本丸の表御殿と奥御殿は「本丸図」という詳細な図面が残っていますが、その他の御殿や屋敷は全て想像です。
想像といっても、御殿には様式がありますので、それに則って作っていけば、それらしいものが出来ます。
まずは想像で御殿を作る場合です。西の丸御殿を例にします。
屋根はウェーブの三角棒②のシリーズを使います。30度の角度を持つ直角三角形で、1mm〜5mmのサイズがあり、全て使用しています。
一つは儀礼的なハレの空間、もう一つはプライベートなケの空間です。
分かりやすくいうとGパンにTシャツで暮らす空間と、蝶ネクタイをして出て行かなければならない空間の違いです。
ハレの空間には、大勢の人が集まるホールのような役割の広間や、賓客用の御成御殿などが含まれます。政治的な対面所もここに含まれます。
それに対し、ケの空間は居間にあたる書院や寝所、台所、夫人が暮らす「御上方」や、風呂、侍女などのための局、使用人が暮らす長屋や身の回りのものを保管する納戸や蔵といった建物が含まれます。
夫人のための「御上方」は一番奥に作られ、今でも「奥様」「奥さん」といえば夫人を表しますよね。
御殿の規模が大きくなると、台所も御上のための台所が別にあったり、風呂も内風呂と来客用のものがあったり、匠明にはさらに使用人が使う下風呂もあります。
とにかく、オフィシャルゾーンとプライベートゾーンを分けて配置しながら、庭との関係、屋敷の持ち主の動きや使用人の動き、来客の動きなどを想像しながら建物を並べていきます。
今回、西の丸御殿では、奥に広大な庭を設け、池の上に楼閣を置くことにしています。プライベートゾーンにこそ遊びを取り入れて、秀吉らしさというか、桃山期の華やかさを演出してみたいと思います。
このように、想像の部分は屋根を先に作っています。(この後の壁以降の作り方は次回)
それに対し、図面が残っている場合は壁先行です。
表御殿。
立てた壁面に、エッチングパーツを貼り付けていきます。
二階建てで表御殿の他の部分より高いので、四方に広縁を巡らせてみました。分かりにくいですが南側はさらに落縁に高欄です。
巨大。