
(画像:ウィキペディアより)
・初芝居花かんざしの揺れてをり
俳句と短歌の、もっとも異なっている点は、短歌が七七で、思い
の丈を述べるのに対して、俳句は思いの丈を物に託して、直接
述べないということ。
初心のころは、俳句は17音で、短歌よりも14文字も少ないから、
言いたいことが言えないのではないかと思われました。
しかしながら、次第に、俳句の醍醐味は物に託した思いが相手
に伝わったときにあると分かってきました。
初心のころに作ったのが、次の句。
・四年振り胃カメラにがし春炬燵
↓
・胃カメラは四年振りなり春炬燵
「にがし」とストレートに気持を述べていますが、この場合、「にがし」
とまで言うことはありません。
「にがし」に限らず、「嬉しい」「悲しい」「寂しい」などと感情を露に
せず、そうした措辞を使わずに、事実を述べて、言いたい気持を託
します。
どういう思いであったかは、鑑賞者の想像に委ねます。
「美しい」という措辞を使用している先達もおられますが、そう言って
しまえば、それまでのような気がします。
なんとか、使用しないで「美しさ」が出せればと思われます。
松尾芭蕉は、次のように述べています。
「言ひおほせて何かある」
言い尽くしてしまったら、あとなにがあるというのか、なにもないで
はないか、の意です。