私のお付き合いしている方々は、
工務店の人たちと、設計事務所の人たちとほぼ半々位じゃないでしょうか?
とうぜん設計事務所は設計のプロ。
では 設計行為にはどんな分野があるかですが、ラフにまとめてみました。
基本設計:間取りやデザイン性の領域。
実施設計:施工店が施工できるような細かな図面の作成
申請行為:役所への許可届出。補助金申請
付帯設計:インテリア・家具コーディネート。庭の設計
性能計算:耐震の構造計算。断熱性、エネルギー計算
表現行為:竣工撮影・模型作成・パース作成
こうしてみると実に幅広い領域ですね。
それはそれとして、
先般、住宅設計で大人気の伊礼智さんと事務所で対談してきました。
伊礼事務所の場合はどうかというと、庭の設計、構造計算などは協力設計事務所に外注したり、竣工撮影もプロのカメラマンにお願いするとのこと。
プロだからプロの専門性を信じる
対談動画も事務所で撮影するにあたって「カメラの三脚を貸してください」とお願いしたら、あることにはあるけれど、何十年も使ってないような簡易なものしか置いてなかったです。
竣工撮影はプロに頼むことにしているし、SNSへの投稿レベルであれば、スマートフォンのカメラで充分です。現実的にはカメラも三脚もなくてもやっていけるわけです。
伊礼事務所クラスともなると、全物件自社で撮れる体制になっているのかと思ったので、ちょっと意外でした。
庭に関しても、荻野造園さんとのパートナーシップが有名ですし、
温熱に関しては、東大の前先生と協業することも複数ありますしね。
それぞれの分野での専門家への敬意を払い、プロの力を束ねるという思想があるように思います。やはり「それぞれのプロにはかなわない。」ということでしょう。
当然ながらそうなれば、自社で全てこなしているよりも、少しずつコストアップにつながってしまう事は仕方ないことです。
工務店はゼネラリスト対応するしかない
しかしながら、工務店の設計の場合は伊礼事務所のようにプロを束ねての完璧主義でやっている余裕は無いように思います。
トータルでそれなりの結果を出して、平均点をかさ上げするようなアプローチの方が大事なのではないのか?
日本の持ち家の平均工事費用は、3500万円ほどとされていますが、工務店の場合は設計料もそこに含んでいるケースがほとんどです。
それぞれの分野を専門家に発注するほどに、予算に余裕がないでしょう。
竣工撮影と編集で合計2時間もあれば可能ですし、
造園計画なども含めて、全棟対応するというルールで進めていけば、なんとかできます。
構造計算。温熱計算もソフト導入してやる気があればできるもの。
すべての分野で一定水準をクリアする。
私たちは当たり前だと思っているのですが、世の中なかなかできていない。
「ボトルネック解消型経営」が、私の考える工務店経営の肝でして、セミナー等で唱えておりますが、苦手分野を作らない。すべての分野で平均点以上を提供するスタンスが、工務店は良いのではないかと思ってます。