名古屋城 国宝期天守模型① と名古屋城模型の怪現象 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

ご注文を頂いた名古屋城の天守模型の製作に入ります。

現在の鉄筋コンクリート再建天守と、焼失前の国宝木造天守のどちらにしましょうか、とお聞きして、国宝期をご希望です。

何が違うかというと、もちろん材質もちがいますが、軒の反りなど細かい部分はあれど、一番目立つのは最上階の窓です。

現在
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焼失前
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窓の形が違いますね。戦後再建の天守は、最上階が観光用の展望台となってしまったので、窓にある土戸を全部取っ払って、広いガラス窓にしてしまったのです。

童友社のスタンダードシリーズの名古屋城を使用します。

今日はまず、仮組みと荒下塗りをして、工程計画を立てました。

まずは白壁と軒裏の垂木部分をエアブラシで塗装しました。薄い皮膜で4度塗りです。あくまで下塗りです。
童友社のキットは戦後再建の天守の姿になっています。
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プラ板で窓に土戸を取り付けていきます。
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裏から見たところ。窓の高さに合わせてはめ込んでいます。壁パーツの厚みがあるので、裏から貼ってしまうと、陰影が全く違ってしまうからです。ピッタリに加工するのが案外難しい。
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焼失前の最上階になりました。
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ご覧の通り、名古屋城は窓が多く、キットのままだと反対側が透け透けです。すべての窓に格子を表現することにしました。

とりあえず銅瓦の部分と土瓦の部分の下塗りをしました。(最上階の窓は細かい作業で半分しか終わっていないので、この写真ではまだ手付かずの面が出ています)
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今回は、塗装で国宝木造時代の重量感と質感を出す!という、ちょっとハードルの高い目標を設定してみます。

そういえば、以前、フジミのブロンズシリーズの名古屋城を作りかけていました。今そのまま置いているのには訳があって、天然緑青なので、月日が経ったらどのような変化をしていくのか、一年くらい様子を見てみようと思っているからです。錆止めをせずに置いています。そうしたら不思議な現象が…

このところ毎日の雨で、今年は特に雨が多かった印象です。当然湿気もすごくて、過ごしにくい毎日でした。
そんな中、ブロンズの名古屋城を見てみると…



お分かりでしょうか、ビッショリ濡れています。
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軒先から滴って、石垣をつたい、堀に水たまりが出来るほどです。カラッと晴れた日にはまた鮮やかな緑青に戻るのですが、湿気がひどいと水をかけたようになってしまいます。緑青が水分を集めるのでしょうか。

化学は大の苦手なので、原理がよくわかりません。

最早、心霊現象「泣き名古屋城」、もしくはアトリエの湿気取り装置となっています。

天然成分というのは生き物だな、と思いました。こりゃ人様に納めるにはちょっと暴れすぎかもしれませんね。