昭和大阪城の天守です。
金具の下地を黒にしていました。そこに金を入れていきます。
破風板が平坦なので、陰影を描き込んで、だまし絵の要領で立体感を出しました。
全く無塗装のものとの比較です。
全ての破風を塗装してはめ込みました。
現在の大阪城は真っ白な壁に黒、金の金具が映える、美しい姿です。
この姿が蘇ったのが1995年〜97年にかけて行われた平成の大改修の時です。
それまではこのように黒も金も色あせ、白壁は排気ガスで灰色になっていました。
このイメージが子供の記憶に焼き付いていますので、改修後、色彩が蘇った時の感動は忘れられません。
童友社のキットは、実物の大阪城よりスマートに設計されています。実際には上の写真のように、もっと肩幅が広く、ずんぐり、どっしりしています。スタンダード松本城のキットも、実際より石垣が高くされていたり、キット設計の段階で、アレンジが加えられているのです。
惜しむらくは各層の隅棟がまっすぐで、軒の隅が下がって見えてしまうことです。
隅棟は屋根の形、ひいては全体のシルエットに直結しますので、隅棟を屋根の反りに合わせて削り、鳥衾を取り付けて屋根の隅が反って見えるように調整しました。
Before
After
全体のシルエットの印象が変わりました。
石垣の塗装です。
この度はキットの良さを引き出すことも一つの目標なので、石垣の彫り直しはしません。そのかわり、丁寧な塗装を加えます。
研ぎ出しではなく、石垣のモールド凸面を利用する方法です。下地の暗い色の上から、石の明るい色を含ませた筆で軽く撫でていくと、溝を残して石だけに色がのります。何色か重ねて、個別塗り分けもします。
溝が潰れる部分が出てきますので、面相筆で全ての溝を描きおこしていきます。
このようになりました。
最後に薄めたエナメルで色調を整えました。