「露」は、 周知の通り、 空気中の水蒸気が冷えて、地物の表面
に水滴となって結んだもの。
晴れた風の無い夜に多く、 足元を濡らす「朝露」は、さわやかな
秋の一日を知らせてくれます。
また、 萩などにゆらめく白露には、可憐で美しいものがあります
が、風が吹けば、こぼれ、日が昇れば、やがて消えゆく儚さも。
万葉集には、次のように。
夕月夜心もしのに白露の置くこの庭に蟋蟀鳴くも
(月の出ている夕暮れに、心もうちしおれるように、白露の降り
ているこの庭で、 こおろぎが鳴くことだ)
「命」や「涙」「人生のはかなさ」などの連想を断ち切って、露その
ものを詠んだ点で新しいと言われているのが、次の歌。
白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける
文屋朝康(百人一首)
「露」そのものは、秋の季語ですが、一日のうちで、「暁露」「朝露」
「夕露」「夜露」と様々な姿を見せるとともに、時季についても、「露
涼し」(夏)から、「露寒」や「露時雨」「露霜」(晩秋)などと広範囲。
さらには、「露けし」「露の世」など多くの傍題がありますので、多彩
な詠み方が出来そうです。
俳句で「露」と言えば、次の2句。
芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏
金剛の露ひとつぶや石の上 川端茅舎
これらの俳句は、格調の高さからも古典作品に劣るものではないと
言う人も。
[今日の一句]
・もの乞ひの列えんえんと露の朝
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