溶けて流れそう。
現在、岐阜城の製作に本格的に打ち込みはじめましたので、公開できる画像があまりありません。もうしばらくすると、ご依頼の広島城や法隆寺五重塔が始まります。
今回は少しでも涼を感じていただけたら、と過去作品から水面のある情景をまとめて並べてみます。
ジオラマにおいて水面の表現は本当に難しく、毎回試行錯誤の連続です。
初期はKATOのリアリスティックウォーターを使用しておりました。これは流し込むだけで固まってくれます。
広島城の水面。
なみいたくんの水面。
このころから透明シリコンに移行。
リキテックスのジェルメディウムやグロスポリマーメディウムも使ってみましたが、筆跡が残り、自然な波紋に見せるのが難しかったのでその後使用せず。
猿沢池。
姫路城廃墟のオアシス的三国堀。
秋の銀閣、樹木の合間に見える錦鏡池。
冬の金閣、漆黒の鏡湖池。
この時は池の底まで造形したのでした。
テクニック的には、まず難しいのは色み。本来、水にはそれ自体の色が無いので深さや季節によって微妙に変えています。
これは番外の、ステンレスによる象徴的表現。
飛雲閣の滄浪池。豊臣大坂城の水面。
シリコンを流す底面への着色と、シリコン自体への着色の2つがありますので、そのバランスの配分は勘でつかむしかありません。しかし、単に色をつけただけでは表現できない、立体的な色彩を出すことができます。
もし、よりリアルな情景を目指すならば、まかり間違ってもプールのような色にはしてはいけません(笑)。水の色は青や水色、グリーンだという思い込みを一度捨てなければなりません。しかし、リオのプールが突然緑になって話題になりましたが、この写真は水の表現における水の色についてとても深い示唆を与えてくれました。なるほどね!
それと波紋を入れるタイミング。もう少しで固まってしまう、という頃合いを見計らって波紋を入れて行きます。固まりすぎたらきれいな波紋にならず、柔らかすぎてもすぐ水平面に戻ってしまうので、これもタイミングは勘でつかむしかありません。
後は本物の水面をたくさん見ること。
シリコンにも弱点があるので、より完成度を上げていくためにも今後は透明レジンのみによる水面へ移行していくつもりにしています。また一から試行錯誤です。
最後に本当に涼しい水面を何枚か。九州の湧き水及び滝です。