熊本城【古写真版 〜完成】 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

前回の続きです。

宇土櫓の手すりです。
現在の宇土櫓。
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周り縁の手すりの下半分は板張りになっています。
これは明治4年7月以前に撮影された写真でも、同じように認められます。
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しかし、西南戦争直前の写真では
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下半分の板張りが無いように見えます。色も白っぽく見え、修理が行われたのかもしれません。
実際、天守の方も、明治9年頃の写真を見てみますと、
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ご覧のように全ての突き上げ戸が外されており、前回の記事で書きました、落下したけらば瓦(袖瓦)や軒先の漆喰剥落も修理されています。

今回は明治8年以前の写真を元にしていますので、現状と同じ、下半分が板張りの手すりを作りました。
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次に樹木です。樹木は写真が撮影された年代の特定に重要な情報となるそうです。
例えば宇土櫓からの続き櫓背後の高木群。
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この高木の有無によって明治7年までと8年以降が分かるそうです。

あとは天守前の二股の木。
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今回は樹木も大きいので、丁寧に作りました。幹に小枝を付けて造形します。
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        ↓
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井戸屋と御肴部屋櫓脇の開御門も作りました。
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完成です。

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詳細写真は次回。

古写真の撮影年代の特定は富田紘一氏の研究があり、その内容は『古写真に探る熊本城と城下町』(肥後上代文化研究会)にまとめてあり、大変興味深い内容です。記事で使わせてもらった古写真も、同書収録のものです。