豊臣大坂城全景模型① | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

ご注文の豊臣大坂城全景模型、仕切り直して①から記事を再開します。
縄張りの製作から始めます。
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その前に…日本橋高島屋の【熊本復興祈念】熊本城と加藤清正・細川家ゆかりの品々、残すところあと2日となりました。お近くの方、ぜひご覧下さい。

昨日は情景師アラーキーさんがツイッターで呟いて下さり、メールまで下さいました。感激しています。

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では製作記に戻ります。本丸はすでに地形の高低もでき、プラ板での覆い込みも進んでいます。
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これからの仕事は二の丸の考証および復元作業です。
本丸と同じく、大まかなアウトラインは徳川期と大きく変わらないという前提で、現状の縄張り地形から比定していきます。
60センチ四方に収めるため、二の丸は一回り小さくなっています。
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これに様々な資料からの情報を付箋にして貼り付けていきます。絵図によって齟齬が生じたりするので、その辺りのすり合わせをどうしていくかが課題です。
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熊本城の時もそうでしたが、よく「どうしてそんな短期間に作れるのですか」という質問をいただくことがあります。答えはいくつかあると思いますが、「作るものを頭の中で空白の無い状態に仕上げて取りかかるから」というのが一つの答えかな、と思います。
作りながら考えない。考えた後で作るので、作り始めの段階でもう頭の中では完成しているのです。製作の段階では図面などはガイドに過ぎません。手を動かすだけ。

ですから、この、図面を読み込み、現地を歩いての高低を思い出しながら地形を比定していく作業は、表には見えませんが製作の行き先を決める最重要の作業です。

例えば、大坂城は城内の高低が複雑です。
本丸の南では、二ノ丸の地面の高さは、水面から十数メートルくらいの高さがありそうです。↓
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ところが北、極楽橋付近の二ノ丸の地表の高さはわずか数十センチかと思う高さです。
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もちろん水面に段差はありませんので、地面が北に向かって下がっているわけですが、どこでどう段差がついているのか、まずはきちんと把握する必用があります。

ちょうど妻が今年のホビーショーに出す現在の大阪城を作っていまして、私も一緒になって、地面の高低を再確認しました。(妻も全城会に引き込んでしまいました。)
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妻の作品にもかかわらず、ここまでの範囲、1ミリ貼って、ここまでは2ミリ、と細かく指定してしまいました。

もう頭の中では現状の高低はだいたい把握できました。
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それを踏まえつつ、二ノ丸の復元原寸図作成に進みます。