岩室「野きろの杜」に挑戦する 若き3匹の虎たち | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

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12月2日の日経新聞に
「アウトドア感覚の住宅街」ができると
記事が出ていました。

 



分譲主は新潟土地建物販売センター。
代表は川上創さん。
直接面識があるわけではないが、ずば抜けた経営手腕はよく知っている。

不動産会社に勤めていたが、退社後、自身の会社を
2013年会社を創業。その後2016年から2021までの5年間で、
会社の売り上げを5倍にする急成長を遂げた。

不動産業は、資本と歴史の信用がものを言うビジネス。
ベンチャー企業がこれほど急成長するなんて、驚くほどの経営手腕だ。

地元が新潟市西蒲区の岩室だということで、
故郷を復興させたいという想いで、人口増につながる宅地開発をしたいのであろう。

 

準備期間に3年かけて 開発面積22000㎡の 

野きろの杜」を分譲する。


この岩室地域は、新潟市が広域合併をする前は、
西蒲原郡のはずれに存在し、高齢化が進み人口も減少している寂しいエリアである。

同じ西蒲原区でも、郡都があった巻町では、スーパーや医療機関などのインフラが集中しているが、

岩室にはさびしい限り。さらに新潟市中心部からは遠いし、通勤でも不便である。

普通に宅地開発をしても、初年度で2割も売れないのではないだろうか。


そこでスノーピークとのコラボレーションで、
アウトドアを前面に押し出し、差別化しようとしている。

スノーピークは、2021年でもっとも注目された企業ではなかろうか?
コロナ禍でのアウトドアブーム沸騰。
異業種コラボへも積極的。


2020年3月に先代の父親から経営を引き継いだ、娘の山井梨沙社長
直近の1年間で株価が360%と爆アゲさせたのだから、驚きである。

 

写真: 新建ハウジング掲載「未来を創るイノベーターたち」より


スノーピークは、今までも、山形のエコタウンなど、
宅地開発のコラボ実績はあったけれど、小規模だが、
今回はレベルと本気が違う。

 

 



団地の道路と建物との間に、ウッドデッキなどの中間領域を設けることを
ガイドラインにしている。そこを楽しい場にするためのしつらえが欲しい。


そこでなんと、土地分譲価格には、50万円相当のスノーピーク商品もついてくる。
外で本格的な調理も可能な、アウトドアキッチンや、大型のタープなど選べるようだ。
それを中間領域で活用し、地域の団地の仲間とのコミニュケーションが繰り広げられることだろう。


この団地には商業エリアも備わって、

スノーピーク用品を扱うアウトドアグッズ・ショップも店を出すという。




スノーピーク社の今回のプロジェクトの推進を「柳沢の山荘
ヤギの家で有名になった小林さんが担当されるとのこと。
白馬のスノーピーク村での奮闘が、テレビ特集された、社運がかかるくらいの

ここぞというときに投入される、スノーピークの最強スタッフである。

全国で「信者」とも称されるスノーピカーはごまんといる。
同じ価値観を共有した仲間の住むコミュニティーができるとなると、
ここに加わり、生活したいと思う人も多いだろう。

(写真: 左が石田くん 右が川上さん  川上さんのFBより)

この団地の開発グランドデザインは、川上氏の友人である、
石田伸一(建築事務所)が手掛けた。
彼は10年来よく知るが、某大手地元ビルダーでなみはずれた成績を収めた
バケモノで、たぐいまれな行動力と求心力をもつ若きカリスマ。

独立してから ノマドアーキテクチャーとしてやりたい放題暴れている。

この団地のコンセプトデザインや 商業エリア・賃貸エリアの設計も行っている。

そこで、
長期にわたり住む人たちの幸福度を上げるためのために、景観配慮を徹底させた。
私的には、スノーピークコラボより、
景観配慮の徹底というチャレンジを評価したい。

 

 

資産価値維持に景観ガイドライン

 

 




まずは、杉板外壁しばり。
塗り壁でも構わないことにしているが、コストの問題で、
ほとんどが杉板の外壁となることだろう。


できればさらに屋根形状のガイドラインも設ければ、

より良い景観となったが、そこまではということで見送られたようだ。

次に植栽を義務とした。
これは将来的に潤いと風格を増すまちづくりには欠かせないルールである。

近年、特にアルミのカーポートと、土間コンクリートだけで
植栽をしない新築が急増していて、街並みが貧乏たらしくなってきてしまっている。

てんでばらばらの、個性を張り合ったサイディング外壁と、
モザイクでギラギラしたタイル外壁。  目につくのはカーポート。
砂漠のように緑の見当たらない新しい団地には、私も住みたくは無い。
私のように それに嫌気がさした人たちも絶対増えているはずだ。

 

川上さんも どうやらここに住む気のようなので、

自分の住みたい街の理想を実現させたいと願ったのではなかろうか?

 

 



この団地には、リフトアップされたウッドデッキに囲まれた、

コミュニティ広場が設けられている。

人の集いを誘発させる共有部分も魅力である。

こうした街づくりを成功させるためには、植栽の管理のレクチャーと、
共有部分の長期的な維持管理体制もデザインされないとならないだろう。

今までも分譲開発において、街路樹を植える試みはされてきた。
「女池のボンエルフ」が先導的事例であるが、
団地の中心に公園が設けられ、大きな山桜が植えられ団地のシンボルであった。
今年見に行ったら、無残に強剪定され、そこから菌が入り病気になり、

枯れてしまい悲惨な状況であった。

この二の舞にしてはならない。

 

相模からの提案

また、生垣や塀について、「可能な限り設置しない」とあるが、
道路方向に中間領域を設け、生活空間とつなげようとなると、
家の中丸見えになり、居住性を損なうこととなる。

生垣の樹種を指定し、塀についても「杉板の塀とする」ガイドラインにすることで、
外壁とも調和し、街並みが整うことに貢献できる。

樹種の統一は、赤塚ニュータウンや住宅供給公社でも行われて、

実績のある 良い方法だ。


土地購入者は、外構計画図を石田事務所に提示し、

アドバイスを受けるというのはどうだろう。

 

 

利便性より、環境を選ぶ時代か?

正直この岩室という場所は、隣の巻地区に住む、

地元の私からしても、住みたいと思うようなロケーションではなかった。


しかし、近年ワークスタイルも変化して、リモートワークの方も増えてきた。
こういった方は、利便性ではなく居住性が優先される。

そうなってきた場合の周辺環境。
便利さよりも自然さが、リフレッシュに求められることだろう。



ここからは、車で20分も行けば、岩室と弥彦の素晴らしい観光のエリアがほど近い。
登山をして、日帰り温泉施設でリフレッシュしてもよし。

何よりも近所付き合いが楽しくてしょうがない街になれば、
他にない魅力となるだろう。

最後に 購入する人のイメージをまとめます。

① チープな将来性の乏しい、新しい分譲地には住みたくない人。
② アウトドアライフ価値観の合う、コミュニティーでの暮らしを希望する人。
③ 都会からの移住者のリモートワーカー。


この団地は、新潟を代表する剛腕、
若手経営者3人が、協力して挑む挑戦で、

どこまで成功するかが大いに注目だ。