平成5年鹿児島で鍼灸院を開業して以来、縁あって福岡市・北九州市で訪問スタイルの仕事をするようになり、お陰様で10年を越えました。
ありがとうございます。
鹿児島・福岡時代の「治療院」を構えるスタイルと、北九州市での「訪問治療」スタイルで出会う患者さんの違いは、『ひとりでは歩行外出できない』ことという
医療保険適用の訪問治療の条件 にあります。
訪問マッサージの需要が一番多く、全体の半数以上を占めるケースは
『脳血管障害後遺症』の患者さんです。
さらに脊椎、腰、膝関節などの骨・筋の変性による疾患。
糖尿病などからの心臓病や腎臓病など血管循環障害などからの疾患などが続きます。
認知症により、お一人で外出できない施設入居者の方もおられます。
多くの出会いを与えてくださった関係者の皆さまや、信頼して治療を受けて下さる患者さんには本当に感謝しています。
この15年余りで経験させていただいた、
寝たきりの神経難病・ターミナルケアの患者さん症例は以下の通りです。
筋萎縮性側索硬化症(AlS) 5件
肢帯型筋ジストロフィー・筋緊張型筋ジストロフィー 5件
脊髄性進行性筋萎縮症 2件
慢性炎症性脱髄性多発神経炎 1件
HTLV-1関連脊髄症 1件
末期癌ターミナルケア 6件
その他にも脳性麻痺、
脊髄性小児麻痺(ポリオ)後遺症・ポストポリオ症候群 6件
パーキンソン病 20件以上
筋萎縮性側索硬化症(AlS)の患者さんの治療 〜具体例〜
その中でも10年余り引き続き治療を担当させていただいている、神経難病(ALS)の患者さんがいらっしゃいます。
映画『こんな夜更けにバナナかよ』をご覧になりましたか?
寝たきりの神経難病の患者さんの思いや身体状況など、あの映画でもいろいろなことを学ばせて貰いました。
私が担当する患者さんの場合、全身の筋力が低下し、ご自分で身体を動かすことはほとんどできないため、その時々に訴えてこられる身体状況は変わります。
発語の力が弱まり、言葉がなかなか聞き取れないので、あの手この手で、そのメッセージを受け取ることから治療は始まります。
例えば、左太腿にある骨折部位や右お尻の付け根の痛みを訴えられた場合。
まず両足を抱え、骨盤の大きな骨のねじれや角度の左右差を見ながらゆっくり揺り動かします。股関節、ひざ関節の方向や脚長差も揺らしながら調整します。
次は丸い太腿周回の皮膚の緊張と弛みのバランスを診ながら、血流リンパ、神経伝達を阻害しないよう筋肉と関節を可能な限り正しい向きに整えます。
毎回訴えを把握したら、まずは服のシワを伸ばし、着衣のねじれを直すことから始まり、上記のように身体のバランス調整をした後、シーツのシワ、服装のシワやねじれ、パジャマの着姿に歪みのないように着衣を最後に整えて、その日の治療を終わります。
患者さんの言葉がわからないことも多々あります。
10年前は5割くらいの発語が理解できる状態でしたから会話が出来ました。
今はほとんど会話はできませんが、気分が良い時の患者さんは饒舌です。私もわからないなりに話に聞き耳を立て、時として聞き取れた単語を復唱し、ふたりで盛り上がります。
難病治療にも希望! 医療は遺伝子治療の領域へ
慶應義塾大学医学部生理学教室(岡野栄之教授)では、2016年にヒトiPS細胞を用いたヒト脊髄運動ニューロンの作製および革新的な治療薬探索の実験手法を開発。
ALS病態の改善を狙ったドラッグスクリーニングを実施しその結果、脳内移行性や副作用を含む安全性などを考慮した上で、ロピニロール塩酸塩を最適なALS治療候補薬として同定した。今回の実験で、家族性ALSの患者さん(一部の遺伝子異常を除く)のみならず、ALSの大多数を占める孤発性ALS患者さんのうち約70%にも効果がある可能性が示された。,,,, と報告があります。
つまり遺伝子治療により、様々な神経難病の改善に向けた、一筋の光が見えてきているのです。
もう一度以前のように私も患者さんと会話したいです。
患者さんといっしょに、その希望とともに笑顔で頑張りたいですね。

