原寸図を引き終わり、実際に地形を立体化していく作業に入りました。
水堀の切り出しが終わりました。
水堀で全体のアウトラインが決定します。少し小さめになっている二ノ丸の部分に不自然さを感じさせないように気をつけました。
地形の造形はこの模型の重要な部分なので、急がずに丁寧に進めています。
ところで。
よく、お城や古建築の模型やプラモデルは難しいという声を聞きます。
どうしたら上手に作れますか、という質問もいただいたことがあります。
(もちろん、他のジャンルの模型も、それぞれの難しさがありますが…)
難しいのにはいくつか理由があるでしょう。
まず、スケールが小さいこと。だいたいお城のプラモデルでは大きいもので300分の1くらい、小さなもので500分の1くらいですね。
このスケール感を出すのがまず難しいようです。ちょっとした塗装のムラや筆跡でスケール感が台無しになってしまいます。樹木もスポンジ感が見えてしまったら興ざめですし…
もう一つは求められる表現の幅が広いこと。建物あり、樹木あり、地面あり、水面あり、石垣あり。人工物も自然物もごちゃまぜな上、どれかの要素がたった一つ上手くいかないだけで全体が崩れてしまいます。
そして、木であったり、石であったり、瓦であったりその質感と色彩を表現することの難しさ。
そして決定的にお城や古建築の模型が特殊である点があります。
このことを意識してつくっておられる方が案外少ないようです。
それは、
お城や古建築は芸術品であり、その模型を作るということは芸術品のレプリカを作るのと同じ作業である
ということ。
国宝の城は五城あります。
しかし、「国宝」ということでいえば他にどんなものがあるかというと…
彫刻では例えば
絵画では例えば
工芸品でいえばたとえば
そして建築では
国宝の模型をつくるわけです。
他のどの国にもない、日本固有の文化を象徴する芸術品のひとつがお城や古建築です。まして、建築は彫刻や絵画などより高い次元の芸術ジャンルに属するのです。
その、いわばレプリカを作る作業をやるわけなので、工業製品や、一般の住宅のミニチュアをつくるのとはちょっとわけが違うのだと思うのです。(工業製品や一般の住宅など日常を描いた模型を芸術品にまでするのはもっと難しいことですが)
このことを意識するだけで、作るときの心構えが少し変わると思います。