少ない羽数で、物語の感じられる作品を目指して折ってきました。
インサイドアウトの作品では、今まで私が折ったうちの最高傑作です。
形を『秘伝千羽鶴折形』の作品で説明すると、インサイドアウトの「村雲」ふたつが、小鶴は羽先、大鶴は「野干平」の形でつながっています。
裁ち方は池田総一郎氏の「鞍掛」がもとになりました。
先例が無く、オリジナルということになるなら、「早瀬」と名付けたいです。
瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ
崇徳院(77番)『詞花集』恋・228
初恋という意識も持たなかった、幼なじみと呼べるほどの付き合いもなかった二人が、それぞれの子どものつながりで再会する。
早すぎた出逢いと別れ
それでもつながっていた縁(えにし)
あるいは、子ども同士のためにこそあった出逢い、すれ違いだったのか・・・
そんな物語はどうでしょうか?
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この作品は、座布団折りで鶴を折った用紙を再利用しています。
折り目がかなり強くついてるのと、左上の角が少し傷んでますが、まあ大丈夫です。
この作品ができたのは、先に友人が、池田総一郎氏の「鞍掛」の大鶴を「妹背山」で折ったのがきっかけです。
これまでインサイドアウトにしても、色が表裏の2色になるだけで、完成形の形が変わることはありませんでした。
ところが今回、妹背山をインサイドアウトにしようとしたことで、全体の形も大きく変化しました。
裁ち方は、池田総一郎氏の「鞍掛」をもとに、ついている折目を活かすように変えています。
カッターナイフでは巧く切れず、鋏で切っていると少しズレてしまいました。
画像を拡大しても分からないかもしれません。
次の画像でもその辺りの体裁を繕うようなことはしていませんが、仕損じた部分は内側に折り込んでしまうので、これでも大丈夫です。
小鶴は座布団折りの状態から鶴に折ります。
接結部は5mmと普段より長めで、補強のテープは使わないでいます。
小鶴同士は羽先で捻じった形でつながるので、テープを貼ると見えてしまいます。
大鶴の折り目を鶴の基本形になるまでつけています。
インサイドアウトで、折り目の山谷は左右で逆になります。
小鶴の折り目も、鶴の基本形になるまでつけています。
先に大鶴の方を折っておきます。
尾を折り上げるのは、小鶴を折ってからにします。
大鶴の尾の先が小鶴の中に入るよう、一羽ずつ小鶴を折ります。
小鶴同士の羽先は捻じれた状態でつながっていて、大鶴の尾を折り上げるこれからが少し難しいところです。
小鶴の羽を開きつつ、接結部で千切れないように気を付けながら、2羽の大鶴の尾を折り上げて、全体の形を整えていきます。