ギレルモ・デル・トロ監督のSF超大作
また映画のご紹介になりますが、今回は2013年公開の「パシフィック・リム」。
有名なので、ご存じの方も多いかと思います。
まだ幼かった芦田愛菜ちゃんも出演しています(監督、大絶賛の演技だったようです。確かに!)。
メチャクチャ大好きな映画なんですが、今回とりあげましたのもこちら、インナーチャイルドとの関係もバッチリあるからです。
ご覧になった方は、あのテーマ曲が頭の中を駆け巡るのではないでしょうか。
イドリス・エルバ、チャーリー・ハナムが出演しており、続編の「アップライジング」(スティーヴン・S・デナイト監督)よりこちらの方が断然、推しでございます。
怪獣とイェーガーと家族愛
あらすじは、こちらです(簡潔なので、映画.COMより引用させていただきました)。
パイロットと神経を接続して動く2人乗りの巨大ロボット、それがイェーガーです。
⬇️ちなみに、こちらはジプシー・デンジャーです。ウチにあるフィギュアです。
これを操縦するにあたり、イェーガーの右脳・左脳としての2人のパイロットが必要となります。
ひとりで搭乗するには、パイロットの脳への負担が大きすぎるからです。
搭乗するパイロット同士が脳神経を結合させること、これを「ドリフト」と言いますが、これには身体的な適合性が必要となるので、ペアとしては兄弟や親子、夫婦という関係が望ましいようです(他のイェーガーもそうしたペアです)。
旧型イェーガーであるジプシー・デンジャーを操縦するローリー・ベケット(チャーリー・ハナム)と、兄のヤンシー・ベケット(ディエゴ・クラテンホフ)。
彼ら「ベケット兄弟」は兵士としても戦闘能力が高く、イェーガーに搭乗しては次々と怪獣たちを倒しては戦果を挙げ、大活躍していました。
しかしある日、怪獣・ナイフヘッドを迎撃した際にヤンシーは戦死します(このシーンは結構、ショックです)。
ジプシー・デンジャーも、この時の戦闘で機体が大破します。
兄の死のショックと脳への負担を耐え、たった一人で、ボロボロになったイエーガーを操縦してなんとか生還したローリー。
兄を失い、ジプシーも大破し、失意の中行方をくらましたローリーはその後、何年も世界各地の「命の壁」と言われる怪獣防護壁をつくる仕事に携わりながら、糊口をしのいでいました。
世界では日に日に怪獣たちの出現頻度が増し、人類はもはや、滅亡の危機に瀕していました。
そんな中、ようやくローリーの居所を突き止めた司令官ペントコスト(イドリス・エルバ)は軍用ヘリを飛ばして「命の壁」の現場に向かい、彼にイエーガーへの再搭乗を命じます。
「オレはもう、頭の中に誰かを入れるつもりはありません。すみませんね」と言って、ローリーはパイロットへの復帰を拒みますが、司令官のペントコストに「君はどこで死にたい?ここか?それともイエーガーの中か?」と言われ、彼は自分の使命を全うする道を選びます。
SFだけどインチャ癒し
かつてペントコストが戦闘の際に、東京で助けた少女、森マコ(菊池凛子)。
今や大人となった彼女は「家族の仇を打ちたい」とパイロットとしてイエーガーへの搭乗を切望していますが、養父であり上官であるペントコストからは、その許しが出ない状況でした。
なぜなら、彼女の過去のトラウマが癒えていないからです。
しかし、彼女の戦闘能力の高さと実力を認めたローリーは「彼女と組みたい」とペンとコストに進言します。
完全に修復されたジプシー・デンジャーでの操縦テストは、ローリーとマコのペアで実験的に行われました。
しかし、ここで「過去の記憶を追う」という事態が起こり、マコは過去の自分のトラウマを身体化させてしまいます。
マコと神経が結合し、一体化していたことからジプシーが、基地全体を破壊しかねない事態を引き起こしてしまうんですね。
最初、ジプシーを操縦する際、ローリーはマコに「ウサギを追うな」という言い方をしました。
ウサギとは「記憶」のことです。
イエーガーとの神経結合だけでなく、パイロット同士の記憶が入り交じって、互いの脳神経と精神が深く結合することを「ドリフト」と言いますが、これによってマコのトラウマをローリーも深く感じ、体感することになります。
真冬の東京で、怪獣に襲われ家族を失った幼いマコ(芦田愛菜)がたった一人、ビルの間を必死に逃げ惑うシーンが出てきますがこれは、大人となったマコの心象風景です。
まさに、「傷ついたままの未解決な感情」です。
大人になった今もまだ、マコはずっと、そこにいたということです。
パイロットスーツ姿のローリーが、隠れながら泣いているマコに、優しく語りかけます。
「マコ、これは何一つ本当じゃない。これは過去の記憶なんだ」と。
このシーンこそが、「インナーチャイルド癒しだな」と思うわけです(ようやく本題です)。
ここではローリーがマコに語りかけ、彼女をいたわりますが、インナーチャイルド癒しも同じようにして、「イメージ療法」をします。
「イメージで過去を書き換える」ということでは、この「ローリーとマコ」の、心象風景のシーンは本当に印象的です。
家族のために
ローリーも兄のヤンシーを不幸な形で亡くしていますから、彼らには「家族を亡くしたトラウマ」という共通点があります。
ドリフトによって記憶を共有している彼らだからこそ、互いをいたわり、信頼し、強くなることができたのだと思います。
SFでありながら家族や仲間への愛やつながり、トラウマやインナーチャイルドについて、かなりいい教材と思います。
ちなみに、怪獣に襲われて荒れ果てた東京の街の描写が「日本と違う」点が多いのも、ハリウッド映画あるあるですね。
「車のナンバープレートが日本のものじゃない」とか、「レンタルビデオ萌&健太」という看板が変だとか、マコを追う怪獣のコードネームが「オニババ」であるとか、ツッコミどころ満載です。
しかし、芦田愛菜ちゃんの迫真の演技に引き込まれますから、その点はまあヨシとしましょうか。
実写版「エヴァ」とも見られます
できたら、吹き替え版で見ることをおススメします。
ちなみに、ローリーの吹き替えは「銀魂」でおなじみの杉田智和さん。
森マコの吹き替えは「綾波レイ」の林原めぐみさん。
イエーガー搭乗シーンでも感じましたが、監督の「エヴァ愛」をヒシヒシと感じる作品でもあります。
このあとの展開は、どうぞ映画でご覧になってみてください。
本当に、最後まで素晴らしいですよ。
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