これから福岡へ帰ります。気持ちは次の製作に移っていますが、昨夜は東京での所用を終わらせ、足は日本橋の高島屋へ。
宇土櫓の魅力にしばし模型の前に立ち尽くしました。
怒涛の製作記(その4)
温泉での心の洗濯が終わり、納品までの最後の追い込みの時、撮影した写真は少ない。撮影の余裕さえない、1分を争う製作だった。
●3月30日
この日の写真は18時40分に撮ったこの一枚だけ。
続櫓の軒先の処理をしていたようだ。垂木はまだ無い。
●3月31日
11時43分の写真。
丸瓦は片面約120本。両面で240本のプラ材をきっちり幅を合わせて切りそろえ同じ間隔で延々と貼り付けるのはただ事ではない作業であるが、これはほとんどを妻がやってくれた。
この日の夜21時3分の写真。窓の格子が少しずつ入りはじめる。しかし破風のケラバ瓦は手つかずである。
●4月3日
昼食後、12時43分。地階の出入口周辺の壁面が完成
●4月2日
この日の写真はない。飯田丸五階の備前堀の水面、天守のジオラマ土台など作成したか。
朝8時40分撮影。この日は月曜日の結婚式。昼の披露宴の後、二次会の司会を引き受けていたため夜まで製作できず。
前の深夜、慌てて石垣の芯をつくったのだった。宇土櫓の石垣は図面がなく、ご覧のようにフリーハンドでの切り出しである。あの曲線を出すのに頼りは自分の目に焼き付いているラインと手の感覚のみ。このあと表面はきれいに整え、石垣面のスチレンボードを貼り込んだ。
城内からの宇土櫓。格子が入っていない窓の闇がなんとも恨めしかった。
納期は4月9日。
●4月4日の写真も無い。撮影の余裕などなかった。
そして
●4月5日
昼の12時38分。宇土櫓が突き上げ戸を残し完成!
写真が一枚も無い4月3日夜から4日にかけて、何が起きていたのか思い出せない。没頭とはこのことか。
あと3日というところでようやく建物が真っ白な状態で完成した。
石垣面のスチレンボードは妻の切り出し。続櫓の建物との境界は水平では無いし、緻密な調整を要する。どうやったの?とこちらが聞く始末。
ここからは勢いがつく。
同じ日の16時30分。およそ4時間かけて一番広い石垣面の彫り込み完了。
同じ日の天守ジオラマ。
残るは3日!
[このあと宇土櫓と天守ジオラマの断続的かつ超速の石垣彫りの作業で、一時、道具が握れないほどになる]
●4月6日
宇土櫓の塗装。
宇土櫓の重量感とあの深い色合いを出すため、グレー立ち上げの塗装をした。
午前11時頃。
白壁の下地に荒土色をのせる。
16時頃、やっと白壁が塗りあがる。
9日の朝10時には熊本城へ納品である。残された時間は48時間を切った。
この後の塗装写真は無い。
宇土櫓の表面積の広さゆえ、半日断続的にエアブラシの作業で、人差し指の先に水ぶくれができてしまった。この水ぶくれはだんだんと硬くなり今は豆状に残り、痛みがある。熊本城模型が私の体に残した痕跡である。
●4月7日
この日は娘の入園式。記念写真の私はどれもひどい顔をしている。
そして納品まであと17時間となった、
●4月8日午後5時頃。
実は6日、7日と2日間、友人が深夜まで手伝ってくれたのであった。天守ジオラマの樹木の作成、模型周囲の化粧板づくり、ジオラマ部分の下塗りやパウダーがけの下地などなど、私でなくともできる作業の大半をやり方を伝えながら任せた。もちろん妻もフル回転であった。私は最後の仕上げと手直しをするだけだったので本当に助かった。友人が帰り、妻が寝たあと、宇土櫓の土塀を一人作った。
今回の模型の力の配分は、建物に8、ジオラマに2という感じである。今後もしこの模型がなんらかの形で残るならば、ジオラマ部分はいかにでも作り直しができる。少なくとも建物は、可能な限り完全なもので展示したい、との思いからである。といってもジオラマ部分にもけっして手は抜いていない。
・宇土櫓の屋根の目地漆喰の描き込み
・突き上げ戸の取り付けと作成
・細かい植え込み
・飯田丸五階櫓模型の土塀
・樹木
であった。
目地漆喰漆喰の描き込みに23時までかかり、その後、突き上げ戸は深夜1時頃にプラ材が切れるという悲劇。結局5枚の突き上げ戸は展示作業時に取り付けとなった。
梱包前、最後の作業となったのがこの植え込み。
そして深夜2時から梱包。
梱包が終わったのが朝4時。約束の時間まであと6時間。
「熊本城天守模型」「熊本城宇土櫓模型」「熊本城飯田丸五階櫓模型」それぞれの箱に墨で黒々と揮毫した。
3時間の睡眠のあと、前日夕方に撮影した写真でパッケージラベルなどを作ったのが朝7時頃。模型でいっぱいになった車で熊本城へ向かって出発したのが8時半。熊本城への到着が9時50分頃であった。
(この写真の撮影時刻を見てみると、なんと10時00分。)
間に合った…
受け渡しのあと、今まで気にもしていなかった全身の痛みに耐えられなくなる。
模型を送り出して一安心したが、展示作業の出張までに、飯田丸五階櫓の土塀や、残る突き上げ戸、平左衛門丸の大木やその他樹木を作らねばならない。