童友社のスタンダード大阪城に少しディテールアップしています。ほとんどストレート組み。
雨水で腐食していきますので、水の流れを考えて色味を加えました。
実際には、平成の大改修に際して銅板が2割ほど張り替えられていて、軒下の部分はまだ腐食が進んでいない黒い銅板のままです。今回はそこまでは再現していません。
小天守台の塗装。
小天守台は全面石畳です。あまり彫り込んでも不自然になるので、ケガキペンで簡単にアタリをつけたあと、陰影を描きこみました。
完成した小天守台。
ケースの空間の大きさとのバランスがいつも難しいです。ケースは毎回模型のサイズに合わせて特注しています。バランスは直感で決めています。
このような建物の単体のものは、ジオラマより難しい面があります。ジオラマにすると樹木があったり、それだけでなんとなく情景が出てくれます。ところが、建物だけとなると、それ自体でもとの建物の空気感を纏わせなければなりません。なかなか上手くいかないのであまりアピールしませんが、その辺りをかなり意識しています。ですので、陽明門をお納めした方から「空気感まで再現されていて驚きました」とのお言葉を頂いた時は嬉しかったです。今回はうまくいっているでしょうか…
童友社の大阪城はなんだかひょろ長く見えてあまり好きではなかったのですが、予想外に雰囲気を再現したキットであることがわかりました。
ジオラマというだけで、目新しさもあり、そちらに目がいきがちですが、このような単体模型もインテリアという面ではスマートなものです。その分プラモデル感が出てしまうと残念なことになるので難しい面があります。
今まで作ったフジミの単体シリーズのほとんどをお一人の方がコレクションくださっていて、その経験からたくさん学ばせていただきました。長い鑑賞に堪えうるもの、もっと言えば時間が経つほどに価値が上がるようなものを作るのが夢です。
大阪城に大きな思い入れのある方からのご依頼でした。私を信頼してくださって全てお任せしますとおっしゃって下さいましたが、実物の大阪城に近づけつつ、私というフィルターを通したものにしていますからご満足いただけるか、これはお手元に届くまで分かりません。
私も大好きな建物ですので、没頭しつつ楽しんでつくることができました。