。壁面はエバーグリーンの4mm幅のプラ材を使用しています。

この壁面に特別に誂えたエッチングパーツを貼り付けていきます。
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前回のほぼ同スケールの本丸全景模型では柱や建具は全て手描きで絵で表現しました。虫眼鏡で見るわけではないので、肉眼で鑑賞した場合、絵でも堪えられます。

ここまでくるとあとは彩色をすれば御殿の完成です。
広間や対面所など特にメインとなる大規模な建物は棟を漆塗りの箱棟とし、金金具を描き込んで豪華にしました。
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極小の手乗り御殿。
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広間には能舞台を作ります。西の丸御殿には能舞台があった可能性が高いそうです。
今回はエッチングパーツのおかげで、地謡座まで完全に再現できました。橋掛は国立能楽堂くらい長くしようかとも思いましたが、標準的な長さにしています。
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敷地の下塗り。奥庭には大きな池泉を設けました。池を描くときは、うまく説明できませんが、水面を囲うと思わずに岸のラインを描いていくつもりにします。ここは岬、ここは湾…といったように地面の形でとっていきます。
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同じように山里にも泉水を。
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今回の山里は本当に山里、というイメージで茅葺の建物で農村の雰囲気です。肥前名護屋城の山里に近い方向性です。前回作ったようなある程度形式化された御殿かつ池に楼がある空間は、西の丸に持っていっています。
建物は復元堂さんの上田城のキットから流用しました。今回、既存キットのパーツは使用しないつもりでしたが、スケール的におかしくないことと、ちょうどそのものズバリの形があったので使用しました。

緑地と白州を表現し、水面を入れたところ。水上楼閣も設置しました。広間には能舞台と楽屋を設けています。
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同じく山里。
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樹木を植えました。
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同じく山里。
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そしてこれは一気に作った長屋や蔵になる建物です。
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1000分の1平安京模型の建物部品の写真を思い出しました。
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ここに来て製作ペースが上がっているのは、実は妻に頼み込んで本格的な流れ作業を始めたからです。
私が屋根を切り出し、構成し終わると妻が壁を貼り付けて、その間に私は次の屋根を切り出し、壁面立てが完了したものが出来上がってくると私がエッチングを一気に取り付けて塗装、その間に妻は長屋と蔵を作る、といった具合で、進捗スピードが倍になっています。

北側の馬屋。馬の調練場があります。あとは馬小屋と、桧皮葺になっている独立建物は秀吉の奥州驪か秀頼の太平楽か、愛馬のための厩という想像です。
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二ノ丸内はかなり埋まってきました。
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しかしまだまだ残っています。詰めの丸も天守の北側土蔵や御物土蔵がまだですし、表御殿、千畳敷の懸造りと橋、能舞台、二ノ丸北側の囲いと櫓、水面、そして三つある馬出はまだ手付かずという状態…

あと本丸の西下の段帯曲輪に土塀を立てるか迷っています。西下の段帯曲輪は表御殿のある曲輪の空堀とつながっていて、犬走りや空堀のような役目であったのでは、という指摘もあり、実際土塀を立てない復元イラストもあります。二ノ丸の方に犬走りを巡らせていることもあり、特に犬走り状の地形に見えてしょうがないのです。もう少し悩みます。