大阪城天守閣③破風・石垣の塗装、シルエット調整 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

昭和大阪城の天守です。

金具の下地を黒にしていました。そこに金を入れていきます。
破風板が平坦なので、陰影を描き込んで、だまし絵の要領で立体感を出しました。
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全く無塗装のものとの比較です。
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全ての破風を塗装してはめ込みました。
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現在の大阪城は真っ白な壁に黒、金の金具が映える、美しい姿です。
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この姿が蘇ったのが1995年〜97年にかけて行われた平成の大改修の時です。
それまではこのように黒も金も色あせ、白壁は排気ガスで灰色になっていました。
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このイメージが子供の記憶に焼き付いていますので、改修後、色彩が蘇った時の感動は忘れられません。

童友社のキットは、実物の大阪城よりスマートに設計されています。実際には上の写真のように、もっと肩幅が広く、ずんぐり、どっしりしています。スタンダード松本城のキットも、実際より石垣が高くされていたり、キット設計の段階で、アレンジが加えられているのです。

惜しむらくは各層の隅棟がまっすぐで、軒の隅が下がって見えてしまうことです。
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隅棟は屋根の形、ひいては全体のシルエットに直結しますので、隅棟を屋根の反りに合わせて削り、鳥衾を取り付けて屋根の隅が反って見えるように調整しました。

Before
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After
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全体のシルエットの印象が変わりました。
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石垣の塗装です。
この度はキットの良さを引き出すことも一つの目標なので、石垣の彫り直しはしません。そのかわり、丁寧な塗装を加えます。

研ぎ出しではなく、石垣のモールド凸面を利用する方法です。下地の暗い色の上から、石の明るい色を含ませた筆で軽く撫でていくと、溝を残して石だけに色がのります。何色か重ねて、個別塗り分けもします。
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溝が潰れる部分が出てきますので、面相筆で全ての溝を描きおこしていきます。
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このようになりました。
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最後に薄めたエナメルで色調を整えました。
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最上階を塗装して
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これから細部修正を加え、次回は完成までいきます。