シルエット調整をしておりましたフジミの法隆寺五重塔です。基本造形ができました。
五重目の軒裏をつくり
プロポーションの調整が完了しました。
法隆寺の五重塔は最も安定した塔だと言われます。それは上層に向かうにつれだんだん細くなっていき、五重めは初重の半分の幅になっている、ということはご存知の方も多いと思います。
しかしどのように細くなっていっているかを見てみると、さらに細かい計画性が見えてきます。
その前に…社寺建築の基本となっている大切な単位をご存知でしょうか。
それは「一枝(いっし)」といい、垂木の幅と間隔を足した長さです。垂木の割り付け方にもいろいろありますがここでは省略します。ちなみに画像は垂木の間隔が垂木の幅と同じになる「小間返し」です。
この垂木の割り付けが基準になって、他の部材の寸法が決められています。
話は戻りまして、法隆寺の五重塔を見てみますと、柱間三間ですが、初重は中央の扉のあるところが10枝、両脇が7枝となっています。
それが上に行くに従ってそれぞれ一枝ずつ減らしていって、五重目は柱間二間の6枝ずつとなります。
そして軒の出は初重の14枝から一枝ずつ減らして五重目の10枝まで、と緻密に計画された結果の安定感であることが分かります。
それでは斗栱の製作です。
フジミのキットに戻りまして、垂木をよく見て見ますと…さすがにそこまでは再現してありませんが、近似値です。実際の塔が5枝ずつ減って行くのに対し、キットの方は4枝ずつ減っておりました。
まず出桁を取り付けます。前回切り取った尾垂木の前面に取り付けました。
出桁を受ける肘木を取り付けます。
尾垂木を取り付け。
雲形斗栱はどうしようかかなり迷いました。金堂から移植することも考えたのですが、こちらを使うことにしました。
150分の1と同サイズだし、そして卍崩しの高欄もちゃんとある!
写真のように尾垂木も切り取るので、わずかこのパーツのために買ったようなものになってしまいました。なんて贅沢な模型(笑)
雲斗栱を取り付けて行きます。
五重目の高欄も束の間隔を変更しました。
この木製の150分の1のキットは軒裏のデフォルメがきつすぎて単体ではちょっと苦しいですね。昔、イマイの頃に出ていたものは斗栱と高欄がプラ製でした。それが残っていれば…
創建時の裳階の無い姿。
今回は裳階ありのご希望なので、裳階も高さを調整しました。高欄の廻り方が一回り広い気がしますがこのたびはこのくらいで許して下さい…