神保町にて。 | 城郭模型製作工房

城郭模型製作工房

城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

昨日から東京におります。
久しぶりに模型から離れていて、こちらで忙しくともお休み気分で、このような冷却時間も大切だと実感します。

今日は空いた時間に神保町の古書店巡り。

貴重な図面と写真が満載の、国宝・重要文化財の建物の修理報告書がずらりと並んでいるのを見ると興奮してしまうのですが、さすが神保町の古書店。価値をよく知っていますからどれも大変お高い。

陽明門の修理報告書などは、彫り物を外した状態で1つ1つ撮影してあり、これはいつか手に入れたいと思いました。

今日は3冊購入しました。
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大型本をクラフト紙で包装してもらうと古書店で買った!という趣があり、つい写真に撮りました。

1冊目は松岡利郎先生の『大坂城の歴史と構造』。これはアマゾンでも手に入りますのでそうそう珍しいものではありませんが。

松岡先生は特に徳川期の大坂城研究の第一人者ですので、この本も内容が凄い。
付図の図面。巨大。100メートルが8.5センチという中途半端なスケールです。
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現在の本丸の実測図やら
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本丸御殿の平面図
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そして何より、建ち並ぶ三重櫓群の復元図面が目白押しです。
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二の丸の伏見櫓。徳川大坂城の櫓の中でも屈指の美しさを誇ります。
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これらの図面は大部分が歴史群像の『大坂城』にも収録されていますが、未収録のものが満載です。
建物ひとつひとつについても考証がしてあり、これだけの研究をされたことに敬意を払わずにはおられません。

残る2冊はこちら。

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写真集は比較的手に入りやすいものだと思いますがこれは持っていなかったこともあり定価以下だったこともあり。もう一冊は『日本建築史基礎資料集成』より書院I。こちらは城郭、寺院、神社、から民家まで、あらゆる日本建築の図面と解説を集めた研究には欠かせない資料集成ですけれど、全25巻で一冊が二万円以上します。図書館には稀に揃っていたりしますが…これがなんとこの一冊だけ6500円で片隅に出ていましたので即買い。
収録は以下の通り。
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こんな感じで寸法までびっしり。
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銀閣。
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東求堂。
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写真集の方は貴重なカットがたくさん。
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金閣は夜景多し。きれいですがこれはもはや古建築の美とは別物ですね(笑)
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二階の広縁の天井画も鮮明に。
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以前作った金閣では、この部分が限られた資料しかなく、それでもどうにか再現したのを思い出しました。
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こんなに綺麗にライトアップできればいいですね。
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同じアングルで
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この写真集は解説も質が高く、この巻はなんと宮上先生です。

貴重なのは焼失前の明治修理の図面が載っていること。焼失前は今と違って窓が多かったり細部が異なります。
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銀閣の方も雪景色ほか、このように少し高いアングルからなど、多数収録されています。
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この前ちらりとヤフオクを覗いたら銀閣ばかりで驚きました。
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何度訪ねても思いますが、銀閣はこの木の下を歩くことが作庭の意図ですから、ジオラマにすると難しい面があります。さすがにこの雰囲気はそうそう再現できるものではありませんね。

久しぶりに旧作の銀閣…またいつかリベンジしましょうか。次はキットは一切使わずに…とやりたいことだけは次々に湧いてきます。
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