フジミ1/100金閣 塗装ガイド | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

前回、このフジミの1/100金閣のキットの造形の素晴らしさについて書きましたが、その造形を生かすために、塗装をちょっと細かくしてやると、ぐんと完成度が上がります。

塗装のポイントについて、書いてみますので、製作に挑戦される方の参考になればと思います。

まず本物との比較。
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以前、日本の建物の美しさの大きな要素として軒のラインの大切さを書きました。金閣の場合、ご覧の通り、こけら葺の軒に黒いラインが見えるのが分かるかと思います。(その上、軒先の金のラインは雨樋なので無視です。)

これは拡大しますとこのようになっています。
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こけら葺の軒付(のきづけ)部分が二重になった、二重軒付です。
瑠璃光寺五重塔。こちらも軒付が二重になっています。
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最近古建築ばかりで城の話題から離れているので久々に出しますと、現在復元中の名古屋城本丸御殿も二重軒付だそうで、公開されている工事のレポートに写真付きで掲載されています(こちら※pdfファイルです)。このレポートは細部にわたる写真や説明がとても勉強になります。レポートの一覧はこちら

さておき、金閣は二重軒付の下の段が黒く見えるので、そのように着色し、上の段の軒付は茶色勝ちに塗りました。
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どこまでが金箔押しで、どこから木部なのか、きちんと把握するだけで完成度が上がります。
二層目と三層目は裏甲までが金箔押しのようです。
このキットは、裏甲までの軒裏と、軒付からの屋根の部分が別パーツになっており、とてもシャープな軒のラインが再現可能です。


次に、二層目と三層目の縁側は黒漆塗りになっているそうです。
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光沢のある鏡面仕上げなので、ツヤありのブラックを塗って再現します。
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これは製作途中の画像で仮組なので隙間があります。
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一階と二階、金箔部分と木部の境目は出高欄の地覆(じふく)から。キットは一段モールドが多いようですが、高欄のパーツから金であっていると思います。
それと忘れがちなのが一階、部材の木口を塗った胡粉の白塗装。
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これは日本の古建築のお約束の一つでもありますし、木口を丁寧に白く塗ると、雰囲気がぐんと出ます。
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木部はいつものようにタミヤの水性アクリル塗料の重ね塗りで表現しています。雨に晒される落縁から広縁の外側部分は少し色を変えています。
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金の部分は、今回はこのスプレーを使ってみました。結構重厚な輝きが出てくれましたが、金の塗装は他にもいろいろ試せるので、これからも研究していきます。
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あと、こけら葺の色ですが、これは日によって見え方が違いますし、いつも難しいと思う塗装です。意外かもしれませんが、茶色ベースではなく、グレーベースで色を作ると結構それらしくなります。
いつも私はフラットホワイト→フラットブラック→茶系の塗料、の順番で混色して色をつくります。
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それと汚し塗装ですが、できるだけドライブラシなどはやらない方がきれいにできます。汚し塗装をすると、なんだか「特別な塗装をした!」ような気になるのですが、「汚し」塗装なので、汚くなります。城や古建築には過度の汚し塗装は禁物です。作品の世界観によって程度を調整するようにしています。


フジミの1/100金閣、名作です。ぜひ皆さんも挑戦してみてください!

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