幻のキットをつくる【銅被膜名古屋城】 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

また寄り道します。

去年の記事で触れましたが、私の中で幻のキットとして探していた、銅被膜特殊加工が施された名古屋城をつくります。

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ヤフオクで手に入れたものですが、フジミの建築モデルシリーズに、一時期「銅被膜特殊加工」を施したバージョンが「ブロンズシリーズ」として販売されていたそうです。石屋模型店さんの記事(プラモ考古学→「ブロンズシリーズ」の項目参照)で知ったのですが、屋根に銅メッキのような加工がされているのです。実際の屋根の材質に関わらず、一様に加工がされたようで、ヤフオクでもたまに石山寺多宝塔などは出ているのを見たことがありましたが、名古屋城は見たことがありませんでした。検索にかけても存在が確認できず、完全に幻のキット認定をしていました。
銅被膜加工がされているため、薬品で処理をすると、本物の緑青を吹くのです。名古屋城の銅瓦の色合いはとても難しいものがあるのですが、本物の緑青が出るとなれば、まさに実物の色を出すことができます。

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これが銅被膜加工された屋根のパーツ。
三層目の屋根に破損がありました。欠け面を見てみるとメッキが回り込んでおり、はじめから不良品だったようです。おいおい。今回は瓦屋根の部分は通常のキットを使うつもりなので、一層目の屋根パーツを使って、まず補修しました。
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付属のワイヤーブラシで磨くと、銅の輝きが出ます。
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緑青を出す加工の仕方は別紙の説明書が付属します。
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発売元はフジミではなく静岡ホビー株式会社となっています。フジミの関連会社でしょうか。1979年の商品。約40年前のキットです。

説明書の通りに、トイレの洗剤サンポールを筆で塗り、6時間後に塩水を筆で塗りました。
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見事な緑青が…!
ただ、塗る塩水が、説明書の濃度だと塩100グラムに水50ccなので、ほとんど塩を擦り込んでいるような状態で、表面に結晶が残ります。表面に高低があるので、腐食も均一にいっていません。
方策を考えましょう。

しかしこの色合いには感動しました。本物の緑青なので当然ですが。
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フジミのこのキット、検索しても作例写真すら出てきません。世の中にどれくらい眠っているのでしょうか。

今回は多聞櫓のある明治期の古写真をもとに製作します。
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仕事の都合上、しばらく更新できません。その間に腐食も落ち着くでしょう。