国宝期名古屋城天守模型④完成 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

空襲で焼失する前の、木造時代の名古屋城天守の模型です。
完成の域に達しました。
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製作です。

内部に箱組みを作りました。
大きさは図面をもとに、実際の身舎と同じ寸法にしましたので、反対側の窓が見えても、本物と同じ見え方ということになります。
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色も黒ではなく茶系にして、木造感を高めてみました。不思議なもので、真っ黒に塗るよりも、窓の中の闇が柔らかくなります。

石垣の塗装です。
下地の上にかすれさせながら色をのせていきます。
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個別塗り分けをします。
名古屋城の石垣は特にカラフルなので、色々な質感の石を入れていきました。
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埋まった溝を面相筆で描き起こします。
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全体を落ち着かせてなじませました。重厚感を出したいので、実際より少し濃い目の色調に仕上げました。
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彫り直しをせずとも、塗装次第で石垣の雰囲気を出すことができます。キットの良さを塗装で引き出すことができれば嬉しいですね。

細部にちょっとだけ手を入れます。
橋台の控え柱に屋根をつけ、大天守の入り口をプラ板でつくりました。
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小天守の入り口も同じく。
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建物をのせてみたところ。
軒先に濃い目の色を入れて、軒のラインを引き締めました。
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屋根の最終塗装。年季の入った銅瓦を表現してみました。
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雨樋の製作。
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名古屋城の特徴の一つがこの銅製の雨樋。名古屋城大天守は破風の数が異様に多く、22もの破風面があります。しかも超巨大天守ですので、雨が降ると雨水が谷に集まって、文字通り滝のように下層の屋根に流れ落ちることになります。そこで宝暦の修理の際にこの雨樋が取り付けられました。
現在の名古屋城大天守の雨樋↓
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昭和実測図を見ながら取り付けていきます。
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ケースに入れて完成。
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写真じゃ伝わらないのですが、思っていた以上の重量感が出ました。童友社の名古屋城は、造形がとてもよくできています。
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名古屋城といえば金の鯱。焼失前の金鯱は、文政10年に、財政難から金の質を落として鯱を作り直したもので、輝きが鈍くなったといわれます。これを隠すために鳥から鯱を守るという口実で金網をつけた、という歴史があります。
焼失前まで、金鯱は金網に覆われていました。
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さすがに金網は再現できませんでしたが、金の色を現在のものより少し鈍くして、当時の雰囲気を出してみました。
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戦後再建の現在の金鯱は、銅の下地に18金の金板を貼ったもので、88キロの金(純金量66キロ)を使ったそうです。
ちなみに、創建時の金鯱にはなんと220キロの純金が使用されていたといいます。

細部の調整を行い、明日は自然光で撮影してみます。
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