飛雲閣【完全自作品】(12)庭と黄鶴台 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

庭の製作に入っています。
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飛雲閣の周りの池は、底が見える浅さなので、底の地面も完全に作って、本物と同じくらいの透明度のシリコンを流し込もうという魂胆です。
池浚いしているみたい。

飛雲閣を含む庭園は「滴翠園」と名付けられています。製作の資料は、以前ご紹介した西澤文隆氏の実測図です。
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西澤文隆氏は、1986年に亡くなられた建築家です。西澤氏は、日本の庭園は建築と不可分のものにも関わらず、その両方を一体に表現した図面が無いということで、個人で実測をし、図面にされた方です。生前、膨大な量の実測図を書いているらしいという噂があったものの、その全貌を見た人はほとんどなく、「幻の実測図」と呼ばれていたそうです。西澤氏の死後、建築資料研究社より『建築と庭 西澤文隆「実測図」集』として出版されました。

わさわざ「実測図」とカッコ書きしてありますが、氏は実測図といいながら間違いだらけの実測図ばかりという状況を嘆いておられたそうで、実測ということに特に強いこだわりを持ちながら引かれた図面は貴重なものです。

同書よりいくつかご紹介しましょう。
厳島神社。
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金閣と銀閣。日本の庭園の人工的な池の底はご覧の通り、ほぼ平らです。
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醍醐寺三宝院。
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他にも膨大な量の図面が収録されています。
作りたくなるものばかり…

さて、先ほどの図面を拡大し、岸をつくりました。
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ベースのサイズは約40センチ×30センチ。A3くらいの大きさです。50センチに及ぶジオラマは飾るのに場所を取りますので、私はどんなに大きくてもA3前後までと決めています。

実測図や写真をもとに岸の造形。今回は本物の石はあまり使わず、断熱材を彫刻して表面はモデリングペーストで造形して石にします。
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船入の階段をプラ棒とプラ板で製作。モールドは0.3mmの仕事ができるというヒートペンで彫刻後、黒を塗って研ぎ出しました。まだ石の色には塗装していません。実際の飛雲閣の石垣は目地に漆喰が入っていますので、このような見え方ではありませんが…
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取り付けたところ。
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飛雲閣の船入は建築様式から言うと「中門」部分にあたります。飛雲閣正面の橋は後世のもので、他に出入り口は見当たらないので、この船入が正式な玄関口になります。

引き続き黄鶴台の製作に入っています。
お風呂場です。
資料はこの平面図と
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ネットに落ちている写真の端にちらっと写っているものだけ。
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嫌な予感がする。後ろ半分は段差がないとこの屋根の形にはならない。階段もあるし…しかも裏側の写真は皆無。
推定しておおまかな形を作りました。
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あとでgoogleの航空写真を見たところ、この構成で合っているようです。

断熱材を彫った石にモデリングペーストで表面処理した後、プラスターにバラストやリアルサンドを混ぜたもので池底の地面を作りました。
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「庭屋一如(ていおくいちにょ)」なんて言葉もありますが、庭がつくと世界が変わりました。
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