
・霜柱足音あまた聞こえきて
俳句は、まず対象をじっくりと観察することから、始まると言われ
ています。
高浜虚子は、観察し始めたら、その場所から1時間は動かなかっ
たとか。
5年ほど前に、霜柱に興味を覚え、観察したことがあります。
すると、霜柱は立ち上がると、「1」の字の塊でできているような気
が。
さらに、「霜柱」という字も「1」の組み合わせで構成されているよう
です。そんなことを考えながら、作句した原句が次の句。
・霜柱一といふ文字重ねをり
しかしながら、「それがどうした」と言われそうな句です。
初めのうちは、霜柱を視覚でとらえていましたが、推敲の段階で、
聴覚でとらえたらどうなるだろうかと考えてみました。
すると、実際に聞こえてきたわけではありませんが、霜柱を踏む、
あのザクザクという音が、耳の中に。
そこで、つぎの句が。
・聞こえくる足音あまた霜柱
たくさんの足音は、なんの足音なのかは省略して、鑑賞者の想像
にゆだねることに。
これでもよいのですが、なんとなくリズムがよくありません。
さらに推敲を重ねた結果、季語を上五にすえて、掲句が。
・霜柱足音あまた聞こえきて
下五を「聞こえきて」とすることで、句は、再び上五へと戻ってい
くことになります。