肥前名護屋城⑧石垣に入りました | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

普請を続けております。

石垣の彫刻に少しずつ入っています。
階段など、細かい所を作ってから石垣下地を作る場所など、まだ芯材のスタイロフォームが露出している所もありますが、飽きっぽいので進める所は進めています。

これから延々と石の彫り込みが始まるかと思うと…

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左から下地→彫刻中→スミ入れ→塗装となっています。石垣下部の樹木で隠れる部分は下地のまま残しています。

名護屋城はたった6ヶ月で普請から作事まで完了した、超短期築造の城ですが、城郭史を画する石垣が出現しています。それは「矢」と呼ばれるクサビを打ち込んで割った石を統一的に使った石垣が突如として出現したことです。(『天下人の城』千田嘉博編著)
矢を用いた割石の断面は平らになり、その割面を全て表に向けて石垣を築きあげることで、平らな壁のような石垣が誕生します。(ただし、ほぼ立方体の、いわゆる「切石」はまだ出現していないので、積み方は「谷積み」や「谷落とし積み」になる。)
他にも鏡石の使用など、「見せる城」が意識され、技術をこれでもかと強調した石垣が随所に見られます。
前掲書で「やり過ぎ的美観」と指摘された山里口の石垣↓
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名護屋城の石垣は各所に特徴がありますので、また項を改めますが、今回、石垣は実際の積み方を参考に彫って行こうと思っています。

とりあえず一部分のみ彫刻が終わりました。
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石垣の彫刻ですが、ピンバイスに虫ピンの頭を取ったものを差し込んで使っています。
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そして、肝心の石の描き方ですが、こうしてしまったらリアルにならないので、自分に戒めている例がこの2つ。
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左は石の2辺を省略したウロコ石垣。右は石の四隅が揃っているもの。
この2つはやらないようにしています。特にウロコ石垣は、疲れてくるとやってしまうのです。
石は必ず全ての石、周囲をぐるりと彫ります。

当然積み方によって描き方は変えますが、まず大きめの石を描いて
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それから間を埋めるように小さな石を描くと結構それらしくなります。
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あとは実際の石積みを線描でスケッチするのも大事なトレーニングです。
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遊撃丸は、隅櫓の寸法がまだ未定なので、曲輪内の地表が作れずにいます。
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今回は見上げる城ができそうです。
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