新建ハウジングの公開取材
住宅部門での脱炭素のキーマンが集って、
Facebookのライブ配信で、100人程度の視聴者に見守られながら
2時間程度の公開取材が行われました。
この様子は近く、新建ハウジングの誌面にも掲載されます。
https://www.facebook.com/shinkenh/videos/499816421227986
公開取材では、
国交省が、断熱等級の見直し等でパブリックコメントを求めているのに応じて、
どのように参加したらいいのかを中心に話し合いました。
実際始まる前には、パブリックコメントは1つだけだと思っていたが、
テーマごとに4つに分解されて広く国民からの意見を求めている。
基本的には大きく制度がそれにより見直される事は無いでしょうが、
このような国の方向性に対して、直接民主主義とも言えるせっかくのチャンスなので
意見を届けようと思います。
国交省からもコメントに対する返答も原則はしてくださるそうです。
新潟ハウス推進チームと 住学、エコハウス部でも、
有志でパブリックコメントに向けた勉強会を行う話もありますが、
先導的に私のコメントを公開いたします。
背景確認として、
国の断熱性能の方向性:
2025年断熱の義務化がスタートする。
それに伴って長期優良住宅・低炭素住宅といった、
誘導すべき住宅での性能が、現状の最高等級ではUa値0.87と低すぎる問題があるために、
断熱等級を新たに上位に創設し、5地域の場合はUa値0.6を満たすことが要件となる。
さらに鳥取県のNEST基準が取組が高く評価され、
国もさらなる上位等級として等級6・7(HEAT20 G2・G3に相当する性能)の新設も行う方針である。
前研究室のホームページのリンク
http://maelab.arch.t.u-tokyo.ac.jp/decarbonization_news/?fbclid=IwAR0N57N2w86KoYRY1vT2QHF-YiavsumodmWe3LCq7AVYWYceFXCMdzaZtzo
パブリックコメントのテーマ
① 長期優良住宅・低炭素住宅の誘導すべき性能について
② 等級6・7の上位等級(5地域の性能)について
③ 2025年からの断熱の義務化について
④ 既存住宅の性能向上について。
相模のパブリックコメント
① 長期優良住宅・低炭素住宅の誘導すべき性能について
長期優良・低炭素といった国の認定住宅への性能要求の設定変更は、
2025年の断熱の義務化を待たずに実施できるのでは?
ならば2023年から前倒しで実施し、(Ua値0.6)さらに2030年には等級6(Ua値0.46)へと、段階的に上げるとする。平均ZEH性能の達成の進捗度合いによっては、追加政策として2035年には等級6.5(Ua値0.36)を要件とすることを視野に入れてもよい。
脱炭素に向けた、国の性能誘導の近未来の方向性を早期に打ち出すことにより、
住宅産業界の性能の底上げのスピードが格段に上がることが期待できます。
誘導基準を満たすには、ηACも同時に実現させることになりますが、
等級4と等級5の性能が同じであるのは問題と考えます。
温暖地域では全館冷房が増えてきており、冷房負荷を減らすように誘導していかないとなりません。
せっかく上位等級を設定するのであれば、0.1~0.2引き下げた、より厳しい設定とすべきです。
⑤ 既存住宅の性能向上について
2030年には、新築は等級6の断熱性能を過半数で満たす状況へと誘導し、
達成するとなれば、新築向けの補助金をやめ、
2030年からは既存住宅の改修へと全量をシフトする。
団塊の世代からの代替わりとなり、相続などで不要となった中古住宅が大量に供給される。
建物も新耐震基準を満たす建物の比率が増え、既存住宅の改修が本格化する。
このタイミングで、性能向上リノベーションを活性化させる政策に予算を傾斜する。
ボトルネックは、対応できる技能者不足である。
省エネ施工技能のみならず、耐震改修を含めた
リノベーションの技能者育成を推し進める政策もお願いしたいです。
② 等級6・7の上位等級について
上位等級は、各段階が実施難易度を等間隔に配置すべきと考えます。
HEAT 20に準拠したために、G2とG3(等級6・7)のギャップが大きすぎる問題があります。
その中間地点でもう一つの等級を設けるのが現実的な基準設定です。
5地域以南で、0.46、0.36、0.26 の3段階に分けることになります。
原案だと松竹梅。で等級6の0.46が誘導されますが、
等級を増やすと、0.36が誘導され、
ステップアップで目標性能を上げていこうとするインセンティブにもつながります。
追加: PV普及促進が一番の難所
住宅分野の脱炭素化において、新築住宅の性能よりも、最終的にはPVの普及の伸び悩みが、1番の障害となってきます。2030年で60%の搭載率を達成するためには、2025年から断熱義務化に合わせPVの搭載時の収支計画の提示と、効用の説明の義務化を、国レベルで行うべき。
原案では自治体レベルに任せる方向性ですが、脱炭素実現としてはもっと踏み込むべきです。
みんなでパブコメ
読者の方でも、この分野で自分の声を届けたい方は、
前先生のHPに リンクが集まっていて分かりやすいので
そちらからパブリックコメントを届けてください。
前研究室のホームページのリンク
http://maelab.arch.t.u-tokyo.ac.jp/decarbonization_news/?fbclid=IwAR0N57N2w86KoYRY1vT2QHF-YiavsumodmWe3LCq7AVYWYceFXCMdzaZtzo