極小御殿の作り方①と千畳敷① | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

今回は進捗報告のみであまり製作記の体を成していません。せっかくなので、極小の御殿の作り方を記事にしてみます。

本丸の表御殿と奥御殿は「本丸図」という詳細な図面が残っていますが、その他の御殿や屋敷は全て想像です。

想像といっても、御殿には様式がありますので、それに則って作っていけば、それらしいものが出来ます。

まずは想像で御殿を作る場合です。西の丸御殿を例にします。

屋根はウェーブの三角棒②のシリーズを使います。30度の角度を持つ直角三角形で、1mm〜5mmのサイズがあり、全て使用しています。
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これを2本貼り合わせると、日本建築としておかしくない傾斜の屋根が出来ます。
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この5種類から屋根を削り出し、組み合わせていきます。
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デザインナイフで入母屋を切り出し、ヤスリで整えます。簡単に見えるかもしれませんが、はっきり言って簡単には出来ません。
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様々な大きさで屋根を切り出し、組み合わせたりして配置します。この段階で、建物の用途やそれに応じた規模を頭の中で描いています。
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さらに廊下などで繋ぎ、一体化させます。
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建物の配置は『匠明』の「屋敷の図」を参考にはしていますが、かなりアレンジを加えています。
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御殿の配置は入り口から二方向に用途が大きく分かれます。
一つは儀礼的なハレの空間、もう一つはプライベートなケの空間です。
分かりやすくいうとGパンにTシャツで暮らす空間と、蝶ネクタイをして出て行かなければならない空間の違いです。

ハレの空間には、大勢の人が集まるホールのような役割の広間や、賓客用の御成御殿などが含まれます。政治的な対面所もここに含まれます。

それに対し、ケの空間は居間にあたる書院や寝所、台所、夫人が暮らす「御上方」や、風呂、侍女などのための局、使用人が暮らす長屋や身の回りのものを保管する納戸や蔵といった建物が含まれます。

夫人のための「御上方」は一番奥に作られ、今でも「奥様」「奥さん」といえば夫人を表しますよね。

御殿の規模が大きくなると、台所も御上のための台所が別にあったり、風呂も内風呂と来客用のものがあったり、匠明にはさらに使用人が使う下風呂もあります。

とにかく、オフィシャルゾーンとプライベートゾーンを分けて配置しながら、庭との関係、屋敷の持ち主の動きや使用人の動き、来客の動きなどを想像しながら建物を並べていきます。
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さらに敷地を築地で分け、門を開きます。
門は格式を違え、その門をくぐることができる人を限定します。門はまだ作っていないので、完成時に書きます。
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今回、西の丸御殿では、奥に広大な庭を設け、池の上に楼閣を置くことにしています。プライベートゾーンにこそ遊びを取り入れて、秀吉らしさというか、桃山期の華やかさを演出してみたいと思います。

このように、想像の部分は屋根を先に作っています。(この後の壁以降の作り方は次回)




それに対し、図面が残っている場合は壁先行です。
表御殿。
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0.2mmのプラペーパーに、平面図をコピー機で直接印刷しています。ちなみに、0.1mmのプラペーパーをコピー機に入れると、熱で溶けて大変なことになるので注意が必要です(経験済み)。

壁は高さを均一に揃えるため、エバーグリーンの4mm幅のプラ材を切り出しています。
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立てた壁面に、エッチングパーツを貼り付けていきます。
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千畳敷は20間×25間で千畳としました。柱間は他の部分より広く表現しています。
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二階建てで表御殿の他の部分より高いので、四方に広縁を巡らせてみました。分かりにくいですが南側はさらに落縁に高欄です。

巨大。
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