法隆寺五重塔①プロポーション調整 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

法隆寺の五重塔です。
世界最古の木造建築です。
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フジミの1/150法隆寺五重塔です。初重の裳階は組み立てていませんし高欄もつけていませんけれど…なんじゃこりゃ。全体が潰れていてプロポーションがおかしいですね。
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古建築において質の高い造形を誇るフジミにしては残念な出来ですね。同スケールの金堂の出来がいいので、並べるとあまりの造形の質の違いにちょっと悲しい気持ちになります。

パーツと図面を突き合わせて、プロポーションに破綻をきたしている原因を探します。
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各重の壁面の幅は正確ですが高さがめちゃくちゃです。初重は高さがかなり高く、逆に他の層は高さが足りません。しかし全体の高さはキットも図面もぴったり同じになります。

相輪も高いですね。
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五重めの野小屋を省略してしまったために、五重めの軒先が下がり、その幅に他の層の軒ラインを合わせた結果、全体が圧縮され、その分足りなくなった高さを初重と相輪で辻褄合わせをしたことがわかります。

この他、各重の重なり目の厚みなども足りないことが分かりました。
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まずは簡略化されすぎて、もはや謎の突起物と化した雲形斗栱を切り取ります。
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軒裏に一体化された尾垂木(らしきもの)を取り除きます。
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初重の高さを切り詰めます。
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足りない高さを補い
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五重めは野小屋を設けるため、垂木の先端は削り取り、
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野小屋の高さを足します。
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プラ棒が無くなってしまい、四重めの調整が出来ていませんがこのようになりました。
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調整前
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調整後(四重目は未調整)
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だいぶスラッとしました。